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カラオケは歌うのに、なぜ合唱や声楽は歌わないのか?

 かつて、日本人、とりわけ日本男子は歌を歌わない人たちであると思われていたそうです。明治期にキリスト教を伝えた宣教師たちが、クチを揃えて「日本人、とりわけ男性は歌(讃美歌)を歌ってくれない」と嘆いていたそうです。

 でもそれは、今は昔の話で、街中にあふれるカラオケ店の隆盛を見ると、日本人は男女を問わずに歌が好きで、毎日毎日どこかで誰かがマイクを握って歌っていることが容易に想像できます。テレビ番組だって、カラオケ番組が毎日のように放送されているわけだし、カラオケは、本当に日本人に愛されている娯楽の一つであると言えるでしょう。

 現在の日本人は、かつての日本人と違って、歌が好きだし、個人によって巧拙はあるだろうけれど、おしなべて言えば、決して歌が苦手なわけではないでしょう。それほどの歌好き・歌上手な日本人だけれど、流行っているのはカラオケばかりであり、街の市民合唱団とか声楽教室などは、決して流行っていると言える状態ではありません。その上、それらに参加している人々の平均年齢もかなり高くて、どの団や教室も、男性全般と若い女性は、常に圧倒的に不足しているわけです。

 男性や若い女性は、カラオケでは歌うけれど、合唱や声楽の方には流れてこない…というのが現実の姿…なのかな?

 同じ“歌”なのに、カラオケは大人気で、合唱や声楽が不人気なのは、なぜなのだろうか? カラオケにあって、合唱や声楽には無いものってなんだろう? このあたりについて、ちょっと考えてみました。

1)カラオケは、機械(カラオケマシン)が伴奏してくれる。だから伴奏者に気を使う必要はないし、伴奏者の都合をうかがう必要がない。気軽でお手軽。

2)カラオケは、機械演奏なので正確無比だし、毎回毎回、判で押したように全く同じ伴奏をしてくれるので安心だし、伴奏に合わせて歌うことも割と楽。。

3)カラオケに行くためにわざわざ練習をする人はいない。カラオケ自体が歌の練習であり、本番であり、カラオケで歌うこと自体が目的である。

4)カラオケでは歌える曲だけを歌うので、譜読みの必要がない…と言うよりも、楽譜が読めなくても楽しめる。

5)カラオケでは知っている曲だけを歌うので、知らない曲にわざわざチャレンジする必要がない…ので、楽譜が読めなくても楽しめる。

6)カラオケだと下手でも叱られないし、落ち込む必要がない。上手に歌えれば、みんなに誉められて、その場が盛り上がる。

7)カラオケなら仲間とワイワイ楽しみながら盛り上がれる。デートにも使える。

8)カラオケでは歌うのは原則的に日本語の歌ばかりなので、外国語が苦手でも大丈夫。

9)カラオケだと最新流行の今時の歌をいち早く歌える。

 まあ、カラオケと合唱や声楽では、音楽ジャンルが違うのだから、アレコレ違っていて当然なんだし、カラオケと比べた時に、合唱や声楽の方にアドヴァテージがある事だってあるわけだけだし、それらを列記することだって可能だけれど、これだけカラオケの特徴をあげた後だと、それをしても、ディスる結果になりかねないので、止めておきます。

 さて、実際の話、カラオケにだって、ごく少数とは言え、クラシック系の歌も入っているけれど、歌う人は少ないのが現実です。

 となると、問題は“カラオケVS…”ではなく、そもそも合唱曲とか声楽曲って、人気が無い?って事なのかもしれません。

 まあそう言われれば、そうかも(笑)。だいたい、人気の有無以前に、一般ピープルに、合唱曲とか声楽曲とかって、ほとんど知られていないというのが現状かもしれません。

 カラオケでよく歌われる人気曲って、たいてい新曲です。カラオケを利用する若い人たちにとって、音楽というのは、せいぜい2~3年以内に発表された曲ばかりです。5年前の曲で「うわー、懐かしい!」であり、10~20年前の曲は馴染みのない曲。30年前の曲は「それ、この前お父さんが歌ってた!」曲であり、懐メロであり、教科書で学んだことのある曲なのです。50年前の曲は…そこまで来ると、自分たちとは無関係な曲なわけです。

 クラシックの曲は、一番新しくても、せいぜい100年前でしょ? もう、音楽としては無関係もいいところだし、だいたい外国語だし、難しいし、馴染みないし…まあ、若者たちに人気がなくても仕方ないかな?

結論 クラシック系の音楽は、若者たちに馴染みがないので、人気がなく、そのために歌われることが少ない。

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コメント

  1. とも より:

    おはようございます。

    あと、費用がかからない。
    練習場に行ったり、決まった時間を確保する必要がない。
    気恥ずかしい。
    教えられるのが嫌。

    などもポイントかと想います。

    費用はともかく、よい団に当たれば、練習に行くために仕事や用事をコントロールするのは生活にメリハリつくと思うんですが…

  2. ドロシー より:

    すとんさん、おはようございます。

    カラオケは、本当に心から好きだと思って行く人ばかりでもないと思いますよ。
    立場上断れない人から誘われたから、とか接待上の理由もあります。
    本当は好きでなくても営業のうち、と割り切っている人もいるし、誘いやすいのだと思います。
    趣味というより、営業という方が近いかな。「カラオケの選曲の仕方」という記事がビジネス誌に載るくらいですから。
    自分が好きな曲よりも周囲が盛り上がる曲を選ばなくてはならないですしね。

    クラシックという切り口では、多くの大企業にはアマオケの同好会があるけど、合唱団はすっかりなくなってしまいましたね。
    アマオケでは現役ビジネスマンが楽器にお金をかけているのに、楽器にお金がかからない合唱団に現役ビジネスマンはいない。

    お金と時間の両立の問題だけではなさそう。

  3. すとん より:

    ともさん

     おっしゃるとおり、それらの事柄もカラオケ人気の理由の一つですね。特に…

    >気恥ずかしい。
    >教えられるのが嫌。

     …あたりは、図星かもしれません。とにかく、なんだかんだ言っても、日本人はシャイですし、他人に教えを請うのは苦手な人、多いですからね。私には無かった視点をありがとうございます。

  4. すとん より:

    ドロシーさん

     おっしゃるとおり、営業ツールとしてのカラオケってのも存在します。そういう接待は楽しそうでいいなあ。歌の接待か…私は接待をしないし受けないので、ちょっぴり羨ましかったりします(ダメじゃん)。

    >「カラオケの選曲の仕方」という記事がビジネス誌に載るくらいですから。

     あらま、そんな記事があるんですか? 私、全くの不勉強でした。

    >多くの大企業にはアマオケの同好会があるけど、合唱団はすっかりなくなってしまいましたね。

     そうですね。ちなみに中学校や高校でも、吹奏楽部はありますが、合唱部はほぼ壊滅状態となってます。

    >お金と時間の両立の問題だけではなさそう。

     社会人はちょっと不明ですが、中学高校生に関しては、楽器店の営業努力ってのがあると思います。吹奏楽部が盛んなら楽器がコンスタンスに売れますが、合唱部がいくら盛んでも楽器店はちっとももうかりませんからね。

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