筆記具は…あまり高価なモノを使うと不幸になるかもしれません

　皆さんは筆記具にこだわりがありますか？　私は「ある」とも言えるし「無い」とも言います。

　と言うのも、良い筆記具は良いんです。それは筆舌に尽くしがたいほどに良いんです。その事を私は知っています。でもね、良いものはたいてい高価なんです。そして、一度良いものを使ってしまうと、後戻りできません。上げてしまった水準を下げるのは、心理的に難しいのです。

　なので、大切な事は、最初っから、あまり高価なモノを使わないって事です。素晴らしい世界を知らなくても、人間なんて、案外平気なものですからね。

　例えば万年筆。これは品の良さと価格がほぼダイレクトに比例します。で、私は若い時に、当時10万円する高級品（それも一品物です）を購入しました。仕事でも使うし、社会人になったし、良いもの使わなきゃダメだよね…とか何とか思っちゃったんです。

　実際、良かったですよ。すごく良かったです。字を書くのが嬉しくなるくらいに素晴らしい書き心地でした。でも、ある日、悲しい事に、この万年筆を紛失してしまったのですよ。すごくショックでした。でも、見つからないものは仕方ないです。

　それで新しい万年筆を購入することにしたのですが、最初の万年筆を購入してから、数年経っていた事もあって、私の万年筆を作ってくれた職人さんはすでに引退していました。世の中も変わっていて、高価で良いものはあまり作られなくなり、コストパフォーマンスの良いものが、もてはやされる時代になっていました。

　文房具屋とも相談して、当時の最高級の国産万年筆（６万円程の品です）を購入することにしたのですが、これがねえ…微妙に残念だったんですよ。悪くはないのだけれど、以前の万年筆とは比べ物にならなくて…。

　結局、書類仕事をパソコンでするようになった事もあり、万年筆の利用頻度も下がり、した。

　万年筆って常用していないとダメになってしまうんですよね。そんなわけで、万年筆は仕舞い込んでしまいました。今では書類仕事は、二百円の使い捨ての水性ボールペンを常用しています。贅沢言わなきゃこれで十分なんです。

　今は万年筆の代わりに、パソコンのキイボードやマウスにこだわっているかもしれません。いや、なるべくこだわらないようにしてきたつもりですが、やはり買い替える度に、少しずつグレードアップしてきちゃいました。だって、以前のモノよりも悪いものって使いたくないじゃない？

　キイを打つだけなら、パソコンに添付されているキイボードで十分なはずですが…それじゃあ我慢できない私がここにいます。今使っているキイボードやマウスもだいぶ長く使っています。もしもこれらが壊れてしまったら…次に購入するのは、どんな価格帯のキイボードやマウスになってしまうのかと思うと、ちょっとビビってます。

　でもね、手にしっくりこない筆記具を使うのって、やっぱりイヤでしょ？