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劇団四季の「Cats/キャッツ」を見てきたよ

 最近ミュージカルづいているので、久しぶりに劇団四季を見に行きました。何年ぶりだろ? 確か、前回、劇団四季を見たのは「マンマ・ミーア」だったからなあ(笑)。ホント、久しぶり。そう言えば「マンマ・ミーア」、また東京で再演しますね。見に行きたいなぁ…。

 しかし劇団四季はキャストにハズレがないね~。何時、どの演目で見ても、キャストにガッカリさせられる事はない。その代わり、テレビで見かけるようなタレントさんを舞台で見かけることは、まず無いけれどね。つまり集客にタレントの知名度を利用していないわけで、純粋に自分たちの演目にふさわしいキャスティングをしているわけで、そういう意味では、タレント個々の集客力ではなく、劇団四季としての集客力で客を呼んでいるわけで、そりゃあハズれ無しの公演になるわけだよ、すごい事だね。

 実は私、「キャッツ」はロンドン・オリジナル・キャスト版のDVDで親しんでいました。だから、ストーリーとか歌とかはよく知ってました。でも生の舞台で見るのは始めてだったので、とっても楽しみにしていました。

 見た感じどうだったか? そりゃあ、良かったですよ。ダンス中心な「キャッツ」というミュージカルの特性上、やはり舞台の方が映像作品よりも、ずっと良いです。…と言うか「キャッツ」は映像に馴染まないかも…。ああいう躍動感とかスピードなんてモノは、カメラを通したら台無しになっちゃうでしょ。それは、テレビで格闘技の試合とか見ていると、よく分かる。テレビだと選手の動きって結構ゆっくりに見えるけれど、実はリアルでは目にも止まらぬ動きだったりするんです。マイクが人の耳とは違う以上に、カメラって人の目とは全然違うんだと思います。だから、あれだけのヒットミュージカルなのに映画化されていない事に納得できました。ありゃあ、生の舞台で見てナンボって作品です。もしも映画化したら、完全に別物として作り直さない限り、台無しになっちゃうでしょうね。

 私などはミュージカルと言うと、オペラの現代版と言うか、イタリアのオペラが、ウィーンに渡ってオペレッタに進化し、そのオペレッタがアメリカに渡ってミュージカルに進化したという風に理解してますが、この「キャッツ」はその系譜とはちょっと違うかなって気がします。と言うのも「キャッツ」は作曲こそはロイド・ウェーバー御大で、イメージとしてはオペラチックなんですが、でも実際の「キャッツ」は歌芝居ってわけでもなく、どちらかと言うと舞踏芝居な感じなんですよ。表現的には、セイフよりもマイムのようなものの方が、ずっと重要って感じです。そういう点では、オペラの進化形と言うよりも、バレエの進化形なミュージカルって印象を受けました。

 もちろん、猫たちは歌います(それも半端なく難しい曲を立派にね)が、それ以上に踊ります! 細かく見ていくと、全く踊らない猫、ほとんど歌わない猫もいるけれど、でも大半の猫は歌って踊ってます。体型&発声的にシンガー系の猫ちゃんも少しいるけれど、出演猫の大半は、ダンサー系の猫ちゃんじゃないかな? そのダンサー系の猫ちゃんたちは、もちろんダンスはピカイチなんだけれど、歌も半端なくスゴい。当たり前だけれど、私なんかよりもずっとスゴくて上手い。いやあ、地元の市民会館の大ホールでほん5分ほど歌ったくらいで図に乗ってはいけませんね。バレエダンサーなのに、なんであんなに歌えるの??? いやあ、ミュージカルに出演するって、すごい事だね。

 我が歌劇団も、素人集団とは言え、いつかはミュージカルやオペラをやりたいという志を持って結団されたのですが、ううむ、ミュージカルをやるには、踊りが不十分だとしても、動けないといけないなあ…と思いました。歌って踊れて演技できないと…ミュージカルは難しい。たとえ学芸会レベルでも、こりゃ大変だなって思いました。

