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フルート合宿 その6「アゲハは重いフルートです」

 フルートの練習を再開したところで、男部屋では、互いの楽器の話が始まり、私はAさんとBさんのフルートを吹かせてもらいました。

 Aさんのフルートは、サンキョウの木管です。木管金管問わず、私はサンキョウの楽器との相性が良くなくて、吹くのに苦労するのが普通なのですが、Aさんの木管フルートは、実に吹きやすくて良い楽器でした。音色も木管っぽい感じで、良い楽器だなあと思いました。手に持っているだけで、楽器から木の香りがして、なんか気分も良くなります。もっとも、Aさん自身は、この楽器を吹いているとアレルギーが起こってクチビルが腫れてしまうんだそうで、普段はこの木管フルートにゴールドの頭部管を差して使用しています。で、このゴールド頭部管の状態でも吹かせてもらいましたが、これもなかなか良い感じです。良い良いと褒めていたら「150万円で譲ってあげるよ」と言われたので、速攻でお断りをしました(笑)。だって150万円あったら、パウエルの木管フルートを買いますって…え、ちょっと足りない? だったら、アルタスのPSとかALを買うよ。

 Bさんのフルートは、ヤマハです。たぶん、スクールモデルでしょう。Bさんは、多趣味な人で、フルート一辺倒ってわけじゃないので、あまり楽器にこだわってはいないようです。なんでも、20年ほど前に購入したフルートだそうです。で、このフルートが、実に拍子抜けするほどに吹きやすくて、音が出しやすくて、吹いているうちに笑顔になってしまうほどの楽器でした。これも良い楽器です。

 一方、私のフルート(アゲハと命名しております)をお二人に吹いてもらった感想は「重い!」のひと言でした。Bさんなんて、あからさまにイヤな顔してたもんなあ(笑)。

 “重い”と言っても、もちろん楽器の重量の話ではなくて、吹きづらさの話です。つまり吹奏感ね。

 とにかく、私のアゲハは吹きづらいんだそうです。息を入れても鳴らない…と言うか、音の出づらい楽器で、とても引き上げの総銀楽器とは思えないほどの、重量感なんだそうです。まあ、私も以前から、アゲハは吹きづらい楽器だなあと思っていたけれど、他人から改めて言われると、やっぱりそうなんだと感慨もひとしおです。

 ちなみに、このフルート吹き比べの話が夜の宴会で話題となり、私が次に購入するべき楽器の話に発展しました。D先生(この日のお昼ごろに到着しました)は「アルタスの1307の次なら、ソルダードのSRがいいんじゃないの」とご意見をくださいました。この先生はムラマツ派のようです。H先生は「今アルタスを吹いているのだから、メーカーを変える必要はないですよ。だから次は、アルタスの巻き管じゃないかな」と言ってました。どっちにしても、私の場合、次のフルートは、ドローンではなく、ソルダードの方が良いというのが、両先生の一致した答えです。ソルダードのフルートって、ドローンのものと比べると、後付のトーンホール(の煙突)+ハンダ付けの分だけ、楽器の重量が増えて、その分吹奏感が重くなるわけです。とりわけ、巻管フルートは、簡単そのものがソルダードみたいなものだから、より吹奏感は重くなるわけで、つまり私の次のフルートは、どちらにせよ、今のものよりも、もっと重くて吹きづらいフルートの方が良い…という結論になりました。

 そんなモンっすかねえ…?

 さても閑話休題です。頭痛薬を飲んですっきりした私は、このあたりになると、覚悟もようやく決まり、15分程度で休憩を取っていたのを、30分程度練習してから休憩を取るようになりました。まあ、他の二人が休憩取らずにフルートを吹いているのから見れば、全然まだまだなんですが、私としては、練習量がいきなり二倍に増えたわけですから、大変な進歩です。

 私だって、やる時はやるのよ。

 このあたりから、合宿のソロ曲の練習ばかりではなく、持ってきていたプチエチュードの練習を始めました。だって、次のレッスンで吹く15番なんて、この段階では、譜読みすらしていなかったわけで、譜読みから始めて、じっくりと取り組み始めました。

 で、夕食がやってきて、入浴の許可もおりたので、さっそくお風呂に入ると、バンバンバンバンと轟音が鳴り響きました。やや、花火の音です。それもかなり近いみたい…。

 後で聞くと、この時、野尻湖では花火大会があったようで、我々の宿のすぐ近くで花火を打ち上げたそうです。だから、宿側からすれば、大迫力だったそうです。見ていた人の話を聞くと「火の粉が真上から降ってきて…ちょっと怖かった」というくらいの迫力だったそうです。

 でも、私は、その時、ちょうど入浴していたのです。まあ、花火なんて、そこそこの時間打ち上げているものだから…のんびりはしていませんでしたが、だからと言って焦ることもせず、マイペースでいたら、やがて花火の轟音が聞こえなくなってしまいました。

