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テノールの血で歌え! または、高音の出し方

 今日から声楽2年生です(笑)。

 キング先生とのレッスンが全く新しい局面に突入しました。冗談ではなく、本当に進級したような気分です。

 まず、前回のレッスンでやったことを書くと、それは背中の使い方の確認と、高音の出し方でした。例によって内容を箇条書きにします。

 1)背中は、息や声が出るにつれ、しぼむではなく、むしろ膨らむようにする。

 案外、難しい。発声の最中、背中を外側に膨らんだままの状態でキープしろという事。自然の法則に従えば、声を出せば背中はしぼむ。だけど、それに抗い、声は出しても背中はしぼめない。むしろ背中をドンドン膨らませていくという感覚。

 ええと、つまり「声は出しても、息出すな」みたいな感覚です。あるいは「最小の息で最大の声を出せ」ということかな? 言葉で表現すると、なんのこっちゃって感じになる。やってみると、すごく大変。私、脇腹釣りました(涙)。

 2)腰のベルトを後ろ斜め下方向に引っ張られている感覚で歌う。

 とにかく腰のベルトを強くグイグイと後ろ斜め下に引っ張られるような感覚で歌う。実際に、私は先生に腰のベルトをグイグイ引っ張られながら、体の感覚をそんな感じに持っていって歌いました。

 特に高い音の時は、そりゃもうグイグイです。

 歌いながら、腰のベルトうんぬんよりも「尾てい骨を握られて、思いっきり真下に引っ張られる」と言った感じになった時に、先生からOKがでました。こ、これか…! この感覚か!! しかしこの感覚は、言葉じゃうまく表現できないよ。

 実際、1)のテクニックと合わせて行うと、息がほとんど出なくなります。声だけが出て行きます。そして何だか分からないエネルギーが体の中に生まれてくるような感覚になります。尾てい骨と背骨の繫がるあたりが、ギューっとなります。背中が背骨に沿って痛みます(涙)。

 そうそう、このテクニックは男声限定だそうです。女性は男性とは筋肉の付き方が違うので、女性の場合は、また別なテクニック…どうやら股関節を使うテクニックになるそうですが、私にはよく分かりません。

 3)お腹は軽くへこんだまま、支えるだけ。首も肩も脱力したまま。

 文字通りです。とにかく背中に意識を集中させ、お腹や首や肩には無用の力は決して入れない。とにかく、背中、背中、背中です。腹式呼吸だからと言って、お腹が動くのは厳禁です。

 4)喉と鼻腔の間の管を全開。

 背中のエネルギーを背骨づたいに頭まで持っていく時、私の場合、喉と鼻腔の間の管が狭くなりがちなので、そこを思いっきり、ガバーっと開く、これでもか言うくらい開く。パカーと開く。ここが肝心。感覚的には、パチンコのチューリップのように、頭の中をパッカーンと開きます。当然、頭の中は筋肉痛になります。こめかみのあたりが釣りました(涙)。

 5)声を鼻腔に当てる。

 頭の中が開いたら、そこをスルッと通して、声を鼻腔にカツーンと当てる。鼻腔に当てて、思いっきり響かせる。後は、テノールの血を燃やして歌うだけ。

 1)~3)をベースにして、4)と5)を行うと、抜けの良い、力強い高音が出ます。

 以上のような、具体的な体の使い方を、今回のレッスンで指導されました。その最中に、一瞬だけカツーンとした声が出ました。これがOKな声、OKな体の使い方だそうです。この一瞬の感覚を忘れずに、後は、常にこの感覚で歌えるようにすればいいとの事です。

 そして、この声の出し方が、いわゆるベルカント唱法の入り口だそうです。かなりの力業です。半端な覚悟じゃできません。確かに難しいです。日常にはない筋肉の使い方をします。この一年で学んだ事の、さらに一歩先に進んだって感じ。体のあっちこっちがマジで釣ります。

