まず、最初に書いておきますが、楽器としての善し悪しと、楽器の値段って、直接関係ありません。庶民的な価格帯の楽器の中にも素晴らしい楽器はあるし、高いばかりで値段ほどの素晴らしさを感じられない楽器もあります。
それに日本のクラシック系の奏者はゴールドフルートなどの高価なフルートを使う方が大勢いますが、海外のプロだと、普通に総銀フルートを使っている人もかなりいるし、ポピュラー系のプロ奏者だと、洋銀系のフルートを使っている人も少なからずいます。
だから、楽器の善し悪しを値段で判断するは間違っています。
………しかし、それも程度の話であって、やっぱり、安すぎる楽器は辞めておいた方がいいと思います。もちろん、あえて「地雷を踏んでみたい」というチャレンジャーの方は、除きます(笑)。
私がフルートを始めたばかりの事を思い出しても、フルートって高い楽器だよなあ…って思ったものです。楽器屋に行って、フルートのカタログをもらってきて眺めてみると「……20万円? 40万円? こっちは100万円?? これは150万円? 一体、こんなもの、誰が買うんだよ~!」ですよね。この値段を見ると、せっかくフルートを買って始めようかなって思っていた気持ちが萎んでしまいます。
だって、ギターなら、4~5万円あれば普通の楽器が買えるし[電子]ピアノだって、そのくらいから買えるでしょう。なのに、フルートって…高いよなあ。もっと安いのはないかな…? って思っても不思議はないです。
そこでネットを漁ってみると、新品で一万円程度のフルートが売っているじゃない。さらに、オークションに行けば、もっと安いフルートだってある。これくらいなら買ってもいいかな……フルート、始めてなんだし、吹けるようになるかどうか分からないし、まずは安い楽器を買ってみて、本気でやる気になったら、その時にちゃんとした楽器買おう!
…そんな気持ちになって、ついつい画面をクリックしたくなるでしょう。その気持ちも分かります。
でも、ちょっと待った。本当にそれでいいのかな?
実は、私が最初に購入したフルートは、一万円の中国フルートでした。私の場合はネットではなく、リアルなお店に並んでいたものを衝動買いしてしまったのですが、ネットとリアルの差はあっても、似たようなモンです。私も、そういう安いフルートから始めました。
その中国フルートは、結局、半年弱しか吹きませんでした。すぐに別のフルートに買い換えました。その理由は…中国フルートを買った当時は衝動買いで独学のつもりでしたが、やがてフルートの先生についてフルートを真面目に始めたところ、その先生から「フルートを買い換えましょう」と言われたからです。
買い換えて良かったと思いました。と言うのも…やはり一万円のフルートは、所詮、一万円なりのフルートだったからです。
私の買った中国一万円フルートは……音痴でした。低い音はより低く、高い音はより高くという、極端に走る傾向がありました。また、どんなに頑張っても、低いドやレは出ません。フルート始めて3年になる今でも、中国フルートでは低い音は出せません。普段使っている日本フルートなら楽々出せますが。
また楽器のバランスが悪いのか、中国フルートは持った感じが重くて吹きづらいです。それにキーが堅くて、カクカクしていますし、結構指に力が入るので、指がバタバタ動いてしまうし、吹いていると疲れます。
結論を言えば、一万円のフルートは一万円なりの楽器だったわけで、はっきり言って“粗悪品”でした。でも、私はこの楽器を買った事で、フルートを吹き始めたわけですから、たとえ粗悪品と言えども恩人(恩楽器)である事には変わりありません。フルートを始めるきっかけを作ってくれた楽器に対する感謝の気持ちは持っていますが……「安物買いの銭失い」だったのかと聞かれれば「そうですね」としか言えません。
できれば、フルート初心者さんが、この価格帯のフルートから入門するのは、色々と大変なので、それはお辞めになった方がいいと思います。つまり「一万円のフルートは安すぎます」って事ね。
残念な事ですが、フルートはやっぱり“高価な楽器”なんだと思います。
初心者の方はご存じないと思いますが、フルートって、定期的に調整(メンテナンス)をしないと、きちんと演奏できなくなる、弱々しい楽器なんです。その調整の間隔だって、最初は三カ月から半年置きぐらいでお願いするものです。費用は…無料調整サービスをやっているお店なら良いのですが、そうでないと、定期調整だけで5000円程度かかります。
たかが調整に5000円もかかる楽器が、1万円で買えると考えるのがおかしいでしょ。やっぱり、ある程度ちゃんとしたフルートが欲しいと思ったら、それなりの予算が必要となります。具体的に、どれくらいの予算ならどんなフルートが買えるか、つまり、フルートの価格帯の話は、先月の「落ち穂拾い」である「梅雨明け前なのに気温30度越えは反則だと思う」の中の「フルートの相場」で書いたので、興味のある方は、そちらをご覧ください。
