今週の第九の練習は…サボりました(笑)。いやあ、気管支炎だったので大事をとって休んだんです。
だって、合唱練習だもん。第九はね、私、一部暗記があやふやな部分がある事は認めるけれど、とりあえず、大方歌えるし…、私ひとりがいなくても合唱団全体としては、気がつかない程度の問題だし…、合唱って結局歌わされるわけだから、声楽と違って、ノドにかかる負担も自分でコントロールしずらいし…、それよりも何もよりも、早くノドとか声とかを治して、次回の声楽のレッスンに備えた方がいいかなって思ったので…サボっちゃいました。へへへ。
てなわけで、今週は第九の練習の備忘録は無しです。ちなみに妻の報告によれば、前回の練習では、ドッペルフーガまでの歌い込みと、男声の居残り特訓だったそうです。ああ、男声の特訓があったんだ…行かなくて正解だったな(笑)。
第九の練習に不参加となると、合唱関係の記事がなくなってしまうので、それでは合唱ファンの方が残念がるかな…と思ったので、今週は先日行われた地元の合唱祭の聞いて思った、どうでもいい事を書き散らすことにしました。
まず、合唱祭の説明から。合唱祭というのは…まあ、地元の合唱団の合同発表会みたいなモノです。たくさんの合唱団から大勢のみなさんが出演されていました。
どの団の方々も、順調に、お年を一つずつ重ねていました。そう、一つずつね…。つまり、どこの団もメンバーが変わってないんですよ。同じメンバーのまま、去年も歌い、今年も歌う。そんな団がたくさんいました。いやあ、多少のメンバーの入れ換えはあったのかもしれませんが、それは同世代の人同士の入れ換えなので、観客的には「今年もみなさん、お元気だなあ…」って感想です。
そりゃあ、みなさん、御達者ですよ。それは何よりですよ。でもね、これって“高齢化”って奴ですよね。シニア団体の下に、若干のお母さんコーラスの団体があって、その下がいきなり学生団体ってのは…ちょっとマズイんじゃないかなって思います。
つまり、合唱をやる中年が本当に少ないんですよ。もちろん、舞台の上だけでなく、観客側もそうなんです。全体に中年が、とりわけ中年オヤジがいないんですよ。
…音楽なんて趣味に、仕事が忙しい中年オヤジがいなくったって当たり前じゃん…という声が聞こえそうですが、それは違いますよ。だって、地元のアマオケには中年オヤジがいるもん。吹奏楽団にだって、数はあまり多くないけれど、中年オヤジがいます。ジャズ系のお店に行くと、ステージに立っているのは、地元のアマチュアジャズマンたちで、たいてい中年オヤジです。つまり、合唱以外の趣味の音楽の世界には、数の多少はあれど、どこでも中年オヤジことオジサンがいます。これほど、オヤジ度が低いのって、合唱界個別の問題なのね。だから、混声合唱団などでは、男声のほとんどは隠居ジイサマですから、どうしても団の平均年齢が70オーバーだったりするわけです。
これって、やっぱり、変でしょ? なんで、こうなっちゃったのかな?