 久しぶりにハードなレッスンでした。冒頭に書きましたが、レッスンの内容が新しい局面に突入したって感じで、ますますファイトが沸きます、心が燃えます。

 レッスンの最後に先生から、ニッコリと言われました。

 「今まで習ったことは、すべて忘れてください」
 「これからは難しいことは抜きで、テノールの血でカツーンと歌ってください」

 ???、も、もしかすると、これは「四の五の言わず、テノールスイッチを連打せよ」ということですか? ぐふふ、むふふ。

 まるで新学年になって、同じ教科で同じ先生だけれど、教科書が変わったみたいな感じです。例えるならば「声楽の基礎を学ぼう」から「血で歌え!君も今日からテノール!」という教科書に持ち替えたような気分です。

 やったね、進級おめでとう~っサ。

蛇足 今日の記事は、本当に私のための備忘録として書きました。オカルト表現も多く、他人にはうまく伝わらないかな…と思ってますが、自分が思い出すには十分でしょう。分かりづらい文章で、すいません!

コメント

  1. Cecilia より:

    TBさせていただきました。
    テノールの先生とソプラノの先生のレッスンの内容の記事です。
    ソプラノに共通することもありますが、やっぱり違うのですね。
    私が記事に書いていることも多少は思い違いが入っているところもありますが、何かありましたらご指摘くださいね。

  2. すとん より:

    >Ceciliaさん
     TB拝見しました。大変興味深かったです。
     歌の基礎の基本は男女ともに一緒でしょうが、そこを少し過ぎると、色々と男声と女声は違うようです。
     なぜそう思うかと言うと、私の場合、歌のレッスンはグループの中で受けていますので、一緒に学んでいるお姉様方への先生のアドバイスと、私へのアドバイスが違うところがママあるからです。
     それはもちろん、生徒としての達成度の違いもありますが、性別の違いも大きいのではないかと思ってます。
     よく先生がお姉様方におっしゃることは「これはすとんさん向けのアドバイスだから、皆さんは絶対にマネしてはいけませんよ」と言います(すぐマネしようとするお姉様がいらっしゃるのですよ…)、時々「これはすとんさんには関係ないけれど」と言いながらお姉様方全員に同じアドバイスをなさる事もあります。
     また、ほんの短期ですが、バスの方がレッスンに加わったことがありました。もちろん男性ですが、先生のアドバイスは私の時とはだいぶ方向性が違いました。性別が一緒でも、声種が違うと、やはり色々と違うようです。
     こんな事を感じるのも、グループレッスンなので、常に他人のレッスンも見れるからなのですね。そういう意味ではグループレッスンも捨てたものではないですよ。

  3. tico より:

    すとんさんが書かれている内容はほとんど私が習ったことと同じです。私もいつもそういうことを意識しています。あまり付け加えることがないくらいです。

  4. すとん より:

    >ticoさん
     基本部分はどこでも一緒なのでしょうね。でも、先生が教えてくださったことでも、私が誤解や曲解しているところもあるので、鵜呑みは禁物ですよ。
     あと、たかが発声でも、流派というか、唱法というのか、師匠筋によって、用語や用法などの細かいところが違うと、キング先生が教えてくださいました。私の記事に書いてあることも、自分の先生なら何ておっしゃるだろうかと、考えながら読んでいただけると幸いです。

  5. tico より:

    すとんさん、ありがとうございます。
    私も自分の身体で確認しながら練習していますので、大丈夫です。先生の横にいる限りは間違うことはないです。
    習ってない人がこれを読んでもできないと思います、と予防線を張っておきましょう。(笑)

  6. すとん より:

    >ticoさん

    >習ってない人がこれを読んでもできないと思います、と予防線を張っておきましょう。(笑)
     いや、実際、声楽もこのあたりになると、独学では無理ですね。私も記事を書きながら、そう思いました。
     それどころか、独学者がこれを無理無理マネると、声をつぶしたり、体を壊したりして危険かな…とも思いましたが、そこはticoさん同様、一人じゃ、そこまですらできないだろうと思って、アップしちゃいました(笑)。
     このブログは(私もかつてはそうでしたので)声楽独学者のために書いている部分がありますが、書きながら「声楽を独学で勉強するのは、やっぱり無理かな」とも思っています。痛し痒しですね。

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