フルートを買おうと思ったなら、悪いことは言いません。ネットはやめて、リアルなお店にしましょう。なぜなら、調整も含めて、フルートにはアフターサービスが必要なのですが、ネットのお店って、基本的に“売ったら売りっぱなし”のところが多いので、そこは多少の出費は覚悟して、リアルなお店で面倒を見てもらった方が良いです。
ただ、リアルなお店なら安心かと言うと…あんまり怪しい店はパスした方がいいですね。不況も長引き、ここ数年、楽器店がつぶれています。チェーン店なら自分が購入した店がつぶれても、同チェーンの他店で面倒みてくれますが、そうでないと、色々と面倒くさいですよ。
また、ちゃんと作られた日本製のフルートなら、かなり安価なものであっても、5~10年は使えますが、それ以上の年月の使用では、メッキの剥がれとか、本体の腐食などがあって、継続使用が難しくなる事は知っておいた方が良いでしょう。
一つの楽器を長く使うつもりなら、貴金属で作られた楽器が必要となりますが、そうなると、ある程度の初期投資は必要です。リンク先の記事も合わせて参考にしながら、自分の財布が可能な範囲で、日本メーカーの楽器を購入されることをお薦めします。
ひとまず、ほんとうに“ひとまず”のつもりで「いずれ真面目にやる事になったなら、それなりの楽器を買うから…」という人は、やっぱり、一万円中国フルートは辞めて、レンタルをご検討いただくのが良いかな? レンタルフルートは、フルートの先生がレンタルしてくれる場合もあるし、楽器店がレンタルしてくれる事もあります。探せばネットでも楽器レンタルのサービスはあります。一万円中国フルートを購入するよりは、多少高くつきますが、それでも初期投資はそれなりに安くすみます。
よく「安くて良い楽器を~」って話になると、オークションとか中古品を薦める方がいらっしゃいますが、中古品は所詮中古品です。フルートの目利きができれば、良い楽器と巡り合える可能性もありますが、フルートの目利きができないうちに中古品に手を出すと……やっぱり粗悪品をつかむ事になりますのでご注意ください。
結論 確かに値段の安いのは魅力ですし、まだきちんと続けられるか分からなければ、なるべく安い楽器で始めたという気持ちは分かりますが、モノには限度があります。やはり1~2万円のフルートは、辞めておくに越した事はないです。
コメント
すとんさま
アゲハちゃんの状態はいかがですか? 夏バテ(?)してませんか?
ワタクシも初めはアルタス使ってました。(A907)
習い始める前に先生におすすめされました。
ヤマハとアルタス吹いて、アルタスが気に入りました♪ 音が太くていいです!
トーゼン、カバードキィです!でもお姫様はキラキラした『キン』が欲しいっ!って思いまして、さすがに金は高額で買えないので『めっき』にしました♪ 見た目キンじゃ~ん♪ ウキウキです♪
何社かのメーカー試して、pearlちゃんがわが子になりました☆
すとんさまが検討されていたマエスタです!
分不相応な楽器を買って、辞められなくなりました・・・(笑)
元を取らなくてはっ!
アルタスちゃんは買い換えでお嫁に行きましたが、丁寧に扱っていたのと経年劣化がほとんどなかったので、思わぬ高額で引き取ってくださいました。
あ、買い換えたお店とは違うとこでの買い取りだったんですけどね。
>夢見るお姫様さん
アゲハさんは絶好調ですよ。梅雨があけて、調子が上向きのようです。日々、キラキラした音を奏でてくれます。
アルタスもいいですが、パールもいいですね。特にマエスタは、何とも言えないクリーミーな音色がいいです。そのクラスの楽器になると、ほぼ欠点がなくなりますので、後は奏者の腕次第という事になりますので…ガンバレ!。
良い楽器を使い始めると、楽器に助けられる事が多くなりますね。音色しかり、響きしかりです。そして、ダメな所は一方的に奏者側の責任になります。楽器のせいにはできませんので、しっかり練習するしかなくなります。そういう意味では、良い楽器は良いコーチなんだと思いますよ。
>分不相応な楽器を買って、辞められなくなりました・・・(笑)
大人の趣味は、そうでなくっちゃ! 私も似たようなものです。ちょっと練習をサボってしまうと「ああ、大枚はたいて買ったのに、もったいない…」って思うんですよ。こんなケチくさい気持ちですが、これが不思議と練習のモチベーションにつながるんですよね。
人間なんて、現金なもんなんですね。
すとんさま
アゲハちゃん、絶好調ですね♪
ワタクシのpearちゃんも調子いいのですが、奏者の調子がイマイチです(><)
確かにクリーミーなやわらか~い音色ですが、
音量はアルタスの方が 『上』 いってますね。
ピアノは最初電子ピアノ買っていましたが、やっぱり生には勝てません。
買い換えました。YAMAHAの中古(UX50)ですが、それなりのお値段します。
なので、両方に大枚はたいちゃいましたので、モチベーションあるはずなんですが・・・。
今思えば、声楽を先にはじめておけばよかった(涙)
マエスタ! ゴールド先生お気に入りの楽器です。もちろん、私も好きです!
