声楽のY先生は、事あるごとに私に「コンサートを開きなさい」と言います。
確かに、アマチュアの歌手の方で、コンサートとかリサイタルとかを開いている人がいらっしゃる事は知っているし、実際、私はそのうちの何人かのコンサートを見に行った事があります。
有料コンサートなら、あれこれ大変だけれど、無料のコンサート(アマチュアのコンサートは無料の場合が多いです)ならば、会場費も安く抑えられるし、伴奏者の工面さえつけば、どうにでもなるだろうと思いますし、私の場合、伴奏者のアテもあるわけだから、コンサートを開く事は、全くの無茶振りとまでは言えないのですが、それでもやはり「コンサートを開きなさい」と言われると、躊躇してしまうんですよね。
まあ、実力の問題はあります。私が歌を人前で歌っていいのだろうかという迷いはありますが、無料コンサートなら、まあ許されないわけではないだろうとも思います。実際、かなり酷い歌でも、個人でリサイタルを開いているアマチュア歌手の人を知らないでもないので、私もあの程度ならいけるだろうと思うと同時に、あの程度も歌えないのではないかという危惧もあります。
むしろ、コンサートともなると、休憩入れて2時間程度は歌わないといけないわけです。私がそれだけの時間歌い続けられるかという体力的な心配もあるし、それだけの時間の曲数のリハーサル…自分はまあ良いとして、ピアニストさんにそれを求めるのは、たかがアマチュア歌手としていかがなものかという思いもあります。
それより何より、集客力に全く自信が持てません。無観客コンサートではパフォーマンスに気合が入らないし、かと言ってスカスカの会場で歌うのも、やりづらいものです。つまり、それなりに客が来てくれればいいのですが、そこまでの集客力は私には無いんです。その事は、しっかりと自覚しています。
「じゃあ、君はお客が来てくれれば、コンサートを開くんだね」と言われれば、客が来てくれるなら、喜んで歌いますよ。これでも、目立ちたがり屋ですからね。生意気ですけれど、客の来ないスカスカの会場でコンサートをするとなると、私の米粒程度のプライトがペシャンコになってしまうのがイヤなんですね。
「YouTubeのネット配信ならどう?」 それって、実質、無観客コンサートじゃないですか?
もし私がコンサートに参加するとしたら、やはり数名の人と合同でコンサート…という、私の集客力の低さが露呈されないような状況じゃないと無理だね。そういった意味では、私は声楽教室の発表会や地元のクラシックコンサートで歌うのが、せいぜいの関の山ってところです。
などと、グチグチと言い訳をして、先生からの要望に、全く答える気の無い私でした。
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コメント
音楽教室の発表会だと、大抵歌えるのは2,3曲くらいではないですか?
15分でも20分でも、ある程度まとまった時間でプログラムを考えてみるというのも、楽しいかなと思います。
何人かで自主企画的に合同でやると、こんなことがありました。
①歌曲だけ歌いたいと思っていたのに、相方がオペラアンサンブルを歌いたがる。
②無断で見知らぬ人をメンバーに勧誘
③全く集客しない
④自分のお気に入りだけど伴奏専門ではないピアニストを伴奏者に使えと言う
⑤会場、有料無料の可否、プログラムのコンセプト等で意見が割れる。
発表会の場合、先生の意向が中心になるけど、互いに対等なマチュアが合同でというと、結構モメます。
結局、自分の家族にさえ声をかけようと思えない人と組むくらいなら、無観客でソロリサイタルの方がマシだという結論に行きつきました。
ものすごい集客力のあるアマチュアを知っていますが、とてもサービス精神旺盛な人で、日頃からお菓子や花を差し入れたり、他の人のコンサートにも出向いたりと、普段から細目にやって、断りにくい雰囲気にさせていますね。
ドロシーさん
集客って、本当に難しいですし、それ自体、一つの才能だと私は思ってます。で、プロとして成功している人は、技量技術以外に、圧倒的な集客力ってのがあって初めて成り立つ存在であるわけです。なので、それくらいに集客力があるというのは、圧倒的な力だと思ってます。
人が集まると、それだけ意見や要望が出て、船が山に登ってしまうなんて事は、どの世界でもあります。強いリーダーがいないと、もめるのは必定ですね。
私は中途半端が嫌いなタチなので、そういうアマチュア合同コンサートに参加した場合、私はモブに徹するんじゃないかな? リーダーさんが決めた事に唯々諾々と従って、とりあえず自分の出番だけしっかりやる…って感じになるかも。だから、周りがいくら揉めても、自分に影響でなければ気にしないし、自分に影響が出るなら、やめちゃうだけです。
モブに徹する事ができない状況なら、ガンガン自分の意見を言わせてもらうだろうけれど、結局私は、調整型のリーダーだから、あれこれ考えて落とし所を考えるだろうし、それに満足できないメンバーがいれば、後はそいつに任せて、自分はやめちゃうかな?
