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なぜ秋田の人は、学力が高いのに、大学に進学しないの?

 どうも連休などがあると、体重を計るのを忘れてしまう私です(汗)。いやあ、めんごめんご。

 さて、今週のエッセイですが、最初に書いておきますが、別に私は秋田や秋田の人をディスるつもりは毛頭ございません。単純に疑問に思っただけの話なので、悪意で受け取らないように、ひとつ、お願いします。

 さて、“全国学力テスト”と呼ばれる『全国学力・学習状況調査』が、2007年より、全国の小中学校を対象に実施されています。で、その結果が毎年のように発表されているのですが、ここ数年、毎年、第1位は秋田県なんですね。つまり秋田県の小中学生が、日本で一番学力が高いと言ってもいいんだと思います。

 この結果を見て「秋田県って教育県なんだろうなあ…」と思った私ですが、実はそうでもないみたいです。と言うのも、大学進学率は47都道府県中、37位です。はっきり言って低いです。全国学力テストの結果から考えても、ありえない数値だと思います。

 「秋田の人って、中学生まではすごく勉強するけれど、高校に入った途端に勉強を止めて遊びだしちゃうのかな?」「勉強に関しては、中学校までで燃え尽きて、大学入試には対応できないのかな?」

 これは『小中学校まで、どういう風に勉強に取り組ませるか』で変わるけれど、全国学力テストで、あれだけ好成績をキープしつづけているわけだから、学校での取り組みも、秋田じゃ、半端無い事は容易に想像できます。当然、日々の勉強も相当に頑張っていると思うけれど、それだけで燃え尽きちゃう? だとしたら、都会の塾通いの子たちなんて、大炎上しちゃうよね(笑)。それに高校に入った途端に勉強止めちゃう子なんて、秋田に限らず、日本中どこにでもいるだろうし…。それにそれに、中学校までしっかり勉強しておけば、基礎学力だってしっかり身につくし、絶対に大学受験には有利に働くはずなんだよね。だから、中学校まで、これだけの良い成績を取っていた人たちが、大学に進学しないとは、勉強や成績以外の要因を考えないといけません。

 「秋田には大学が無いのかな?」

 大学がなければ大学に進学できません。当然の事です。

 そこでググってみたところ、実は秋田には大学が14校あります。比較のために神奈川も調べてみたところ、神奈川には大学が71校ありました。これだけ見ると、秋田には大学が少ないと思われるかもしれませんが、秋田の人口が約100万人で、神奈川が900万人だから、人口比で考えて、人口100万人あたりの大学数が、秋田は(そのまま)14校だけれど、神奈川は換算すると約8校になります。なんと、神奈川の人口当たりの大学数の割合って、秋田の2/3にも満たないんですよ。それくらい、神奈川の方が大学が少ないのです。驚きです。

 さらに言えば、秋田には国際教養大学という国立大学があります。入試の難易度は東大並で、就職内定率は100%で、その過半数は有名一流企業だと言うのだから、都会の有名大学にも引けをとらないような立派な大学だってあるわけです。

 秋田の大学事情、決して悪くないんですよ。

 「周囲も高卒の人が多いので、それで安心して大学に行かないのかな?」

 秋田は代々大学進学率が低いと思われるので、当然、秋田の大人たちも大卒の方は、他の地域と比べると少ないでしょう。大学に行かなくても、きちんと生計が立てられる地域なんだと思います。その点では、周囲の大人たちの現状に引きづられて、若者たちの大学進学率が低い…とは考えられますが、小中学校であれだけ熱心に学習指導しているのですから、子どもたちの知的好奇心だってたくさん刺激されるでしょうから、大学進学を目指す子が、他地域よりも、むしろ多くても不思議ではありません。それが低いとなると…やはり不思議です。

 となると、秋田の人は、中学校までは教育熱心だけれど、高校になると、急に教育から熱が冷める…と考えざるを得ません。

 実は秋田は、大学進学率は全国37位で低いのですが、高校進学率は全国7位なんです。

 やっぱり「中学校までは教育熱心で高校進学率も高いけれど、高校では熱が冷め、大学進学率が低くなってしまう」というのが正解かもしれません。

 ではなぜ、高校で熱が冷めてしまうのか? 

