さて、声楽のレッスンの続きです。
まずは、ドナウディ作曲「O del mio amato ben/ああ愛する人の」からです。
歌う時に、楽譜通りに清潔に歌いすぎているきらいがあるので、注意をするように言われました。棒歌いとは違うのですが、あまりに楽譜通りって事です。もう少し、表現に気をつけなさい…って事なんだろうと思います。
音符一つ歌うにしても、その音符を一色で歌うのではなく、音符の中で色々と色をつけて歌い回す…それは歌に色気を加えることでもあります。ラブソングなんだし、テノールなんだし、やはりセクシーに歌えないとダメと言うか、歌うと自然にセクシーになっちゃうくらいじゃないとテノールの歌としては物足りないというか、まあ、そんな感じに先生の言葉を解釈しました。テノールって、声的にはイケメンなんだから、イケメンはイケメンっぽく歌えないとテノールの意味や存在理由が無くなってしまうって事だな。
この曲のメロディーの音域は、全般的に低いです。最高音ですらFです。だから、テノールとしては、この曲を極力“開いた声”で脳天気に歌うべきだと思います。とは言え、音楽の重心が低いので、声的に馬鹿になりきれない私がいます。あっけらかーんとした、開放的でおバカな声で歌いたいなあ。
ただ、最高音のFに関しては、開いた声のまま歌うべきか、この音だけ閉じた声で知的に歌うべきかは、音楽解釈次第ですと言われましたが、私的は、最後まで、徹頭徹尾、開きっぱなしの、脳みそ軽い系の声で歌い通したいです。だって、私、大好きなテノールはドミンゴだけれど、憧れるテノールはディ・ステファーノだもん。
最高音Fを開いた声で歌うか、閉じた声で歌うかは、音楽表現だけの問題ではなく、その後に続く低音メロディの歌い方にも違いが出ます。続く低音のメロディをしっかり歌いなら、Fは閉じた方がよいけれど、そのFを開いた声で歌ってしまったら、低音メロディをしっかり歌ってはいけないのです。と言うのも、開いた声のままでは、音程の幅が広いメロディーにはうまく対応出来ないことが多いので、その場合は、低音のメロディ部分は、軽く流すように、リキを入れずに歌う事が必要となってきます。
流して歌うのは…苦手なんだよなあ。
最後の“senza il mio ben”の部分は、声を1つずつ前に前に置いていく感じで歌います。
これでこの曲は終了。最後に感想を先生に尋ねられたので、正直に「歌っていても、全く喜びの感じられない歌でした」と言ったら、苦笑されました。いや、実際、私はこの曲、嫌いだし…。嫌いな曲だけれど勉強のために歌うのなら仕方ないとは言え、歌っていて楽しくなかったのも事実です。ああ、これでやっと、この曲から開放されると思うと、ハレバレした気分になります。
次は、モーツァルト作曲の「Dalla sua pace la mia dipende/彼女こそ私の宝」です。この曲は…難しいですね。歌っていると、困難を感じますが、それゆえにファイトも湧いてくる曲です。
で、今回、ほんと、奇跡的に、楽に、のびのびと、この曲が歌えちゃいました。何が起こったのでしょうか? 妻にも「良かった」と言われるほどに、格段の出来栄えだったんですよ。以前、キング先生に習っていた時には、たった四小節ですら、まともに歌えなかったのにね(笑)。一つには、お正月休み明けだったので、休養たっぷりで、声に余力があったからかもしれません。なにしろ、いつもレッスンの時は、疲労困憊の状態で歌ってますから、声も体力も余力なんてありませんからね。
あとはやはり、指導者の違いかな? これはかなり大きな違いです。
楽に歌うのは良い事です。でも、その楽さって、歌っている本人からすると、ややも不安に感じる部分があり、ついうっかり、自己満足を求めて、声を押してしまいがちです。今回は、歌っている時に、多少の理性があったので、声を押さないように気をつけることができましたが、次回も理性を保ったまま歌う自信は…全くありません。そこが私の課題でもあります。
この曲の最高音はGです。最高音そのものはあまり高くありませんが、メロディーの音程の平均値がやたらと高いのが特徴です。それでも、メロディがGまでに収まっているので実用音域の範囲で歌えます。それを確認して、高音にビビらずに歌っていきたいです。
と言うのも、先生がおっしゃるには、私、Gが近づくと、声が失速するんだそうです。たぶん、無意識に、最高音へのビビリがあるんだと思います。無意識にビビっているんだから、世話ないよね。なので、意識的にビビらずにアクセル踏んだまま突っ込んで歌っていきたいと思います。
あと、歌うのが難しいので、どうしても発声に注意が行きがちで、うっかりすると、音程に関して失念して、甘々な音程で歌ってしまいがちです。そのたびに先生に注意されて、歌い直すのだけれど、きちんと音程に注意して歌えば、別にそんなに甘い音程にはならないので、発声だけでなく、音程にも気を配って歌わないといけません。そのためにも、あんまり焦らない事が大切かもね。幸いな事に、この曲はテンポがゆっくりなのだから、発声にも音程にも気を使う事でできるのだから、やらないといけません。
速いテンポで乱暴に歌い飛ばしてしまうと、音程が甘くなってしまうのです。
音程が甘くなる理由のひとつは、上記の注意力散漫というのもあるけれど、他にも“ノドの開き方が下手”と言うのと“脱力しきれていない”と言うのが、あります。
“ノドの開き方が下手”と言うのは、具体的に言えば、ノドってヤツは上にも下にも開くのだけれど、下に開き過ぎると、声が胸に落ちるし、音程もぶら下がるわけです。上に開き過ぎると、うわずるし、低音の発声に困難を生じるようになります。ですから、うまい具合にバランスをとって開かないといけないのだけれど、私の場合は、どうやら、下にばかりノドを開いてしまうようなのです。で、声が下に落ちがちなんです。それはテノールとしては、ダメなのね。なるべくノドの奥を上に開くように意識していかないとなあって思うわけです。
“脱力しきれていない”と、声帯の振動が悪くなって、自動的に音程がぶら下がるわけです。これはもちろんダメですよ。とにかく、力まない。軽く歌うのです。
「O del mio amato ben/ああ愛する人の」とも通じるけれど、あまり低い音程のメロディを、必要以上にしっかり歌わないようにする事も大切です。低い音をしっかり歌いすぎると、ノドが下に開きすぎてしまい、上に開きづらくなって、高音発声に困難が生じるわけです。もちろん、低い音だって歌うのだけれど、そんなときも、しっかりした声で歌うのではなく、サラっと流すように歌う事が必要なんです。
いやあ、ほんと、声楽は難しいね。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント