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2011年 ラ・フォル・ジュルネに行ってきたよ その6…日比谷で行われた丸の内周辺エリアコンサートで迷子になりました(笑)

 三菱一号館広場での野外演奏を聞いた後、ちょっとスケジュールに余裕があったし、妻のリクエストもあったので、銀座にある、沖縄物産店の「銀座わしたショップ」に足を伸ばして行ってきました。最近、ウチで使う沖縄関係のものは、たいてい、ここで買ってます。この日も“沖縄そばだし(万能出汁ですね。我が家では基本調味料の一つになってます)”の特大サイズと“沖縄肉みそ(ご飯のトモにサイコー)”の瓶詰めを買いました。

 買い物後は、一度、東京国際フォーラムに戻って、帝国ホテルのソフトクリーム(と言っても、スジャータのアイスですが:笑)を食べて、アート・ショップとCD屋の屋台をひやかして、東北物産販売ブースで買い物をしました。義援金を送るのも良いですが、東北の物産を買う事は、微々たる金額かもしれないけれど、直接、被災地の人々にお金が渡る支援方法ですからね。見つけたら買い物をしないと…。そんなわけで、いつのまにか、手荷物がいっぱいになっちゃいました。

 で、そんな荷物を持ったまま、次のプログラムを聞くために、一路、帝国ホテルに向かった私です。
 
 
新村理々愛氏の“帝国ホテルロビーコンサート”

 これも一応「丸の内周辺エリアコンサート」なんだそうです。どう考えても、帝国ホテルって、丸の内じゃなくて、日比谷にあるような気がするんですけれど…。ま、細かいことは、ど~でもいいか。

 帝国ホテルは…さすがに東京国際フォーラムから、ちょっと距離がありましたね。いや、実際は丸の内オアゾに行くのと、距離的には、あんまり変わらないのかもしれないけれど、東京国際フォーラム~帝国ホテルの土地勘がない事と、地図を印刷してくるのも忘れたので、遠く感じちゃったのかもしれません。

 それでも開演30分くらい前に到着しましたが…すでに座席は満席でした。これだけ早く来れば行列に並んで座れるだろうと思っていましたが、ここは入れ替え制ではなく、座席は先着順になっていました。つまり、事前の席取りが可能なわけで、私が到着した時には、座っている人は半分ぐらいかな? 後の座席は荷物たちが座っている状態でした。ううむ、私が甘かったようです。

 しかし、帝国ホテルでのロビーコンサートは、明らかに今までのラ・フォル・ジュルネの周辺プログラムの客層とは違いましたね。何が違うって…まずは、服装が違いました。やっぱり一流ホテルだからでしょうか? なぜか、ビシッと決めている人ばかりでした。あと、幼児/未就学児がやたらとたくさんいたのも違ったかな? あれはなぜでしょう? それと、他の場所では、演奏会場では、飲食禁止だし、写真撮影不可だけれど、ここでは食べ放題飲み放題だったし、携帯写真撮影もバンバンやっていたし、家庭用ビデオカメラも取り放題だったようです。とにかく、それまで周辺エリアコンサートの客層とは、明らかに違いました。

 でも、いいんです。他人は他人、自分は自分ですから。

 他の会場とは違い、ここでは司会の方(ホテルの従業員さんですが)がいて、日本語と英語で演奏者紹介や曲目紹介などのアナウンスがあって、なんか普通の演奏会っぽい雰囲気でした。

 やがて、肝心の演奏が始まりました。演奏曲目は以下のとおりです。

リスト:ハンガリアン・ラプソディー
ライネッケ:フルート協奏曲第3楽章
タファネル:魔弾の射手幻想曲

 フルーティストの新村氏は今年で16才だそうです。10才でプロデビューしたそうですから、今年でプロ6年目ってわけですね。昨年も演奏を聞きましたが、この一年で、だいぶ変わりました。昨年は“かわいい演奏”をしてましたが、今年は“迫力と凄味のある演奏”をしました。この一年で、プロ奏者として、大きく成長したみたいです。考えてみれば、まだ16才、高校生です。これから、ドンドン成長していくわけで、本当に、将来がとても楽しみなフルーティストです。

 最初のリストは、原曲はオーケストラだと思いますが、いやいや、新村氏の演奏は、とてもフルート一本(ピアノ伴奏はもちろん付いてますが…)とは思えないほどの、堂々した演奏だし、音色も多彩で、オケ曲をソロ曲にアレンジした時にありがちなスケールダウンな印象は全くありませんでした。リスト作曲のオリジナルのフルート・ソナタじゃないの?って思えるほどの演奏ぶりでした。それにしても、フルートが実によく鳴っています。倍音が上から下までイヤになるほど出まくっていました。