 一つには『学習能力の伸びしろを、高校入学までにすべて使い切ってしまうから』かもしれません。つまり、小中学校の時に無理無理に勉強したので、高校に入学してからは学力が伸びなくなってしまうのかもしれません。

 これは都会で幼少時から塾などに通って熱心に勉強していた子にも通じる事なので、そうかもしれませんよ。一部の子を除き、小学生の頃に熱心に勉強させると、中学・高校あたりで学習能力が頂点に達してしまって、それ以降は学力が伸びるどころか、下がる一方になってしまいます。それが秋田では全県レベルで発生している?のかもしれません。

 また、それと関係するのかもしれませんが、秋田の人にとって『最終学歴は高卒』という意識が、デフォルトなのかもしれません。それゆえに大学進学率が低くなってしまい、高校で勉強に身が入らなくて熱が冷めてしまうのでは…と私は思います。それは都会の大学生が、入試までは熱心だけれど、入学しちゃうと勉強しなくなるのと似ている構造なのかもしれません。

 では、なぜ『最終学歴は高卒』がデフォルトなのか? 

 あれこれ、他の統計を見ていたら、ひとつ気づきました。それは、大学進学率の統計結果と、サラリーマン年収の統計が、とても似ているのです。

 考えてみれば、大学って、高校までと違って、学費がうんとかかります。

 小学校と中学校は、義務教育ですから、公立に通っていれば、学費は原則無料です。高校も授業料無償化ですから、学費がかなり安く上がりますが、大学は…初年度納入金だけを見ても、国公立大学で100万円弱、私立文系で約120万円、私立理系で約150万円、私立医歯系で500万円だそうです。初年度納入金だけで、これだけです。これが4~6年通うとなると…かなりかかってしまいます。

 学力的にも無理めだし、経済的にも無理めだし、周りの大人は高卒ばかりだし…となると、いくら学習意欲が高くても、子どもたちは大学受験を諦めてしまうのかもしれません。

 経済力、やはりこのあたりが大学進学率の低さの原因になるでしょうし、これは秋田だけの問題ではないなあって思います。そう思って、色々と統計を見ていると、やはり経済力と大学進学率は、ゆるやかであるにせよ、関係がありそうです。

 収入が少ないと、色々と生活に制限が加わります。大人の場合は、年収の多寡は、自己責任の部分も少なくありませんので仕方ありませんが、子どもの場合は、本人ではなく、親の責任なわけで、子どもは親を選んで生まれるわけにはいきませんから、親の年収が少ないために、色々と制限を受けざるを得ない子たちは、かわいそうだと思います。

 だからと言って、私に何ができるわけじゃないんですが。

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コメント

  1. operazanokaijinnokaijin より:

    すとん様の、
    ひとことの国連ネタと、エッセイの高校ネタ、
    に関連して、最近、思うことを書かせていただきます。

    世界における日本の経済力がとっても大きいので、
    同じく世界における、あるいは国連における、
    それ相応の政治力を得たい、得るべし、みたいな感じで、
    国連常任理事国を目指す、みたいな思いがあるのでしょうね。
    しかし、私、常任理事国入りには懐疑的です。

    太平洋戦争で、全く愚かな権力者が、多くの国内外人の
    命を奪ったのは、間違いない事実だと思うのです。
    日本国内、中国、韓国、アジア諸国で、多くの人々の命、
    あるいは、アメリカ兵の多くの命を奪ったのは、
    世界の歴史と言う意味では、記憶に新しい話。
    日本の常任理事国入りに反対の国々は多いでしょう。

    常任理事国入りの努力よりも、もっともっと文化的努力が、
    日本にはふさわしいのではないか、と思うのです。

    クラシック音楽雑誌などを見ると、多くの日本人が、
    あちこちに留学しています。
    クラシック音楽の本場ではない、はず?のアメリカにも
    多くの日本人が留学しています。

    日本がもっともっと、クラシック、のみならず、
    文化に力を入れて、世界のあちこちから、
    日本でクラシックを、あるいは、いろんな文化を学ぶべく、
    日本に留学する、みたいな。
    そういう文化国日本を目指すべきかな、みたいな。

    一国の文化レベルを決定するのは、高校生だ、という考え方があって、
    (出典内緒)
    そういう意味では、高校生にはもっとしっかり勉強して欲しいです。
    大昔、高校生だった私。しっかり勉強していましたが、
    しかし、今にして思えば、受験産業に踊らされて、
    全く無駄な努力をしていました。
    大量の参考書、高価な通信添削。

    高校レベルの勉強なんて、実はレベルの低い物。
    教科書をみっちりやればよいのであって、
    ただ、教科書はあまりに不親切なのであって、
    詳細な解説が書かれている教科書ガイドを徹底活用するべし。

    って、高校の先生で、教科書ガイドに肯定的な先生って、
    少ないでしょうね。

    ガッコのセンセ?でいらっしゃるすとん様から見て、
    教科書ガイドって、いかがでしょうか?

