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今年は(久しぶりに)第九を歌います

 タイトルの通りです。今年の暮れは、ベートーヴェン作曲「交響曲第九番合唱付き」を歌います。もちろん、合唱団の一人として。

 どこで歌うかと言うと、もちろん地元。地元の臨時編成(とは言え、毎年やっているので半ば常設っぽいのですが)の合唱団。テノールのコーラスボーイとして歌います。

 ああ、第九なんて、久しぶり。三年ぶりくらいかな? キング先生に師事するようになってからは、始めての第九です。

 今までも第九を歌うチャンスがなかったわけではありません…と言うよりも、毎年チャンスはありありでした。でも、キング先生の出された条件を守れる自信が無くて、それで今までは第九をパスしていたわけですが、今年、ようやくその条件を守れそうな気がしてきたので、試しに歌ってみる事にしました。

 キング先生が毎年出してくる条件とは…「自分を抑えて歌うこと」…これだけ。これができれば、合唱は良い勉強になりますから、積極的に参加してくださいと言われ続けて来たのですが、今までは自分を抑えきれる自信がなかったので参加を見合わせていました。

 自分を抑えて歌う…先生の日頃のアドヴァイスを念頭に置いて、自分なりに咀嚼したものを書いてみます。

 「自分を抑えて歌う」それはおそらく「合唱団員としての本分を守った歌い方をする」ということなのではないでしょうか。

 合唱団員としての本分を守った歌い方? それは…

 ・何よりも音程重視。自分は合唱という楽器である、くらいの意識で歌う。

 ・何よりも言葉重視。半ば歌い、半ばしゃべるくらいの気持ちで歌う。つまり、アリアではなく、レチタティーヴォを歌うつもりでちょうど良い。

 ・何よりも周囲に溶け込む音色で歌うこと。それが難しいなら、小さめの声で丁寧に歌う。

 …です。この条件を積極的に実行できる事が、合唱団員として必要なことだと私は考えます。

 で、この条件を守ることは…少なくとも去年までの私では絶対に無理。全然無理。全く無理でした。

 と言うのも、私は歌いたがりの、根本的にソロ志向の人間だから(爆)。

 例え合唱であっても“そこは私のためのオンステージ(はぁと)”ぐらいに思っていたからです。そんな人間ですから『音程? 周囲との協調? 大きな声でババンと歌っちまえば、それでいいじゃねえか!』という、見るからにはた迷惑な思考回路(でも、歌をやっている人間だと、結構こういう人、多いんじゃないかな?)で行動していました。

 いやあ、結構、この手のソロ志向の人って、アマチュア合唱団にはいるんですよ。それもゴマンとね(笑)。でも、多くの場合はあまり問題にならない。なぜなら、気持ちが、たとえそうであっても、現実的には、それほどの声を持ち合わせていない(つまり、その人の身体が楽器として不十分)ので、気持ち的にソロ志向で、ソロとして歌っているつもりで酔いしれていても、現実的に出てくる声はモロに合唱声だから、無問題なんですね。

 だから、合唱団に混ざっている、多くの勘違い野郎は、勘違いをしたまま歌っていても、平気なんですよ。だいたい、大きなソロっぽい声を出しているつもりでも、実際には側鳴りな声で、自分の身体の中にはビンビンに響いても、指揮者や客席まで全然届いていない歌なんです。

 その点、私の身体と声は、元々合唱向きではない(当社比:笑)。もちろん独唱用としては、訓練不足で全然使い物になりません。そういう意味では「歌向きではない」状態なのかもしれません。だから、レッスン以外の場では、全く歌うチャンスというのがなかったわけです。

 私の骨格は輪切りにすると真ん丸になってしまうほど、前後に分厚い身体で、おまけにタッパがある。肺活量も常人の倍近くあるし、体重も倍?近くある。何より神様から貰ったノドが、とても強い。車で言えば、一般的な人が乗用車だとしたら、私はトラックなんですよ。体の構造が、最初から大音量仕様にできているわけ。

 だから、普通に軽く歌っても、そこらの勘違いアマチュア合唱団員とは比較にならないくらいの音量で歌っちゃいます。いや、正確に言うと、比較する前に邪魔になるくらいの声量なんです。でも、発声も悪かったし、音程も甘かった。いわゆる「大声な音痴」って奴でした。いやあ、なかなかに迷惑な野郎だよね。

 ですから、昔から、この声量がネックになって、多くの合唱団に断られてきたのに、イマイチ、その点が分かっていませんでした。歌って、自分の姿がなかなか客観視できない、やっかいな楽器なんです。

 目立ちたがり屋で、個人主義で、大声なくせに、音程が甘くて歌の下手な奴。そして、自分がそんな奴だという自覚が無かった…それが去年まで私でした。そんな人間に合唱は無理ですよね。キング先生の元で少しずつ勉強を重ねていく中で、その辺のところが薄々と分かるようになってきました。だから、昨年までは第九の参加を見合わせていました。

