チレア作曲の「アドリアーナ・ルクヴルール」というオペラは、めったに上演されないマイナーな作品です。めったに上演されないのには、色々な理由があるのでしょう。
私は今まで「ストーリーが分かりづらくて楽しめない」ために上演の機会に恵まれないのではないか…と思っていました。実際、DVD等で見るこのオペラは(日本ではまずリアルな上演は見れません)本当にストーリーが分かりづらいです。その理由は、舞台上のあっちこっちで同時に色々な人が全く別の事を話していて、ストーリーの全体像が掴みづらい事と、実話(当時は有名なスキャンダル)を元にしているので、台本が「当然、この話は知っているよね」という前提があって、あっちこっちストーリーが端折られいたり、人物紹介もせずにあれこれ人々が登場してくるため、元の話(スキャンダルの事ね)を知らない上に、字幕で見る我々日本人には、ほんと、分かりづらいオペラである…という私は思っていました。実際、分かりづらいしね。
で、今回のメトの演出なのですが、その辺のストーリーの分かりづらさを、うまく整理して、分かりやすく上演してくれています。これ、ほんとオススメです。
舞台のあっちこっちで行われている会話は、あっちこっちではなく、一箇所にまとめて、場面がドンドン入れ替わることで、それを実現している演出なので、見ている方は、どこを見ないといけないのか迷うという事がありません。また、黙役の人たちがしっかり演技しているので、セリフが説明不足の部分は、そういう人たちの演技で補われているので、すんなりストーリーも頭に入ってきます。
さすがメト!と感服しました。やっぱりメトのオペラは初心者に優しいです。
配役等は以下の通りです。
指揮 ジャナンドレア・ノセダ
演出 デイヴィッド・マクヴィカーアドリアーナ・ルクヴルール アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)
マウリッツィオ ピョートル・ベチャワ(テノール)
ブイヨン公妃 アニータ・ラチヴェリシュヴィリ(メゾ・ソプラノ)
ミショネ アンブロージョ・マエストリ(バリトン)
歌手の皆さんは、誰もが歌唱演技ともに水準以上でした。マウリッツィオを演じたベチャワは、君主でありながら、実に恋に悩むチャラ男でいい味を出していましたし、悪女というか自己中女のブイヨン公妃を演じたラチヴェリシュヴィリは、本当に嫌な女を演じていました。二人ともスゲーな。
主役のアドリアーナを演じたネトレプコは、歌唱も感情がたっぷり入っていたし、演技も迫真もので、かなり良かったのですが…ただ私、ネトレプコが好きじゃないので、オペラに没入できなかったんだよね。
ネトレプコは上手いソプラノだし、全然不足なんて無いんですよ。単なる私の好みの問題で、ネトレプコが好きじゃないだけで、それだけでオペラが楽しめないなんて…ああ、実に贅沢な悩みです。
でも、好き嫌いって、趣味の世界では大切ですよ。だって、趣味って嗜好品だもの。
ネトレプコをディスるつもりは全然ありません。単純に私の好みではないだけです。なので、ストレプコが舞台に出てくると、それだけでガッカリしちゃう私がいます。なんかねー、ネトレプコって好きじゃないんだよね。
ちなみに、私がネトレプコのどこが気に入らないのか言えば…彼女の声なんです。声が嫌いって、決定的でしょ? なので、今後もずっと好きになれないと思うのです。ですから、メトのライブビューイングだと、ネトレプコって、よく出演してくる(おそらく、今のメトのトップソプラノはネトレプコだろうし…)のですが、彼女が主演ってだけで、ちょっぴりゲンナリしちゃう私なのでした。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント