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進歩している私

 Y先生について早3年。発表会を期に、自分でも感じるようになった、その間の上達について、まとめてみました。

良くなった、上達したと思われる点

1)歌うのが楽になった

 と言うか、楽にならざるをえなくなった…と言うべきか。とにかく、私が少しでも苦しげに歌っているとダメが出ます。Y先生は「良い声よりも楽な声」を目指しています。キング先生の「楽に歌おうとするな。全力を尽くせ。プロだって苦しいんだ」とは真逆なんです。キング先生は「苦しくても良い声で歌え!」なんですね。なので、キング先生がOKを出してくれる良い声と言うのが、私には、どうしても苦しくてつらい声になってしまうわけです。ノドも痛めてしまいますしね。

 とにかくY先生のところでは、楽に歌うことが大切なんです。「楽な声でなきゃ、オペラは歌えませんよ」との事です。まあ、オペラの舞台って、3時間前後も歌いっぱなしだものね。それを可能にするためにも、日頃から楽に歌う癖を付けないといけないわけです。だいたい、楽に歌えないと歌っていて楽しくないですものね。

2)声のポジションがかなり高くなっている

 たぶん、これは楽に歌うようになった事と関係しているのかもしれません。楽に歌うことで、色々な事が無意識に改善されているんじゃないかって思います。しかし、あれほど注意されつづけていても出来なかった、声のポジションを高めに取る事が、今では自然と出来るようになったのは、不思議と同時にうれしい事です。

3)鼻腔に声が響き始めている自覚がある

 元々私は鼻腔を利用して歌うタイプの人でした。でも、たぶん、それが上手には出来ていなかったんだと思います。だから、キング先生の門下に入門して、まず最初に注意されたのが、鼻腔の響きを使って歌っていた事です。これは厳禁なんです。当時の私の鼻で響かせる声は“鼻声”と言われて、声の響きをまずは一旦、鼻から下に落としました(結果として喉声になってしまいました)。それで高音が出なくなったり、ノドを痛めるようになったんだと思います。

 Y先生の指導の元、楽に歌い始めて、本来の自分の声で歌えるようになると、以前は禁忌であった“鼻の声”も自然と復活してしまいました。おそらくキング先生なら、すかさずにダメを出すでしょうが、Y先生は「鼻腔を使うのは良いことです」と言って、私の鼻の声を多めに見ていただいています。鼻声成分が多いかもしれませんが、これが私の声であると認めてもらえると、やっぱりうれしいですね。

4)(まだまだ不確定だけれど、HI-Cぐらいまでの)高音の発声ができるようになった

 発声練習でも楽に発声するようになり、そうすると、かなりの高音の発声ができるようになりました。今は常時HI-Cぐらいまでいけちゃいます。調子が良いとHI-Esまでいちゃいますが、これは本当に調子が良い時だけですから、カウントしない方がよいでしょうね。それに、常時HI-Cまで発声できても、それは発声練習の時だけで、歌の中で使えるわけではありません。ですから、次はこれらの高音を歌の中でも使えるようにしないといけないわけです。

5)Gまでは、特に不安がない

 それで現在はどれくらいまでの高音なら、歌の中でも大丈夫かと言うと、胸を張って「Gまでは、特に不安はありません」と言える状態になりました。まあ、これはキング先生に習っていた末期の頃、Gを手に入れつつありましたから、順調な成長の結果と言えるでしょう。

6)Aまでなら、もって行き方次第でどうにかなる

 キング先生時代にはAなんて夢物語の高音でしたが、今では“もって行き方次第でどうにかなる”と思ってます。問題は、どうもっていくか…なんですね。そこが課題だったりします。しかし、Aの発声に不安がないのが、一人前のテノールの条件の一つですから、頑張らないといけませんね。そして、高音Aも課題ですが、それよりも高いBやそれ以上の音にも徐々にチャレンジしています。ここらへんになると、Aとは発声方法が全く違うのです。頑張りますよ。

9)ファルセットが使えるようになった

 キング先生時代には、まず絶対に出来なかったファルセットですが、今は普通に発声できます。ファルセットって、ノドに力が入っていると絶対に出来ないんですよね。だから、喉声だった時代の私にファルセットなんて発声できるわけなかったんです。

10)暗譜がかなり楽になっている

 これは慣れかな? ほんと、以前では考えられなくらいに、暗譜が楽になっています。キング先生の時代には、半年かけて、やっと一曲暗譜できるかできないかだったのに、今では2ヶ月ちょっとで、2~3曲の暗譜をしちゃえるようになりました。もっとも、プロの方々のように、三ヶ月でオペラ一曲暗譜には、到底叶いませんけれど(笑)。

