うむ、これは面白かったです。まさに歌舞伎が現在進行系の芸能であり、全然オワコンでは無い事を示す良い演目だと思いました。
原作:みなもと太郎「風雲児たち」
脚本:三谷幸喜
大黒屋光太夫:松本 幸四郎
庄蔵/エカテリーナ:市川 猿之助
新蔵:片岡 愛之助
キリル・ラックスマン/アダム・ラックスマン:八嶋 智人
マリアンナ:坂東 新悟
藤助:大谷 廣太郎
与惣松:中村 種之助
磯吉:市川 染五郎
勘太郎:市川 弘太郎
藤蔵:中村 鶴松
幾八:片岡 松之助
アレクサンドル・ベズボロトコ:市川 寿猿
清七/ヴィクトーリャ:澤村 宗之助
次郎兵衛:松本 錦吾
小市:市川 男女蔵
アグリッピーナ:市川 高麗蔵
ソフィア・イワーノヴナ:坂東 竹三郎
九右衛門:坂東 彌十郎
三五郎/ポチョムキン:松本 白鸚
語り:尾上 松也
とまあ、こんな感じで、ほぼオールスターキャストというのもうれしいです。
いわゆる新作歌舞伎なので、使用している言葉も現代語だし、原作はコミックスなので、何の事前準備無しでも、十分に楽しめます。欠点があるとすると、上映時間が約2時間半なので、トイレの心配ぐらいかな? リアルな歌舞伎なら、当然、幕間に休憩が入るからトイレの心配なんてしなくてもいいのだけれど、シネマ歌舞伎は幕間を省いて、すべての演目を1幕ものにしてしまうので、長い演目だとトイレが心配なんでよね。実際、映画館のお客さんも途中の出入りが激しかったし、私自身も最期のクライマックスのところで、どうにも我慢ができずにトイレに行ってしまいました。そこだけ、ちょっと考えて欲しいです。
新作歌舞伎って、今風に言えば「半沢直樹」っぽいんだよね。「半沢直樹」にも多数歌舞伎役者がいて、濃いめの芝居をしていましたが、新作歌舞伎は、ほぼ歌舞伎役者さんばかりだし、彼らが終始濃い目の芝居をしていますので、「半沢直樹」のような濃いめの芝居がお好きな方なら楽しめると思います。「半沢直樹」様々です。
ストーリーの根本は実話だし、シリアスな話なのですが、基本的にコメディ要素が強く、最初っから最期まで、クスクスゲラゲラ笑いっぱなしのお芝居でした。
それにしても歌舞伎役者さんのすごいところは、上記の配役表を見ても分かる通り、幾人かは二役をやっていますが、その二役をやっている人たちって、役が変わると、ほぼ別人になってしまうという事です。もちろん、所作や声が変わるのですが、顔まで変わるので、ボケっとしていると二役やっている事に気づかなかったりします。逆に八嶋智人(上手い役者さんですが歌舞伎役者ではありません)の演じる二役は、ほぼ同じような感じになるので、二役をやっている事を強調して説明していて、これが笑いにつながっているので、それはそれでアリだったりします。
歌舞伎ですから歌舞伎独特のあれこれはあるのですが、「半沢直樹」でそういう濃いめのアレコレに慣れ親しんだ今は、そういうのも含めて、色眼鏡抜きで、単純に楽しめちゃうと思います。普段、歌舞伎と縁のない人も、今なら新作歌舞伎に親しめるのではないかしら…と思ったりしちゃいます。
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