声楽のレッスンの続きです。課題曲の選択の話の続きをします。
ドイツ系の曲はシューベルトの「Die Forelle/ます」に決めたので、次はイタリア系の曲を決めました。
今回、私が持ってきた曲は、グルックの「Che faro senza Euridice/エウリディーチェを失って」です。この曲は、オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」のキラーソングです。歌っているのは主役のオルフェオで、オルフェオの声種は…カストラートです(笑)。なので、この曲をオペラアリアとして歌うなら、ちょっと前ならズボン役のメゾソプラノが、最近ではカウンターテナーが歌うわけです。カウンターテナーにとっての大切な大切なレパートリなわけです。
もっとも、日本ではあまり注目されていませんが、歌唱音域を約1オクターブ下げてテノールが歌うという楽譜もあります。パリ版というそうで、ヨーロッパではかなり普及している楽譜のようですが、日本では色物扱いされていて、取り上げられる事はまずありません。(パリ版も一応、グルックによる真筆です)。
なので、この曲はテノールの私には、一応、守備範囲外のアリアなのですが…古楽のアリアとして歌うつもりは全く無く、いわゆる“イタリア古典歌曲”として歌うつもりで持ってきたわけです。
先生としては、古楽のアリアとして歌うなら、声種以前に古楽の歌唱テクニックを考えると、素直にOKとは言えないそうですが、イタリア古典歌曲扱いで素直に楽譜通りに歌うだけなら、まあいいでしょうって感じでした。
アドリブを加えて歌うくらいなら、別に私にとっては何ということもありませんが、古楽的な歌唱テクニック(ノンビブラート唱法とか前打音、後打音の扱い等)を考えれば、両手を上げるしかないので、そこは素直に先生に従う私でした。まあ、人前で歌うなら、古楽的ではなく現代的に歌っちゃいますけれど(笑)。
むしろ私的に問題だと思っているのは、この曲の音域です。この曲のキイはCで、音域はH3~F5なのですが、当然私は、これを1オクターブ下げて、H2~F4で歌います。1オクターブ下げるのは良いのですが、声的には、ちょっと低いよなあ…と思わないでもないです。テノール的には、1音上げて、キイをDに変更して、C3#~G4で歌うと、気持ちいいなあ…と思うのですが、そこはグっと我慢する事にします(笑)。
でも実際、テノールがオルフェオを歌っているパリ版では、この曲のキイはDなんですよね(ブツブツブツ…)。ただし、パリ版では歌詞は(当然ですが)フランス語なのです。ぞれはそれで面倒だなって思うわけです。
さて、この曲をよくご存知ない方のために音源をアップしておきます。
歌っているのは1984年のパヴァロッティです。私はフロレンスが歌っているDVDを持っていますがYouTubeでは見つけられませんでした。YouTubeを漁ると、バリトンのホヴォロストフスキーやフィッシャー=ディスカウが歌っているモノもあります。音域的にはバリトンでもイケる曲ですからね。
しかし、音域は若干低くても、カストラート用に作曲されたメロディって…難しいですよねえ。美しくて難しい曲です。
私がファルセット歌唱ができるなら、カウンターテナーとして、この曲を歌ってみたいと思うくらいです…が、ファルセット歌唱なんて、全然全くほんの少しも出来ませんので、最初から諦めています。
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