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自分の声に聞き惚れる(または、スタートが見えてきました)

 まずは注意から。今日の記事はナルシスな記事です。そういうのが苦手な人は、また明日お越しください。

 では始めます。

 以前の私は自分の声がキライでした。なんか、カッコ悪いなあと思ってましたし、悪声だなあと思ってました。全体的に甲高くて平べったい声のくせに、どっか歪んだ感じがしてイヤでした。滑舌だって決して良くなかったし、歌になると、音程もかなりアバウトでしたから、歌の録音などで自分の声を聞くとゲンナリしてました。正直、恥ずかしくて居たたまれない感じでした。

 皆さんはどうですか? ご自分の声は好きですか?

 自分の声がキライなのに、歌は好きって、矛盾してますかねえ?

 合唱って、そんな自分に合っていたと思います。とにかく歌、好きだから、歌っていると楽しい。だから、合唱の練習なんて楽しくて仕方がなかった。音程はアバウトだったけど、仲間がいれば、そこはなんとかなる。声は悪声だけど、それだって仲間といれば、そこもなんとかなる。醜い自分の歌声と面と向かうことなく歌が歌える、ビバ!合唱!って感じだね。

 そんな私でしたが、人に歴史ありってわけで、色々あって、現在、合唱から離れて、キング先生のところで声楽のレッスンを受けているわけです。

 キング先生のところに行った最初の頃は、正直、自分の歌声がイヤでした。悪声だし、ピッチ悪いし、色々ダメだし。その頃の録音が残ってますので、たまに聴くのですが、ひどいですね、穴があったら入りたい…というか、ひきこもりたいですよ、ホント。

 それがキング先生のところに行って、一年ほどたったあたりですかねえ…、時折、自分の中から聞こえるしゃべり声が、まるで他人の声のように聞こえるようになりました。他人…というか、自分の知らない人? その声は、まごうことなく、自分の声なのですが、なんか自分の声ではないみたい感じ。ちょっと、美しい感じ? え、もしかすると、良い声なんとちゃう?

 何をバカなことを!とツッコム自分がいる一方で、でもなかなか響いて良い感じじゃんと感心する自分がおりました。特に歌の練習の後に、顕著にそれを感じ始めました。そのうち、だんだん普段のしゃべりの時にも、美しい瞬間がやって来るようになりました。

 うれしいです。だらしなく喋っている時は、ダメですが、ちょっと気を入れてしゃべると、すぐに良い感じになりました。そんな声で話している時の自分は、自分で自分の声に聞き惚れていたりします。うわあ、ナルシス! それを感じ取った時は、身の回りにある適当な文章を取り出して、まるで声優かアナウンサーにでもなった気分で、朗読なんかしちゃいます。朗読しながら、うわ~~って感じで自分の声に聞き惚れているんですよ、ほとんど変態だな。

 毎日のように“発声練習をして歌を歌って”の積み重ねで、自分の身体が自分の声によく響くようになったのだと思います。オーディオで言うところのエージング完了? 身体が自分の喋り声でよく鳴るんですよ。

 そこで落ち着いて振り返ってみると、たしかに歌声の方も、以前よりもだいぶ良い感じになってきたような気がします。

 それを確かめるために、最近、また歌を録音しました。カロ・ミオ・ベンです。

 聴けますね、恥ずかしくないですよ。もちろん、上手くはない。他人に聴かせるには、まだ躊躇しますが、自分で聞く分には十分許容範囲。まだ少し鼻にかかった感じで、そこはマイナスポイントですが、でも、ひどくはないですね。聞いていても、恥ずかしくもない。普通に歌っている感じです。声も悪声というほどでもないし、ピッチもOK。

 もちろん、習い始めの頃の録音と比べても違うけれど、ほんの三カ月前に録音したものとも、かなり違う。三カ月前のものは、まだちょっと聞いていて恥ずかしい。ってことは、ここ最近、歌の方もメキメキ上達してる?

