案外知られていない事実なのですが、テノールにはテノール・スイッチというものがあります。このテノール・スイッチをポチっと押すと、輝く高音(?)が出、声量が豊かになりますが、反面、理性とか知性とかが飛びます。
うまくテノール・スイッチが押せないと、高音も声量も出ないのに、理性と知性だけが飛びます。困ったものです。
さらにテノール・スイッチには、痛みとか限界とかを忘れさせる働きもありますので、うっかり、このスイッチを入れたまま、練習をすると、喉をツブすので要注意です。
さらにさらにテノール・スイッチには、キザになるとか、目立ちたがるとか、恥を忘れるとかの副作用もあります。なので、スイッチを入れたまま日常生活をすごすと、変人扱いを受けます。いい年こいたオッサンが、場をわきまえずに、急に歌ったり、踊ったりします。何しろ、テノール・スイッチが入っている状態だと、世の中が美しくて、まるで劇中のように感じるんです。スイッチ・オンだと、誰でも王子様気分やヒーロー気分を楽しめます。だから、始末におえない。
あなたの周りのテノールが、奇妙な言動をくり返したとしても、それは多めに見てやって欲しい。きっとその時の彼は、うっかりテノール・スイッチを入れたままの状態なのだろうから…
テノール・スイッチを外部から強制的にオフにする方法。後頭部を上斜め45度の角度で平手打ちをすると、オフになります。お試しアレ。
と、いうわけで、私は、男声のパート分けは、音域ではなく、テノール・スイッチの有無で分けるのが、正しい分け方だと思います(笑)。でないと、単に音域がテノールというだけの理由でテノール・スイッチを持たない人がテノールに入ると…とっても不幸でしょうね。
コメント
To Mrすとん
「パートの分け方」語り口が上手い!コーラスの人達もこのようなコメントならば納得でしょうな。
テノールスイッチと言うのも面白いですね。バスはやはりバススイッチ(Bath Switch)だから風呂の中で1杯やってるムードかなぁ。
松尾篤興
>松尾さん
パート分けの件、お誉めいただき感謝。私の場合、自分自身に向けて書いているという側面が強いので、ああいう文体、ああいう展開になるんだと思います。このブログも他人に何かを発信するというよりも、自分のための備忘録であり、独学者に対する、ちょっとしたおすそ分けといったところなのです。
お風呂で一杯のバススイッチですか…うらやましいですな。