フルートのレッスンに行ってきました。
お教室に入って、すぐにフルートを組み立てて、先生とロングトーン練習始めたら、見事なくらいに音が合わない。「あ、しまった。管が暖まっていない!」 さっそく、息をフルートに吹き込みます。先生はその間、なにやら怪しげなフレーズを吹いて待っていてくれます。
で、管が十分に温まった所で練習再開。うむ、見事にドンピシャ。いつもうねってしまう高音Hも今日はうねりません。うむ、なんかいい感じ。
エルステ・ユーブンゲンは、今日も9番です。もちろん、暗譜できてません。次の10番を吹いた時、前回同様に、リピートで戻ったところを、またまた1オクターブ高く演奏してしまいました。ええ?なぜ?
この箇所、リピートをした場合としなかった場合、リピートに続く音型が全く一緒なんだけれど、音程は1オクターブ違うんです。リピートをすると低く、リピートをしないと高いのです。ですから、リピートをして1オクターブ高く吹いてしまうのは、リピートせずに次に進む場合とゴッチャになっているからです。理由が分かれば、次からは同じミスはしません(たぶん…きっと…ね)。
プチ・エチュードは10番。今回は、家でメトロノーム練習をたっぷりしてきたので、前回よりは幾分マシになったと思うけれど、レッスンではメトロノームを鳴らすわけではないので、やっぱりリズムはあっちこっちで甘々になってしまいます。
装飾音符をチマチマ吹いているうちに、ビートが分からなくなってしまうんだよね。ああ、安っぽいリズム感だこと。ああ、難しいね。
今回の雑談は、先日の台風の大雨の日にあったH先生のコンサートの話から始まりました。
先生、なんでも、あの日、某地方都市(本当に“地方”都市。つまり田舎だね)でコンサートをしたんだそうです。でも、あの大雨でしょ? 早めに会場に入っていたので、先生自身は雨の被害には会わなかったんだけれど、あの雨だから、お客さんなんて来ないだろうと思っていたら、会場はほぼ満席だったそうです。
「あの嵐の中、わざわざフルートを聞きに来るなんて、大したもんだね」と言ってたけれど、たぶんそれは、地方都市だからだと思います。
都会だと、クラシックコンサートなんて毎日のようにやっているから、今日のコンサートを見逃したからと言って、どうって事はないんだと思うけれど、地方って、本当にクラシック系のコンサートって無いからね。東京から一流の演奏家がやってくるとなれば、何ヶ月も前から楽しみにして待っているわけですよ。だから、たとえ嵐となろうと、槍が振ろうと、皆さん集まっちゃうわけですよ。
それは私の地元で外国の歌劇団がやって来て引っ越し公演をすると、会場がぎっちり満員になるのと、同じ理由だね。
先生曰く「天気が悪いんだから(お客は)無理しなくてもいいのにね…」と言ってましたが、客の立場になれば、そうは行かないんですよ。
「まあ、客は、天気が悪いとか、体調が悪いとか、事故があったとか、とにかくコンサートに行く行かないを選べるけれど、我々演奏家は、チケットを販売してしまった以上、何があろうと、そこに行って演奏しないといけないんだよね」とポロっと言ってました。
確かにそうですよね。
「あの東日本大震災の日は、オーケストラの仕事があったんだけれど、オケの連中は、一人も欠ける事無く、みんな会場にやってきたよ」との事でした。さすがに、客席はガラガラだったそうだけれど(それでも来る人がいるって、ビックリだね)。
「私は師匠から“40度の熱があっても、仕事はキャンセルするな”と言われているからね」との事でした。確かにH先生、滑落して死にかけて、絶対安静で病院に入院している時はさすがに仕事をキャンセルして代役をたてたそうだけれど、退院したら、指はまだ折れていたけれど、テーピングでガチガチに固めて、フルート吹いていましたからね。40度の熱どころではないけれど、入院していない限り、仕事はキャンセルできないようです。
職業音楽家って、結構厳しい仕事なんだな…って改めて思いました。
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コメント
こんばんは
> 「あの東日本大震災の日は、オーケストラの仕事があったんだけれど、オケの連中は、一人も欠ける事無く、みんな会場にやってきたよ」
http://www.njp.or.jp/archives/5634
のドキュメンタリーが放送されたのをTVで見ました。
東北の方には申し訳けありませんが、都内も交通がほぼ止まり、車は渋滞で動きませんでした。
ドキュメンタリーではホルン奏者(?)の方が、車道まで徒歩の方があふれている中、会場まで走っていらっしゃいました。
> 収容数1801人のトリフォニーホールには、合計105名の聴衆があつまり
実際に聴けた方はほとんど地元のようでした。
曲も曲でしたが(マーラーの5番)、この放送を思い出しました。
>“40度の熱があっても、仕事はキャンセルするな”
以前もコメントしたかもしれませんが、元師匠曰く「熱の高いときのほうが脱力できる。発熱がわかるのはよっぽど普段から聴いている人だけ」らしいです。
tetsuさん
あの日はどこのオケも大変だったんですね。H先生は、都内で仕事をしていたそうですが、そのオケだったかどうかまでは知らされていません(もしかすると、その番組に出演しているかもしれませんが、分かりません)。とにかく、ステージに穴を開けてはいけないと必死に会場に向かったんだそうです。
>発熱がわかるのはよっぽど普段から聴いている人だけ
…たしかにそうかもしれません。H先生も「熱があってつらいのは本人だけ(で、お客さんには関係のない事)」って言ってましたね。それにだいたい、病気になる事自体が負けらしいです。健康管理もプロの仕事の一つ…なんだそうです。ああ、しょっちゅう風邪引く私には、耳が痛いひと言です。
こんばんは。
> 病気になる事自体が負け
詳細はここに書けませんが、元師匠にはこの言葉はとても言えません。それくらい厳しい世界らしいです。
元理系ですが、次のような話はあります。
http://nc.math.tsukuba.ac.jp/column/emeritus/Kimurata/
「数学は一に体力,二に体力,三,四なくて五に体力だ」
数学を考えながら,いつのまにか眠り,朝,目が覚めたときは既に数学の世界に入っていなければならない。どの位,数学に浸っているかが,勝負の分かれ目だ。
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「数学」を「音楽」に置き換えても同じかもしれません。
tetsuさん
私は若い教師たちに必ず言う事があります。「先生というのは職業じゃないんだよ。だから“学校に就職した”と思っているなら、いますぐ辞めてしまいなさい。先生というのは“生き方”なんだよ。これからの人生“先生として生きて行く”という覚悟をしてください」ってね。もしも教師を職業だと考えていたら、これくらいブラックな仕事はないですからね。それくらい、オンとオフが曖昧で、いつでもどこでも寝ている時でも、先生をしているのが先生なんだから。
体力に関しては、受験生たちに言いますよ。「受験勉強ってのは、最後は結局、体力なんだ。だから、勉強ばかりしている奴は、運動部の連中に負けるのは仕方ないんだよ」ってね。実際、真剣に勉強に取り組んだ時の運動バカたちの馬力は…そりゃあもう半端ないからね。ほんと、こればかりはそうなんだから、仕方ない。
女子生徒たちには「君たちは体力では男子には勝てない。これは運動だけでなく勉強でもそうだ。だからこそ、早めにスタートをして、たっぷりリードを取っておかないと勝負にならない」とね。女子学生たちは真面目でコツコツやるのだけれど、勉強の上達速度が遅いので、受験勉強という、ある意味、勝負をかけている時は、先行逃げ切り形にならざるをえないんだよね。
そんな事を考えました。