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なぜ、May J.は嫌われるか?(そしてなぜ、小林幸子は愛されるのか?)

 今年の日本のオペラ&ミュージカル系の一番の話題は、なんと言ってもディズニー映画の「アナと雪の女王」(以下“アナ雪”と略)のヒットでしょう(すとん周辺調べ:笑)。そして、このミュージカルのキラーソングが「Let It Go ~ありのままで~」(以下“レリゴー”と略)です。

 この曲を歌っているのは、英語版(つまりオリジナル)では、劇中でイディナ・メンゼルが歌い、主題歌としては(つまりエンドロールでは)デミ・ロヴァートが歌っています。日本語吹き替え版では、劇中歌唱が松たか子さんで、主題歌としてはMay J.さんが歌っています。

 ちなみに、曲そのものは、イディナ・メンゼルが歌う事を前提とし、彼女の声に合わせて作曲されたそうです(ミュージカルソングですからね、ある意味、当然と言えば当然)。

 まあ、オリジナルの英語版はさておき、日本では、ディズニー映画のアニメ映画として上映された事もあり、多くの劇場で日本語吹き替え版で上映されました。私も、こっちの吹き替え版でみたクチです。

 まあ、ミュージカルというモノは、作曲家が作曲した本来の言語(歌詞)ではなく、上演される現地の言語に合わせた訳詞で上演されるのが常識です。ですから、アナ雪を日本語吹き替えで見るのは、当たり前と言っちゃあ当たり前なんです。とは言え、大抵のミュージカルは、日本語に訳されると残念な感じがする場合が多く、音楽的にはついつい、ブロードウェイとかロンドンとかのオリジナル・キャスト盤で聞いた方が満足できるものですが、このアナ雪に関しては、英語版のオリジナル・サウンド・トラックでの歌唱よりも、日本の吹き替え版の歌唱の方が、どの曲も数段良いのだから驚きです。

 それもあって、レリゴーは日本でヒットしました。あっちこっちのランキングで1位を取りまくるほどです。

 さて、日本でもヒットしたアナ雪ですが、ヒットのおかげもあって、主人公のアナの吹き替えを担当した神田沙也加さんと、主題歌を担当したMay J.さんは、一時期テレビで見ない日はないほどの人気者となりました。しかし、事務所の方針なのか、契約の問題なのか、もうひとりの主人公であるエルザの吹き替えを担当した松たか子さんは、アナ雪関係でのテレビ出演はありませんでした。

 そのため、大ヒット曲であるレリゴーは、テレビでは専らMay J.さんが歌っていたわけです。そして、May J.さんがテレビでレリゴーを歌うたびに、ネットを中心にMay J.叩きが起こっていたわけです。つまり、レリゴーはヒットしたけれど、May J.さんは嫌われていたわけです。

 なぜそんな事になったのでしょうか?

 一つには(私も含め)皆さん、レリゴーは松たか子さんの歌で聞きたかったんだと思います。それなのに、松たか子さんではなく、May J.さんばかりがテレビで歌っていたので、いわば、八つ当たりに近い形で、May J.さんを叩いていた…という側面はあると思います。理由がこれだけなら、May J.さんは、いい迷惑だと言えます。

 もう一つの理由として、May J.さんの歌そのものに問題があったので叩かれた…という点を見逃してはいけないと思います。

 レリゴーはミュージカルソングです。松たか子さんは、この曲をミュージカルソングとして歌っています。しかし、May J.さんは、これをJ-POPとして歌っています。実はミュージカルとJ-POPでは音楽ジャンルが違いますし、歌唱法もかなり違います。ある意味、演歌とフォークソングほどに違います。演歌歌手による演歌が聞きたいのに、フォークシンガーの歌う演歌を聞かされたなら、そりゃあ文句も出ます。つまりはそういう事です。

 しかし、音楽ジャンルや歌唱法による違いは大きいのですが、それを乗り越えて、人々に受け入れられる事だってあります。例えば、最近ではラスボスとも呼ばれている小林幸子さんがそうです。

 小林幸子さんは演歌歌手ですが、最近は色々とあって、テレビなどの露出が控えられていますが、その代わり、ニコニコ動画で歌っています。それも得意の演歌ではなく、ボカロ曲を歌って人気を博しています。