 いやあ、長かったなあ…ここまで来るの。でも録音を聞いて分かったのは、これってほんのスタートラインだなあってこと。いや、まだスタートラインに達していないかもしれない。スタートに並ぶためには、もう少し頑張らないと…。でも、スタートが確実に見えてきました。

 スタートラインって言うのは、説明するのが難しいけれど、先生に習ったものをプラスに転化できるだけの準備が整っている状態のこと。今はまだ自分の欠点を探して、それを克服して、歌の練習ができるように、色々な穴を埋めている最中。その穴を埋めた所から、声楽の修行というか、勉強が始まる気がする。そこのところをスタートラインと呼んでます。

 いや、長かった。でも、本当にやっと、スタートが見えてきたような気がする。うれしい。とても、うれしい。だから、ナルシスになっても、今日のところは勘弁してください。

 しかし歌を習って、歌声のボイストレーニングを受けているのに、歌声よりも先に話し声が改善されるというのも、なんだか妙だね。まあ、職業上、歌うことはないけれど、しゃべることは多いので、話し声が改善されるというのは、とてもうれしいことだし、実益もあるわけなんだけれど…それだけ私の歌声は話し声に比べて、難点が多いというか、克服すべき点が多々あるってことなんだろうな、ふう。

コメント

  1. Papalin より:

    > だから、ナルシスになっても、今日のところは勘弁してください。

    楽しく読ませて戴きました。
    自分の声、自分の音程の悪さ、僕も閉口していました。だから音楽が好きでも歌だけは歌うまいと、30歳になるまでは決めていました。30歳を過ぎて歌う機会があり、それから合唱団に入り、声楽の先生にボイストレーニングなるものを受けたら、自分の声が自分の声でないように変わりました。以来、ナルちゃんです。全く下手くそなのは変わっていませんけれど。(^_^;)

    自分の声が嫌いと思って放っておくより、慈しんで共に歩んだほうが人生何百倍も豊かになりますね。

    拍手を送ります!

  2. すとん より:

    >Papalinさん

    >自分の声が嫌いと思って放っておくより、慈しんで共に歩んだほうが人生何百倍も豊かになりますね

     全く、同意です。激しく、同意です。

     いくつになっても成長できることを忘れてはいけないと思ってます。子どもたちほど、輝かしい未来が待っているわけではないにせよ、自分の人生に彩りを添えるくらいの成長は、いくつになってもできるものです。音楽にせよ、スポーツにせよ、各種趣味的なものにせよ、です。

     Papalinさんのリコーダー演奏は、実は毎回楽しみにしてます。縦笛と横笛の違いはあるにせよ、笛ってすごいなあ、笛を吹くって楽しいんだなあと思ってます。合唱のソロ&コーラスもすごいなあと感心してます。でも何よりうらやましいのは、ダイエットに成功したことかな。ほんと、うらやましいです。

  3. もり より:

    わー、はじめの部分、まったく同じです。私の事かと思いました。歌うのは大好きなんだけど、自分の声は大嫌い、自分の声を聞かされるなんて私にとっては拷問です。録音しません、聞いてしまったらもう二度歌えなくなりそう(ダメですね)。だからコーラスで歌っているんです。自分の声だけを人様にお聞かせすることなく歌えますから。

    私は声楽は習ってませんが、発声の講座を取っていた時に、毎回ゆっくりと体をほぐした後で、歌の時間があったんです。一緒に同じパートを歌った子が全然声を出さない子で、ソロみたいな状態になっちゃったんですが、その時、自分の声にビックリしました。あら、イイ声出るじゃないの(笑)って。

    講座を受けるかどうか迷っていた時に、すとんさんに「学ぶことは多いですよ」って背中を押して頂いて良かったです。ありがとうございました。

    話し声の方は全然ダメです。本当は話し声の方を改善したいのに。

    フルートのお話も楽しく読ませて頂いてますが、声楽のお話をとても楽しみにしてますっ。

  4. すとん より:

    >もりさん

     たとえ「自分の声がキライ」であっても、歌が好きで歌いたいという人にとって、合唱というのは、まさに天国極楽ですよね。さらに言えば、合唱をやっている人って、本当の意味で歌好きの人が多いと思います。無論、独唱をやっている人が歌がキライなわけないのですが、好きの度合いが合唱人の方が上というか、好きなエネルギーが多いというか…。

     あと、合唱って団体競技っぽくって、チーム一丸となって頑張ろう~ってところもいいですよね。

     合唱~、ファイト! って感じです。

    >フルートのお話も楽しく読ませて頂いてますが、声楽のお話をとても楽しみにしてますっ。

     ありがとうございます。基本的にはどちらに片寄ることなく公平に記事をアップしていく方針ですが、今月はフルート買換え月間なので、フルート系が多くなってしまいます事を勘弁してください。買換えが落ち着いたら、声楽ネタも増えますので、少しの間、辛抱のほど、よろしくお願いします。