 「キャッツ」がなぜ世界中でロングランをしているのか、よく分かりました。私は「キャッツ」を見ながら、既視感に捕らわれていました。…あれ、これって、どこかで見たことあるぞ、でも始めてのはずなのに…、アタマの中をグルグルまわしていたら、ビンゴしたのは、なんと、マイケル・ジャクソンのライブ! いや、マイケルのライブを生で見たことはないのですが、DVDや映画館やテレビで散々見た、あのマイケルのライブと通じるものがあるんですよ。つまり、一曲の中に一つのドラマがあって、その小さなドラマを積み上げていく事で、大きなドラマを紡いでいくという演出方法。まさに「キャッツ」というミュージカルと通じるものがあります。どっちがどっちに影響与えた/されたのかは不明ですが、なんか通じるものがありますね。

 それと、あれだけ“言葉”に頼らないミュージカルも珍しい。そういう意味では、小さな子どもでも、現地語のよく分からない外国人でも、十分楽しめると思う。

 ストーリーは実に健康的で、子どもの鑑賞もOKなのに、オス猫たちはみなイケメンでシュッとしているし、メス猫たちはセクシーで妙にクネクネしているのは、何気にオトナ向けだと思う。

 そして、何と言っても、キラー・チューンの「メモリー」は最高だね。ミュージカルの最後の最後でグリザベラが歌う「メモリー」はハート直撃だと思う。あの歌を、涙を流しながら聞いていた人は、たくさんいたね(わが妻もその一人でした)。あの舞台であの曲を聞くからこそ、あの曲の“痛々しさ”を感じるのだと思う。…もっとも、私などは、グリザベラの「メモリー」よりも、劇場猫のガスが歌う「ガス~劇場猫」の方が身につまされるけれどね[男性ならガスにグっと来ると思います]。

 ストーリーは一見すると無いようにも思えるのは、このミュージカルには、柱となるような主役猫がいないからで、ある意味、すべての猫ちゃんが主役で、すべての猫ちゃんが脇役。「メモリー」を歌うグリザベラだって、決して主役とは言えないし、あのグリザベラのシーンが割愛されたとしても「キャッツ」というミュージカルは成り立ってしまいそうなくらい、他のシーン、他の曲で十分お腹いっぱいになれます。そういう意味で、主役はタイトルどおり“Cats”であって、個々の“Cat”ではないのだと思います。

 さて、私の個人的な感想を言うなら、…オールド・デュトロノミーって化け猫であり、死神であり、この世とあの世をつなぐ精霊猫だよね。違う? おそらくリアルな存在とは違う存在なのでは? でなきゃ、マキャヴィティに盗まれたり、ミストフェリーズによって戻ってきたり、やたらと長生きだったり、グリザベラに最期の引導を渡したりって…、そういう役割を負っているわけで、やっぱりそれってリアルな生きた猫とは、ちょっと違うよね。だいたい、あれだけ躍動感あふれるミュージカルの中で、ほとんど動かない猫だし…。

 それとグリザベラは、オールド・デュトロノミーによって昇天させられ、シラバブの中に再生する…でいいんだよね? 違うか?

 四季のロングラン版だと、ロンドン・オリジナル・キャスト版のDVDにあった、ランパス・キャットのシーンが無くなっていたのは、ちょっと残念。猫が犬のかぶりものを来て、小芝居をするのは、意味なく楽しいのだけれど…ね。その代わりに、グロール・タイガーのシーンが追加されていたのはGoodです。あのグロール・タイガーのシーンがあるから、ガスのシーンに説得力が生まれてくるというものです。

 ああ、もう一度見たいな。きっと、見るたびに何か新しいものを見つけられるような、そんな気のするミュージカルだと思いました。あのミュージカルって、猫の数だけストーリーがあるよね。ある意味、それぞれの猫の視点でミュージカルを見る事が可能だなって思いました。つまり、一つのミュージカルを複数の視点から楽しめるわけで、そりゃあ、リピーター続出するだろうし、ロングランにもなるだろうね。

 妻も「また、キャッツを見に行こう」って言ってました。何か不思議な魅力のあるミュージカルですね「キャッツ」って。

 ところで歌詞の中に頻出する「ジェリクル・キャッツ」って何のことでしょ? 結局、私には分かりませんでした。あと、オケピはどこにあるの?

コメント

  1. BEE より:

    五反田にキャッツシアターあった頃見に行きましたよん。

    すんばらしく面白かったようです、一緒に行った母にとっては。

    私は。。。。白状しますけど、途中で寝ました。。。すんません。m(_ _)m
    多分、キャッツで寝たのは私だけです、。。。
    四季好きの友達からボッコボッコに言われましたよ。。。信じられないと。
    自分でもそう思います。穴掘って埋まりたい。

    ところで清水の舞台から4回ぐらい飛び降りて、
    来年のMETの来日公演、買っちゃいました。
    ダムラウの「ランメルモールのルチア」です♡♡♡
    あーあ。もうお金がありません。(;;)

    そういえば、METビューイングの「ラインの黄金」は見に行きましたか?
    今週の金曜日までですね。

  2. すとん より:

    >BEEさん

    >METビューイングの「ラインの黄金」は見に行きましたか?

     見ましたよん。明日記事をアップします。

     キャッツは…たぶん、鑑賞するには、難しい部類に入るミュージカルだと思います。特に“歌系”の人には、かなり難しいと思いますよ。だって、あのストーリーって、セリフ(歌詞)ではなく、ダンスやマイムで表現されるでしょ。だから、そういう“動きを読み取る”事に慣れていないと…ちょっと難しいね。だから、あれは、むしろ、日頃バレエを見ているような“ダンス系”の人のテリトリーなミュージカルだと思います。

     それこそ、四季好きのお友達をワーグナーの楽劇に連れて行ったら、確実に寝るでしょう(笑)。そういう事ですよ。

    >来年のMETの来日公演、買っちゃいました。

     すっげえー、うらやましい。ウチは色々と考えて、断念しましたよ。だって、高すぎるんだもん。家族三人で出かけたら、一体いくらかかる事やら…。

     私、オペラを見る時は、できるだけ良い席で見たいと思ってます。それこそ、歌手の声の音波を感じるところで聞きたいんです。だから、買うならS席です。でも、メトの来日公演は、S席が64000円でしょ。3人で行ったら、192000円。これに交通費とディナー代を入れたら、20万円超だよ。さすがに、妻からストップがかかりました。

     それにしても「ルチア」ですか、良い選択ですね。今回の三演目の中で、ソプラノメインで聞くなら「ルチア」が一番でしょうね。私なら男声が聞きたいから「ドン・カルロ」を選択するでしょう(笑)。

  3. かのん より:

    あー、みにいきたい、行きたいと思いつつまだみてないのがキャッツでございます。
    今度横浜勤務になるんだけど仕事の帰りはむりだろうなあ…

  4. すとん より:

    >かのんさん

     仕事帰り? 全く不可能ではないと思うよ。劇団四季のホームページ( http://www.shiki.jp/ )の「チケット」から「公演・チケットの情報を見たい」へ行き、「作品の一覧を見る」で、キャッツの「公演日程/料金」で調べると、夜にやっている日が調べられるから、それと自分の都合が合えば、見れますね。

     劇場はそんなに大きくないから、座席は必ずしも前でなくても、迫力いっぱいで見れますよ。ただ、出来れば正面に近い方がより楽しめるとは思う。

     なあんて、エラそうで、ごめんね。でも、今は昔と違って、そういう情報も自宅のパソコンですぐに調べられるし、購入もできます。便利な時代になったもんです。私が若い頃は「ぴあ」を買ってきて、小さな活字を目を皿のようにして捜して見つけて、それでチケピに出かけて、わざわざ購入してました。そうやって、オペラ公演情報を捜して、見に行ってました。ああ、懐かしい…。

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