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フルート音楽が、クラシックで……なら、ポピュラー音楽に行けばいいじゃん?

 クラシック音楽という観点で見た場合、フルート音楽が……ってのは了解しました。しかし、音楽というのは、クラシック音楽しかないわけじゃありません。クラシックで……なら、ポピュラー音楽に活路を見いだせばいいじゃん。

 …って簡単に言えませんよね。実は、ポピュラーの世界に行っても、フルートって、なかなか主役にはなれない楽器なんです。

 ポピュラー音楽の主役は、圧倒的に歌、つまり歌手です。これは“ポピュラー音楽=歌”と言い切ってもいいくらいの勢いです。まだクラシック音楽の方が楽器の出番があるくらいです。

 なので、とりあえず歌手は別格として考えて、歌の間奏とかインストナンバーで活躍する楽器という観点で考えても、ポピュラーの場合…ロックならギターが主役だし、今どきのダンスミュージックならシンセやコンピューターが主役でしょ。ジャズは…ピアノやサックス、トランペットあたりが主役。俗に言う映画音楽はオーケストラ音楽だし…。実はポピュラー音楽の世界でも、フルートの活躍する場面って、あまりありません。

 私が大好きなロックバンドのジェスロ・タルだとフルート大活躍だけど、フルートを吹いている人でもジェスロ・タルの事、知らなかったりするでしょ?(実は私も最近まで知りませんでした:汗) ジャズ畑だと、ハービー・マンとかフランク・ウェス、ヒューバート・ローズ、ジェレミー・スタイグなどが有名だけれど、これらの人も、はっきり言っちゃえば“知る人ぞ知る”という存在であることは否めません。

 翻って、日本ではポピュラー系インスト音楽って言うと、吹奏楽が圧倒的に幅を聞かせています。確かにフルートは吹奏楽の主要な構成楽器の一つだけど…ここでもやっぱり主役じゃないんだよね。吹奏楽の主役は、クラリネットであり、サックスであり、トランペットなわけじゃん。吹奏楽でのフルートの役割は「トランペットの倍音を補うため」と明言していた某吹奏楽指導者を知ってます。…それって、トランペットが下手くそだから、その下手くそなトランペットをカバーするためにフルートがいるって明言しているわけでしょ。トランペットが普通に演奏できる人が楽団にいるなら、フルートは不要ってわけじゃん。なんか割り切れない…。

 もっとも、それ以前に、吹奏楽でフルートの音を聞く事自体が至難の技だけど。…“姿は見えるけれど音は聞こえない”ってパターン、多いですね。たまに、フルートソロとかが聞こえてくると、ビックリして、手に持った荷物を落としてしまいかねないほどの驚愕ですよ。

 フルートがかろうじて主役的な役割を果たすポピュラー音楽と言うと…ブラジル系の音楽、ボサノヴァとかショーロでしょ。ちょっとジャンル的にマイナーだよねえ。だいたい、地球の裏側の音楽だし…。

 ま、私はそんなマイナー・ジャンルの曲の良さも段々分かってきたけれど、一般の人には、ブラジル音楽って、なかなかにマイナーな音楽です。「イパネマの娘」や「黒いオルフェ」以外のボサノヴァやショーロの曲を知っている音楽ファンって、一体どれだけいるんだろ?

 と言うわけで、フルートって、ポピュラー音楽に来ても……な楽器だなあと思います。ああ、なんか残念です。

 民主党の蓮舫議員じゃないけれど「どうして主役じゃなければいけないんですか? 脇役でも十分じゃないですか?」って声が聞こえそうだけれど、やっぱ主役じゃないとダメでしょう。もちろん、たまに脇に回ってもいいけれど、基本、フロントマンじゃないとダメでしょう。少なくとも私はそう思います。やるなら絶対主役!と思っちゃいます。

 これからポピュラー音楽の世界でブイブイ言わせていこうと思っている若者がいたら、私からのアドヴァイスとして「フルートを吹け!」と言いたいです。歌ってフルートが吹けたら、絶対にウケるよ。だって、フルートでポピュラー音楽をやっている人って、ごくごく少数だから、すっごい目立てるぜい。あの世界は目立ってナンボだからね。その上、フルートだったら、それを支えるファンやアマチュアの数は半端なく大勢いるから、フルートで一山当てたら、でかいぞー。

