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帝国劇場で「レ・ミゼラブル」を見てきました

 標題の通り、今流行りのレミゼの舞台版を見てきました。

 今回、帝国劇場で上演されているのは『新演出版』というモノで、1985年から使われていた旧来の演出版ではなく、2010年から世界各地で使われている新しい演出によるレミゼでした。…とは言っても、私は旧演出版は知らないので、今回の新演出版が私にとっての、舞台版レミゼであって、比較してしまうのは、映画版のレミゼだったりします。

 帝劇の舞台版…となると、私はあらかじめハードルを下げて見に行くことにしていますが、今回のレミゼは、先月見た『エニシング・ゴーズ』ほどの手放しでの称賛は出来ないまでも、水準以上のなかなかに素晴らしい公演でした。つまり、良かったと思います。

 考えてみると、私が辛い評価をしてしまった『エリザベート』にしても『モーツァルト!』にしても、ドイツミュージカルであって、リーヴァイの作品なんですよね。もしかすると、リーヴァイ作品って歌うのが難しくて、日本人キャストではまだまだ手に負えないとか? なんとなく、そんな感じがしてしまう…なんて書くと『レディ・ベス』の公演に水を差しかねませんが、そんなつもりはありません。ぜひ近作の『レディ・ベス』では、客席をうならせるような上演を期待してます。ちなみに『レディ・ベス』は来年の4~5月に上演予定で、ベスってのは…エリザベス1世の事です。まあ『レディ・ベス』も良いけれど、私は来年の7~8月にやる新演出版の『ミス・サイゴン』の方が楽しみかな?

 閑話休題。例によって、妻の車椅子を押しながら帝国劇場に向かいました。先月は最寄りの有楽町駅まで電車で行きましたが、乗り換えにかかる時間(車椅子だと、たかが乗り換えでも、通常の何倍もの時間を使ってしまいます)を考えて、東京駅から直接、帝国劇場を目指したところ、約15分ほどで到着しました。経路は、丸の内南口から地下に入って、KITTEを通り抜けて、地下道経由で国際フォーラムに入って、フォーラム内を横断して、地下鉄有楽町駅の改札側に出て、そこから帝国劇場に地下道経由で入りました。地下道なので、信号もないし、サクサクと進みました。まあ、数カ所でエレベーターやらリフトやらを利用せざるをえなかったのですが、それはまあ良しとしましょう。これくらいの距離なら、電車に乗らない方が楽で早いというわけですね。

 今回の座席は、正面のブロックだったのですが、舞台からはかなりの距離がある席だったので、オペラグラスを持参しました。10倍程度の倍率のモノでしたが、これが結構便利でした。私の席からでは、舞台全体は見えるけれど、役者の細かな芝居は見えないし、顔の判別なんて無理でしたが、オペラグラスを使えば、かなりのアップで見れるので、役者の表情まで見れて、グッドでした。オペラグラスの有無は、観劇の感動と直結するかもね。

 私は映画版でレミゼに親しんだ人なので、どうしても映画版との比較をしてしまいますが、映画と舞台との表現方法の違いこそあれ、どちらもそれぞれに長所があって、捨てがたいのですが、私の個人の趣味で言えば、舞台版の方が好きかな? と言うのも、舞台版の方が、歌がしっかり歌われているんですね。映画版では、歌はあくまでもセリフの延長でしかなかったのですが、舞台はむしろ歌が中心で、セリフはあくまでも歌の延長としての扱いでした。歌好きな私にすれば、舞台版の方が良いのは、当然とも言えますね。

 ただ、ストーリーの説明などは、舞台版はやや舌足らずな感じは否めません。あらかじめ映画版を見て、ストーリーを熟知していた私は、あれだけのスピーディーな舞台展開に付いていけましたが、予備知識無しで舞台を見た人は、あのめくるめく展開に、果たしついていけるか、ちょっと心配になりました。その点、映画版は、ストーリー描写が丁寧で分かりやすいのが良いですね。

 歌がしっかり歌われている…と私は書きましたが、あえて苦言を言うと、バルジャンが歌う「彼を帰して(Bring him home)」、この曲はこのミュージカルを代表する名曲の一つなんですが、これに関しては映画版の方が良かったです。私が見た日がたまたまだったのか、舞台版の演出ではそう決まっているのか、あるいは私が見た日の役者さんはそうだけれど、他の日の人は違うのかもしれないけれど…とにかく「彼を帰して」をファルセットを多用して歌ったのには、とても残念な気がしました。それも、それまでのバルジャンの力強い歌声とは全く違った、いかにもファルセットでございますという弱々しくて女々しい声で歌われてガッカリしました。映画版では、ミュージカル俳優でもないヒュー・ジャックマンですら、頑張って歌った曲なのに、これはあんまりだなって思いました。

 この曲は有名な曲なので、自宅に戻ってから、色々な歌手たちが歌っているバージョンを漁ってみましたが、やはりファルセットで歌っている人はいませんでした。この曲は、しっかり魂を声に入れて歌うべき曲…ではないでしょうか? たまたまなら私の不幸ですが、もしも演出の都合で歌手にこの曲をファルセットで歌わせているのだとしたら、それは残念だと思うし、この曲に最初に触れるのが、舞台版なら、悲しい事だなって思いました。

 でも、この1曲ぐらいかな? 私が残念に思ったのは。

 実は、配役表を見て、テレビタレントさんや有名芸能人の方々がたくさん出演されていたので、あまり期待しないで見たのてすが、テレビタレントさんたちも、きちんとそれぞれの役としてきちんと演じられていたので、良かったです。

 そうそう、コンピューター制御の“動く書き割り”はなかなか良かったと思います(正式名称は何と言うのでしょ?)。バルジャンが下水道を彷徨うシーンとか、シャベールの投身自殺のシーンでは、その劇的効果に思わず唸っちゃいました。

 役の性格づけが映画版とはかなり違っていました。映画版では頼りなかったコゼットとマリウスが舞台ではきちんとした存在感を示していました。逆に、フォンティーヌの落ちっぷりは映画版の方がエグいかな? エポニーヌは表現方法は違いましたが、どちらも悲劇のヒロインとして美味しい役ですね。バリケードのシーンは…舞台も迫力はあるけれど、やはり映画の方がすごいかも…。

 まあ、なんだかんだ言っても、舞台版のレミゼは、良いミュージカルだと思います。残念なのは、帝国劇場ってロングラン公演をしないんですよね。泣いても笑っても、帝劇のレミゼは11月でお終い。劇団四季のように、当たった作品はロングランをしてくれると、見る方も安心して何度も見に行けるんですがね。ちょっと残念です。

蛇足 帝劇の売店で『エリザベート』のテアター・アン・デア・ウィーン公演のDVDを買いました。これ、たぶん、すでに日本盤は廃盤になっている奴ですね。現物限り関係部署にて販売…って奴かもしれません。なかなか時間がないので、見れないのですが、お正月休みにでもなったら、じっくり腰を据えて見たいと思ってます。ああ、楽しみ。

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