…って、結局、やめちゃうんだな(笑)。
Y先生がコンサートを開けとおっしゃるとのことでしたが、Y先生的にはコンサートを通して何を得られると考えておられるのか気になりますねー
ショウさん
>Y先生的にはコンサートを通して何を得られると考えておられるのか気になりますねー
準備期間のおける真摯な学習、豊かな経験、ステージ度胸、等々でしょうね。百回の練習よりも一回の本番と考えておられるフシがあるからね。なので、レッスンで取り上げる曲も、ステージで歌う前提でいつも考えておられて、私のレパートリーを増やしてくれようとしてくださっておりますますです。
正直、場所なんてどうにでもなるし、伴奏をしてくださるピアニストさんもいるし、コンサートを開くなんてのは全然現実的な話なんだし、後は私の決心だけなんだけれど、その決心をしない理由は記事に書いた通りです。
集客力は大切よ。で、私に決定的に足りないのも集客力なんですのよ。
確かにステージ度胸はしないとつかなさそうですねー
100回の練習より1回の本番ですか!
本番にはとても価値があるんですね!
コンサートを開けるレベルまでいきたいものです・・
ショウさん
ステージ度胸に関してですが、人前で歌ったり踊ったりするのは、全然平気な私です。むしろ、無人の部屋で歌うくらいなら、観客を入れて歌いたいと思ってますし、日々の練習やレッスンだって、見てくれる人がいるくらいの方がいいと思ってます。
これはもって生まれた性格なんでしょうね。
なので、コンサートはやりたいかやりたくないかで言えば、やりたい人なんですが、上記のような性格なので、無観客とか、スカスカの会場では歌いたくないのです(笑)。自分に集客力があれば、おそらく、ずっと以前からコンサートをやっているだろうと思いますが、悲しいかな集客力が皆無なので、未だにコンサートを開いていないし、おそらく今後も開かないだろうなあと思ってます。
初めまして。
以前、オペラの重唱を歌われると書かれていましたが、そのような機会がなかなか無いとも書かれていました。
私の所では地元の芸術系の大学がセミプロやアマチュア向けに「オペラ講座」というのをやっていて、オペラの重唱を主に演技やレチタティーヴォなどを教えて頂けます。講座は半年で最後に発表会があり、私も既に、9回ほど舞台に立ちました(来年は後期高齢者です)。今年は、「愛の妙薬」の2幕7場を通しでやる心算でしたが、残念なことにコロナのため講座がなくなりました。
講座は音大出や個人でレッスンを受けているセミプロの人用の「経験者コース」とそうでない素人の「初心者コース」があり私は後者の受講生ですが、発表会は両コース合同でやりますので、経験者コースの演奏は流石に、聴き応え、見応えがありますが、初心者コースの受講生も非常に楽しんでやっています。
そもそも、オペラの重唱を歌いたいと考えるようになったのは、30年近くプロオケの第九で合唱の舞台に立って、その間、地元で開催されるオペラやオペレッタに合唱団として参加して演技もある中で、「魔笛」に出たときに僧侶の合唱(男声3部)があまりにも良くて、合唱仲間と3人で重唱でやってみようということになったのが始まりですが、その後、上記の講座が始まり、受講することにしました。
例にもれず、オペラの重唱をやろうという素人の男は少なく(初心者コースでも女性の方には個人レッスンを受けておられる方も多いですが)、私のような素人でも重宝されているようで、講座の発表会でも何度も舞台に立つことになり、苦労も多いですが得でもあります。
私もすとんさんと似ていて、フルートを持っていますが、その他にギター、ピアノ、チェロにも触ります。「第九」も取止めになり、歌が歌えない今は専らチェロで先生と弟子一人と私で3重奏をやったりしています。
器用貧乏さん、こちらこそ初めまして。
「愛の妙薬」の2幕7場と言うと、アディーナとドゥルカマーラの二重唱、つまりソプラノとバリトンの二重唱でしょうか? なかなか面白そうな二重唱ですが、本番が無くなってしまったのは残念ですね。
>地元の芸術系の大学がセミプロやアマチュア向けに「オペラ講座」
首都圏の音大はあっちこっちで開催していますよね。ここのブログにコメントをくださる方の中には、やはりこの手の講座に参加されている方もいらして、私も何度か発表会を見学に行きました。私たちのような素人な音楽家が、本格的に歌やオペラを学ぼうとした時には、便利で有益な講座だと思います。私もときおり「参加しようかな?」と思う時もありますが、現状の個人レッスンだけで手一杯なので静観しています。