11)イタリア語の発音に慣れてきた

 はい、なんとなく慣れました。慣れてくると、発声もだいぶ楽になります。しかし、慣れただけで、理解はしていないので、歌詞の意味は未だにチンプンカンプンだったりします。

12)声がギラギラになってきた

 録音だと分かりづらいかもしれませんが、私の声、確実にギラギラになってきております。

13)中低音の声に深みとコクがついてきた

 先生がバリトンの方であるため、ついつい無意識にバリトンっぽい発声を真似してしまうのですが(そのたびに注意されます)、バリトンの持つ中低音の美しさを無意識のうちに少しずつ真似しているのかもしれません。とにかく、中低音の声に深みとコクがついてきました。

14)ノドの薬の世話になることが、極端に減った

 ほんと、ノドの薬の世話になる事が減りました。だいたい、のど飴をなめなくなり、のど飴の消費量がガタ落ちになりました。たぶん、良い事…なんだろうと思います。

15)歌っている時の水分補給も極端に減った

 レッスン中の飲水は、キング先生の時は良かった…と言うか、奨励されていました。Y先生も別段、レッスン中の飲水は禁じていませんが、まず飲水のチャンスがありません。レッスンが始まると、終わるまでずっと歌い続けていますので、水を飲むチャンスがありません。結果として、水分補給が極端に減りました。本番の舞台袖でもペットボトルを持っていても、まず飲まなくなりました。たぶん、良い事…なんだろうと思います。

16)結構長く歌えるようになった

 楽に歌うようになったためでしょうか。歌の体力の消費が抑えられるようになり、結果として、そこそこ長い時間、歌えるようになりました。以前は、歌の途中で声が無くなってしまう事も多々ありましたが、今はそういう事は、あまり考えずに済むようになりました。

17)オペラアリアばかりではなく、歌曲の楽しみも分かるようになってきた

 私は元々“オペラ命”の人でして「歌曲なんて声のない人間が歌うモノだ!」という偏見を持っていました。ダメですね。何も分かっちゃいなかったんですよ。

 今でも、基本的には“声をひけらかす事に快感を感じるタイプ”であることは否めませんが、そんな私でも歌曲の楽しみが少しずつ分かるようになってきました。特に最近はドイツ・リートの渋さにひかれています。ドイツ語は苦手だけれど、やがてチャレンジしてみたいです。

18)声がだいぶ軽くなってきた

 とは言え、どうやらレッジェーロというほど軽いわけでもないみたいです。おそらくは、リリコ。それもたぶん、ど真ん中かな? もっともっと上達すると、もっと声が軽くなって、最終的には、リリコ・レッジェーロあたりに落ち着くかもしれないけれど、今のところはリリコっぽいです。

 キング先生のところにいた時は「めざせ、デル・モナコ。めざせ、ドミンゴ」だったわけで、スピント系の声を目指して、頑張って強くて重い声を出そうとしていたけれど…それやっちゃうと、喉声になっちゃうんだよね。

頑張っているけれど、まだまだダメな点

1)低音になると、まだ声が胸に落ちてしまう

 低音は難しいよね。

2)Aより上になると、ガラっと音色が変わってしまう、あるいは、Aより上になると、ファルセットになってしまう事も増えた

 高音も中低音と同じ発声法で、同じ音色でいかないといけないのだけれど、ついつい発声法が変わって音色が激変したり、ファルセットになってしまう事も増えました。以前は、音色が変わったり、ファルセットになる前に、ノドにフタが被さったり、音程がぶら下がっていたりしていたわけだから、それよりはまだマシって感じだけれど、それでもやっぱりマダマダだなあって思います。

3)疲れてくると、音程がぶら下がる

 つまり、疲れてくると、以前の悪い癖が出てきて、喉声になって、音程がぶら下がるって事です。くわばらくわばら。

4)テンパると、ついつい勢いとパワーとかで、どうにかしようとして、結果、怒鳴り声で歌ってしまう

 まだまだ、昔の悪い癖が抜け切れていません。

5)まだまだハモリは苦手

 簡単に、他所の人に釣られます。

6)まだまだ音程が甘い

 残念です。

7)黒い楽譜が苦手

 なので、メリスマなんて、とても歌えません。

8)まだまだカラダを使って歌いきれていない

 カラダの使い方が身についていないと言うか、基礎基本がまだ出来てません。

9)まだ自分に合っている曲、合っていない曲の違いがよく分かっていない

 自分で自分の選曲をするようになって、自分に合った曲について、色々と考えています。力量とか音域とかもあるけれど、曲の雰囲気とか、声のどの部分が多用されているとか、自分のキャラとの関係もあるし、なかなか自分の事は自分では分かりません。