  5. ひと休み より:

    おはようございます。・・・早すぎ・・・早起き好きと、オリンピック観戦で生活時間が妙になっています。

    自分の声・・自分で聞こえる声と、人が聴く自分の声(録音の声)って、違うんですよね・・・その違いに気づいたのは、初めて、テープに録音した自分の朗読(いわゆる話声)を聴いた時です。妙に、幼くかわいらしく感じられたのでした。小6の時でした。自分の歌声の録音を初めて聴いたのは、高校生か大学生の頃で、合唱団で歌っていた頃で、合宿の時にプライベートレッスン(一人ずづのボイトレ)があり、その録音を聴いた時です。へ~こんな風に聴こえちゃうんだ私の歌っている声って!てな感じでした。
    でも、歌っている時は、合唱の時は、まわりと、とけあうように癖がついているので、自分の声はあまりきこえません。音をはずすと、妙なハモリになって、急に自分の声がきこえてしまいます。そして、あっ、いけない!って、焦ります。
    独唱の時は、レッスンで、先生に、「それ、それ、その歌い方!」とか、「その息の使い方」とか、「そのポイントにあてるの!」とか、言われた時の、自分の体の状態と、息と声の、当てつつ、つき抜けた感覚(結構快感!)を体に記憶させ、再現できるように、練習するといったところでしょうか。ですから、再現できないと、レッスンが無意味になってしまう・・・悲しいです。
    自分の歌声が好きかと言われれば、好きかもしれません。独唱を始めてからは、息と声をポイントに当てつつ、つき抜ける感覚の快感にはまってしまったといったところでしょうか。そして、そのように歌えた時の録音を聴くと確かにいい声に聴こえるようなんです。

  6. すとん より:

    >ひと休みさん

     ひと休みさんはご自分の声が好きなんですね。うらやましいです。

     楽器なら、気に入らなかったり、物足りなくなったらグレードの高いものに買い換えてしまえばいいし、音域に不満があれば同族楽器で好みの音域のものにすればいい。飽き足り、気分転換が必要なら別の楽器にすればいい。そういう意味では楽器なら選択の余地があるのに、歌はまるでなし。生まれた時からもっている声でやるしかない。

     だから自分の声が好きって人はとてもうらやましいです。そしてこれが「好き・キライ」の問題であって「良い・悪い」とか「上手い・下手」じゃないところが問題の深いところ。悪い声なら良くすればいいし、下手なら練習して上手くなればよい。時間がかかるだろうけれど克服できない問題ではない。

     実はね、私。誤解してほしくないのだけれど、その気は全くないんだけど、歌声そのものは、ソプラノに憧れるんだ。ソプラノの何に憧れるって、いつもメロディ歌うところ。いつも主役を張るところ。そういうところが大好き。テノールは、合唱ではいつも脇役だから、実はイヤ。男声合唱って手はあるけれど…私の声はテノールにしては太いから、トップテナーは難しいのよ、大抵はセカンドテノールに分けられちゃう。で、脇役。脇役はイヤなんだ、いつも主役をやりたいんだ。そういうわがままなオレ様体質なんだな、私は。

     ひと休みさんの歌声は、私がうらやましいと感じる歌声の一つです。きれいなソプラノって本当に好きです

  7. ひと休み より:

    こんにちは。
    いつも、ていねいに、お返事のコメントありがたいです。そして、こちらのブログを読んだりコメントをしたり・・励みになります。

    私は、ソプラノでも、音域が少ない部類です。高音は、ソが怪しい感じです。女性三部となると、メゾソプラノのときもあります。しかし、それは、それとして、楽しんでしまいます。ハモル楽しみは、メゾソプラノになってから特に感じました。主旋律では感じられない別のハモル快感を感じられるようになりました。
    でも、嫌なのは、やたら、不協和音が多かったり、難しい変拍子やリズムがでてくる、今多い現代音楽のような合唱曲です。もう、ついていけなくなってしまいました・・・。残念です。
    そんなわけで、わたしが、今一番やりたいのは、抒情歌、唱歌、童謡、愛唱歌、賛美歌等の独唱、1パート1人とかの重唱等です。

