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たぶん、生まれて始めて、フルートだけのコンサートに行きました

 タイトル通りです。おそらく、生まれて始めてだと思うのです、フルートだけのコンサートって。もちろん、今までだって、フルートが参加してたコンサートと言うのは、何度も見ているのですが、出演者がフルーティストばかりの、本当にフルートだけのコンサート(伴奏としてのピアノはありました)って、たぶん始めて。

 横浜の杉田劇場で行なわれた「フルートの世界」というコンサート。ヤマハ音楽教室が主催のコンサートで、出演者はヤマハの音楽教室のフルートの先生方。コンサートは二部構成で、第一部が「フルート名曲31選」の1番から15番までを順番に吹いていくという奴。第二部がアンサンブルコンクールでよく取り上げられる4曲(カステレード作曲「フルート吹きの休日」、ボザ作曲「夏山の一日」、石毛里佳作曲「碧い月の神話」、ワルキエ作曲「協奏的大四重奏曲」)を吹いてみましたという奴。

 中高ブラバンのフルートちゃんたち、垂涎のプログラムっす。実際に会場には、制服姿で楽器を抱えたフルートちゃんたちが、たくさんいましたもの(笑)。残りのお客は、おそらく出演者の生徒さんたち。お花がイヤになるほど受付にありましたもの。なので、いわゆる一般客は私を含め、ほんの少々って感じでしたが…でも、コンサート自体はおもしろかったので、良しは良しです。

 出演者は6名の先生方。皆さん、金色のフルートでした。ゴールドフルートって高価なんですよねえ…プロの皆さんって、大変ですね。

 思った事、プロと言えども、その技術レベルはマチマチだなあ(笑:当然と言えば当然ですね)と言うこと。次にゴールドフルートと言えども、それぞれ音色は全くと言っていいほど違うこと。

 で、今回は期せず、6名のフルーティストさんのゴールドフルートの音色を聞き比べたので、そこで思った事を書きたいと思います。

 まず、私は基本的にゴールドの音が嫌いでした。でも今回、思った事は、ゴールドの音にも実は色々なレベルの音があって、嫌いな音と、さほど気にならない音といった感じで、嫌いにしても嫌いの振り幅があるなあと感じました。いやむしろ、演奏方法によっては、音としては苦手だけれど、音楽表現としての音色としてはアリかもって思えるようになりました。つまり「今はまだ受け入れがたいけれど、いづれ好きと思えるような音色のゴールドフルートもありました」って事ね。

 少し、成長しましたよ、私(笑)。

 それと私がゴールドフルートの音色のどこが嫌いなのかも、何となく分かってきました。それはどうやら私が、ゴールドフルートの音を「汚い音色」と感じているらしいこと。これは理屈ではないですね。私の感性の問題。世間の方々が美しくてうっとりする音を、私は汚い音と感じちゃうんです。困ったものですね。どうやら感性のへそが思いっきり曲がっているみたいです。でもやっぱり、私としては、汚いと感じるものは汚い。そして、汚いものは嫌い。そういう単純なレベルです。だから、私が「ゴールド嫌い」とか言っているの見ても、軽くスルーして、あてにしないでください(爆)。

 とは言え、その汚いはずのゴールドフルートの音を“汚い音”ではなく“個性のある音”として聞かせてくれる奏者もいました。これは私にとって収穫。これは技術なのか、才能なのか、はたまた楽器との相性なのかは分かりませんが、ある種の奏者たちは実に素晴らしい音色でゴールドフルートを奏でるのですよ。となると、今までのように「ゴールドフルート、嫌い」なんて言っているのは偏見というものなんだろなあと思いました。

 ゴールドフルートって演奏者を選ぶのかもしれない。そんな気がしました。もちろん、私はゴールドフルートには選ばれていませんので、私が吹くと、汚らしい音しかしません。プロのフルーティストと言えども、ゴールドフルートに選ばれていない方が少なからずいらっしゃるなあと今回のコンサートで思いました。ご自分でもおそらくは分かっていらっしゃるのでしょうが、営業面の必要から人前ではゴールドフルートを吹かざるを得ないのでしょうね。プロは大変です。