 それが今年は何となく、キング先生の提示された条件が守れそうな気がするんです。だから、試してみようかなって思ってますし、もしも守れなさそうだったら、途中でリタイヤしてもいいやって気分になってます。

 変わったでしょ? 私。

 それは、やっぱり声楽の発表会で歌った事が、きっかけかな? あそこで変われたかなって思ってます。

 数カ月間、勉強を重ねてきた曲を舞台で独唱する。それを体験したせいか、独唱と合唱が全く違うものだと、理屈抜きで分かりました。だから、合唱の場面で、独唱のようなふるまいは、もうしないだろうと思ってますし、独唱と合唱をきちんと分けた行動ができそうな気がします。

 声楽の発表会に出る前の以前の私なら、例え合唱であっても、本番は本番。全身全霊を込めて、全力投球です。私が全力投球をすれば…大声になるし、音程は下がるし甘くなるし、いい事は一つもありませんでした。

 今は、全力は、独唱の時に使えばいいのだと思ってます。合唱の時は、全身全霊を込めるよりも、全体の一部になりきる方が大切であって、そのためには、積極的に自分を殺す部分があってもいいかなって、思えるようになりました。だって、合唱は合唱だもの。合唱って、たとえ私はそこにいても、私は合唱ではないもの。それが身体で分かったって感じかな。

 ある意味、余裕が出てきたって事でしょう。この年になって、成長してます。

 だから、今回、第九に参加するにあたって、普段の歌い方(独唱用)とは歌い方を変えて行こうと思ってます。軽く軽く、必要な音高に声を当てていくような、まるで自分がピアノにでもなったかのような歌い方をしていこうと思ってます。もちろん、音量はかなり抑え気味の頭声中心の発声で行こうと思ってます。だってね、きっと、すごく小さな声で歌っていても、私の声は[悲しい事に]よく響くので、それでもかなり合唱の邪魔になってしまうかもしれません(もちろん、邪魔にならない程度まで、声量は落としていくつもりです)ので、その点によくよく注意を払っていきたいと思ってます。

 よく「合唱と独唱では歌い方が違う」と言う人がいますが、私はそうは思いません。しかし、「合唱と独唱では、歌うときの心構えが全く違う」とは思います。それが今現在の私の心境です。

 第九は、9月から練習が始まって12月が本番です。たった三カ月間の練習期間です。この間に、自分の合唱団員としての資質を高めてこようと思ってます。「目指せ! 地味で物静かな合唱団員!」です。…でも成りきれるかな? ソリストの地は出ないかな? 色々な意味でハラハラドキドキの第九になりそうですが…果たしていかに。

 練習が始まったら、合唱の練習もブログにチマチマ書いていくつもりです。

コメント

  1. たかさん より:

     第九! いいですねえ。メインはオーケストラでなく、もちろんソリストでもなく、最後の最後に出てくる合唱ですもんね。

     私はずっと昔にアマオケで第九をやったことがあるんですが、(今まで忘れてました)その時はフルートでした。ソロの歌が始まる頃は、へとへとになってたりするんです。合唱を聞くと力が湧いてきましたねえ。

     練習の様子なども、ブログで報告してくださいね。

  2. ふっきー より:

    いいなあー第九合唱!
私もオケの一員としてやった事があるんですが、きっと合唱で乗る方が楽しいな、この曲は、と思いました。レポート期待しています。

  3. すとん より:

    >たかさん

     そうそう、第九のメインはオケでなければ、ソロでもなく、合唱なんだよね。第九の合唱は楽しいですよ。キング先生も、ソロでなく、合唱をやりたいような事をおっしゃっていました。それくらいの魅力があるわけですね。

     もちろん、楽しいだけで済まないのが、ベートーヴェンなんですが…、その話は、いづれまたおいおい。

  4. すとん より:

    >ふっきーさん

     たかさんのみならず、ふっきーさんも、第九オケ経験者ですか? 私は合唱でなくオケで第九に参加してみたいです(明らかに無理ですね、能力が足りません:汗)。

     あ、ちなみに、楽譜はベーレンライター原典版という、最近(でもないか)流行りの楽譜でやりますので、CDなどで聞ける一般的な第九とは、微妙に違うんです。そこも、何となくうれしいです。

  5. chiko より:

    第九ですね。いいですねえ。昔オーケストラでフルートしていたときに、したことあります。その頃今は亡き父が、日舞でお正月のお祝いの舞みたいので、大工役だったことがあって、「おお、お前は第九か、わしは大工だ」なんて。

    ピアノの先生との連弾は、私のピアノレッスンに発展(?)しまして、10月の発表会に出ることになりました。
    曲は、ショパンのノクターン20番(遺作)と、サティのJe te vevx(お前が欲しい)です。フランスものばっかじゃん。苦手かも・・・・
    あと2ヶ月です。9月になったらまた委員会活動も始まるので、週1のレッスンが出来るように練習できるか不安ですが、死ぬほど練習したっていえるくらい、頑張りますっっっ。

