ポピュラー音楽とクラシック音楽には、実に様々な違いがあるのですが、今、私が考える、大きな違いの一つとして『テンポの揺れ』があげられます。
テンポの揺れ…つまり、一曲の中で、部分的に早くなったり遅くなったりして、演奏効果を生みだす演奏テクニックであり、このテクニックを多用するのがクラシック音楽であり、逆にポピュラー音楽は、基本的にテンポは一定のままで、音楽が進行していきます。(ポピュラー音楽でテンポを揺れ動かすと“かっこ悪い”とか“ダサい”とか“くどい”とか言われます)。
ポピュラー音楽では、打楽器の地位が高く、これらによって、一定テンポで繰り返し刻まれるリズムが、音楽の要です。繰り返されるリズムを聞くだけで、これはロック、これはボサノヴァ、これはテクノと、音楽の種類やジャンルが容易に判別できる程です。
一方、クラシック音楽にだってリズムはありますし、打楽器だって存在していますが、ポピュラー音楽ほどに、リズムが強調されるわけではありません。クラシック音楽では、リズムよりも、メロディーやハーモニーが強調されます。そして、メロディーを強調するために、しばしばテンポを揺らして演奏されるのです。
ソリストならともかく、合奏でのテンポの揺れは演奏事故につながりやすいモノです。そのために、オーケストラでは指揮者という、テンポリーダーが生まれたのでしょう。指揮者が示すテンポにオーケストラ全体が合わせる事で、一糸乱れぬままに、様々なテンポに対応した演奏が可能になるわけです。
そこへ行くと、ポピュラー音楽の演奏では、一定のテンポでリズムを刻んでくれる、腕のいいドラマーの存在があれば、指揮者は特に不在でもかまいません。
逆にクラシック音楽では、テンポを一定に刻んでいくドラマーは不要で、曲想に応じたテンポを的確に表現して伝えることのできる、腕のいい指揮者が必要なわけです。
となると「吹奏楽にも指揮者がいるんだから、吹奏楽はクラシック音楽でしょ?」と言う方がいらっしゃるかもしれませんが、私は、それはちょっと違うと思います。と言うのも、吹奏楽における指揮者の役割は、テンポリーダーと言うよりも、テンポキーパーである事が多いからです。いや、テンポキーパーと言うよりも“演奏お目付役”とでも言った方が良いかな? バンドの精神的支柱と言うか、バンドの要と言うか、まあ、そういった役どころであって、実際の音楽作りは、本番の指揮ではなく、練習の時に丹念に作っておくのが吹奏楽ですから、そこはクラシック音楽の指揮者とは、かなり役割が違うと思います。
…と書くと、また吹奏楽関係者の方々から一言二言あるかな? まあ、所詮は素人オッサンの戯れ言って事で、ご勘弁してくださいな。
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コメント
あと、ppからffまであるのがクラシックで、ポピュラーはほとんど一定では?
河童さん
他にも、ヴァイオリンがブイブイ言わせてるのがクラシックで、ギターがオラオラ言わせてるのがポピュラーだったり、電気使わないのがクラシックで、マイク使用が大前提のポピュラーとかまあ、色々違いはあるようです。
実は、今を生きる音楽がポピュラーであり、時間を生き延びた音楽がクラシックという違いもあって、私はこの定義が一番しっくり来るかな? って思ってます。
タイトルをみただけで、即効、
「そりゃーマイクの使用・不使用でしょう」
と思った私は歌のことしか考えていない奴でした・・・
お恥ずかしい。。。
>時間を生き延びた音楽がクラシック
エディット・ピアフなんかもちょっと前ですが、300年前のヘンデルとは比べ物になりませんもんね!
(ピアフの声が好きです)
でもJ.A.ハッセなんて300近いオペラをつくったと言われるのに、あまりスコアが完全には残っていなくて、
当時の人は「時間を生き延びる」って考えていなかったんでしょうねえ。
今を生きる糧として作曲してたんでしょうね。
Velvettinoさん
いやいやいや、マイクの使用/不使用も、当然、クラシックとポピュラーの大きな違いですよ。
あと、クラシックは作曲家中心主義に対して、ポピュラーは演奏家中心主義の違いがありますね。例えば、ピアフは演奏家であって、ヘンデルは作曲家でしょ? 主役の違いもあります。
>今を生きる糧として作曲してたんでしょうね。
それはクラシックも同じですよ、モーツァルトなどは生活のために、曲を書き飛ばしていたんですから(笑)。ただ、良い音楽は時代を越えて残っていくわけだし、これからは、今はポピュラー音楽と呼ばれるモノも、時代を越えて残っていけば、クラシックとは呼ばれないかもしれませんが、クラシック音楽同様の扱いを受けることになっていく思います。
例えば、ビートルズの音楽は、ビートルズのすべてのメンバーが死んだ後も、若い世代に聞き続けられていくんじゃないかな? そんな気がします。
細かく考えると難しいねすな〰
発祥に舞踏があったかどうかの点が大きいかなと思ってます。だからテンポは
一定にしないと。
でも、じゃあワルツはどうなのかと言うと・・・。
それにサラバンドもジークもみんな元は踊りですね。
昔行ってたことがあるジャズ喫茶で聞かされたフリージャズとやらはテンポどころか、拍を数えることなんか全然できなかったような。できの悪い現代音楽のようでした。売れる音楽はレベルが低いなんて、変な思い込みが昔はジャンル問わず流行ったことがあるようです。
結局、時代を経て残ったか否か。それだけじゃないでしょうかね。クラシック音楽とは時代によって更新されていくものなのでしょう。現世に生きる我々には知り得ないことではないでしょうか。
ロック、シャンソン、タンゴ、ジャズ、色んなものの選ばれた部分が最後はクラシックになっていくような気がすますね。今までもそうだったのでは
syosutako inochiさん、いらっしゃいませ。
たしかに細かく考え始めると難しいですね。まあ、細かく難しく考えるのは、プロの評論家の方々に任せて、素人のオッサンは(部分的には間違いを含んでいるかもしれませんが)単純に考える事にしています。だって、その方が、話が分かりやすいじゃないですか?