それはおそらく、私が思うに、理由は三つ。お母さんコーラスが花盛りの現状を見て、合唱は女のやることだと言うイメージが一般化している事。新人の供給が減ってしまった事。それに合唱団が村社会化している事、このあたりが理由かなって思います。
最初の理由。「お母さんコーラスが花盛りのため、合唱は女のやることだと言うイメージが一般化している事」っては、ずばり「合唱なんて男のやる事じゃない」って事だけれど、これは別に今に始まったわけではないので、実は大した理由ではないかもしれない。いや、むしろ、こんな普遍的なテーマが思いつくほどに、お母さんコーラスが花盛りという事で、めでたい話ですね。今も昔も「合唱は女のやる事」でした。でもね、それでも昔は、歌う中年オヤジがいたのに、今ではめっきり歌うオジサンが減ってしまったというわけさ。つまり、理由は別にあるって事だね。
第二の理由。「新人の供給が減ってしまった事」ってあたりの方が、より真実に近いような気がします。では、今まで合唱における新人たちって、どこから供給されていたのでしょうか? これを団塊の世代の人たちと話をしてると、昔は、主に二つの供給源があったようです。一つは「歌声喫茶」、もう一つが「学校の部活(合唱部)」です。
…出ました! 歌声喫茶です! 実は、現在の合唱界を支えているメンバーの方々って、この歌声喫茶出身者がたくさんいるんですね。歌声喫茶で歌う楽しさを覚えて、歌声喫茶の衰退に呼応する感じで、次々と合唱団を立ち上げて、今に至る。そんな人たちがたくさんいます。歌声喫茶が消滅してしまった現在、そりゃあ、歌声喫茶経由の新人さんは来るはずないよね。納得。
学校の部活としての合唱部は、少子化と共に衰退していく一方です。おそらく昔はどこの学校にもあった合唱部だけれど、今はなくなってしまった学校の方が多いかもしれませんし、合唱部が活動していても、そのほとんどが、女性合唱の部活になっているところばかりでしょう。これでは青年中年問わず、男声の供給などちょっと考えられないですね。
…とは言え、現実にはほんの少数とは言え、合唱をやっていた男性というのはいるんです。では彼らはどこに行ってしまったのか?
そこで第三の理由です。「合唱団が村社会化している事」そうなんですよ。実に多くの合唱団が、表向きは門戸を開いているかのように見えますが、実態はメンバーが固定化し、茶飲み友達化し、村社会化しているので、団体そのものが新人の参加を拒んでいるのが現状なんです。
それは分かりますよ。もう2~30年も同じメンバーで歌ってきたんですから、今更、若い者を入れてかき回されたくないって事くらい。時代に合わせるために、今までのやり方を変えるなんて、面倒ですよね。これからも今までどおりに歌えればいい、すごくよく分かります。だから、門戸を開いているフリはするけれど、色々と理由をつけて、意識無意識に関わらず、若い人を排除していています。逆に言えば、今のメンバーと軋轢を起こさずに、団のやり方を変えずに、会費を払ってくれて歌ってくれる、そんな便利な人で、自然と周りの老人たちに溶け込める人だけしか入団を認めないわけです。となると、入ってくるのは、現メンバーと同世代か、ほんのちょっと下のシニア世代だけで、社会でバリバリやっているギラギラ系の中年オヤジなんて入れてくれるわけがないし、若い女性は裸足で逃げ出すわけですよ。
女性たちはともかく、数少ない合唱経験者である中年オヤジたちは、孤立分断化され、歌う情熱は持っているけれど、場を与えられず、別の趣味へと走るわけです。そう、昔と違って、歌が好きだから歌しかやらない、ではなく、基本的に誰もが多趣味ですから、合唱やりたいけれどできないなら、その空いた時間で別の趣味をするだけです。その別の趣味として、音楽(楽器)をやる人もいるだろうし、音楽ではない趣味をやる人もいたりします。それだけの話です。
むしろ、もっと若い世代の方、とりわけ女性たちの方が音楽に関しては真面目かもしれない。最近、ポツポツと立ち上がっている合唱団って、2~30代の若い世代を中心とした合唱団がほとんどでしょ。ただ、残念な事に、これらの合唱団って、やっぱり大半が女声合唱で、男性は合唱をなかなかやらないんだよね。