 それと、ゴールドフルートと言えども、メーカーによって音色がかなり違うのではないかとも思いました(総銀だってメーカーごとにだいぶ音が違うのですから、当然と言えば当然ですね)。私は試奏の時に、ゴールドフルートの吹き比べというのをあまりしないので、ゴールドに関してのメーカーによる音の違いについては分からないのですが、もしかするとそんなのも、音色の好き嫌いと関係しているのかもしれないなあ…と思いました。

 ゴールドフルートの試奏というのは、なかなかできませんが、機会があったら、ぜひやってみたいです。そして、どこのゴールドフルートの音は好きだけれど、どこそこのは苦手と分かると、それはそれでおもしろいかもしれないと思いました。

 少なくとも、私はゴールドフルートの中では、ヤマハのゴールド・メルヴェイユの音は、シルバー・メルヴェイユほどではないけれど、好きなフルートかなと思いました。吹いた事は全くないのだけれど、アルタスとかパールのゴールドフルートを吹いてみたら、案外、好きに思えるかもしれません。

 ああ、ゴールドフルートは悩ましいフルートです。

 そうそう、演奏についても書かないとね(汗)。

 前半の31選からの演奏は、さすがに曲自体に力がありますから、楽しかったです。特にドンジョンとかノブロとかケーラーのような超マイナーな作曲家(普通の音楽ファンは絶対知らないよ)の作品を聞けたのは(眠気との闘いでしたが)うれしかったです。残りの16曲は来年やるような事を言ってましたので、また来年もこのコンサートに来れたら、うれしいな。

 第二部のフルートアンサンブルの方も、超マイナー作家の曲で、やっぱり楽しかったですよ。有名な作曲家だけが有能な作曲家というわけではないと言うことですね。そして、ソロの演奏だと???だった方も、こういうアンサンブルの中に入ると生き生きした演奏をなさってました。やはりプロとは言え、ソロ向きの方とアンサンブル向きの方って、いらっしゃるんだなあと思いました。それと、フルートアンサンブルって、ピッチがピタッと合うと、なかなか美しいものだなあと思いました。時折聞く、アマチュアのアンサンブルって耳が壊れちゃいそうな演奏が多いですが、さすがはプロの演奏でした。

 そして極め付きは、アンコールの「大きな古時計」。フルート六重奏(もちろんピアノ無し)でした。ピッチもテンポもタイミングもバッチグーで、すごかったですよ。いやあ、こういう演奏もあるんだな…と思いました。ありがとうございました。

 で、コンサートの後は、ヤマハ横浜店主催の、販促目的のフルート試奏会が開かれました。もちろん、そちらにも参加しましたが、そのレポートは…また、明日(笑)。

コメント

  1. ディア より:

    6本の金のフルート勢ぞろい~
    キラキラしてまぶしかったんじゃないですか?(笑)金のフルート吹いてみたい。

    フルート暦3年ですが、今まで行ったことあるコンサートと言えば、YouTubeで有名な?Greg Pattillo氏のBeatBoxだけなんですよ。
    つば飛びまくりの?演奏でしたがすばらしかったです。たまに普通の奏法で吹いたりもするんですが、吸い込まれるかと思うぐらいきれいな音でした。
    彼は金ではなくて、年季の入ってる銀のフルートでした。

    こっちにいる間にフルートコンサート行きたいなあ。でも検索すると東京ばっかりなんですよ。

  2. はむはむ より:

    今度の先生は、ムラマツの金のフルートをお持ちです。
    今までの先生は、パールの総銀に金メッキでした。
    やっぱり「先生」って大変ですね~~~。

    今月末に、市内の楽器店でフルート・フェアが予定されています。
    もちろん遊びに行くつもりですが、金のフルートは
    あるかしらん。
    あったら(絶対買えないのに)図々しく試奏させて貰おうと
    企んでいますが、無かったら総銀で遊んできます[E:lovely]
    楽しみ~v

    6本も金のフルートが揃ったコンサート、凄いですね。
    こっちでもヤマハでやってくれないかなぁ。
    関東はお楽しみが沢山あって、羨ましいです。

  3. 小夜子 より:

