非常事態宣言が出された地域の学校は、原則休校ですが、そうでない地域の学校は、この4月から普通に行われている…はずです。“…はず”と書いたのも、該当地域でなくとも、様々な理由で休校になっている学校があるからです。
「何よりも、健康と安全が第一」という事で、休校になっているわけです。
学校という施設は、狭い教室に生徒をぎゅうぎゅう詰めにして入れ、先生や生徒同士が至近距離で話をする(つまり、互いにツバを掛け合うわけです)という場所です。最近の学校は空調設備が整っている事もあって、基本的に密閉空間なので、見事に3密を達成していたりします。
そもそも、コロナに限らず昔から、伝染病は学校を経由して伝染したり伝染されたりする事が多く、公衆衛生的に考えるならば、現在の日本の学校というシステムは、感染症に関してはかなり脆弱であると言わざるを得ません。ですから、現在のように、伝染病が流行しているのならば、休校にするというのは、理解できないわけではありません。
しかし、学校を休校にしてしまえば、子どもたちの学習が遅れてしまいます。
3月始めから休校にしている学校も多く、現状では5月初旬まで休校の予定の学校もたくさんあります。そういう学校では、2ヶ月ほど休校期間が続きます。そのうち、春休みもあれば、年度終わり年度初めの準備期間もあるので、実質的な学習期間は1ヶ月強程度の期間となります。その期間の学習の遅れはどうするのでしょうか?
一つの方法としては、夏休みを中止して、その期間を学習期間として学習の遅れを取り戻すというやり方があるでしょう。私個人は、この案には賛成しますし、小学校あたりは大いにこのやり方をすれば良いでしょう。しかし、中学校や高校では、おそらくこの案は採用されないと思います。
と言うのも、夏休みは部活動の大会等がひしめいているからです。夏休みを中止して学習期間にしてしまうと、中学生高校生の部活動の大会がすべて中止となってしまいます。
部活動は大切です。一部の生徒や先生たちにとっては、学習よりも部活動の方が大切なのです。
現在は休校期間であり、当然、部活動も活動禁止なのですが、それでも“闇部活”が都市部を中心に行われ、学校は休んでも部活動は熱心に行っている教師生徒がいるくらいです。しかし、日々の練習は闇で行う事ができても、試合や大会は闇では行えませんから、夏休みの大会中止なんて、全力で反対してくるでしょう。
それに皆さんだって、夏の甲子園は見たいでしょ? 春の甲子園が中止になり、夏の甲子園まで中止になったら、今の高校3年生で野球のプロになりたいと思っている子たちは、いったいどうすればいいの…って議論も当然出てくるでしょうね。実はそれ、野球だけでなく、すべてのスポーツで言えるんです。彼らの進路を考えるならば、夏の大会をおいそれと中止にできるはずもないのです。
それに、たとえプロになる子がいないような部活動であっても、夏の大会が無くなるのは「青春の思い出が…」ってわけで反対される方も大勢いらっしゃると思います。
こちらのブログは音楽関係の方が多くご覧になっていると思いますが、吹奏楽や合唱部の夏のコンクールが無くなってしまったら…と思うと、胸が塞がる気分になりますでしょ? 学校が5月から再開され、部活動も通常通りできるようになり、5月6月7月…と、毎日毎日生徒たちが部活に励んでも、夏休みは学習の補填のために無しになり、夏のコンクールも無しで、ただただ毎日学校に勉強に来て勉強するだけになったら…ねえ、それは無理だって思うよね。
不足している授業を夏休みに行うのが無理ならば、放課後にやるのはいかが…という話が出てきます。まあ、塾に行っている時間を学校での学習に当てれば(塾業界にとっては大痛手ですが)それはそれで可能かもしれませんが、当然、放課後にも部活動があるわけだから、夏休みを無くすのを反対するのと同様に、放課後学習も反対されてしまうでしょう。つまり、部活動がある限り、中学高校での授業時間の補填は難しいって事です。
次の案としては、細かい事には目をつぶって、学校再開以降は、特に授業時間補填なども考えずに、通常のスケジュールで行う…と言うのがあります。当然、中学校や高校では、授業時間の不足が懸念され、本来なら進級卒業に支障が出ますが、そこは今年限りの超法規的措置で、授業時間が不足していても進級卒業を可能にして救済してあげるわけです。これなら、再開後の部活もたんまりとできます。
たぶん、このやり方が採用されるような気がしますが、これで行うと、結局授業時間の補填は行われず、今年の学習内容を未消化あるいは未学習のまま、生徒たちは進学進級してしまう事になります。文系科目では何とかなるかもしれません(英語や国語などの語学系は授業時間が少なくなっても大丈夫でしょうし、社会科などは重要度の低い単元を切り捨てれば良いだけです)が、理系科目は違います。数学にせよ理科にせよ、学ばなくて良い単元というのは基本的にありません。理系科目は、そうでなくても、ここ数年、教科書が厚くなり、学習内容が増えているにも関わらず、授業時間が慢性的に不足気味で、そんな中で授業をやっている学校が大半ですから、授業時間の補填がなければ、大きな問題になるはずです。その結果、これから数年間、理系が苦手な子どもが多く生み出されることになります。それで本当に良いのかな? コロナ禍のおかげで多くの落ちこぼれ生徒が発生しかねません。そうでなくても、ここ平成に入ってから、日本の子どもたちの学力は(国際学力検査等で)坂を転げるように落ち続けているわけで、それは日本のような技術立国にとっては、個人の幸せのみならず、国の死活問題につながると思うんですよ。それをさらに加速させるような事をして良いのでしょうか?
高校3年生は大変ですね。今度の入試から大学入試制度が大きく変わる事になっています。そこに学習内容が不十分なまま突入しなければいけないのですから、泣きっ面に蜂ですよ。
大学ではオンライン授業に切り替えている学校も多々ありますし、大学生ならそれで良くても、小学校~高校ではそうはいきません。成長段階的に、まだまだ生の教師が教えないと伝わらない部分も多々あります。
まあ、それくらい学校の休校ってのは大きな問題だという事です。これでさらに休校期間が伸びて、6月まで休校とか、7月まで休校とか、いっその事、9月まで休校なんてなったら、本当にどうしたらいいんでしょうね。
なので提案します。いっその事、この際だから、学校の年度の始業を諸外国に合わせて9月にしてしまうというのも、アリではありませんか? そうすれば、学習の遅れもなくなるし、諸外国への転入学や留学も今よりもずっと容易になるし、便利なこと、この上ありません。
という訳で、学校の始業を9月にしてしまうというのを、第3の案として提案します。
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