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水素水飲むくらいなら、レモンをかじった方がマシ?

 私は迂闊にも気にしていなかったのですが、年末から年始にかけて、水素水業界は熱かったそうです。と言うのも、昨年末に国民生活センターから水素水に関する調査データーが公表されたからです。

 公表された事をかいつまんで書くと…

1)水素水には、公的な定義は無いよ。特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届出されたものは無いよ。

2)水素水の効能として「様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化する」と書いてある商品があるけれど、これは医薬品医療機器等法や健康増進法や景品表示法に抵触するかもしれないよ。

3)水素水として販売されているモノの半分近くの商品からは、表示通りの濃度の水素ガスが検出されたよ。でも残りの半分は、水素ガスが検出されなかったり、されても微妙だったりしたよ。

4)水素水生成機は、水質や水量に影響を受け、必ずしも表示通りの水素濃度の水素水を作れるとは限らないよ。

5)水に溶けている水素ガスは、容器の開封後、時間経過でドンドン抜けていくよ。

 この発表を受け、報道は「水素水はただの水だった」とか報道した(私は知りませんでした)そうで、関連業者の皆さんはカンカンになったわけです。そりゃあまあ、商売の邪魔をされたわけだから、怒って当然だわな。

 ちなみに、国民生活センターは「水素水はただの水だ」とは一言も言ってません。ただ、水素水はトクホ等ではないので効用を書いちゃダメだし、商品によって水素ガス濃度もマチマチだと言っているだけです。

 でもまあ、国民生活センターの報告を読む限り、はっきりと書いていないだけの話で、水素水って、限りなく水みたいなものだと言う事は分かります。

 で、水素水がただの水か、それとも魔法の水なのかは(私、興味がないので)横に置くことにして、水素水の効能とされている「悪玉活性酸素を無害化する」について、ちょっと思うところがあります。

 おそらく、酸素に水素を加えると水になるから、体内にある活性酸素だって、水素を取り込めば水になって無害化するんじゃないの…という考えが、水素水の効能として言われているのだろうけれど、これって明らかに机上の空論であって、事実とはかなり遠いんだよね。

 と言うのも、確かに酸素に水素を加えると、化学式の上では水ができるけれど、実際はただ酸素と水素を混ぜるだけじゃ水になりません。2つのガスを混ぜた上で、化学反応を起こさせないと水にはなりません。具体的に言えば「水素と酸素が混じっているガスにエネルギー(火花とか火炎とか)を加えて水素爆発をさせる」必要があります。そうしないと、水は出来ません…って、中学校で習ったでしょ?

 なので、水素水を飲んだだけじゃ、体内の活性酸素と水素水の水素は結合しないのです。水素水を飲んだ後に、火のついた木炭でも飲んで、体内で水素爆発を起こさせないと水は出来ないのですが…ってか、そんな事をしたら、爆発して水を作る前に大やけどをしてしまいます(笑)。

 じゃあ、活性酸素って奴には何の手も打てないのか…と言えば、そうではないわけです。

 活性酸素の正体は過酸化水素であり、つまり酸化した水であって、酸素が余計にくっついている水なのです。この過酸化水素から、余計な酸素を奪って、通常の水にしてあげれば良いのです。そのためには、過酸化水素に、水素が余計にくっついている物質と化学反応させて水をつくれば良いわけです。この作業を還元って言うわけだし、水素が余計にくっついていて容易に過酸化水素と反応してくれる物質を還元剤と呼びます。

 で、そんな還元剤の一つで、有名なのが、ビタミンCなのです。

 つまりビタミンCを摂取すれば、容易に体内の過酸化水素が還元されて、活性酸素は減るって寸法なのです。この反応を“グルタチオン-アスコルビン酸回路”って言うのです。高校の生物の時間に習ったと思うけれど…詳しくはググってね。

 つまり、トクホにも認定されないような水素水を飲んで、活性酸素をどうにかしようと考えるくらいなら、ビタミンCを補給した方が、簡単に確実に活性酸素を退治できる…ってわけなのですね。

 なので「水素水飲むくらいなら、レモンをかじった方がマシ」という結論となるわけです。

蛇足 緑茶って、すぐに酸化して色が変わってしまうので、昔は飲料として販売するのが難しかったのですが、お茶の酸化を防ぐために、お茶にビタミンCを添加すれば良い事が発見されて、それ以来、普通にお茶がペットボトル等で販売されるようになりました。ビタミンCって、それくらい還元剤として優秀なんだけれど、ペットボトルのお茶を飲んでも、ちっとも酸っぱくないのはなぜ? ビタミンCって、強烈に酸っぱいはずなんだけれどね。

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