    そういうコンサートがあったのですね。楽しそう(^^)家に帰ってから同じ楽譜で吹く楽しみもあって、1粒で2度おいしい(?)コンサートですね。
    「大きな古時計」聴いてみたいです。6重奏ってどんな感じになるんだろう???荘厳な感じ?
    私の先生はローズ金のパール・マエスタです。先生の演奏はシャーリング音が美しくて…まるで鈴を振っているみたいなんですよ~♪
    私はすとんさんのようにグルメな耳を持っていないので、金の笛の音も大好きです。生まれて初めて聴いて気に入ったフルートの音がラジオで聴いたガロワさんのゴールドフルートでの演奏でしたから、甘くて優しくてロマンティックな金の笛の音、ラブです(^^)

  4. すとん より:

    >ディアさん

     確かに金のフルートの揃い踏み、まぶしかったですよお~。金のフルートと言っても、お値段マチマチですから、一概には言えませんが、(あくまでも)仮に一本350万円とすると、6本ありますから、2100万円でしょ。“光り輝く”とは別の意味で、頭がクラクラしました。

    >Greg Pattillo氏のBeatBoxだけなんですよ。

     ググってみました。ヴォイスパーカッションをやりながらフルートを吹くという方のようですね。そりゃあ、すごい人のコンサートに行かれたんですねえ。日本じゃ、まずお目にかかれないタイプのフルーティストじゃないですか! 6本のゴールドフルートよりも、希少なコンサートだと思いますよ。

    >こっちにいる間にフルートコンサート行きたいなあ。でも検索すると東京ばっかりなんですよ。

     そりゃあ、検索しちゃうとそうでしょうね(笑)。ローカルな情報は、案外、まだまだオールドメディアの方にしっかり載っていたりします。例えば、ぴあの地元版とか、地元の新聞とか、その新聞などに折り込まれる、地元密着型のミニコミ誌とかの方が詳しいと思います。

  5. すとん より:

    >はむはむさん

     先生というか、職業フルーティストさんたちは、ゴールドフルートは必須のようで、本当に大変ですよね。

     なかなか楽器店レベルのフルートフェアだとゴールドフルートまでは置いていないケースもあるようですが、もしもあったら、ぜひ遊んできてください。私もチャンスがあったら、アルタスとかパールのゴールドフルートを吹いてみたいのですが、さすがに東京のフルートフェアでも、なかなかお目にかかれません。やはり、アマチュア向けのフルートフェアだと総銀までというところが多いようです。ちょっと残念です。

    >関東はお楽しみが沢山あって、羨ましいです。

     確かにそうだと思います。特に東京~神奈川にかけては、とてもとても恵まれた状況にあると思います。ちょっと申し訳ないです。

  6. すとん より:

    >小夜子さん

    >家に帰ってから同じ楽譜で吹く楽しみもあって、1粒で2度おいしい(?)コンサートですね。

     あ、思いつきませんでした(爆)。同じ譜面を持っているんだから、そういう楽しみ方もできますよね。ああ、言われるまで気がつかないとは、間抜けだなあ…。

    >「大きな古時計」聴いてみたいです。6重奏ってどんな感じになるんだろう???荘厳な感じ?

     ええと、立体的です。同時に3本程度のメロディーがそれぞれ和音付きで奏でられていますので、とても奥行きを感じさせる演奏でした。聞きながら「うわー、あんなこと、やってる。こんな旋律を吹いている~」っと、心の中で叫びながら聞いてました。

    >私はすとんさんのようにグルメな耳を持っていないので、

     グルメじゃないです。たぶん、変態です。と言うのも、今回のコンサートでも、どうにも受け入れられない音色で演奏する方がいて、私は本当に耳を塞ぎたくなるほど困惑しました。それって、ある意味、不幸でしょ。そんな、変態な耳は持っていない方がいいと思います。どんな音色のフルートを聞いても、それなりに美点を見いだして楽しめる方が、ずっと幸せですって。

     ガロワはいいですね。あの四枚組のCD、大好きなんですが、あれって、ガロワのゴールドフルート時代の録音ですよね。だとすると、私はガロワのゴールドフルートの音は大好きってことになります。おっしゃるとおり、甘くて優しくてロマンティックな音色ですね。でも、ガロワは近年は、ゴールドではなく、専ら木管を吹いているそうです。もう、ガロワのゴールドの音は生では聞けないのかしらね?

