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フルートで歌おう

 フルートのレッスンです。アルテのレッスンが10分で終了。残りの大半の時間が曲集「ポピュラー・ソングのすべて」を使った、例の宿題10曲の練習となりました。今後はこの練習のことを「ポピュラーの練習」と呼ぶ事にします。

 で、ポピュラーの練習ですが、まず一曲目は、ビーチ・ボーイズの「トゥデイ!」という名盤の冒頭を飾る、不朽のスタンダードナンバー「踊ろよ、ベイビー:Do You Wanna Dance」。オリジナルは1958年にボビー・フリーマンで、全米5位まで上がった曲だそうです。

 この曲を選択した理由は…曲集の一番最後の曲だったから(笑)。いやあ、だって、こんなに分厚い曲集から10曲選んで練習するなんて…選曲に時間をかけていられませんって。とにかく、ヘ長調だし、譜面は簡単そうだし、よく知っているし…という理由でチョイス。曲のテンポが速い(だいたいメトロノームで128くらいです)けれど、まあどーにかなるかな? って感じです。

 さっそくレッスン開始です。で、先生から「歌ってみて」と軽くひと言。

 へ?

 「どんな感じでやりたいのか、知りたいから、歌ってみてください」と、おっしゃるので、最初の音をもらって、歌い始めてみました。私の歌に合わせて、先生がピアノで若干の試行錯誤をしているうちに、1番終了。

 「それでは、フルートに持ち替えて下さい」とおっしゃるので、フルートに持ち替えて、ピアノの即席イントロ(この曲、本来はイントロが無い曲なのですが、先生が即席のイントロを作りました)を聞いて、「ここだ!」というポイントを見つけて、飛び込んで曲がスタート。

 あっちこっち、小さな事故(ミスタッチとか、譜面の誤読とか、落ちるとか、指がまわらないとか)を起こしながら、それらを誤魔化しながら演奏を終えました。ま、リハーサル無しのいきなりの演奏ですから、こんなものです。当然、もう一回となりました(汗)。

 気合を入れ直して、テイク2です。イントロ、違う感じになってました(汗)。最初よりも、もっとポップな感じでした。で、今度は大過なく演奏終了。先生が次のように論評してくれました。

 「フルートの演奏技術としてはマダマダですが、よく歌っている(<-誉めすぎですね)と思います。実はフルートで歌うと言うのは、とても難しいことで、フルートの技術が向上して、だいぶ上達した人でも、フルートで歌うという事で苦労する人がほとんどなんです。その一番苦労する部分が、うまくできていますね。そうなると、次はメロディーを装飾することを覚えていかないと…」とおっしゃって、先生が自ら、この曲を吹き始めました。

 ぶっ飛びました! テンポとコードとリズムは全く同じなのに、元のメロディーの面影を残しながらも、違うメロディーを吹き始めました。いわゆるクラシック用語でいう“変奏”、ポピュラー用語でいう“フェイク”、ジャズ用語なら“アド・リブ”って奴が満載の演奏です。すっごく、かっこいい~~~。

 吹き終わって「こういう感じで吹けるといいですね」って、先生、そりゃ無理ですよ。私、フルート始めて、ようやく半年のアルテ6課の人なんですよ(涙)。

 フレーズの頭で、(いっぱいやるとイヤらしくなるので)時折、半音下の音から入って、しゃくり上げる様にフレーズに入ると、かっこよくなりますよ、とアドバイス。確かにフルートでやると、カッコいいです。歌でやると、怒られますが…。

 あと「もう少し譜面から(音楽的に)離れて方がいいでしょう」とも言われました。つまり「少し譜面に忠実すぎない?」ってことだと思います。「楽譜どおりに吹いてもつまらないでしょ」とひと言。あの演奏を聞いた後なら、黙ってうなづくだけです。

 「この曲は、これでお終い。では、次の曲」

 本日2曲目は、クリームの「ホワイト・ルーム:White Room」です。これも曲集の最後のページに載っていた(大笑)ので、選択してみました。

 言わずとしれたクリームの名盤「素晴らしき世界:WHEELS OF FIRE」の冒頭曲です。バリバリのヘビーロックで、車などのCMでよく使われるので聞けば「アレアレ!」と思うでしょう。ちなみに1969年の曲、当時全米5位の曲だそうです。

 とてもヘビーな曲&メロディーなので、自宅で練習しながら「この曲はフルート向きではないなあ…」と思ってました。その事を先生に伝えると「そういう事は、やっているうちに分かりますよ」とひと言。そうなの?

 で、「歌ってください」です。2回目なので、もう驚きません。音域が広い曲ですが、とにかく歌いましたよ。オリジナルで、ヴォーカルのジャック・ブルースが声をひっくり返した高音部のフレーズも表声のまま優しくね。

 この曲は、メロディが有る部分は4拍子なのですが、メロディが無くなると5拍子になる曲なのです。そこで5拍子(つまり変拍子)の取り方のアドバイスをもらいました。

 5拍子を5拍子のまま感じるよりも、3拍子+2拍子で感じた方がいいでしょうとのこと。実際、譜面も5拍子のところは、そう読めるように書いてありました。自宅練習の時は、素直に5拍子で考えて、時折行方不明になってましたが、確かに3拍子+2拍子なら、迷子にならずに済みます。

 この曲はそういうわけで、5拍子のイントロ8小節から始まりますが「イントロのフレーズもフルートで吹いてください」とことで、カウント数えて、いきなり演奏開始です。

 オリジナルは、バリバリのパワフルなハードロックなのですが、先生のピアノは、ヘビーな感じのロック・バラードって奴です。とっても重たく演奏します。私は普段、アゲハを明るい音色で吹くようにこころがけているのですが、さすがにピアノがそれだけ重いと、フルートの音色もそれに合わせないと…って感じになって、アゲハさんには頑張ってもらって、フルート離れした重い音色を出してもらいました。

