11月もそろそろ中旬になります。いよいよ今月は、ディズニープラスでビートルズの新作映画「ゲット・バック」が配信されます。それも、どうやら2021年11月25日(木)~27日(土)の限定配信っぽいです。
元々はディズニー配給でワールドワイドに映画として劇場公開をする予定だったみたいですが、このコロナ禍の中、何度も上映延期を繰り返していくうちに、結局、劇場公開ではなく配信上映に変更になり、それに伴って、無理やり映画にするのではなく、ドキュメンタリーシリーズ(全3話)として編集し直して、かなりの増量をして配信公開(それも約6時間!)って事になったようです。
で、その映画(?)「ゲット・バック」は、1970年に製作された映画「レット・イット・ビー」のリブート版であり、その公開記念もあって、この映画の元となったアルバム『レット・イット・ビー』がリミックスされて新発売されたので、ご祝儀方々購入してみました。で、それもあって、ちょっとばかり『レット・イット・ビー』関係の記事を書いてみようと思ったわけです。なので、今回の記事は、ビートルズのライトなファン向けの記事で、コアでディープなファンには物足りないだろうし、ビートルズに興味の無い人には「なんじゃこれ?」って記事になってますが、ご了解いただきたいです。
考えてみると、私『レット・イット・ビー』関連の音源ってたくさん持っている事に、改めて気づいた次第です。以下は、私が持っているそれらの音源です。
A)レット・イット・ビー(レコード)製作年不明
言わずと知れたビートルズのラスト・アルバムの『レット・イット・ビー』です。オリジナルは1970年製作ですが、私が持っているのは…再発も再発のもので、たぶん1970年代後半の、日本での何度目かのビートルズブームの時に、国内外のものも含めて、実にたくさんのビートルズのアルバムが東芝から発売されたのですが、その時にプレスされたものです。時代的には、マイケル・ジャクソンがビートルズの版権を買い求める、少し前の時代のモノです。
なので、ボックス仕様でもなければ、リンゴマークも緑色です。まあ、再プレス(厳密には再々々プレスくらい?)ですが、音的には、いわゆる、日本向けのオリジナルの『レット・イット・ビー』でしょう(笑)。当時はマスターテープが各国のレコード会社に送られ、プレスはそれぞれの国でやっていたので、日本盤は厳密にはオリジナルのイギリス盤とは音が違っていました…が、それを確かめる手段も(当時は)無いに等しかったので、この日本盤をオリジナル扱いにしても良いかな?って思ってます。
プロデューサーはフィル・スペクターで、サウンド・オブ・ウォールという手法でプロデュースされているそうです。
今も所有していますが、LPなので、もはや聞けません(残念)。
B)レット・イット・ビー(CD)1988年
CD版の『レット・イット・ビー』です。最初にCD化された時のものです。これは、ジョージ・マーティンがマザーテープからリマスター&リミックスした一連のシリーズの一つです。当然ですが、LP盤の雰囲気を残しつつ、でも音そのものは、1970年代の音ではなく、マーティンなりの1980年代後半の音に変更されているんだそうです。
もっとも、このアルバムは、ビートルズのアルバム中、唯一、ジョージ・マーティンがプロデュースしていないアルバムなので…彼がCD化に際して手腕をふるったと言われていますが…どうなんでしょうね? 私的には、スペクタープロデュースのLPと、あまり印象が変わっていない感じです。おそらく、聴き比べないと分からない程度の違いしか無いと思われます。
ちなみに、私が普段聞いている『レット・イット・ビー』は、このCDです。
参考までに書き添えておくと、現行の『レット・イット・ビー』のCDは、もはやこれではなく、2009年にアビーロードスタジオのスタッフチームによって、改めてリマスター&リミックスされたものですが、私はそれは持っていません。1988年盤と比べると、音が格段に良くなった(ってか、2009年の音になっているんでしょうね)そうです。
C)アンソロジー3 1996年
アンソロジーという、当時蔓延していた海賊盤対策として出された、ビートルズのアウトテイク集の中に『レット・イット・ビー』期の録音が数曲が入っています。アルバム『レット・イット・ビー』はフィル・スペクターによって、オーバーダビングが手厚くされているので、このアンソロジーに入っている音源は、それらオーバーダビングが施される前の音…って事で、当時はかなり話題になったものです。
