日本漫画家協会という団体が“海賊版サイトについての見解”という記事をアップしました。詳しくは、直接、そちらの記事を読んでいただければ良いのだけれど、かいつまんで書けば「違法サイトでマンガを読んで済ませないで、ちゃんとマンガを購入して読んで欲しい」って事です。
マンガは本ではなく、コンテンツです。だから、本であろうと、データであろうと、読者にとっては、マンガが読めれば、それでOKなのです。だから、実際のマンガ本で読もうが、電子書籍で読もうが、違法サイトで読もうが、読めれば、それで用が足りてしまいます。
違法サイトでマンガを読んだ読者は、読み終えたマンガのマンガ本を購入するでしょうか? まあ、コレクター習癖のある人は別として、普通の感覚の人なら、一度読んだマンガを改めて本屋で買うことは無いでしょう。だって、マンガはコンテンツであって本では無いからです。一度違法サイト等でマンガを読んでしまえば、そのコンテンツを楽しんだ事になり、改めてマンガ本を購入する必要がなくなります。つまり、マンガ本を購入してコンテンツを楽しむはずだったのに、違法サイト等でコンテンツをを楽しんでしまい、結果的にマンガ本を購入しなくなれば、それはマンガ本を買わずにそのコンテンツだけを盗んだにも等しい行為とも考えられます。つまり、違法サイト等でマンガを読む事は、ある意味、マンガ本を窃盗しているようなモノなのです。
実際、違法マンガサイトが隆盛を極める中、マンガ本の売上は、ドンドン減っているそうです。ま、目の前のマンガ本は動きませんから、マンガ本の売上減としか考えられませんし、この二つの現象を直接結びつけて考えるのは、ちょっと乱暴かもしれませんが、それでも、本来ならばマンガ本を購入していたはずの人が、違法サイトでマンガを読んでしまったために、購入せずに済ませているならば、それはマンガ本を盗んだにも等しい行為だし、そんな人が増えていけば、自然とマンガ本の売上も下がる事でしょう。
マンガ本の売上が下がって困るのは誰でしょうか? 出版社でしょうか? 確かに、会社も困るだろうけれど、どんな会社もリスクヘッジは考えているわけで、マンガが売れなくなっても、会社自体は、あれこれ頑張って、なんとかしようとするものです。マンガが売れなきゃ、別の違うモノを売るだけです。マンガが売れなきゃ困ることは事実だけれど、マンガが売れなきゃ売れないで、何とか対応できるのが会社です。
やはり一番困るのは、マンガを書いている漫画家さんと、その愛読者の皆さんでしょうね。マンガ本が売れなければ、漫画家さんはマンガ執筆で生活が出来なくなります。連載を取りやめたり、連載の間隔が開いたり、掲載雑誌が廃刊になったり、単行本が販売されなくなったりするでしょう。もしかすると、生活のために漫画家を廃業せざるを得なくなるかもしれません。そうなると、その漫画家さんは困ります。また、その漫画家さんの作品を楽しみにしていた愛読者の方々は、その漫画家さんの作品が読めなくなるわけで、こちらも困ります。
才能が無くて、続けていけなくなった人は、自然淘汰だから、ある意味、漫画家廃業も仕方がないかもしれません。でも、才能があっても、その才能を支えられるだけの金銭的な報酬がなければ、その才能を発揮する事はできません。それが一人二人ではなく、もっと大きな数の才能の集団が、その才能を発揮する事ができなくなれば、文化の衰退が始まります。
まあ、話はかなり大げさになってしまいましたが、要は「商品は購入してから楽しみましょう。盗んで楽しんではいけません」って事です。
とは言え、違法サイトを読んでいる人は、自分の行為が窃盗であるとは、全然思っていないだろうと思います。
と言うのも、日本には、昔から、マンガに限らず、本屋の店先で無料で本を読む“立ち読み”という習慣があるからです。おそらく、違法サイトでマンガを読んでいる人は、本屋の店先でマンガを立ち読みしているのと、そう変わらない感覚でマンガを読んでいるのだろうと思います。
問題なのは、マンガ本一冊の内容を、丸々違法サイトで読めてしまう事です。さらに考えてみれば、立ち読みだって、実は同じ事なのです。
文字の本なら、本を一冊丸々、本屋の店先で読み終えるなんて事はありえません。だから、店先で、立ち読みをして、気に入らなければ買わないだろうし、気に入れば、その本を購入したものてす。
しかしマンガ本は違います。マンガ本の一冊なんて、ほんの数分あれば読み終えられます。立ち読みで、マンガ本1冊…どころか、2冊3冊と読んでしまう人もいます。で、読んだマンガを買うかと言えば、まあそれはありません。
これは、先程から何度も書いてますが、対価を支払わずにコンテンツを楽しんだのだから、いわば、窃盗に当たるわけですが、別に立ち読みした人には、そんな感覚はないし、マンガ本を売っている本屋にしても、立ち読みは本が汚れて困ったものだと思っているだろうけれど、だからと言って、それが立ち読みが窃盗であるとは思わないわけだし、現在の刑法では、物体としての本が盗まれているわけではないから、立ち読みを窃盗扱いできないわけです。これはコンテンツとかソフトパワーの保護について、法整備が遅れているゆえで、現実に法律が追いついていない事の1つの現れですが、コンテンツを無断で無理で楽しんだ(=盗んだ)という事実を重んじれば、立ち読みは窃盗とほぼ同義となります。
まあ、窃盗扱いせずとも、昨今の本屋では、マンガ本は立ち読み防止として、一冊一冊ビニールで包むようですが…その手間もおそらくバカにならないでしょうね。
悪気がないのが、一番手に負えないわけですが、マンガの違法サイトなんて、潰しても潰しても、すぐに次のサイトが出てくるわけです。で、マンガ違法サイトがあり、日本に立ち読みという習慣がある以上、おそらく、法律でどうにかしなければ、きっとどうにもならないと思います。
マンガぐらい、カネ出して買えよ…とオジサンは思うんだけれど、世間の人達は、そう思っていないから、違法サイトがブイブイ言わせるわけだよねえ。で、マンガ本を買わずに浮かしたオカネは何に使っているのか…と言えば、おそらくスマホ代だよね。毎月毎月スマホ代を支払っているために、金銭的な余力がなくなって、マンガも買わずに違法サイトで済ませている…だろうと、別に根拠はないけれど、そんな感じがします。
スマホの普及で、マンガ本に限らず、多くの商売やサービスが危機に面しています。時代が変わるって、こういう事なんだなあと思います。
まあ、マンガ本に関して言えば、違法マンガサイトも問題ですが、それ以前に、新古書店や図書館の問題。再販制度の問題。音楽で言えばJASRACに相当する著作権管理団体が無い事など、問題は山積みで、違法マンガサイトさえ片付ければ、それで万々歳とはならないんだよね。
どちらにせよ、一番弱い立場なのが、作者であって、彼らを守り、彼らの生活を保障してあげれらないと、いずれ日本のマンガ文化も衰退をせざるをえないってわけで、その遠因が、我々消費者の好ましくない消費活動にある…って言えるのかもしれません。
という訳で、今回は問題を投げっぱなしで終わりにします。
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