 でも、分からないままじゃダメなんですよね。自分に合っている曲かどうかの判断は、きちんと自分でつけられないようでは、いけないと思ってますが…それがなかなか難しいです。歌いたい歌が歌えるわけじゃないのは当然としても、歌いたい歌が、なんとか歌える歌であったとしても、それが上手に聞こえるわけでもありません。同じ努力をして自分のレパートリーに加えるのだから、聞き栄えのする曲がいいよね。それが分かるようになりたいです。

10)大きな音量とか、高い音程とかへのこだわりが抜けきっていない。

 まだまだ、ダメです(笑)。

 というわけで、今の私は、こんな感じです。へへ、日々精進精進だな。

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コメント

  1. おぷー より:

    黒い楽譜は、誰だってニガテだと思います。
    簡単なパーセル辺りから始めてみられては?英語だし、あまり抵抗なく入れると思いますが。
    こんなの。
    https://youtu.be/60YYgPGl7Yg
    この辺りから、モーちゃんにつないで行くとイイんじゃないでしょうか?

  2. だりあ より:

    おはよございます。すとんさんの進歩ぶり、とてもいい感じで進んでらっしゃいますね。お二人の先生に真逆のご指導をうけられたのも、今ではよい経験となって実りに向かってられるのではないでしょうか。音楽って、先生によって指導内容が違うことがよくありますよね。私は経験上、どちらも「ハイ~ハイ~」とすなおに聞いておいて、生徒としての「自分の都合」に合わせちゃいます。和物の習い事は師事先にいろいろ制約があるようでなかなかそうもいきませんけど、洋の、特に音楽系は先生の考えと合わなければ師事先を替えるのも、自由ですものね。

    >黒い楽譜が苦手
    私も、以前゛は黒いお玉の二本尻尾の行列、大嫌いでした。ぱっと見で黒いところがたくさんある楽譜は見ただけでぞーっとして避けて通ってきました。でも、今はまっ黒オタマジャクシの群れに出会うと、「はいっいらっしゃいっ」という感じの闘志がわくようになりました。そして、最近は、白玉がタイで連続している楽譜のほうが難しいと思うようになりました。ツーンとすました感じで付き合いづらいし、ノンブレスはつらいです。。。

  3. カント より:

    すとんさん、すごいですね!
    ファルセットができなかったというのは、信じがたいですが、僕の先生が言ってたのは、テノールが高い音になると皆同じに聞こえるのは、ファルセットを混ぜて歌っているからだ、ということでした。その先生からは、実声からファルセットへ少しづつ移っていく練習をさせられました。低いほうから高いほうへは難しいので、高いほうから低いほうへ。どこで実声とファルセットが切り替わったかわからないように、少しづつ混ぜていく練習でした。
    Hi-Esまで出るならもう、このテクニック、すとんさんは身についていると思います。
    モーツアルトのアリア、アントン・デルモータは聞かれましたか?
    僕のもう一人の先生は、デルモータのレッスンを受けたたそうですが、舞台ではあんなに軽く聞こえるのに、傍で聞くと楽譜が震えるくらいすごく共鳴していたとのことでした。
    すとんさんの、声が大きいこととレッジェーロな音色は共存できると思いますよ。

  4. アデーレ より:

    私もすとんさんの歩み、いい感じだと思います!先生も合わない先生も合う先生も学びがありますよね!私も思い当たる節があります。最初から合う先生の方が良かったということではなく、必要な歩みだと。歌う筋肉は簡単にはつきませんが、気長に頑張りましょう!私はレッジェーロソプラノゆえ、声も細く声量もありません。すとんさんの声量、羨ましいです。まだまだ初心者ゆえ、歌える広さは限られ、最高で100人まで。いつか300人越えるくらいのホールでもまけないくらいの声量を身に付けたいです!すとんさんは最高でどのくらいのホールでうたってますか?声量も年数が経たないと無理かしら。

  5. すとん より:

    おぷーさん

    >黒い楽譜は、誰だってニガテだと思います。

     ははは、そうでしょうね。ただ、私の場合、黒い楽譜は、白っぽい楽譜よりも、より精密さと運動性が要求されるので、苦手なんです。つまり、大雑把にしか歌えないって事なんですね。ですから、もっと細かく精密に歌えるようになる必要があると思ってます。