D)ゲット・バック 製作年不明
これは海賊盤です。なぜ私が所持しているかは問わないでいただきたい(笑)。
それはさておき、これはグリン・ジョンズが最初にプロデュースをした『レット・イット・ビー』の原型のようなアルバムです。ビートルズのメンバーがOKしなかったため、お蔵入りして世には出回らなかったけれど、まごうことなきビートルズのアルバムで、今回のジャイルズの『レット・イット・ビー』の6枚組アルバムの中に、おまけCDとして含まれているのが、これです。製作年は不明なのですが、当然、1968~69年頃の作品でしょう。
お蔵入りをしたアルバム…であるけれど、そのお蔵入りの理由は、巷で言われるような「音楽的な魅力が不足していたため」では無いのではないかと、私は考えます。もっとも、この『ゲット・バック』は、発売された『レット・イット・ビー』ほど出来の良いアルバムでは無い事は、私も認めますが、アルバムとしての出来の悪さは、グリン・ジョンズの責任というよりも、ビートルズの演奏そのものに問題があると思います。実際、これらに収録されている曲のいくつかは『レット・イット・ビー』の方が出来が良いもの。
でもね、そもそもこのレコードは、テレビ番組「ゲット・バック」のサウンドトラックとして製作されたもので、サウンドトラック盤としては、きちんと出来ていたのだろうと推測されます。で、これがお蔵入りした理由は単純に、テレビ番組「ゲット・バック」の企画がボツになったためで、それに伴って、アルバム自体もお蔵入りになったんだと思います。
E)ゲット・バック 2nd ミックス 1999年
これも海賊盤です。なぜ私が所持しているかは問わないでいただきたい(笑)。
これは先の『ゲット・バック』が、テレビ番組の企画がボツになり、アルバムもお蔵入りした後、今度はテレビ番組ではなく、映画として再スタートをする事になったので、グリン・ジョーンズが映画のサウンドトラック盤として、再び頑張って作ったアルバムです。なので『~2nd ミックス』と付いているそうです。一部収録曲目が異なっているのは、テレビから映画に企画変更し、編集が変わったために、曲が入れ替わったためです。
で、映画『ゲット・バック』は一旦完成したものの、当時のマネージャーであるアラン・クレインから注文(ビートルズ以外の人物は極力カットしろ!)が付き、それに伴って、映画の編集のやり直しが行われ、ジョンズが作ったこのアルバムも、一旦、宙に浮かんでしまったというわけです。
で、映画の編集のやり直しが終わる頃、レノンとハリソンが大物プロデューサーであるフィル・スペクターをチームに引き入れ、ジョンズと交代させてしまったわけで、結果としてジョンズが作った『ゲット・バック 2nd ミックス』はボツとなり、フィル・スペクターが改めて作ったサウンドトラック盤が現行のアルバム『レット・イット・ビー』となったわけです。
で、フィル・スペクターが作った『レット・イット・ビー』って、実は、このジョンズが作った『~2nd ミックス』を元に、不出来な演奏を補うように、スペクターの手によってオーバーダビングが施されたんだそうです。
でも、このスペクターによるオーバーダビングは、ポール・マッカトニーの知らないところで行われたようで、ポールは今に至るまで、このアルバムに対して文句を言い続けているというわけなのです。
F)アンサーパスト・マスターズ(9枚組) 製作年不明
これも海賊版です、それもかなり有名なシリーズです。なぜ私が所持しているかは問わないでいただきたい(笑)。
この海賊版のシリーズは9枚組なのですが、後半の5枚(vol.5~vol.9)は、いわゆる“ゲット・バック・セッション”からのアウトテイク集です。つまり、今回の『レット・イット・ビー』のアウトテイク集なのです。たっぷりあるよ(笑)。
G)レット・イット・ビー…ネイキッド 2003年
これは正規盤です(笑)。結局ボツになったらしいのだけれど、2003年当時『レット・イット・ビー』の映画版がDVD化されるという企画があったらしく、その企画に合わせて製作された新しいアルバムがこれです。
ベースになったのは、これまたグリン・ジョンズ盤で、これを元に、アビーロードスタジオのスタッフチーム(と、ポール・マッカートニー)が製作したアルバムです。