    ああ、また、つらつら、長々、ダラダラ書いてしまった私を、
    すとん様、どうか、お許しください。

    おしまい

  2. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     昔々学生時代に、教科書ガイドを執筆していたすとんです(笑)。

     教科書は教師の授業のための教材ですから、独学には全く向きませんし、実際不親切な作りになっています。教科書ガイドは、生徒の予習復習の手間を省略するための副読本ですから、これもまた独学には向きませんし、第一、編集が十分に行われているとは言えないので、間違いや不適切な解説などが山盛りですので、あくまでもガイドで予習、授業で訂正…と言うのが正しい使い方だろうと思います。

     独学をしたい。または、授業の先取りとか、授業よりも高度の内容を学習したいと言うのであれば、ありきたりな解答になってしまいますが、大手出版社の学習参考書の利用と予備校系の受験問題集の活用、この二つの併用が良いと思いますよ。

     大学の入試問題って、最近は下請けで予備校が作成しているところも多くあります。そういう学校の問題は教科書の範囲をしっかり守って作られているので問題ないのですが、昔ながらに大学の教授たちが試験問題を作っているような大学は、平気で高校の学習範囲を逸脱した問題を、今でも、作っています。

     私はチャンスがあって、何度か数校に渡って、その手の大学の作問委員の方々に、その大学の入試問題の問題点をご指摘させていただくという役割を何年間かやっていた事があります。指摘した翌年は、指摘した点について注意してくださいますが、数年たって、作問委員会のメンバーが変わってしまうと、また、元の木阿弥なんですね。

     なので、受験を考えた時、高校の授業だけでは、やっぱり不十分なんです。そこに受験産業が入り込む隙間があるわけなんですが、それは大学が独自の入試問題を作成している限り、決して無くならない問題なんだと認識しています。

     なので、各大学独自の問題をやめて、大学入試を資格試験化(つまり、現行のセンター入試の拡大路線ですね)すれば、教科書の学習だけで十分になりますが、そうなると、受験産業そのものが潰れ、多くの失業者が生まれてしまうので、そんなに簡単な問題ではないと思います。

     常任理事国問題に関して

    >日本の常任理事国入りに反対の国々は多いでしょう。

     多くの国は賛成なので、採決を取れば、そこは割りと簡単にクリアするんです。問題は現常任理事国の拒否権ってヤツで、要するに彼らが「生意気な東洋人を常任理事国入りさせたくない」とか「アジアの盟主は中国一国で十分」とか思っている限り、日本の常任理事国入りは不可能なんです。これは理屈ではなく感情の問題なので、これを突破するためには、ロビー活動(はっきり言えば、袖の下の活用)が不可欠ですが、日本は、変に潔癖なので、ロビー活動で賄賂をばらまいたりとか、ハニーなお接待とかをしないので、まあ無理無理なんですよ。

  3. 通りすがり より:

    簡単なこと。都会は上位層が広くて中間層が薄く、下位層が厚い。秋田は中間層に固まってて賢い奴もバカもいない。
    問題が簡単過ぎて都会のエリート達の学力を正確に測れていない。
    真の実力が出るのが大学受験で、センター平均点は大学進学率の高い都市部の方が100点近く高い。

  4. すとん より:

    通りすがりさん

     お名前の記入が無かったので、ひとまず“通りすがり”さんと呼ばせて下さい。ココログ的には名前は任意ですが、当ブログではハンドルでも結構ですので、次からはお名乗りいただくようにお願いします。

     さて…。

    >問題が簡単過ぎて都会のエリート達の学力を正確に測れていない。

     これは“全国学力テスト”の事を指しておられると思いますが、さすがに勉強エリートたちの学力を計測するには、問題が簡単過ぎるのは確かでしょうね。ただ、学力テストに限らず、なんでも物事の計測には、計測可能な範囲の上限と下限があるわけで、その上限を越えたオーバースペックな人たちの“オーバー”な部分を計測する必要は、学力テストの趣旨を考えるに、必要ないと思います。だから、通りすがりさんのおっしゃっている事は、大きくハズレてはいないと思いますが、あくまでも想像の域を越えていませんし、断言するのは難しいかもしれません。

    >センター平均点は大学進学率の高い都市部の方が100点近く高い。

     そもそも、秋田に限らず、地方の人たちはセンター入試を受験しない人が多いのだから、地方と都会の母集団に質的な違いがあるわけで、それを同様に比較するのは乱暴だと思います。これをもって「地方の人間は100点近く学力が低い」と言うのは、大きな間違いです。物事を比較する際には、母集団の均質性の担保が必要です。

     印象としては、確かに都会の人間の方に学力の高い人間のが多いというのがありますし、私も似たような印象を持っていますが、これだって都会と地方の人口の違いもあって、絶対数としては都会に高学歴者が多かったとしても、人口比率的に考えた時には、それを証明する資料ってのが、私は(勉強不足もあって)知りません。資料が無い以上、想像だけで地方の人をディスってしまうのは、ちょっと違うんじゃないかなって…個人的には考えます。