 彼女は演歌歌手だし、彼女の歌い方は、演歌そのもので、ボカロ曲とは本来相容れないスタイルですが、それがどうして、彼女の歌うボカロ曲はなかなか素晴らしいんですね。曲によっては、本来のボカロ曲のスタイルで歌われたモノよりもずっと良かったりします。

 音楽ジャンルや歌唱法の違いを乗り越えて受け入れられる小林幸子さんと、嫌われるMay J.さん。この違いはどこにあるのかと言うと…彼女らの歌が聞き手の心に染みこむかどうか…じゃないかな? 小林幸子さんの歌は、ちょっと聞きだと違和感バリバリで変なんだけれど、じっくり聞くと、その歌がすーっと心に染みこんできます。これだけ歌が上手くて説得力があると、音楽ジャンルや歌唱法の違いなんて、どうでも良くなってしまうんですね。

 一方、May J.さんは、カラオケ系歌ウマとして有名な歌手さんらしいのですが、カラオケ採点機との相性は良いみたいですが、どうにもこの人の歌は、心に染みこんでこないような気がします(私だけ?)。

 May J.さんの場合は、歌が乾いているというか、歌の中に強い情念を感じないんだな。彼女なりに感情を込めて歌っているのかもしれないけれど、少なくともそこに込められた感情は、我々日本人が読み解けるような種類の感情ではない…のかもしれません。

 はっきり言っちゃえば、日本語が話せない外国人歌手が、耳コピーで上手に真似た日本の歌を歌っているように聞こえるんです。歌として間違っていはいないのだけれど、何か物足りないし、どこかズレているんです。特にレリゴーの場合、松たか子さんも歌っています。松さんの歌は、キャラクターが生きているし、キャラの思いがこもった歌い方をしています(ミュージカルソングなら当然の歌い方です)。そんな松さんの歌と、どうしても比較されて、その結果が欠点が余計に目立つんだなあ。

 May J.という芸名から、私は彼女は日本人ではないのかと思ってましたが、この方、日本生まれの日本育ちの日本人なんですね。ただし、いわゆるハーフの方で、学歴は中学校までは日本の学校で、高校はアメリカンスクールを出たようです。もしかしたら、原因はそこにあるのかもしれません。

 普通、アメリカンスクールを卒業したとしても、生まれ育ちが日本である以上、人間の中身はほぼ日本人に成長するわけですが、彼女は何らかの事情で、人間の中身の日本人成分が薄くなるように育ってしまったのかもしれません。それで、日本語や日本人としての感情表現が苦手なのかな? そんな気がします。

 いずれにせよ、彼女は日本語の歌い手としては、かなり未熟さを感じさせる歌い方をしています。そこが受け入れてもらえない点なのかな?

 あと、私などは雑誌記事などがネットにアップされたものを読むぐらいしか、彼女の人となりを知るすべはありませんが、そのアップされた雑誌記事を読む限り、この方、日本人っぽくない性格なのかな…なんて思います。我が強い人みたいです。言い訳も多い感じだし。アメリカあたりなら、それでもいいんでしょうが、日本では、言い訳をする鼻っ柱の強い女性って、愛されないんだよね。私のようなオッサンには、そういう性格も嫌われる原因かもしれませんね。

 レリゴーは今年を代表するヒット曲ですし、当然、紅白でも歌われる事でしょうね。やはり、これまでどおり紅白でも、May J.さんがレリゴーを歌われるのかしら? これだけ不人気なのに、紅白に出場してレリゴーを歌ったら、大晦日の晩に総スカンを喰らいかねません。お茶の間の子どもたちはキョトンとしてしまうかもしれません。一体どんな騒ぎになるんだろ? 今から心配しています。

 と言うわけで、最後は松たか子バージョンのレリゴーでした。やっぱ、レリゴーは、こっちだよね(笑)。

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コメント

  1. wasabin より:

    クラッシックばっかり、歌も、踊りも、なので、世情に疎くて、そんな風潮なの知りませんでした。 
    「アナ雪」も素通りしているはずの所、この所滅多に行かないジャズダンスの先生が年初辺りに、多分、イディナM版で踊らせてくれたので知った次第です。
    すとんさんトコで思いがけなく生活反省です (笑)