 アレンジもののリストですから、こんな感じですから、フルートオリジナル曲である、ライネッケとタファネルは言うに及ばずですよ。フルートって楽器の表現力と、それを見事に引き出す新村氏に感服ですよ。彼女の演奏を聞きながら、今すぐウチに帰ってフルートを吹きたい気分になりました。

 あっと言う間にコンサートが終わっちゃいました。いやあ、楽しい時はすぐに過ぎ去るものです。私的には、この日のベスト・パフォーマーは彼女ですね。

 さて、演奏も終わり、急いで東京国際フォーラムに戻らないといけないのに、実は、帝国ホテルからの帰り道で迷子になっちゃいました(汗)。

 ホテルを出て、何の考えも無しで、目の前の公園(日比谷公園だったようです)に入って、そこを突っ切れば、すぐに東京国際フォーラムに行けると“なぜか”勘違いして、公園を突っ切ったら、霞が関の官庁街に出ちゃいました。日比谷から丸の内に戻ろうとして霞が関に行っちゃうなんて、いくら土地勘が無いとは言え、大失敗をした私でした。おかげで、元々時間的な余裕など無かったにも関わらず、次のマスタークラスは本当に時間ギリギリで会場に飛び込む事になっちゃいました。
 
 
マスタークラス(ヴァイオリン:ドミトリ・マフチン)

 本日二度目のマスタークラスもヴァイオリンです。曲目はブラームスの「F.A.E.ヴァイオリン・ソナタより スケルツォ」です。私の大好きな曲なので、とても楽しみです。

 私が会場に入ったら、すでに生徒さんが会場入りして、念入りにピアニストさんと練習していました。うむ、熱心な生徒さんのようです。ちなみに、伴奏ピアニストさんもとても若そうです(後の紹介で分かりましたが、大学の同級生って事らしいです)。

 道に迷ったため、会場入りが遅くなってしまった私ですが、なんとかギリギリで着席できる順番で会場入りできました。このクラスはかなり人気で、実際にクラスが始まる前に、すでに立ち見もすし詰めでぎっしりとなり、それどころか入りきれない客が室外で列を作って待っている状態でした。途中数名が退室をしたので、それと入れ代わるようにして、外で並んでいる人が入場してきたのですが、終了五分前にようやく入れたお客さんもいたほどですからね。

 どうやら、会場の他の客たちの会話を聞いていると、先生のマフチン氏のファンが少なからずいるらしいのです。そう言えば、初日のマスタークラスで、この先生の出待ちをしていたファンの方もいらっしゃいましたね。どうやら、今回の先生は人気者らしいです。

 さて、マスタークラスが始まりました。生徒さんの演奏は…とても頑張っていましたが、ちょっと音がフラフラするタイプのようでした。後、私でも分かるくらいに、音程が甘かったかな?

 先生の最初のアドヴァイスは「もっと、力強く、個性的に弾け」と「何となく弾くな。演奏にメリハリを付けろ」「音にエネルギーを込めろ」でした。この先生は、曲のニュアンスと言うのを大切にする先生のようです。

 まず、最初に先生が指導したのは、歌でした。「楽器を弾く前に、まず歌いなさい」 そう言って、先生は生徒さんに、何度も何度も歌えと指示していました。最初は、生徒さん、恥ずかしそうにして、なかなか歌いませんでした。そのうち先生がキレて「私は君にパヴァロッティのような歌声なんか期待していないのだから、サッサと歌いなさい」と命じて、生徒さん、ようやく覚悟を決めたようで、か細い声で歌い始めました。

 しかし、その生徒さんの歌は、全くの棒歌いで、先生はその歌に対してダメ出しをします。「もっと感情を込めて歌いなさい。こんなふうにヴァイオリンを弾きたいんだという気持ちを込めて歌いなさい」と指導します。それを何度か繰り返しているうちに、多少は、生徒さんの歌が変わったところで「今歌ったように、ヴァイオリンを弾きなさい」と言って、ヴァイオリンを弾かせたところ、ヴァイオリンの演奏にも、ニュアンスが宿り、最初よりはだいぶ良いヴァイオリンになっていました。

 「ヴァイオリニストは、まず歌えないといけません」と先生は言って、その部分を模範演奏してみたところ、確かに先生のヴァイオリンは、生徒さんとは全く違っていて、オペラ歌手がアリア歌っているようなニュアンスと響きをもった演奏でした。これがこの先生の目指しているものなんですね。よく分かりました。実に声楽的なヴァイオリンです。確かに、この音の虜になって、ファンにならざるをえない人の気持ちが分かる様な気がします。