  5. ドロシー より:

    すとんさん、おはようございます。
    大学進学率は、確かに地方の方が低い傾向はありますが、「無理して東京の一流大学や地元の三流私大に行くくらいなら、専門学校に行って手に職を身に着ける」という意識があるのではないかと思います。
    Fラン大学なら誰でも合格するかもしれないけど、看護学校って、落ちる人もいますよ。公務員や大企業と違って、医療職なら再就職もしやすいですしね。

  6. すとん より:

    ドロシーさん

     まず、都会と地方では、産業構造そのものが違います。地方に行くと…驚くほど職業選択の幅が狭まりますからね。

     まずは…家業を継ぐってパターンがあるわけで、農業や漁業などの1次産業従事か、町の商店や家族経営の企業を継ぐわけです。家業を継がなければ…地方公務員? 就職するとなると…土建業や観光業? 流通関係や交通関係もあるかな? 都会の大企業の工場が進出していれば、そこで働くというパターンもある。あと、地域に根ざして活躍している地方企業も若干あるかな?

     でも、いわゆる企業戦士っぽいリーマンってのは…ないよね。だいたい地方にいる、その手のリーマンは、本社採用の子が地方に飛ばされてくるパターンだもの。地方採用のリーマンなんて…地方企業でもなければ、そうそういるもんじゃないです。

     つまり、地方にいたんじゃ、リーマンになるのは難しいわけで、リーマンになりたい子は都会に出てくるのが普通。で、学歴が一番必要なのは、リーマン志望だったりするわけだから、地方に定住している人って、リーマン志向が薄いわけで、リーマン志向が薄ければ、学歴もさほどはいらない…って事になるんじゃないかな? なんて、最近はチラホラ考えるようになりました。

    >「無理して東京の一流大学や地元の三流私大に行くくらいなら、専門学校に行って手に職を身に着ける」という意識があるのではないかと思います。

     リーマンにならないなら、大学行かなくても十分だし、専門学校で専門技能を身に着けた方が、地方では生きやすいってのは、絶対あると思います。

     そう考えると、リーマンになりたきゃ、都会に出て大学受験もするだろうけれど、そうでなければ、大学受験は考えずに、ぼちぼちと生活していく…ってのが、地方の人のパターンじゃないかな…なんて、勝手に考えたりしています。

  7. ドロシー より:

    すとんさん、そうですよねぇ。
    地方で大卒でないとダメな職業って、かなり少ないですね。
    大企業の支店とか工場というのも、現地採用と本社採用とで、出世のスピードが違う、というのもありますよね。あと、撤退されても、遠方の事業所で雇ってくれないし、行くつもりもない、という方も多いかも。
    確かに、もし地方で働く場合、大企業の地方支店で一般職OLやるくらいなら、専門学校で手に職つけた方が良いかもとは思います。
    今後は、デザイナーやエンジニアとか、場所にとらわれずに在宅でも働ける仕事も増えてきたから、また状況が変わるかもしれませんが。

  8. すとん より:

    ドロシーさん

    >大企業の支店とか工場というのも、現地採用と本社採用とで、出世のスピードが違う、というのもありますよね。

     企業が撤退した場合、本社採用は任地替えで済みますが、現地採用は基本的に解雇です。

    >確かに、もし地方で働く場合、大企業の地方支店で一般職OLやるくらいなら、専門学校で手に職つけた方が良いかもとは思います。

     そう考える人がいても当然です。ならば、高い学費を支払って大学に行くのが遠回りに感じる人がいても、これまた当然です。

     地方で、都会と同じように働くといのうは、そりゃあ無理です。都会には都会の働き方があり、地方には地方なりの働き方ってのがあって、どっちが良いとか素晴らしいとかは無くて、その人のライフスタイルの問題になるだけです。

    >今後は、デザイナーやエンジニアとか、場所にとらわれずに在宅でも働ける仕事も増えてきたから、また状況が変わるかもしれませんが

     いわゆるSOHOって奴ですか? アメリカあたりではボツボツと流行り始めているようですが、人情を重んじる日本では、まだまだ直接顔を顔を合わせて働く…ってのは、重要視されていくでしょうから、なかなかどうして、難しいと思います。

     ただ、都会では事務所を構えるにして経費がかかりすぎますから、会社ごと地方に進出してくるケースが増えてくるでしょうから、そうなると地方の人たちにも、高度な教育と学歴が必要とされる時代が来るかもしれませんし…来ないかもしれません。

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