 なんかいい感じでした。ピアノとフルートだけで、明るい教室で演奏しているのに、なぜか、薄暗いライブハウスで、小さなバンドをバックに演奏しているような気分になりました。演奏中の記憶があまりありません。たぶん、我を忘れて演奏していたと思います。すごぶる、気分がよかったです。

 演奏が終わって、ちょっとした充実感が残りました。先生も「よかったです」とおっしゃいました。良い出来だったので、この曲はたった1回で終了です。レッスン時間はまだ余ってましたが、良い感じのままレッスンを終えることにしました(次の人ももう待っているしね)。

 レッスンの最後に先生が「すとんさんは、(フルートが)歌いだすと、ピッチがうわずる癖がありますね。最初のチューニングを少し低めに取るといい感じになるかもしれない」んだそうです。そういうもんなんですかね。

 自分でやっていて、よく分からないのですが『フルートで歌う』って、どういうことなんでしょうね。私は色々なこと(フルートで歌うこともそうだけれど、ヴィブラートとかタンギングとかスラーとかもね)が自覚無しにできている人らしいのだけれど、自覚無しに出来ているというのは、コントロールできていないというわけで、これはこれで困ったことです。

 いづれ絶対に壁にぶち当たるな…。

 それにしても、先生とのセッションは、楽しい。実に、楽しい。あんまり楽しいので、アルテをやる時間がもったいないくらいです。でも忘れちゃいけないのは、その楽しさは私のせいではなく、先生が私を遊ばせてくれているから。先生のピアノが楽しさを演出してくれるから、私のダメフルートでも、すごぶる楽しいということ。そこを勘違いとか錯覚とかしちゃあ、いけません。

 だから、私は私だけでも楽しい演奏ができるように、力をつけないといけないんだ。そのためには、アルテ? 教則本をこなしていく事は、とても大切なんだと思う。

 さあ、アルテをがんばろう。

コメント

  1. こしひかり より:

    おはようございます[E:happy01] 
    ヴィブラートとかタンギングとかスラーとか自覚無しにできているなんですごいですね。私はヴィブラートを練習中ですが、なかなか難しいです^^;
    すとんさんは、声楽の経験が生きているのかも知れませんね。

  2. すとん より:

    >こしひかりさん

     私は指が速く動きません。フレーズが少しでも速くなると、指が勝手に踊りだして困ります。そんな私から見れば、ピアノをやっていたり、子どもの頃から吹奏楽をやっていたりなどの、指の訓練がきちんとできている人を見ると、うらやましくたまりません。でも、そんな事を当人たちに話したところで「?」てっ感じでしょうね。

     だから、こしひかりさんの気持ちは分からないではありません。しかし、こんな私ですが、私は私で悩みがあります。

     例えば、ヴィブラートを例にあげてみましょう。

     私のヴィブラートは自然にできているもので、意図的なものではありません。だから、ヴィブラートのon/offは、さすがに、できますが、どれだけ深くかけるかとか、どのくらいの速さでかけるとかのコントロールは、全くできません。つまりヴィブラートをかけようと思えばかけられるし、かけないでおこうと思えばかけないでいられます。しかしその程度のものです。曲想に応じたヴィブラートの使い分けなんて、できるはずがありません。そう、ヴィブラートに関する基本テクニックは、全く持ち合わせていない私なんです。

     ですから、初歩の段階から先生について、きちんとヴィブラートの基本を勉強している人がうらやましいです。そういう人は最初は大変でしょうが、いずれ必ずきちんとしたヴィブラートのテクニックが身につくわけで、なんとなくできている私とは、いずれ大きな差がつくことでしょう。

     たしかに声楽をやっている事の影響はある、と思います。そのために色々なことが無自覚でできているのだろうと思いますが、無自覚にできている事は、砂上の楼閣のようなもので、実に怖いものです。

     つまり、基礎も無ければ、実力もないのに、人生の経験とやらで、何となくで帳尻を合わせているだけなのです。そんなに大層なモノではありません。

  3. megi より:

    素敵な先生ですね^^
    「フルートで歌う」
    やはり、もともと声楽をされているすとんさんだからこそ、できた技でしょうか!
    きっと最初から楽器だけやっていると、なかなか「歌う」ということは難しいのかもしれませんね。
    こちらで、日本人向けの音楽講習会で結構何度も通訳の仕事をしたことがあるのですが、やはりどんな先生も「歌え」と言いますね。
    ピアノの先生も、必ず「オーケストラや、オペラ歌手を想像しろ」と。
    やはり、歌は音楽の基本ではないかと私も思います。
    それにしても、この先生、アドリブもせきちゃうなんてすごいですね。
    方にはまった先生ではなさそうなので、きっとレッスン楽しいことでしょうね^^
    それが伝わってきましたよ~!

  4. すとん より:

    >megiさん、お久し振り~。

     ステキな先生でしょ。そう、なかなか強者の先生なんですよ。

     それはともかく、ウィーンでも状況は同じなんですね、やっぱり「歌え!」なんでしょうねえ。

     この「歌う事」に関しては、後日談(と言うか、自宅に持ち帰って練習して考えた事)があるので、それを(ここで書いちゃうと長くなるので)明日の記事にしようかしら。うん、そうしよう。

     フルートと歌う事について、ちょっとした話を明日アップします(あくまで予定。上手く書けなかったら、違う話がアップされま~す)。

     でわでわ。

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