若い人たちのネットの発言を見ていて、ちょっと気になるのが、クレヨンしんちゃんのお父さんである、野原ひろしが「上級国民」とか「セレブ」とか「ハイスペック」とかの書き込みです。
いやいやいやいや、野原家って、埼玉県の春日部にあるんだよ。電車で東京から1時間くらいかかるよ。持ち家が欲しいのだけれど、都心では家が買えないサラリーマンがやむなく郊外に家を買うってパターンだよ。それに春日部って、私の親戚が住んでいるけれど、明らかな地方都市だよ、それもいい感じの地方都市だよ。ぞれが、上級国民? セレブ? ハイスペック?
庶民でしょ、ド庶民でしょ…とまあ、私は率直にそう思ってしまうわけです(春日部のおじさん、ごめん)。
でもそれは、ジジイである私の感覚だし、「クレヨンしんちゃん」が連載開始した1990年の感覚ではそうなんだけれど、2024年の現在は、どうもその感覚は違うらしいのです。
野原ひろしは、秋田県出身で地元の高校を卒業後、上京して、現在、東京霞が関の商社勤務の35歳で、役職は係長で年収約600万円だそうです。
高卒で勤続15年で係長というのは普通だろうし、大手企業の係長なら年収約600万円というのも妥当なところだと思うので、私はちょっとも違和感ないのだけれど、今の若い人たちからすると、考えられないほどに恵まれているのだそうです。
まず、地方の高卒で、東京の商社勤めというのが信じられないのだそうです。え? そうなの? 私の周囲には、高卒で大手企業に勤めている人間なんて、ザラにいたけれど、どうやら今はそうではないらしいのです。今は東京の大手商社(霞が関…って事は大手だよね)は、高卒社員の募集をしていないところも多く、そういうところに入りたいのなら、最低でも大卒、出来れば大学院卒の学歴が必要らしく、地方高卒の野原ひろしが入社なんて、今じゃありえない話…らしいのです。
高卒の野原ひろしが勤めるなら、東京の商社と言っても、大手ではなく中小かもしれません。で、東京の中小企業で、35歳の平均年収は…2024年現在、400万円前後なのだそうです。ひろしの年収600万円は、あくまでも大手企業のサラリーマンの年収なのです。
だから、学歴か勤め先か、あるいは両方がバグっているかもしれないけれど、年収600万円の野原ひろしは、令和の今では、高収入なサラリーマンなのです。
おまけに、埼玉県春日部市とは言え、35歳で持ち家なのです。現在、一軒家の取得平均年齢は41歳なのだそうです。それを考えても、35歳で持ち家のひろしは、すごいらしいのです。
おまけに、結婚して妻と子どもがいて、自家用車まで持っている。今どきの若い人からすれば、考えられないくらいに恵まれているのだそうです。
今は様々な事情で結婚できない人も増えているし、車を持てない若い世代も増えています。何しろ、今や男性の生涯未婚率は3割越えだそうだからね。
そういう今の時代の若者を取り巻く環境や事情を考えてみるならば、高卒35歳で、大手企業係長で年収600万円。埼玉に一軒家を持っていて、妻と子供と自家用車がある生活なんて、うらやましいかぎりなのかもしれません。
私の世代から見るなら「まあ、そんなもんじゃない?」程度の生活が、今の若い人たちから、うらやましがられるというのは、それだけ日本が貧しくなってきたって事なのかもしれません。
サザエさん一家は、東京の世田谷に平屋の一軒家に住んでいて、それで庶民ヅラしていたわけだけれど、それはそもそもの時代設定が戦後間もなくだから、それが可能なわけで、今どき、世田谷に一軒家を構えていたら、どう考えても庶民とは言い切れないよね。同じ事がクレヨンしんちゃんでも起こっていて、埼玉の春日部の一軒家に住んでいて、それで庶民ズラできたのは、時代設定がバブル期だからであって、平成不況を越えた今となっては、とても庶民とは思えない生活をしている…って思われているわけです。
そう言えば、ちびまる子ちゃんは、高度成長期の物語だし、本来ならば、クレヨンしんちゃん以上にセレブな生活と思われても仕方ないのだけれど、決してそうは思わせないのは、なぜなんだろ?
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