 どうやら当地の花火大会は、時間にすると、割りと短時間で終わってしまうもの…のようでした。ですので、まったく焦らなかった私は、花火を見逃してしまったわけです。残念。

 実は花火と言うと、私の地元の花火大会が、このフルート合宿と重なってしまい、毎年見ていた花火が今年は見れないわけで、花火好きな私としては、ちょっぴり残念だったわけですが、それがここ野尻湖で見れるかも…と思ったのに、結局見れなかったので、私の花火高揚感が上がったり下がったりで、ちょっとだけ、ダメージとなりました。

 実は、翌日も私の入浴中に、今度は湖の対岸側で花火が打ち上がったんだそうです。この時は、音に気づかずに、ゆっくりと入浴していて、花火に気づきませんでした。とことん、花火とは縁のない私なのでした。

 入浴後も、まじめにフルートの練習をして、夜の10時からは宴会で、あれこれあれこれ皆さんとおしゃべりをしていたら、この日の宴会終了時刻は…なんと2時近くになっていました。さすがにこれ以上はダメって事で、明日に備えて、みんなで部屋に戻って、寝ました。ちなみに、この日の先生の布団を敷いたのは、私でございます(笑)。

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コメント

  1. Hiro.MTB より:

    楽器の吹き比べ記事、興味深く読ませて頂きました。

    サンキョウの木製とヤマハのスクールモデルですか。おなじH先生の生徒さんでも、色々な楽器をお持ちなんですね。
    そしてすとんさんのアルタスを入れて、三者三様のフルートでアンサンブル。良いですねぇ。

    「ヤマハは吹き易い」伝説はここでも健在なんですね。20年前のスクールモデルとのことですが、ヤマハの入門機は癖が無く誰でも容易に吹けるプレーンな味付け(その代り、楽器の個性や物語性に乏しい)というのは昔からですね…おっと、括弧の部分は私の勝手な想像です。すとんさんの記事にはそんな事は書いてありませんからね。

    サンキョウの木製はどんな味付けだったのでしょう?記事中には「吹き易い」と書かれていましたが、私は木製フルートを吹いた事も無ければサンキョウを吹いた事もないので、想像できないのです。同じ「吹き易い」でも、ヤマハとは違った感触なんだろうな、と思っていますが…うーむ、試奏したい(笑)。

  2. すとん より:

    Hiro.MTBさん

    >ヤマハの入門機は癖が無く誰でも容易に吹けるプレーンな味付け(その代り、楽器の個性や物語性に乏しい)というのは昔からですね…

     いやいや、AさんもBさんに向かって、直接同じような事を言ってましたよ。私は「それって直接言っちゃっていいの? 本当にいいの?」って感じで、ちょっぴりハラハラしてましたけれど。

     サンキョウの木管の吹きやすさというのは、おそらくポイント関係だろうと思うのです。私は、サンキョウと相性が悪いと言いますが、どうもうまくサンキョウのポイントに当たらないんですね。でも、Aさんの木管は、おそらくポイントが広くて、私でもポイントに上手く当てることができて、それで吹きやすい…って事は、つまり、金属管よりも万人向けのアレンジがしてあるのかなあ…って程度の意味です。ヤマハの吹きやすさとは、言葉が同じでも、内容は違います。

    >すとんさんのアルタスを入れて、三者三様のフルートでアンサンブル。良いですねぇ。

     そう言えば、我々以外の方々のフルートは、ほぼムラマツなんですよ。アンチムラマツで固まっていた…のかもしれません(笑)。

  3. Hiro.MTB より:

    サンンキョウ木製の説明、有難う御座います。楽器の味付けではなくて鳴るポイントの問題でしたか。

    >アンチムラマツで固まっていた…のかもしれません(笑)。

    部屋割りが、所有楽器の銘柄で決められていたりして(笑)。他の部屋は、同じムラマツでも「ドローン部屋」「ソルダード部屋」「ゴールド部屋」に分かれていたら、面白いですね。

    >AさんもBさんに向かって、直接同じような事を言ってましたよ。

    ヤマハユーザーの私自身も、吹いた実感としてそう思っているので反論はしませんが、さすがに他社のユーザーから面と向かって言われたら…(苦笑)。

    でも、逆にそういう楽器を大量生産・安定供給し続けられるヤマハの技術力と企業体力って、すごいと思います。他のメーカーは、ヤマハと同じ土俵で戦わず、それぞれの個性で勝負しようとしているわけですから。

  4. すとん より:

    Hiro.MTBさん

    >部屋割りが、所有楽器の銘柄で決められていたりして(笑)。

     それは面白いかもしれません(たぶん違うでしょうが)。あ、そうそう、私、別にアンチムラマツじゃないですよ。あれは言葉のあや。どっちかと言うと「ムラマツ様になんぞ、恐れ多くて近寄れねえでゲス」という、アンチではなくて、意味のない劣等感を持っていたりする人だったりします。