ポール・マッカートニーがフィル・スペクターによってオーバーダビングされた『レット・イット・ビー』の音が気に入らなかったため、DVD化をチャンスに、スペクターによって行われたオーバーダビングの音を外して、新たに製作されたアルバムです。当時は「これがポール・マッカートニーが望んでいたビートルズのサウンドだ」と評判になったものです。
この『~ネイキッド』も、ジョンズ盤に修正を加えているようです。オーバーダビングこそはしていませんが、2009年当時の最新録音技術を用いて、だいぶオリジナルの音を加工しているようで、ジョンズ盤よりもかなり聞きやすいアルバムに仕上がっています。私的には、スペクター盤である『レット・イット・ビー』よりも、こちらのアルバムの方が好きかもしれません。
H)レット・イット・ビー 2CDエディション 2021年
ビートルズのオリジナル・プロデューサーである、ジョージ・マーティンの息子のジャイルズ・マーティンの手によって、三度目のリマスター&リミックされた『レット・イット・ビー』がこれです。
今回、ベースになったのは、フィル・スペクター盤です。スペクター盤にあったモコっとした感じが無くなって、すっきりした音の印象になっていますが、だからと言って、別物になったわけではありません。ちゃんとスペクター盤のままです。ただし、1970年の流行りの音から、2021年の当世風の音に変わってはいます。
このアルバムは、3つの異なる形態で発売されています。つまり、1枚組、2枚組、6枚組の3種類です。
1枚組は、本編の『レット・イット・ビー』だけです。
2枚組は、本編+オマケが一枚。このオマケってのは、6枚組についている2枚のアウトテイク集のハイライト盤で、これが1枚。で、合わせての2枚組です。
6枚組は、本編+アウトテイク集(2枚)+グリン・ジョンズ版『ゲット・バック』+グリン・ジョンズ版『ゲット・バック 2nd』にだけ入っていた曲(2曲)とグリン・ジョンズの手でつくられたシングル曲のリマスター(2曲)によるEP+今回の本編のハイレゾ音源のBlu-ray盤だそうです。
私は迷わず2枚組を買いました(笑)。
私はなぜ6枚組のアルバムを買わなかったのか? それは私がディープなビートルズファンでは無いからです。6枚組を購入するだけの熱いハートと厚い財布を持っていなかったってだけの話です。
だってさあ、私は、F)の『アンサーパスト・マスターズ』のシリーズを持っていて、いわゆる高音質のアウトテイクの“ゲット・バック・セッション”の音源は、ほぼほぼ耳にしているので、今回の6枚組のアウトテイク集(だって2枚しか無いのでしょ?)には、あんまり魅力を感じなかったのですよ。それにグリン・ジョンズ版の『ゲット・バック』は持っているし、ハイレゾ音源には興味ないし…。でも、ビートルズ関係者にお布施をしたいという気持ちはあったので、2枚組の購入にしたわけです。この切ない気持ちは、分かって欲しいなあ。
それにしても、思った事は、アルバムって再発されるたびに、音が、その時代の好みの音に変わっていくんだなって事です。これがリマスターやリミックの影響なのでしょうね。
でも、その一方で、いくらリマスターやリミックが施されても、作品としては決して変わらないって事です。いくら再発が繰り返され、リマスター&リミックされても、曲そのものは普遍であって、どの時代の音源であっても、本質的には同じであるって事です。
私は、ライトなファンなのにコレクター気質が災いして、こんなにたくさんの音源を買い求めてしまったけれど、一般的には(どの時代のものでも良いので)『レット・イット・ビー』が一つあれば十分だと思います。目先の変わったモノも欲しいというライトなファンの方は、それに加えて『レット・イット・ビー…ネイキッド』があれば良いと思います。ディープでコアなファンであるとか、コレクター気質の方であるとか、お金の使いみちにお困りの方以外は、何度もアルバム『レット・イット・ビー』を買い換える必要はないと思うし、海賊盤に手を出す必要もないと思います。
アウトテイクに関しては、基本的には“アウト(不出来な)テイク(録音)”なので、所詮、ボツになった理由があるわけですから、それをわざわざ聞きたがるのは、やっぱりコアなファンの証拠であって、ライトなファンは『アンソロジー』シリーズがあれば十分です。私のように『アンサーパスト・マスターズ』シリーズを購入するなんて、不毛な事だよ(笑)。お金は大切に使わないと…ね。