アマチュア合唱界、とりわけ混声合唱の文化の延命を図るなら、まずは中年オヤジを獲得しないといけないと思います。新人の獲得はもちろんの事、経験者も合わせて獲得しないと。
でも、中年の新人は大変だよ。なにしろ、それまでの人生で歌ってこなかったわけだから、徹底的に歌えませんよ。でも、そんな人でも入れて育て上げないと、日本のアマチュア合唱界の未来はないです。
経験者の獲得は…難しいね。即戦力になるけれど、すぐに仕切りたがるからねえ…。特に会社人間は…老人中心のユルユルな合唱団に黙ってられないでしょうね。経験者たちを数名入団させたら、もしかしたら団そのものを持って行かれちゃうかもしれない。「老いては子に従え」の精神ならば、若い者(って中年オヤジだけれど)に良いように仕切らせておいて、自分たちはその上に載っかっていけばいいけれど、こっちにも仕切りたがりのジイサマがいるならば…ちょっとムリだねえ。そういう意味では、やっぱり、新人オヤジを獲得して育てた方が楽かもしれませんね。
さあて、20年後に、どれだけの混声合唱団が、アマチュア合唱界に残っているでしょうか? 日本中から男声合唱団や混声合唱団が絶滅という事はさすがにないだろうけれど、人がたくさん住んでいる都市部近郊にしか存在していない可能性はあるなあ。たぶん、その頃の日本では、アマチュア合唱団による年末の第九もできなくなっているだろうし、私の地元の、今ある混声合唱団は、おそらく、全滅だろうと思う。残ったとしても、某合唱団だけだろうなあ。ああ、悲しくて寂しいけれど、たぶん、そうなると思う。だから、合唱やるなら、今のうちなのかもしれない。
そう考えたら、第九の練習をサボるんじゃなかったかなって、ちょっぴり思いました。
コメント
うちの地元では立派な運動施設があり、その中には弓道場もあります。市民向けの体験講習も年に数回あるので参加するのですが、そのまま続けようと後日赴いても、なんだか排他的な空気が漂って続けることが出来ませんでした。弓道連盟というのがあるのですが、あーだこーだとこれにもなかなか登録して頂けなくて・・・。
おじいちゃん、おばあちゃんが牛耳ってしまっていて、とてもとても若手(?)が続けられる余地などありませんでした。
フルート界はどうなんでしょうね。
私はまずカルチャーセンターへ入って、ガチンコレッスンを志望した時点でつまづきました。男の人も一人おじいさんくらいの人がいらっしゃいましたが、もう辞めてしまいましたし。今習っているところはアマチュア男性は私のみです。公開レッスンへ行っても、お爺さん、女子音大生さん、もしくはその前後のお年頃の女性ばかりで。
先日ピアノの調律師さんとお話をしていると、地元(隣町)のアマオケへのお誘いを受けました。どちらかと言うと今はソロ志向で、まだまだ基礎訓練中との旨をお伝えすると残念がられておられましたが、私くらいの歳で、純粋なアマチュア(音大出身ではない人)で、この歳になってから大人の趣味(本人は真面目に時間もお金も注ぎ込んで)として取り組んでいる人は貴重な存在らしいです。大抵、どこかの段階で心が折れたり折られたりしてしまうとか。
私の街のアマオケは音大卒でプロにならなかった人達で満員御礼状態ですので、ほとんど眼中になかったのですが、そういう人(音大出身ではないけど、この歳から真面目にやってみたいアマチュア)たちの集まれるアマオケがあることを知って、先の選択肢が増えたような気がしました。
地元の教室の発表会を見に行っても、学生さんとご年配の方が多く、中間層がスッポリいらっしゃらないんですよね。。。
うちの地域は吹奏楽団はレディースばっかです(笑)
元吹奏楽少女たちが、子連れでユルくやっているとことか。
だって、うちのあたりって「ママさんコーラス」が少ないんだもん。(あるところにはあるらしいけど)
私がナゾだといつも思っていることは、なぜジャズ系の人には中年オッサン以上が多いのかなっていうことです。オッサンはいるけど、オバチャンはいません。圧倒的に中年男性ばかり。なぜ?!
こちらでは、どの中学も(場合によっては高校でも)合唱コンクールが毎年あるんですけどね。うちの生徒が入っている某高校合唱部(名門)でも、男子部員は極少数です。合唱コンクールだけじゃ合唱に熱くなる男子は育成できないと見ましたが、いかがでしょう??