って、それはともかく。音楽と舞踏の関係は、切っても切れない関係ですね。クラシックも、いわゆるバロック音楽などは、完全に舞踏の音楽ですものね。だから、ジャズの方が“クラシックをカバー”ってなると、必然的にバロック音楽になるのかな? ビートルズもロックとクラシックの融合とかやってましたが、あのクラシックって奴は、いわゆるバロック音楽でしたからね。
クラシック音楽も、元々は舞踏の音楽だったはずですが、いつしか舞踏から切り離されてしまったのかもしれません。モーツァルトはまだ舞踏音楽を書いてますが、ベートーヴェンの音楽に舞踏音楽ってあったかな? シューマンやブラームスは? おそらく、そうやって、音楽と舞踏が切り離されてしまったので、ヨハン・シュトラウスのような、思いっきり舞踏寄りの音楽が発生したんだろうと思います。
それはさておき。
>結局、時代を経て残ったか否か。それだけじゃないでしょうかね。
うむ、私もそう思います。
>ロック、シャンソン、タンゴ、ジャズ、色んなものの選ばれた部分が最後はクラシックになっていくような気がすますね。
私は、それは無いと思います。と言うのも、クラシック音楽には“ヨーロッパ民俗音楽”という側面があります。ですから、もしかするとシャンソンは、フランス歌曲の一部としてクラシック音楽入りをするかもしれませんが、ロックやジャズはアメリカ音楽ですし、タンゴは南米音楽(ラテン音楽)ですからね。音楽のルーツが違うので、クラシックにはならないと思います。では、そういう曲の中から、時代を生き抜いてきたものを何と言うのかといえば“スタンダード・ナンバー”と呼ぶんだろうと思います。
ある意味、クラシック音楽もスタンダード・ナンバーの一種と言えると思います。
すとん様、いつも楽しく拝見させていただいてます。
旬を過ぎた話題ですが書き込みお許しください
えーと、フリージャズにもエエもんはありますよって宣伝させてくださいw
syosutako inochiさんの意見はよう分かります。普通の神経してたらあんなもん
聞けませんわな。玉石混淆ですし。ただ、きちんと玉も混じってまっせ。
セシルテイラーなんか、じっくり聞き込めば、しっかりと設計構築された音楽だって
ことが分かります。きれいなメロディーは無いですが、なんというか音楽に生命力が
漲ってますし。発想の面白さとか、ジャズの伝統と前衛風とをどう調和させてるか、とか
色々考えて聞くと面白いもんです。italian instabile orchestraみたいな
ジャズとクラシックとフリージャズと欧州歌謡がごっちゃになったような聞きやすいもんも
ありますし。
ま、単に無茶苦茶してるだけ、現音まぶしてるだけ、小難しくしてるだけってのも山とありますが。そもそもフリージャズなんかポピュラー音楽ですらないですわな。音楽の内容どうこう
以前に商業価値がそもそもない。誰にも聞かれていないし
スコモロヒさん、いらっしゃいませ。
フリージャズが誰にも聞かれていないは、ちょっと自虐的かな? 好きな人にはたまらいない音楽のようですからね。ただ、興味を持っても、簡単に聞けない…という、ハードルの高さはあります。東京はともかく、ちょっと地方になると、なかなかジャズの生演奏自体を聞くことが難しくなるし、ましてやフリージャズとなると、ほぼ無理って地域もたくさんあります。私が住んでいる湘南でも、ジャズスポットはいくつかありますが、フリージャズが聞けるトコロってなると…かなり真剣に情報を集めないと難しいかもしれません。
今は生活が忙しくて、色々なものに手を伸ばす余裕がないのですが、余裕ができたら、フリージャズを始めとする、トンガった音楽もまた聞いてみたいと思います。とりあえず、今の私は、日々疲れ切っていますので、今はトンガった音楽よりも、癒し系の音楽だったり、古典音楽だったりを、ココロが要求していますので(マジでね)。