    歌を1、松たか子 2、 May J 3、イディナ 4、 Demi 5、その他、
    を聞きました。 2、は完全にPopsですね。 面白いことに、日本語版は声が高い、反面英語版は奥深い声。 
    それは民族的に声帯が違うと感じますし、 風土もあると思います。
    昔ムカシ、とある都市で教育を受けてた時、先生曰く、仕事では低く落着いた声を出しなさい。
    落ち着いた声は、日本でも最近では上昇志向の仕事女子にも受け入れられている様です。
    が、かつて日本では、特に地方の商店街のスピーカーからは、ネトッとした上甲高い声が響いてました。(知ってます?)

    歌の好みは各々、、個人的にはイディナ派です。
    それと、昔の商店街のアナンス嬢の声は生理的に受け付けないんですよ。

  2. すとん より:

    wasabinさん

     そりゃあ、イディナ版はオリジナルですから(笑)。歌は素晴らしいです。ただ、アニメのキャラの絵と声質が合わない。つまり、役者と声が合っていない…ような気がするんですね。あの絵なら、イディナの声よりも松たか子の方が合っていると思います。ただ、単独の歌としてなら、イディナの方がいいかも(いや、絶対にいいです)。でも、ミュージカルのソングとしては…松たか子の方がいいんじゃないかな? たしか、ディズニー本社の人たちも「アメリカ版の吹き替えよりも、日本語版の吹き替えの方が、役者が良い」って言ってたと思います。

    >日本語版は声が高い、反面英語版は奥深い声。

     日本語版は、声が高いのではなく、声が平たくて浅い上に、低音が響かないし、倍音が少なくて、キンキンしているんです。でも、これは松たか子の責任ではなく、日本語って、そういう言語なんです。そういう声で話すことが前提となっている言語なんです。外人のような奥深い声で日本語を話されると、モグモグした感じになって聞きづらいったらありゃしません。

     もちろん、骨格や声帯の違い、風土や環境の違いもありますが、浅い声は日本語の特徴です。二ヶ国語以上話す人だとよく分かりますが、使用する言語で、声の音色が変わりますよ。

    >、ネトッとした上甲高い声が響いてました。(知ってます?)

     物売りの声ですね。昔は、市場のお兄さんたちや、八百屋、魚屋の店頭で商いをする人たちは、みな、その手の発音をしていました。ノドをしっかりと締めて、かすれた甲高い声でしゃべる(ってか、叫ぶ)と、周りの人たちと、あまりにも声色が違うので、雑踏の中でも声がよく通るんですね。最近では、拡声器の性能が良くなったので、その手の声でしゃべる人が減りました。

     でも、あの手の物売りの声って、詩吟とか義太夫とか浪花節とかの発声に通じるものがあると思います。とは言え、歌舞伎の舞台などで歌われている、正統な邦楽系の発声とは違うと思うんだよねえ。

  3. 椎茸 より:

    この歌を歌う機会があったので譜読みをしました。

    松たか子ver.を聴くと、あーこの人本当にそつがないよなーって思います。
    優等生的な歌い方です。なので、譜読みするときには便利でした。
    ただ、これが歌としていけてるのかどうかといわれると何ともいえない感じです。

  4. すとん より:

    椎茸さん

     レリゴーは世界中の色々な歌手たちが歌っています。今の時代、YouTubeを漁ると、たくさんヒットしますから、その中から好みの歌手の歌唱で選べるので、良い時代になったなあと思います。

     さて、椎茸さんは、May.J派という事でよろしいでしょうか? “優等生的な歌い方”と言うのは『楽譜に書かれた通りに歌っているけれど、中身は無いよね』という意味で使われているとしたら、私はよっぽど、May.Jさんの方が、そんな感じだなって思ってます。ただ、私は単純に、音楽ジャンルとしては、J-POPよりもミュージカルの方を好みますし、レリゴーもミュージカルのソングとして捉えていますので、松さんの方に軍配を上げてますが、音楽ジャンルの事を無視して、個人の好みだけで考えると、人によって結論が違うでしょう。