フルート仲間でこの楽器に買い換えた2名がいい感じに変身したので私も候補に入れて試奏しましたよ♪・・・玉砕でした^^;
で、アルタスになったのですが、これまた壁にぶち当たりとても人様にお聞かせすることができない状態になっています。首の付け根が痛くなるんですよね。あきらかにボディマッピング出来ていない!!!本来の楽器が持つ力を出せていない。可哀想なエールさん。。
急遽アルタス先生にレッスンしてもらうことにしました。ほっ。
これで発表会に醜態をさらすのは避けられる!と信じてモチベーションアップです。
良い楽器に助けられる・・・はずが生かす事が出来ずほんとに凹んでます。
試奏したときのすばらしく気持ちいい感触よ、再び!!!!
基本的に「楽器」というものはお安い買い物ではない、と私は思っていますが、
中でもフルートは「小柄なくせになんてお高いのでしょう!」と思いました。
ドデン!とでかい図体をのさばらせるピアノとかがお高いのはまあ・・・納得ですが。
私も当初、習おうか考えていた頃はネットの教本セット価格3万円とかを見てましたが、
初回レッスン時にお教室のフルートをレンタルしつつ、先生にご相談したら
「ダメ!そういうフルートは絶対に買わないで!」と言われましたね。
やはり「安物界の銭失い」「値だけ品だけ」といった具合で、所謂「粗悪品」なのだとか。
「まともに音も出ませんよ」と仰ってましたね。
ちゃんとしたリアルの楽器店で先生が選んで下さったフルートを購入しましたが、
正解だったと思いますね。
「飽きのこない音色で、それなりに長く使え、価格としては安価な範囲」を
選んで下さったのですが(それでも高いなあとは思いましたがw)、先生に感謝です!
>夢見るお姫様さん
私は電子楽器を否定しない人ですが、音楽ジャンルにはそれぞれに相応しい楽器というものがあると思います。クラシック系なら、やはりアコースティックな楽器に心ひかれますよね。私も、アコピ欲しいなあ(弾けないけれど…)。
>音量はアルタスの方が 『上』 いってますね。
そんな事は無いと思いますよ。パールのマエスタは、オーケストラでもバンバン使われる楽器ですから、音量的に不足はないはずです。たぶん“慣れ”の問題だと思います。
パールとアルタスでは楽器の鳴らし方がちょっと違うんですよ。それにお姫様は、フルートに金メッキをかけているんですよね。金メッキフルートって、メッキ無しフルートよりも最初は鳴らしづらいと聞きました。その代わり、ちゃんと鳴るようになると、金メッキフルートは、メッキ無しのフルートよりも遠鳴りをするようになるとも聞いています。
だいだい、きちんと鳴らすと、パールは外吹きフルートですから、アルタスよりも音量的には大きくなるはずです。
さあ、ガンバロー!