それに今の時代、大抵のアウトテイクの音源はYouTubeで聞けたりします(笑)。なので、わざわざ海賊盤を購入する必要なんてありまぜん。そんな前時代的な事はしなくてもいいのです。
そんなのが、今回の結論です。
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コメント
本日のお題「ビートルズ」とは全く関係なく、
ちょっと、ご相談、でもないのですが、
ちょっと、書き込ませていただきたい、のですが、
私はチビッ子の頃から、授業中にノートを取るのが、
大の苦手にして、
大っ嫌いでして、
先生曰く、
「何も、講義の一字一句を書き写すことはない。ポイントだけ書けばいい。」
しかし、私の反論としては、
「授業中に、ここがポイント!と分かる人が羨ましいですなあ。」
「授業中に、ここがポイント!なんて分かるほど、私、頭良くないよ。」
こう言われた先生の、渋い顔が思い出されます。
会社に入っても、会議の議事録を書かされるのが、
大の苦手にして、
大っ嫌いでして、
上司曰く、
「何も、発言の一字一句を書き写すことはない。ポイントだけ書けばいい。」
しかし、私の反論としては、
「会議中に、ここがポイント!と分かる人が羨ましいですなあ。」
「会議中に、ここがポイント!なんて分かるほど、私、頭良くないよ。」
こう言われた上司の、渋い顔が思い出されます。
結局、学生時代、ノートなんか、ろくに取らず、
テスト前に教科書「ガイド」を読んで、高得点。
会社じゃあ、会議の発言の一字一句を書きとって、
(後には、テープに録音して、テープ起こしして)
それを議事録として提出して、ちゃんちゃん。
というわけで、児童・生徒・学生のノートを提出させて、
そのノートをも評価に加える先生っちゅうのは、どうかと思うし、
綿密な、一字一句の議事録に対して、
「ポイントが分からんよ」とブーたれる上司も、どうかと思うのですが、
すとん様、いかがなものでしょうか?
長くなり、誠に申し訳ありません。
<(_ _)> <(_ _)> <(_ _)>
(-A-) (-A-) (-A-) ← ざっくぅ
おしまい
オペラ座の怪人の怪人さん
私も授業のノートを取るのは面倒でサボっていたタイプの人です。だから、中学の時は、試験前に試験勉強の一環としてノートをまとめて作っていたし、高校の時はそれすら止めて、授業のポイントを教科書に書き込んでいました。私は授業中は授業に集中したい人だったし、授業中にここがポイント!が分かるタイプの人なのです。
大学以降は「ノートを書く暇があったら脳みそに刻め」と教授に言われましたので、一切、ノートは作りませんでした。
会議録? 私も職場の会議で書記になった時は、会議の発言の一字一句を、当時はワープロ専用機を使って、リアルタイムで打ち込んで、会議終了時に会議録として参加者の皆さんに配っていました。私は親指シフトユーザーなので、人がしゃべる速度よりも速く入力できる人なので、会議録の作成なんてお茶の子さいさいでした。当時、親指シフトの売り言葉は「思考の速度で入力する」でしたからね。しゃべる速度には負けませんよ。
もっとも、私の作る会議録は冗漫で分かりづらいと評判が悪かったけれど、本来の会議録って一字一句もおろそかにしてはいけないのだと思ってます。後で見返した時に分かりやすくまとめてあるものは“会議録”ではなく“会議メモ”だと今でも思ってます。つまり、別物ね。
>児童・生徒・学生のノートを提出させて、そのノートをも評価に加える先生っちゅうのは、どうかと思うし
私もどうかと思います。ノートを提出させるというのは、主に低学力の学校で行われる手法で、生徒が授業に前向きに取り組んでいるかどうかを見ているだけで、ノートの中身は黒板の丸写しでいいんです。実際、そういう学校では、かなりの数の生徒が板書を書き写す事すらできないのですから、そういう評価の方法もアリと言えばアリなんです。
次年度から、中学に引き続き、高校でも観点別評価が義務づけられるようになります。観点別評価って、学力が無くても良い成績が付く、まやかしの評価法だと思ってます。テストの点よりもノートの提出の方が大切になってくるかもしれませんし、事実、中学校の評価ではそんな傾向があります。
ゆとり教育でダメになった日本の教育ですが、観点別評価の導入で、ますますおかしくなっていくと思います。