>ムラマツEXⅢさん
歌も笛も、私も純粋アマチュアの大人の趣味だから、貴重な存在なのか。改めて自覚。
>大抵、どこかの段階で心が折れたり折られたりしてしまうとか。
そうですね、私も何度も心を折られましたから、それは分かります。折られては、添え木を添えて治し、また折られて、ボルトで絞めて治して、また折られては、接着剤で…の繰り返しでここまでやってきました。だから、結構タフだったりします。
私は排他的だからダメというつもりはないし、やっぱりある程度の腕前がないと音楽を趣味にするのは無理というのも分かってます。ただ、その結果、純粋アマチュアの大人の趣味の人が、貴重な存在になってしまっている現状は、ちょっとさびしいかなあ…と思います。
そういう意味では、本来、音楽って、趣味としては、ハードルが高いものなのかなあって思います。
>私の街のアマオケは音大卒でプロにならなかった人達で満員御礼状態ですので
ウチもそうだよ。後は、学生オケの出身者ね。だいたいはこの2パターンだよ。だから、私が入り込む余地は全然ありません。野望ならあるけれど(笑)。
>この歳から真面目にやってみたいアマチュア)たちの集まれるアマオケがあることを知って
これは実にうらやましい、まことにうらやましい。いいなあ…。オケばかりは一人じゃできませんからね。実にうらやましい。自分の頭の上に空が広がっている感覚って、実に素晴らしいものですよね。
>ことなりままっちさん
そうそう、地域によって、盛んな音楽って違うんですよね。吹奏楽が盛んな地域とか、合唱が盛んな地域とか、ジャズやロックなどの洋楽系が盛んな地域、民謡が盛んな地域もあれば、演歌でなければ世も日も暮れない地域とか、いろいろね。
ウチの地域は、市民会館などのコンサート案内とかを見ても、合唱が盛んな地域なんだと思う。でも、中学高校では吹奏楽がそれなりに盛んなんだけれど、そこの卒業生たちは、学校を卒業した後、どうも吹奏楽から離れてしまうみたいで、地元では、市民吹奏楽団って、無いわけではないけれど、合唱団とは比較にならないくらい弱小な存在ですね。
>なぜジャズ系の人には中年オッサン以上が多いのかなっていうことです。
ちなみに笛先生はジャズウーマンです。確かにジャズは中年オヤジ以上が多いですね。
中年以上が多い理由は簡単で、ジャズが基本的に年寄りの音楽だからでしょう。本家のアメリカですら、ジャズは往年の影響力をすでに持たず、もはや過去の音楽となりつつある現状ですからね。過去の音楽と言うよりも、アメリカの伝統音楽って奴になりつつあると言った方がいいかな。ともかく、ジャズは音楽としては素晴らしいものだけれど、現役の音楽ではないとは言えると思います。少なくとも、ラップやレイブと、いわゆるジャズは並べられる音楽ではないと思います。だからでしょう。
オヤジばかりでオバサンがいないのは…分からない。でも、どの音樂分野でも、クラシック系(吹奏楽や合唱も含まれる)以外の音楽って、女性の参加者って少ないよね。どこも演奏するのは男性ばかりです。だから、これはジャズに限らずポピュラー音楽全体の特徴なのかもしれません。
>合唱コンクールだけじゃ合唱に熱くなる男子は育成できないと見ましたが、いかがでしょう??
合唱が学校で行われている以上、なかなか難しいと思う。と言うのは、これは純粋に指導者の問題なんですよ。実は合唱部はたくさんあっても、変声期の男子の発声指導ができる合唱部の先生って、あんまりいないんですよ。多くの先生は女声の面倒しか見れない。女声の指導しかできない指導者の元に、男子学生が入っても、おもしろいことは一つもないでしょう。コンクールなんて関係ないと思います。
逆に言うと、変声期の男子の発声指導ができる先生のいる学校では、それなりに混声合唱が盛んにやれてます。歌は、歌っているだけで楽しいから、コンクールがあろうがなかろうが関係ないんじゃないかなって思いますよ。