     パーセルの“I Attempt From Love’s Sickness”は幸いなことに譜面を持っています。いずれパーセルにも挑戦したいなあ、どの曲から行こうかな…なんて思いながら、楽譜を眺めていた所です。YouTubeには学習者さんたちの音源がたくさんアップされていますし、曲のサイズ的にも(Y先生は大曲主義なんで)レッスン向きの曲かな? チャンスがあったら、この曲をレッスンに持って行こうかな? 英語を好まないY先生を、どう説き伏せるかが鍵となるけど(私自身は英語の芸術歌曲って大好きなんですけれどね)。

  6. すとん より:

    だりあさん

    >音楽って、先生によって指導内容が違うことがよくありますよね。

     ですね。それに、指導内容が真逆だったとしても、どちらかが正解でどちらかが間違いというわけでもないと思ってます。要は、指導されて成長できたかどうか…って事だと思います。キング先生の指導によって、上達している門下生はいますし、私だって、キング先生によって伸ばされた部分はあると思います。

    >どちらも「ハイ~ハイ~」とすなおに聞いておいて、生徒としての「自分の都合」に合わせちゃいます。

     キング先生は、少なくとも私に関しては、これは赦してくれなかったですね。他の門下生たちは、軽くキング先生の教えを無視して歌っていましたが、私はちょっとでも先生の言ったことと違ったことをやると、じっくりと直されちゃいましたもの。で「自宅練習で勝手なことをしない事」と厳命されたりしました。まあ、その分、気合を入れて教えてもらっていたとも言えますが、なにしろ、レッスンも毎週ありましたし、自分の都合で歌うわけには、結果的に、いかなかったんです。

     それで「ノドが痛いです」と言っても「プロだってつらいんだから」とか言って、我慢して乗り越えろと言われてました。まあ、我慢にも限界があるんですけれどね。

    >ぱっと見で黒いところがたくさんある楽譜は見ただけでぞーっとして避けて通ってきました。

     今の私がまさにそんな感じです。細かい音符に対応できないんですね。声を速いテンポで動かすのが苦手だし、精密に動かすのも苦手。だから、練習してできるようにしないといけないんですがね。先は長いです、学ぶべきことはたくさんあります。

  7. すとん より:

    カントさん、いらっしゃいませ。

     そうなんですよ、ファルセットは全くダメだったんです。ですから、どこまでも地声を張り上げて歌っていました(笑)。

    >Hi-Esまで出るならもう、このテクニック、すとんさんは身についていると思います。

     どうなんでしょうね。ファルセットだけならHi-Gまで、ファルセットを使わなければHi-Esまで、発声練習では出ます。もっとも“ファルセットを使わなければ”と言っても、自分ではそのつもりでも、実際はカントさんのおっしゃるとおり、ファルセットが混ざっているのかもしれません。

    >低いほうから高いほうへは難しいので、高いほうから低いほうへ。

     そうかもしれませんね。上がっていくよりも、下がっていく方が歌いやすいかもしれません。

    >モーツアルトのアリア、アントン・デルモータは聞かれましたか?

     いえいえ、勉強不足で知りませんでした。早速、YouTubeを漁ってみたところ…この声は私の目指す方向の声だなって思いました。私、個人的な好みはロブストな声なんですが、自分が目指すべきはレッジェーロな声だなって思ってます。だから、たくさんの軽い声のテノールを聞かないとダメだなって思ってます。良い歌手を教えていただき、感謝です。

    >すとんさんの、声が大きいこととレッジェーロな音色は共存できると思いますよ

     頑張ります。

  8. すとん より:

    アデーレさん

    >すとんさんは最高でどのくらいのホールでうたってますか?

     私は、今まで歌ってきたホールで一番大きかったのが、1500名の大ホールです。バックはピアノと10人の女声合唱団が付いて、ソロで一曲丸々歌いました。

     私、おそらくクラシック音楽の演奏用に作られた屋内ホールなら、たいていどこでも歌えると思います。野外ステージとか、ポップス用に作られた反響のないホールだと厳しいですが、反響のあるクラシック用のホールなら、少々キャパが大きくても何とかなると思ってます。

     まあ、音量だけが、私の取り柄ですからね(情けない)。

    >先生も合わない先生も合う先生も学びがありますよね!

     そう思いますし、合わないと思っていた先生からも大切な事を学んでいると思います。人生には無駄がない…と私は思いたいです。

     私は、多少音量を失っても、高音と音程の精密さが欲しいです。

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