  8. すとん より:

    >ひと休みさん

    >そんなわけで、わたしが、今一番やりたいのは、抒情歌、唱歌、童謡、愛唱歌、賛美歌等の独唱、1パート1人とかの重唱等です。

     いいですねえ…、声のキャラクターと歌の感じが合っていると思います。ぜひ、そちらのジャンルをやられるといいと思いますよ。特に抒情歌を切々と歌われると、グッと来るかもしれませんね。

     そんな気がします。

  9. とまと より:

    私も合唱をやっています。ソプラノですが、私は逆にアルトとか
    主旋律じゃない方に憧れます。
    主旋律を聴きながら、ハモリのパートを歌えるなんて
    二度楽しめる感じがするので♪

    すとんさんは3ヶ月でも声が変わられたのですね。
    私は1年経っても変わっていなくて。
    毎日発声練習と歌を歌っていらっしゃるのですか。
    その違いかもしれません・・・[E:coldsweats01]

    どんな感じで練習されていますか?
    私は自分の声を変えたいです。

  10. すとん より:

    >とまとさん、いらっしゃいませ。

    >どんな感じで練習されていますか?

     何も特別な事などしてません。レッスンの度毎に先生に注意されたことを、自宅で確認して復習していっただけです。その積み重ね。先生に注意されたことは、このブログの「ボイトレ」のカテゴリーに結構書きためてありますので、興味がおありならば、そちらをご覧ください。

     今は「発声練習は長くしちゃダメ」とか「たくさん練習しちゃダメ」とか「歌を多く歌いなさい」とかの言いつけを守りながら、ほぼ毎日、自宅でチマチマ練習してます。

     最近はだいたいこんな感じでしょうか?

    1)自分の現在の音域より少し広めの範囲で軽く半音進行で「ア」で発声。身体の使い方を確認しながらだから、準備体操みたいなものかな? せいぜい5分で終了。
    2)コンコーネから1曲。音程とリズムに気をつけながら、歌う。
    3)ゆっくりめの曲(最近はグノーの「アヴェ・マリア」)を1曲。ブレスとロングトーンに気をつけながら歌う。
    4)先生から課題として与えられている曲(イタリア古典歌曲)を集中的に歌う。

     忙しい日はこれでお終い。時間にしてせいぜい20~30分くらいかな?

     時間に余裕があれば、この後、イタリア古典歌曲を1~2曲、日本歌曲を1曲、カンツォーネを1曲。さらに時間があれば、イタリア古典歌曲(高声用楽譜)の曲にチャレンジ。これらの曲は、どこに気をつけるというよりも、歌い飛ばしって感じかな? 疲れる前にやめちゃいます。全部合わせても、小一時間も時間を使っていないと思います。

     拍子抜けでしょ。何か特別なことでもしているんじゃないかと思ったでしょ。でも、何もしていないんだなあ…、これが。

     私が思うに、短期間で歌がうまくなる秘訣とか、声が美しくなる秘訣って、たぶん無いと思う。あるのは、日々の地道な努力の積み重ねだけだと思う。問題は、積み重ねる努力が正しいかどうかだけ。一人で努力しても、正しく積み上げられるかどうかは疑問。だから歌の先生(またはボイトレのコーチ)が必要になってくるのだと思う。

     とまとさんの望む答えになってなかったら、ごめんなさい

  11. とまと より:

    すとんさん、ありがとうございます。

    しっかりやっていらっしゃいますよ〜。
    やっぱり日々の積み重ねなんですね・・。

    努力せずに上手くならないって嘆いてたのが
    恥ずかしいです。

    ボイトレのカテゴリー、読ませて頂きます。
    ありがとうございます。

  12. すとん より:

    >とまとさん

     肝心なのは、聞く耳を持っている他人に常に声をチェックしてもらうという事だと思います。私の場合は、キング先生が私の声をチェックしてアドバイスをくれます。

     歌の場合は、独学はなかなか難しいと思います。やればやるほどドツボにはまるかもしれません。先生とかコーチとか、あるいは友人や家族であっても、声について分かる人に定期的に聞いてもらってアドバイスを受けると、きっとうまくなると思いますよ。

     まず、そういう人を見つけることが、自分の声をよくする第一歩だと思います。

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