伊集院光氏が、ディズニー映画『アナと雪の女王』ついて「毒にも薬にもならない映画」と評されたそうです。私は日刊スポーツのウェブ記事で、その事を知りました。
引用先の記事はすぐにでも削除されてしまうでしょうから、かい摘んで記事の内容を紹介しますと、伊集院光氏が、4月28日のTBSラジオ「月曜JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力」という、ご自身の番組の中で、以下のような事を言ったんだそうです。
何を言ったのかと言えば「(『アナと雪の女王』は)毒にも薬にもならない映画」だとか、「誰もストーリーを褒めていない」だとか、「悪いところが一切ない。良いところも一切ない」とかね。その他、CG表現がいかにも教科書どおりの作り方だというニュアンスの事も言ってます。
どんな文脈で言ったのかまでは分かりかねますが、ここで切り取られた言葉だけから判断すると…「伊集院氏はよく分かってらっしゃるなあ…」と私、思いました。と同時に「これが日本の(モノがよく分かっている)オヤジの典型的な感想なんだな」とも思いました。
日本人、とりわけオヤジというモノは、ミュージカル音痴と言うか、ミュージカルの楽しみ方を知らないんだもんなあ。
「アナと雪の女王」は、たまたま映像の部分がアニメーションであるというだけで、実はごく普通の良質なミュージカルです。だから、ストーリーが毒にも薬にもならないのは当たり前。だってミュージカルでは、ストーリーは歌のジャマをしちゃいけないんです。ストーリーが自己主張をしちゃいけないんです。ストーリーは陳腐でアリアリのモノでいいんです。あくまでも、歌の背景であり、歌の舞台なんですから。その「毒にも薬にもならないストーリー」に力のある楽曲が乗っかった時に感動が生まれるんです。それがミュージカルでしょ?
伊集院氏は「アナと雪の女王」を“目で見て”楽しんだのだと思います。それなら、このような感想になるのも当然です。でも、この映画で大切な事は“耳で聞いて”楽しむ事です。そこにこの映画の美点があるんです。あくまでも、ストーリーやCGは二次的なモノであって、これらは歌に奉仕するためにあるんです。
別に伊集院氏を攻めているわけじゃないです。おそらく彼は日本のオヤジたち、それも色々な事をしっかりわきまえているオヤジたちの典型的な意見を言っただけなんだと思います。彼は、日本のオヤジたちのオピニオン・リーダーの一人なんだと思います。
だいたい日本のオヤジたちって、まず音楽を好まないからね。ましてや、ディズニー映画となればファンタジーの世界だし、ミュージカルなんて夢々しいし、非日常的だし。これら全部、オヤジさんたちが苦手とするモノでしょ? 良いとか悪いとかではなく、オヤジさんたちに取って、ミュージカルとは、苦手で受け入れがたいものなんです。だから「アナと雪の女王」がヒットすればするほど、なぜヒットしているのか、分からないわけです。だって「アナと雪の女王」ってミュージカルなんだもの。彼らオヤジには理解できないモノなんだもの。理解できない以上、どこがどう素晴らしのかなんて、分かるわけないんだもの。
私の知人でも「アナと雪の女王」を見に行って「あんな映画のどこがおもしろいだか、さっぱり分からない」とか「子どもだましで、くだらない」とか「始まって10分で寝た!」とか威張っているのは、大抵オヤジさんたちです。そしてそれがオヤジさんなんてす。
まあ、そういう意味では、私はオヤジとしては異端な存在なんでしょうね。だいたい、音楽好きだし、歌を歌うし、フルート吹くし。まともなオヤジさんたちからすれば、ほんと理解できない趣味をしているオヤジだもんな、私(笑)。
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