 さて、以下、先生のおっしゃった言葉で、私の心に残ったものを列記しておきますね。

 ・君の演奏には中身が感じられない(キツいですね…)。音楽の中身は、楽器の音色の変化で表現するものです。もっとフレーズの中に、たくさんの音色を入れて演奏してください。

 ・弓を使いすぎです。そんなにたくさん弓を使ったら、ニュアンスを弾き分けられません。なるべく弓は弓先を中心に使うようにしなさい(ここは午前中の先生とは全く違っていておもしろいですね)。

 ・音符を単に音にするのはやめてください。ロマン派の音楽なんだから、一音一音にロマンチックなエネルギーを込めて弾こう。

 ・クレッシェンドは弱音から始めるのだから、クレッシェンド以前に音を弱音にしておく事。また、一般的にクレッシェンドは楽譜に書かれた位置よりも、少し後から始める方が効果的。

 ・この曲は、ブラームスがクララに対する愛を込めて作曲した愛の歌なんだから、そういう自覚をもって演奏してほしい。

 ・演奏にはストーリーを込めなさい。ロマン派なんだから、楽譜の指示どおりに演奏すれば、必ずストーリーはできあがる。だから、楽譜を無視して、つまらない演奏はするな。

 今回のマスタークラスは、先生も生徒さんも男性だったので、多少厳しめな部分があったようですが、生徒さんも結構精神的にタフな人のようで、散々な言われようでしたが、それでも凹まずに先生のレッスンに付いていきました。
 
 
 ここまでが最終日の夕方までの話です。明日はいよいよ、夜の話をしたいと思います。続くよ(笑)。

コメント

  1. おざっち より:

    う〜む、さすが東京のラ・フォル・ジュルネは場所があちこちに分散しているようですし、内容も充実しているみたいですね。びわ湖ホールと日程がかぶっていなければ、是非行ってみたいと思いました。
    それにしても新村理々愛さんのフルート、メチャウマのようですね。若くしてすでに数々のコンテストを総ナメしてるようで、この先が楽しみです。一度聞いてみたいと思います。
    会場を飛び回っているすとんさんの姿を想像して、ニヤリとしてしまいました。

  2. すとん より:

    >おざっちさん

     たぶん東京とびわ湖は日程的なダブりはないと思うし、来年以降もダブらないと思いますよ。その理由は、あまりダブりが多いと、ミュージシャンたちが手薄になるからです。

     東京と金沢がいつも日程の一部を重ねますが、その他の地域は、東京との日程の重なりはないので、もしよろしければ、来年、いかがですか? びわ湖のテーマは、たぶんモーツァルトだと思いますが、東京はロシア音楽になります。どちらも楽しそうですね。

     新村理々愛さんは、他の若手フルーティストとは、ちょっと格が違うかもしれません。昨年までは“早熟?”と思わないでもなかったのですが、今年は、ちょっと違う世界に足を踏み入れたみたいで、覚えておいて損はない名前だと思います。

     ちなみに、東京のラ・フォル・ジュルネのオープニングセレモニーの奏者は、この新村理々愛さんだったんですよ。

  3. しーちゃん より:

    新村理々愛さんは、去年テレ朝の題名のない音楽会で、
    チャルダッシュを演奏したのを聴きましたが、今年は3月はじめに
    フィリップベルノルド氏のマスタークラスで、トマジという作曲家の
    ソナチネを演奏したのを聴きました。

    音が太くてパワフルでした。暗譜での演奏でしたw(゚o゚)w
    16歳なのにすごいオーラでしたよ!
    今後がほんとに楽しみな演奏家ですね。

  4. すとん より:

    >しーちゃんさん

     そうそう、音が太くてパワフルですね。いわゆる低次倍音って奴がたっぷり出ているわけで、その分、素晴らしいほどに管を鳴らしきっているのだと思います。どのメーカーの何というモデルを使っているかは知りませんが、これがアメリカあたりのゴールドのコンサートフルートでも使い始めた日には、きっとトンデモナイ事になるんでしょうね。ほんと、今後が楽しみな演奏家です。

    >去年テレ朝の題名のない音楽会で、チャルダッシュを演奏したのを聴きましたが

     うわっ! 覚えがない! あの番組、たまに見逃すからなあ…。きっと、見逃した時の放送だな、イタタタ…。

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