     私も音楽ジャンルの事を無視して、個人の好みだけで考えると、レリゴーはオリジナルのイディナ・メンデル版が一番いいかな?…なんて考えてます。もちろん、ミュージカルのソングとしては、オリジナルのメンデルよりも、松さんの方がいいとも思ってますが、歌としては、やはりオリジナル歌手の方に軍配を上げざるを得ません。

  5. wasabin より:

    再コメは原則しないのですが、今回はさせてくださいな~(笑)

    >、ネトッとした上甲高い声が響いてました。(知ってます?)
    話題が邦楽に広がったのは面白いのですが、、言いたかったのはアナウンサーの声です。
    戦後30年位?は商店街アナウンサーだけでなく、国営放送もそんな女性アナウンサーだったんじゃないかな~

    下記は栃木県内の報告書「教師の声」。
    http://tochigi1.tcn.ed.jp/tochigi/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA/?action=common_download_main&upload_id=2880
    その一部、引用始め
    女性アナウンサーの低音化進む
                   198-269hz→191-242hz
    アメリカのアナウンサー159-202hz
    「ニュースの場合、低音の方が落ち着いて聞きやすく、信頼感があるため、低い声を
    鍛えなさいと指導するようになった。」
    トーンが高いと相手を疲れさせる。ヒステリックに聞こえる。引用終わり

    まあ、勘違いでもどうって事ないんですけどネ (笑)

  6. すとん より:

    wasabinさん

     いわゆる“よそゆきの声”?と思ったのですが、女性教師の例をあげているところを見ると、違うのかな?

     ちなみに、最近の女性教師は、甲高い声を出している人なんて、地域にもよるのかもしれませんが、私の地域では、とっくの昔に絶滅しちゃってますよ。女性教諭も地声で話す方ばかりで、昔のような軽やかな高くて澄んだ声で話される、お嬢様風の先生はめっきり減りました。そして今は、声だけでは男女の区別がつかないくらい、ドスの聞いた低い声で話す女性教諭も増えました。おまけに使う言葉も、男言葉で乱暴でガサツだったりします。男女同権、ユニセックスも悪くは無いのでしょうが、オジサン的には寂しかったりします。

     そうそう、いわゆる女性の“よそゆきの声”も減りましたね。若い女性たちは、ほとんど使っていないようです。でも、今でもオバサンたちは使ってますよ(ウチの妻も電話などでは使ってます)。

     それと、いわゆる“女言葉”を使わない女性も増えてきましたね。妻も皆無ではありませんが、あまり“女言葉”を使わない人です。ですから、日常的に“女言葉”を使う方を見ると、ほっこりする私です。

     おそらく、世代によって、そのあたりはだいぶ違うようです。

  7. 名無し より:

    may jは英語の発声で歌っているからダメ

  8. すとん より:

    名無しさん

     お名前を名乗られないので、勝手に“名無し”さんと命名しました。次からはハンドルでも結構ですので、ぜひ名乗っていただけると幸いです。名前の無い方は、どうも呼びにくくてかないませので、よろしく。

    >may jは英語の発声で歌っているからダメ

     いやいや、ポップス系の歌手たちは、日本語を英語流の発音で歌う人たちがたくさんいますから、それだけが理由ではないと思いますよ。英語の発音で日本語を歌うのがダメなら、サザンオールスターズの桑田さんは、真っ先にダメでしょ(笑)。

  9. 名無し より:

    発音じゃなくて私は発声の話してるんですけど

  10. すとん より:

    名無しさん

     前の発言で私が書いたとおり、反論をなさるなら、ぜひ名乗られて欲しかったですよ。これ、基本マナーです、よろしく。

    >発音じゃなくて私は発声の話してるんですけど

     発音と発声を切り離し考えるのは、難しいですね。これは何も英語に限らず、イタリア語でもドイツ語でもフランス語でも一緒です。なので…、

     ポップス系の歌手たちは、日本語を英語流の発音/発声で歌う人たちがたくさんいますから、それだけが理由ではないと思いますよ。英語の発音/発声で日本語を歌うのがダメなら、サザンオールスターズの桑田さんは(英語の発声で歌っているので)真っ先にダメでしょ(笑)。

     …となります。

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