今年の夏に行われた声楽発表会は、私的には黒歴史ですが、それでも開催していただいて感謝しています。一方、フルートの発表会は、今年は開催されませんでした。残念です。
「今年はコロナウィルスの感染予防のために○○を中止します」
今の御時世、そういう事例を多く見かけます。また人々も「コロナウィルスの感染予防じゃあ仕方ないよね」と納得します。
今年は我慢、今年は我慢。
今年は我慢して中止を受け入れるわけですね。でもね、来年は、その○○は開催できるんですか? 来年になれば、コロナウィルスなんて、きれいさっぱり無くなっているなんて、誰が言えますか?
これって、日本人お得意の“先送り”ってヤツじゃないの?
なんだかんだ言われながらも、プロ野球やJリーグは開幕しました。今年開幕できたので、おそらく来年も開幕するでしょうし、それ以降もやり続けていくと思われます。それは、相撲やプロレスも同様です。また各種スポーツ大会もぼちぼちと再開しています。
「体育会系の脳筋連中はムチャしよる」
プロ野球の開幕当初はそんな陰口を叩いていた人もいました。しかし彼らだって、国なり地方自治体なり業界団体なりが定めた感染予防ガイドラインに従って開催しているわけで、ガイドラインに従っているから安心安全…とは言い切れませんが、前に進むために、できる限りの(or 妥協できる範囲の)安全策を取っているのです。そのガイドラインに従っていても、感染者が出てしまうかもしれません。それでも彼らは開催したんです。ルビコン川を渡ったのです。なぜでしょうか? もちろん、経済的な理由は大きいでしょう。それでも…
今始めないと、いつ再開できるか分からない
…からでしょう。
どんなイベントであれ、中止するのは(あれこれ手続きは面倒ですが)簡単です。止めればいいだけですから。
でも、再開するのは大変です。無論、止める時同様に手続き的な問題もありますが、それ以上にマンパワーが必要になります。企画の立案、実行、運営…等、かなりのエネルギーが必要になります。また、今まで受け継がれてきたノウハウがなくなってしまい、ゼロからのスタートを余儀なくされるかもしれません。
今まで行っていた事を、ルーチン作業として行うことは比較的に容易ですが、新しい事や途絶えて久しい事を立ち上げるって、ほんと大変です。
そういう事が理屈抜きに分かっているから、スポーツ業界は、早めに興行を再開しているんだと思います。で、ひとまず大きなクラスターの発生は免れているようです。結果オーライと言っていいのではないでしょうか?
他の業種も頑張っています。例えば、映画館も座席を半分にするなどの工夫をして再開したからこそ、今回の「鬼滅の刃」の大ヒットにこぎつけたんだと思います。
再開する事、始める事。これらを恐れることなく、しかし用心深く、粛々と日常生活を始める事の大切を感じます。
で、私が心配しているのは、アマチュア音楽家たちの音楽生活です。
全国津々浦々にあるアマチュアの音楽演奏団体は、練習を再開しているところも器楽を中心にボチボチあるようですが、まだまだ多くの団体が練習再開できてなかったり、練習は再開できても、メンバーが集まらなかったり、演奏会の目処が全然立たないところが多くあります。また、個人で音楽を習っている人の中には、教室がお休みしたままの方もいらっしゃいます。教室は再開されても、発表会の予定が立たなかったり、発表会は開催されても、色々考えた結果参加を取りやめる人もいらっしゃいます。
感染予防は大切だし、しっかりやらないといけないけれど、だからと言って、練習を止めたままでは、いつまで経っても再開できないよ。止めている時間が長くなればなるほど、再開が大変になります。本番だって、やっていかないと出来なくなってしまうよ。
さらに言えば、たとえ来年、奇跡的にコロナが収まって、世の中が全く平常になったとしても、あなた自身が来年も元気で趣味の音楽に邁進できるとは限りません。死んでしまうかも…は言い過ぎにしても、病気や怪我や、失業したり破産したり、家族の不幸や介護が、のしかかってくるかもしれません。
極端な話をすれば、来年はコロナが収まったとしても、今度は違う病気が流行っているかもしれないし、病気でなくても、ミサイルが降ってくるような世の中になっているかもしれません。戦争だって始まっているかもしれません。
無常なんです、無情なんです、世の中は。
だから、来年があるかどうかなんて期待するべきではないのです。来年に先延ばしをすれば解決にはならないのです。我慢が1年で済むとは考えない方がいいのです。
来年の事は神様にしか分からないのです。だから私達は、後悔しないためにも、今できる最善のことを全力でやるだけなんです。
それは感染予防に留意しながらの活動再開なんだろうと思います。ビビっていたら、前には進めないのです。生きるという事は、常にリスクを背負いながら坂道を歩いていくようなものなのです。リスクを恐れて歩みを止めたら、もう二度と歩きだせなくなっちゃうよ。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
コメント