     ちなみに、ガロワ、今年の夏に日本に来て、演奏会とマスタークラスを開催するそうです。行きたいな、でもお金の工面がつかないな、だってまだフルートのローンが残っているもん(涙)。

  7. YOSHIE より:

    初めまして、諸岡由美子さんを検索してやってきました、チェロ初心者です。どこにコメントをすればよいか迷いましたが、最新のところに。由美子さんは最近知ったのですが、お人柄があまりに素敵でファンになりました。フルートは唇の脱力が要るのですね。チェロは当たり前に右腕ですが、ピアノも手は要脱力だし。6/11(木)朝日夕刊コラム滝沢直己氏《ものづくりのテーブル…力を抜く、ということ》面白かったです。ちくま新書『40歳からの肉体改造』頑張らないトレーニングも役に立つかな〜?と読んでみてます。脱力は永遠のテーマですね(*^_^*)

  8. すとん より:

    >YOSHIEさん、いらっしゃいませ。

     ゆみぴょんさん(諸岡さんのハンドルネームです)さんからの検索でお越しとは…。歓迎いたします。ゆみぴょんさんは、人柄も良いし、その音楽も素晴らしいのですが、何と言っても、かわいらしいのが良いです(笑)。私は共演の経験がないのですが、息子や妻が合唱で、ときおりゆみぴょんさんの伴奏で歌っておりますので、その縁でファンになりました。

     チェロの方ですか…、そう言えば、私は本当はフルートではなく、チェロをやりたいという気持ちをずっと持っていたんですよねえ…、どこでどう転んでフルートになってしまったんだろ? きっと、チェロの神様とフルートの神様の間で、トップ会談があって、私はフルートって事に決まったんだと思ってます。人生が二倍あれば、今からチェロもできるのでしょうが、もう私の残り人生を考えると、声楽とフルートで手一杯です。もう、これ以上、音楽に時間は避けないです(笑)。

     チェロや弦楽器の方に直接お役立ちになるような記事は書けませんが、それでもおもしろそうな記事を書いてゆきたいと思ってますので、お気に召しましたら、ご愛読をお願いいたします。

     まずは、バックナンバーとかカテゴリーから過去ログを漁ってみてください。

  9. <「フルート名曲31選」の1番から15番まで>のコンサート、聴いてみたかったです。
    レッスンで見てもらう曲は、31選のやさしいのから順に選んでましたから。ちなみに今年の発表会は3番目の曲。生で聴きたかったです。

    やっぱり、関東はコンサートが多いですよね。うらやましいです~。もっとも、お小遣いの関係上、行きたくても行けない場合も多いでしょうけれど・・・。

    試奏会、まだ行ったことがありません。どうも、敷居が高くて・・・気後れがします。(汗)

  10. すとん より:

    >E-KOMOさん

     「フルート名曲31選」は本当にポピュラーな楽譜集ですよね。いかにも“フルート”って曲が並んでいます。私もこの中の曲が吹けるようになるとよいのですが、今だに一曲もきちんと吹けません。

    >やっぱり、関東はコンサートが多いですよね。

     みたいですね。余所の地域の事はよく分かりませんが、どうもそうらしいですね。今までは、こういうのが当たり前だと思っていましたが、この恵まれた環境にいる事に、私は感謝しないといけないみたいです。

    >もっとも、お小遣いの関係上、行きたくても行けない場合も多いでしょうけれど…

     そんなのばっかりです。地元で国内海外問わず、レコーディングアーチストの方々がコンサートを開いてくれても、全部に行けるわけではありません。その中から、ほんのいくつかをチョイスです。

     コンサートそのものがないから行けないのも悲しいですが、やっているけれど、お財布の都合で行けないと言うのも、寂しいものですよ。

     試奏会は、近所で開催されたら是非! 気後れなさるのなら、吹かなくてもいいのですよ。他人様が吹いているのを見ているだけでも勉強になるし、いくら気後れしてても、行けば、必ず吹きたくなって吹いてくるだろうし(笑)。試奏会は、笛吹きさんにとっては、ディズニーランド並におもしろいイベントですって。

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