    ・・・・・・レッスン料が14.000ですよ。息子達と合わせたら月に30.000ですよ。・・・・・・ああ・・・・・・破産するかも・・・・・

  6. すとん より:

    >chikoさん

     chikoさんも「オケで第九」組ですか。私は本当はそっちに行きたい人です(でも、たぶん、死んでも無理だろうなあ:涙)。ま、オケでは出れないので、合唱でほどほどに頑張らずに行きたいと思ってます。

     それにしてもピアノレッスン代が14000円ですか? それは週4回、各30分のレッスンの月額ですよね。ううむ、ピアノレッスンの相場が分かりませんから、何とも言えませんが、きっとこの書き方だと、お高めなんでしょうね。でも、フルートだと、これくらいが相場じゃないですか? 声楽だとむしろお安いくらいですね。

     とは言え、親子で月3万円もピアノの月謝に注ぎ込んでいると思うと…たしかに、ちょっとお財布にこたえるかもね。

  7. 橘深雪 より:

    第九、ぜひぜひチャレンジ頑張ってください!
    それにしても、すとんさんは羨ましい程の肺活量をお持ちなのですね。私はゼロに近いほど肺活量がないので、羨ましい限りです。

  8. すとん より:

    >橘さん

     肺活量と言うのは、体の体積とだいたい比例関係にあるので、肺活量が多いと言っても、それは単にガタイがデカイというだけの話なので、別に特別にどうと言うこともありませんよ。それに肺活量が多くて、たくさん息を吸うと言うことは、世の中の汚い空気も他人よりも多く吸うというわけで、どっちが良いんだかって、私なんかは思います。

     あ、第九、ほどほどに気を入れないように頑張ります。

  9. めいぷる より:

    第九…良いですねぇ~
    私のオケは毎年末合唱と一緒で、3年に一度は第九、時折隣市の第九も演奏してました。酷い時(!)には年末3回…。最初は憧れてましたが、直ぐに体力的に通せなくなりました。アシで乗っても「もう勘弁して」状態…聴いているのが一番です。^^;

  10. すとん より:

    >めいぷるさん

     以前は毎年、第九を演奏してらっしゃったのですね。ま、オケは一時間以上かかりますから、たしかにシンドイでしょうね。

     合唱関係者だと、よく、第九のハシゴをして、歌いまくる人がいます。「今年は3個所で歌ったよ」「オレは5個所だ」「アタシは7個所」なんて具合です。そういう人の事を「第九ジゴロ」と呼びます。私に言わせれば、そんなに第九ばかり歌っていると、声が荒れるだけです。第九は年一回歌えば、もう十分です。

     個人的には、年末は第九ではなく、メサイアを歌いたい人です。だって、メサイアの方がメロディきれいなんだもん。

  11. かなりや♪ より:

    こんばんは。
    第九は、合唱のなかでも特別な存在だと思います。
    特に、今の日本の合唱界?は、不協和音だのなんだの、やたら、pで歌ったり、もう、それは、和音(ハーモニー)を楽しむ合唱(コーラス)ではなく、限りなく、現代音楽なんですもの・・・。
    そんな中、老若男女声と様々な楽器(オーケストラ)が共演して、人類の平和(理解し合おう!命の喜びを感謝しよう!)を喜びとして壮大なスケールの和音とかけ合いで歌いあげるのが第九なんですもの・・・。

    最初にすとんさんとコメントを交わしたのが、たしか、第九だったような・・・。

    今年は、独唱あり、合唱ありの特別な年になるんですね。

  12. すとん より:

    >かなりや♪さん

    >最初にすとんさんとコメントを交わしたのが、たしか、第九だったような・・・。

     そう言えば、そうかもしれませんね。

     日本の合唱団が取り上げる合唱曲の大半が、限りなく現代音楽というか、現代音楽風味なのは、昭和~平成の時代の邦人作曲家による作品を取り上げる以上は、仕方のないことなのだろうと思います。

     言語の呪縛(日本語しか歌えない)というか、宗教の呪縛(キリスト教はイヤ)というか、そのあたりの呪縛さえ解ければ、いくらでも素晴らしい合唱作品が、この世には掃いて捨てるほどあるというのにねえ…。

     ま、それはともかく、たしかに第九は特別な存在であろうと思います。第九で合唱を始める人もたくさんいるだろうし…。

     でも、第九って、決して初心者向けの合唱曲ではないような気がします。もちろん、作曲家であるベートーヴェンは初心者向けに書いたつもりらしいのですが、歌ってみると、これが案外、難しいんだよね。溜め息出ちゃうよ。

    >今年は、独唱あり、合唱ありの特別な年になるんですね。

     そうなんです。ちなみに、フルートの発表会も秋には控えていますし、来年あたりにうまく行くと始動する計画(まだ書けません)もあったりして、私の音楽ライフは、今、充実の極みに達しようとしております。いやはや、うれしい忙しさです。

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