まあ、私の場合は、年に二回ほど人前で歌うチャンスがありますので、そこで妻を相手に二重唱を歌っています。今月の末には個人レッスンの発表会があり、そこでも二重唱を歌うつもりですので、なんとか仕上げられるように鋭意努力中です。
コロナ禍の中、ピアノや弦楽器はレッスンが継続できますが、歌やフルート等は、まだまだレッスンですから見合わせている団体や教室もたくさんあるそうですね。いつになったら普通に歌えるようになるのか、ほんと、待ち焦がれております。
> 愛の妙薬」の2幕7場と言うと、アディーナとドゥルカマーラの二重唱
そうです。私の音域は低めのバリトンなので(ザラストロの「In diesen heiligen Hallen」も歌ったことはあります)、フィガロ、パパゲーノ、ドゥルカマーラ、ジェルモン、ドン・ジョバンニ、ドン・アルフォンソなどを歌ったことがあります。中でも、ドゥルカマーラは私の一番好きな役で、齢取って口が回らなくならない内に早口言葉のある上記の曲をやりたかった(パパゲーノの「パパパ」はやりました)のですが、コロナのおかげでどうなることやら‥‥。この齢になると歌詞を覚えるのが一苦労で、特に、レチタティーヴォは難しいです。
ドン・アルフォンソとフィオルディリージ、ドラベッラの3重唱「Soave sia il vento」も好きな重唱です。
> 妻を相手に二重唱を歌っています。
素晴らしい。練習相手に事欠かないし、羨ましい限りです。
器用貧乏さん
私も歌詞を暗記するのに手間取っています。メロディは歌えるようにする段階で、なんとか覚えてしまえるのですが、歌詞は私も苦労しています。それでもオペラのアリアや二重唱は歌詞とメロディが密着しているので覚えやすいです。問題は歌曲ですね。特に有節歌曲は同じメロディに違う歌詞がいくつも付きますから、こんがらがります。ほんと、覚えられないので、なるべく有節歌曲は人前では歌わないようにしています。
妻とはよく二重唱をしていますが、実は練習はほとんどしていないのですよ。レッスンで合わせるくらい。だって、妻は本番直前までメロディも覚えない人なので、練習ができないのですよ。
> 有節歌曲は同じメロディに違う歌詞がいくつも付きますから、こんがらがります。
同じメロディーで歌詞が違うというのは困りますね。
ザラストロの「In diesen heiligen Hallen」やアディーナ&ドゥルカマーラの「Barcaruola a due voci」、パミーナ&パパゲーノの「Bei Maennern welche Liebe fuehlen」も同じメロディーで違う歌詞が付いていて苦労しました。今、やりかけている「Der Vogelfaenger」も3番まであって苦労しています。この手の曲は辞書を牽いて意味を覚えて内容の流れを覚えないとなかなか覚えられません。
> 妻は本番直前までメロディも覚えない人
凄い!私なんぞ随分前から覚えるのに必死です(^_^;)。
後期高齢者近くになると覚えるのにホントに苦労します。しかも演技が付くともう脳が半分パニックです。フィオルディリージ&グリエルモの「Il core vi dono」などは、途中でペンダントを掛け替えるところで、ペンダントがフィオルディリージの髪に引っ掛かったりするので、そっちに気を取られると歌唱が疎かになったりして大変でした。
訂正
誤:フィオルディリージ&グリエルモ
正:ドラベッラ&グリエルモ
器用貧乏さん
演技ねえ…今年はソーシャルディスタンスを守らないといけないので、二重唱も演技は無しで演奏会形式で歌わないといけないので、ある意味、楽です。演技が無ければ、極端な話、暗譜せずに、楽譜をガン見しながら歌ってもいいわけで、一応、暗譜して歌うつもりですが、暗譜が間に合わなければ譜面を見ながら歌うのもアリかなって思うと、なんか気楽です。
> 演技が無ければ、極端な話、暗譜せずに、楽譜をガン見しながら歌ってもいいわけで、一応、暗譜して歌うつもりですが
やはり、暗譜した方が歌唱に集中できますので‥‥。
月末の二重唱、成功を祈ってます。
私の方は、9月初めにチェロの3重奏の会があります。前回は、高原のカフェ(チェロの先生のご兄弟がやっている)の庭の木陰でやりました。とても気持ちよかったです。カフェのお客さんも喜んでいました。次回もその形でできると良いです。