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日本人にバスやアルトが少ない理由

 日本の女性はほぼソプラノで、男性はバリトンである…という言葉を私はよく耳にします。実際、合唱団等で人数が多いのは、女性はソプラノであり、男性はバリトンだったりするので、この言葉はあながち間違いではないのだろうと思います。

 ただ、それは結果論であって、本質論ではないだろうとも思っています。

 女性の場合、確かにソプラノは多いけれど、だからと言って、高音発声が得意なのかというと、案外そうでもないでしょ? じゃあ、本来はメゾ・ソプラノの人がソプラノと名乗っているだけなのかと言えば、声質的にメゾほど深い音色があるわけではないわけで、そういう意味では、やっぱりソプラノなんだけれど、音域的に残念なソプラノが多いのだろうなあと思います。

 男性の場合、バリトンと言っても、それは音域的にテノールほどの高音は出ないし、だからと言ってパスと名乗れるほど低音が出るわけでもないので、ひとまずバリトンって言っておこうって感じの人が多いです。

 そもそもバリトンって、中声と思われがちだけれど、実は美声のパートなんだよね。だからバリトンを名乗りたいなら、まずはイケボでないとダメだろうと思ってます。そういう意味では、日本男子の多くは、いわゆる“テノリトン”とか“バリノール”だろうと思います。つまり、音色はテノールだけれど、音域はバリトンってパターンだね(私もそうです)。

 音色はともかく、日本人の声(特に音域)は、男女ともに、高声寄りの中声なんだろうと思います。なので、高音発声は努力次第で何とかなっても、基本的に低音発声は苦手なのだろうと思います。と言うのも、低音って、発音体の物理的な限界がありますからね。具体的に言えば、声帯の長さとか厚さとかと、その人が出せる最低音ってのと、強い関連性があるからです。

 声帯の長さとか厚さって、大雑把に体格と関係します。カラダが大きいほど、声帯は長く厚くなり、カラダが小さいほど、声帯は短く薄くなります。なので(例外は多数あるけれど)一般的に、小柄な人ほど声は高く、大柄な人ほど声は低くなるわけです。もちろん例外はたくさんあるわけだけれど、まあ一般的には、そんな感じです。

 日本人は小柄な人が多いから、自然と声も高音寄りになるのだと思います。

 声帯って、カラダの大きさにも影響を受けるけれど、それ以上に強い影響を与えるのが性ホルモンなのです。特に男性ホルモンは声帯への影響が大きくて、声を低く太くします。なので、思春期の頃に男性ホルモンが多めに出た人は、男女問わず、声が低くて太くなります。

 日本人って、そんなにたくさん性ホルモンが出る人種ではないようで、そういう人は稀で少ないので、日本人には、バスやアルトが少ないのだろうと思われます。

 なので、日本人にバスやアルトが少ない理由は…

 1)全体的に小柄であるから。
 2)思春期における性ホルモンの分泌が多いわけではないから。

 …と言えるのだろうと私は思うわけです。

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コメント

  1. 海の天使 より:

    貴重な?(笑)アルト声です。
    声質的にもアルトらしく、昔(中一時)部活内でコンクールに出場するための部内オーディションがあったのですが、先生曰く「あなたが我を通してソプラノに居たなら、合格させることはなかっただろう。アルトだったから選んだのだ」という趣旨の事を言われました。
    女性パートが無い部分でテノール(男声)の声量が足りない場合に、一時的にテノールに加わるよう言われた経験もあるくらいですw
    そんな私は太っている…のかと思いきや、幼い頃からやせ型ですw
    確かに日本人は深い声質の人が少ないように感じますね。

  2. すとん すとん より:

    海の天使さん

    >確かに日本人は深い声質の人が少ないように感じますね。

     声質を深くするのは、口腔内の空間の前後の長さであると、私は考えています。

     基本的に、頭骨を含めて、日本人の骨格は、左右に広くても前後には狭いので、どうしても口腔を始めとする体腔の前後の長さは短めになり、そのため声の響きはどうしても浅くなりがちです。ですから、発声をする際に「クチを大きく開けて!」とか「ノドの奥を大きく広げて」と注意されて、口腔空間の前後の距離を稼ぐように指導されるのだと思います。

     骨格の不利を努力で埋め合わせようとしているわけです。

     それとは別に、声質でパートを決めようしてくださる、指導者さんはなかなか良い指導者さんだと思います。多くの素人指導者さんたちは、声域でパートを決めようとしがちです。それじゃあダメなんだけれどなあ…と思うものの、声域はわかりやすい指標だから仕方ないなあとも思います。

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