     私の中では、ムラマツは別格なのね。

    >さすがに他社のユーザーから面と向かって言われたら…(苦笑)。

     そりゃあそうでしょうよねえ…。私もさすがにあの時は「やべえー!」と思いましたもの。なんだかんだ言っても、自分の楽器はみんな大好きですからね。誉めてくれるならともかく、そうでないなら、コメントいらねーよ!って感じです、特に私は(笑)。

     でも、他人の楽器って、ほんと、気になるんですよね。

    >そういう楽器を大量生産・安定供給し続けられるヤマハの技術力と企業体力って、すごいと思います。

     これ、ほんと、すごいと思います。それも1つや2つの楽器に特化した話ではなく、あれこれ多くの楽器に関して言えるんだから、ほんと凄いです。世界のトップ楽器メーカーである事には、間違いないと思うし、日本の誇りだと思います(おおげさでなくね)。

  5. mee より:

    横から失礼します。
    ムラマツの話題が出ていたので。

    私はムラマツ嫌いではないです。

    今は少し控えめになってきたと思いますが、ずっと以前は「フルートはムラマツ」とでも言うように右も左もムラマツでした。
    私の耳にはムラマツの音がしっかりとこびり付いているらしく、今でもどこかでフルートの音がすれば「あぁ、ムラマツだろうなぁ…やっぱりムラマツだった」ということがよくあります。

    でもね、ムラマツがひしめいているんですよ[E:coldsweats02]

    私は100人の笛吹きが居たとして、その中から私の音を見つけて欲しいんです。

    私も以前はムラマツでした。
    だからムラマツはやめました。

    ムラマツは頭の良い優れた楽器です。
    私が吹くのをちゃんと助けてくれます。
    安定感のある素晴らしい楽器です。
    少々自分の調子が悪くても、ちゃんとムラマツの音を出してくれます。
    安心ムラマツは嫌いではありません。

    今は
    少し自分から寄り添って行かなければならない「おじいちゃん」が私の相棒です。
    (多分、おばあちゃんではなく、おじいちゃんだと思います)
    ちょっとオットリ。頑丈。渋っ!音程悪っ[E:pout]…って、自分の状態を反映しているだけですが、大いに助けてくれる訳ではありません[E:catface]

  6. すとん より:

    meeさん

     ムラマツは凄いフルートメーカーだと思うし、ムラマツ製のフルートは素晴らしい楽器だと思います。世界中のプロが愛用しているし、ほんと、プロのために作られた楽器なんだと思います。

     だから、私から見ると、ちょっと腰が引けちゃうんですよね。もちろん、ムラマツ以外のメーカーはダメと言うわけはないし、むしろ、負けず劣らずに素晴らしい楽器を作っているとは思うものの…ブランド力? あるいは老舗ののれん? やはり、ムラマツという名は、ビッグネームだと思うわけです。で、私は小物ですから、ムラマツのそういう点にビビるわけです。

     …ってか、純粋に、私はアルタスの笛の音が大好きで、だからアルタスを選んだだけなんです。ムラマツが凄いってのは知っていて、でも凄いモノよりも好きなモノを選択しただけなんですけれどね。だから、ムラマツに対して、ビビる気持ち以外には、特段の感情は持っていません。ただ、ビビるだけね(汗)。

  7. Hiro.MTB より:

    >「ムラマツ様になんぞ、恐れ多くて近寄れねえでゲス」

    判ります、判ります。ムラマツ嫌いなんじゃなくて、良すぎて気後れしてしまうんですね。

    高級ブランドのスーツに袖を通そうとして、ふと「俺って、こんな高級な服に見合う人物かな?」って、一瞬考え込んでしまう感じですね。

    ただ、「みんなが着ているから俺も同じその高級な服を着る」のも一つの手ですが、その一方で「俺が一番着心地が良いと感じる服を着る」という選択肢も、間違いではないと思います。プロになったらそうも言っていられないのかもしれませんが、私たちはアマチュアですからね。自分が試してみて「あ、これ良い!」って思った楽器が、きっと選択肢として正解なんだと思います。

  8. すとん より:

    Hiro.MTBさん

     ムラマツと高級ブランドスーツの話は、面白いです。「うんうん、そうそう」って感じです。

     高級お仕立てブランドスーツは、着心地がきっと良いはずです。私も、高級ブランドではないけれど、お仕立てスーツを何着か持っていますが、やっぱり吊るしのスーツとは全然違うわけです。これが高級ブランドになったら、生地も違うだろうし、仕立屋職人の腕前も違えば、製法に関するノウハウだって違うわけで…ううむ、想像できません。

     ムラマツフルートも良いけれど、高級ブランドスーツは是非欲しいです。誰か私に、銀座英國屋さんのお仕立券をくださらないかしら?(笑)。

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