>今思えば、声楽を先にはじめておけばよかった(涙)
お財布の話だけをするなら、声楽は、楽器購入という、初期投資がない分、入門しやすいですよ。
後は時間とか体力とかの問題ですね。ピアノやって、フルートやって、声楽やって…。大変ですよね。私も、声楽やって、歌劇団やって、合唱やって、フルートやって、ヴァイオリンやって、…大変です(汗)。でも、人生が充実してますよ。これだけ遊べるのは、健康だからでしょうね。ビバ、健康! 健康に感謝です。
そうそう、ネットを漁ると、ピアノとフルートと声楽の三つをやっている人って、ソコソコいますねえ。私のマイミク(ミクシィのお友達)さんにも、そういう方がいらっしゃいますよ。きっと、この三つの楽器に共通する何かがあるんでしょうね。
>いがぐりさん
マエスタっていい楽器ですねよ。あの音色はなかなか得難いと思います。でも、どんなに良い楽器でも、結局は自分との相性次第なので、私にはアルタス(それも中級品の1307ですが)が似合っているようです。私の腕前がもっともっと上達すると、また話は変わってくるのかもしれませんが、現在の私のベストパートナーが1307なんです。
…しかし、ゴールドフルートがベストパートナーでなくて、よかったです(そんな出費できないもの:笑)。
>首の付け根が痛くなるんですよね。
>試奏したときのすばらしく気持ちいい感触よ、再び!!!!
この二つから想像するのですが、フルートを無理やり鳴らそうとしてませんか? 首の付け根が痛くなるのは、フルート演奏に余計な力が入りすぎているからだろうし、試奏の時って、たいていの人は、緊張しているせいか、優しい息で遠慮がちに吹くでしょう。
実際の音を聞いているわけではありませんが、何かのヒントになると…と思い、書かせてもらいました。
自戒を込めて書きますが、せっかく良い楽器をパートナーに迎えることができたのだから、その能力を全力で発揮できるようにしてあげたいですよね。でないと…もったいないよね。
>エーダさん
楽器って、基本的に、どれもこれも高いものですが、その中でもフルートは高い部類に入ると思います。まあ、もっとも、楽器の中には、ヴァイオリンなんていう、底無しに高価な楽器もあるので、どんなに高くても1500万円止まりのフルートなんて、かわいいものです。
それはさておき、フルートが高いのは、やっぱり貴金属で作られているからでしょうね。これが他の管楽器同様、真鍮(ブラスだね)で作られていたら、もっともっと安価な楽器になったと思いますよ。
>ちゃんとしたリアルの楽器店で先生が選んで下さったフルートを購入しましたが、正解だったと思いますね。
無難だけれど、一番確実な楽器の入手方法ですね。きっと、エーダさんによく合ったフルートなんでしょうね。みんながみんな、エーダさんのように、失敗のない購入をしているというわけでないんですよぉ。このー、幸せ者!
すとんさま
う~ん、練習あるのみですね!
頑張って遠鳴りするような楽器にしてあげなければっ!
ピアノ=子供のころやってた 声楽=音楽の基本 フルート=人の声に近い&吹奏楽でやってる人多い・・・って感じですかねぇ。
確かにほかのコメントにも書かれておられるように、フルートってピアノみたいにでかくないのに、なんでこんなに高いの?って父にも言われました。
でもヴァイオリンの方がずっとお金かかりますって! メンテも管楽器みたく安くないし。
とりあえず自分の体をメンテして、先生探して、習って、ついでに健康になりたいです♪
>夢見るお姫様さん
私が個人的に思うだけなんですが、ピアノとフルートと声楽の共通点って…もしかすると“主役”って事じゃないですか? 例えば同じ楽器でも、ファゴットとかビオラとか、歌でも合唱団員って事になると、主役ってイメージないですよね。
フルートが高いのは…貴金属で作られているから。「ゴールド、シルバー、プラチナの商品を取り扱ってます」なんて聞いたら、普通の人は“楽器屋”じゃなくて“宝石屋”をイメージするでしょう。ヴァイオリンが高いのは…単純に、美術品&骨董品だから(爆)。
ちなみに、私のヴァイオリンは自分で調整しちゃいますので、調整費は無料です(大笑)。
すとんさま
『主役!』 いい響きですね♪
そうですね、主役ですわ♪
ピアノは楽器の王様だし、フルートは高音域でメロディ奏でて、声楽(ソロ)はフリフリドレス着て聴衆を惹きつける☆
こんなに美味しいもの、やらないわけにはまいりません(笑)
ヴァイオリンの調整って・・・。管楽器より難しそうですね。
ワタクシ、アンティークも貴金属も大好きでございます♪
>夢見るお姫様さん
でしょでしょ、『主役』って、いい響きの言葉でしょ。ウキウキするよね。
自分が主役を上手にやれるかなんて分からないけれど、上手じゃなくても主役をやりたいという、因果な性格なんです(困ったものです)。
ヴァイオリンの調整って…まじめにやると難しいと思いますが、自分の楽器ですから(笑)。誰に迷惑をかけるわけでもないので、彫刻刀とヤスリをもって、ギコギコジャリジャリやってます(爆)。