 何がフルートの主役化を阻んでいるんだろ? 音域的に十分、主役クラスの楽器だと思うんだよねえ…。乏しい音量? キレイすぎる音色? 非エレキ楽器? 強すぎるクラシックイメージ? それとも奏者の気質? 考えれば考えるほど、分からなくなります。

コメント

  1. だりあ より:

    うーん、微妙なところです。
    立場として主役をはるか、脇をかためるか、もうこれはそれぞれ好みの問題のようですね。。
    合唱の世界でも、バスやアルトの方たちは和声が聞こえて気持ちがいいんだそうです。テノールやソプラノを歌っていると歌そのものに夢中になってしまって美しい和声はほとんど聞こえないけれど、アルトやバスを歌うと和声が耳の底に鳴り響いて聞こえてくるんだそうです。和声の中にいたかったら、主役級の力を持っての脇役にいるのがいいかな。一歩前に立ち出たかったら、主役がはれる器量力量が必要かな。と思いました。私は、力を持った脇役、ってのが大好きですけど、もたもたしているので、どちらもなかなかつとまりません。その他大勢ですね。でもまた、それなりにその他大勢を正しく勤めるのも、これもけっこう大変なことなので・・・。

  2. すとん より:

    >だりあさん

     すでに御承知のとおり、私は“主役至上主義者”です(笑)。自分にスポットライトが当たっていないと、とても落ちつかないタイプの人間です。なので、たまに脇役をやって、主役を喰うのなら良いのですが、いつも脇役では“生きている甲斐がない”と思ってしまうタイプの人間です。

     私は衝動買いでフルートを始めた人なので、フルートがここまで地味な楽器とは思っていなかったのですよ、いやむしろ、派手で華やかな楽器だとばかり思ってました。そういうイメージ、ありませんか? なので、フルートを始めて、ここまで地味な楽器だったのかと驚いている次第です。

     でも、フルートという楽器そのものは、実に派手な楽器だと思うんです。この派手さをうまく使いこなせていないのかもしれないなあ…なんて思ったりしてます。

     ちなみに私はテノールです。おっしゃるとおり、歌そのものに夢中になるタイプです(笑)。

  3. だりあ より:

    すとんさんもご存知と思いますがかのモーツァルトもフルートトラベルソ(横吹きフルート、今のフルートの先輩?)って楽器はイマイチお好きではなかったとのことで、主役を張らせるにはもの足りないなあと思っていたそうですが、実は何曲かのフルート協奏曲とフルートとハープのための協奏曲なんていうすごい曲を残してますよね。
    バッハも、管弦楽組曲ではフルートに主役を振っていますよね。
    なので、フルート自体は、主役を与えてその気にさせたらけっこうがんばって結果を出せる楽器なのだと思います。

    ただよい音での演奏技術が・・難しいっていうか、プロのフルーティストの方たちの中にも、◎な方はいっぱいいらっしゃると思うんですが、花丸の二重丸が五つくらい並んで輝くくらいって方がなかなかいらっしゃらないのがサビシイです・・・・。

    みなさんすっごくうまいんだけど、なーんか音楽に重要なキーが足りてないっていうのでしょうか。。。ナマイキなようですが、そんなことを感じています。

  4. すとん より:

    >だりあさん

     そう、モーツァルトもバッハも数はそれほど多くなくても、立派なフルートのレパートリーを残してくれていますね。やはり、フルートが負け始めたのは…ベートーヴェンあたりから? 彼から以降のロマン派になってくると、本当にフルートの曲で目ぼしいのが無くなってきますよね。ブラームスとか、リストとか、シューマンとかに、フルートの有名曲ってあったっけ? 近代フランス曲を待て!みたいな感じでしょ。

    >ただよい音での演奏技術が・・難しいっていうか、

     プロとアマの差が、他の楽器ほどは無いんじゃないかと言う気は、私もします。もちろんプロはすごいけれど、アマでもすごい人はすごい。他の楽器では、プロとアマには越えられないほどの壁があると思うけれど、フルートはそこまでのスゴさをなかなか感じさせてくれる人がいないと、私は個人的に思ってます。

     他の楽器だと、プロの1音を聞いただけで、鳥肌が立つという経験がありますが、フルートでは、そこまではなかなか…と思う私は、偏見の持ち主?

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