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貸しホール業は、借りる側の事も考えて欲しい

 演奏会をするには、音楽ホール等を借りて行います。これは、プロアマ問わずですね。で、多くの場合、比較的ホール代が安価で設備の整っている公共施設を借りることが多いと思います。
 で、コロナ禍です。現在、多くの公共施設が音楽ホールを始めとする各施設の貸し出しを中止しています。ホールが貸してもらえなければ、演奏会はできません。
 ホールが貸してもらえないために演奏会ができずに、中止や延期になってしまうのは、このご時世ですから仕方ないにせよ、ホールを貸す側は借りる側の事も考えて欲しいと思います。具体的に言えば、ホールの貸し出しをしないのならば、なるべく早めにホールを貸せない事を決定してほしいのです。
 ホールを使用するためには、ホールの使用予約をしなければいけません。各都道府県や市町村ごとに違いますが、公共のホールの場合、使用予約をした段階で、ホール使用料のいくぱくかに当たる予約金を支払うことが多いです。
 ホール使用料って、当然ですが、無料ではありません。演奏会自体が無料コンサートであっても、それなりの使用料がかかります。ましてや、有料コンサートの場合は、かなりの金額のホール使用料が必要となってきますし、それに伴って、ホールの予約金も高額になってきます。
 ホール側の都合でホールの貸し出しができなくなった場合は、当然ですが、演奏会ができなくなるので、ホールの予約金は演奏会の主催者の側に戻ってきます。しかし、演奏会の主催者側の都合で演奏会を中止にした場合は、予約金はキャンセル料として没収され、主催者側には返ってきません。
 で、どうやら多くのホールで、貸し出しの可否を決めるのは、かなり直前になってからのようなのです。
 プロの演奏会の場合、宣伝が必要ですから、演奏会の前、少なくとも三ヶ月、可能ならば半年程度の宣伝期間が必要だし、その間にチケットを売りさばかないといけません。で、ある程度チケットを売ってしまってから、演奏会が中止となれば、チケットの払い戻し作業をしないといけません。払い戻しってのは、ただ単にお金を返せばいいだけではなく、それに伴う事務作業もあって、それなりの経費がかかってしまいます。おまけにそこまでにかかった宣伝費やら衣装代やら大道具小道具やら助演のミュージシャンのリハーサル代としてのギャラまで、全部全部、出ていくばかりで回収できません。つまり、演奏会が中止になれば、多額の赤字が発生してしまうわけです。
 それを回避するために、なるべく演奏会は中止ではなく、延期にするわけですが、延期にしたところで、チケットの払い戻しが無くなるわけではないし、再びリハーサルは必要になってくるだろうし、どうしたって経費が余計にかかり、そのまま演奏会を行う場合と比べれば、利益は減ってしまいますし、下手すると赤字になってしまうかもしれません。
 それが嫌なら、ギリギリまで宣伝開始を遅らせ、リハーサルも直前までしないようにすればいいのですが、それにだって限界はあります。本当に宣伝を遅らせていたら、チケットを売る事ができません。ですからある程度は、見切りで演奏会の準備をしていくのでしょうが、それでうまく演奏会が開催できればいいのですが、月初めの演奏会の場合、ひどい話だと、前月の月末にホールを貸し出さない事が決まったりするそうです。これはひどいね。そこで急遽演奏会を中止または延期にしたところで、赤字は免れないじゃない? ホールを貸し出す側は、利用者の宣伝やらなんやらの前準備の期間も考えて(私が個人で考えるに)少なくとも三ヶ月前にはホールの貸し出しの可否を決めるべきじゃないかな? いや、可能なら三ヶ月前じゃなくて、半年前には決めてあげるべきだと思います。
 「そんな事を言ったって、国がいつ非常事態宣言を解除するか分からないのだから、決められなくても仕方ないよ」
 非常事態宣言が解除されても、人々がすぐに音楽ホールに集まるようになれるとは思いません。音楽ホールなんて、三密じゃない? おまけに、歌や合唱や吹奏楽の演奏会なら、舞台がら飛沫がバンバン飛んでくるわけだし、そんなところに客がすぐに集まると考える方がおかしいです。だから、だいぶ先までホールを貸さないって決めても、たぶん平気でしょう。それで諦めたり助かったりする人がいるなら、そうしてあげて欲しいと私は思います。
 もう5月なんだから、年末まで公共のホールは閉めていても、いいんじゃないのって、個人的には思ってます。ダメ? それじゃあ長すぎる? だとしても、三ヶ月先の8月までは閉めていても、いいんじゃないの?

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コメント

  1. ドロシー より:

    私の知り合いのオケ公演は、前日に会場から閉鎖の連絡が来ました。

  2. すとん より:

    ドロシーさん
     それはひどい話ですね、ひどすぎます。前日じゃ、何の手も打てませんって!
     例え会場費は返金されても、宣伝費も返ってこなければ、そこまでにかかったリハーサル代は回収できないし、プロなら共演者やスタッフの人件費も吹っ飛んじゃうし、チケット払い戻しの費用だって掛かります。お客さんだって、当日、その会場に行って、初めて中止をするわけで、交通費やら(場合によっては)宿泊費や子供のシッター代とかを返して欲しいと思うし、最初っから中止って分かっていたら、別の時間の使い方だってあったと思います。ほんと、ひどい話ですね。原因がコロナ禍でなければ、損害賠償を請求できるケースじゃないですか?!

  3. ドロシー より:

    そうなんです。公的施設だから営利を目的に運営しているわけでもないなのに、ひどい話です。
    閉鎖するにしても、もっと決めて知らせれば良いのにと思います。
    これじゃあ、いくら「ヤバイ」と思っても、キャンセル料がかかると思ったら、「やる」というしかないではないですか。

  4. すとん より:

    ドロシーさん
    >これじゃあ、いくら「ヤバイ」と思っても、キャンセル料がかかると思ったら、「やる」というしかないではないですか。
     そうなんですよ。特に大きなクラシック系のコンサートの場合、文化庁あたりから補助金とか援助金なども出ている事もあって、そのお金を前提に企画されているので、コンサートを中止したら、当然補助金は出ませんので、赤字が出ましたレベルの問題ではなく、借金を山ほど背負って、その主催団体が廃業(会社で言えば倒産です)せざるをえなくなる可能性だってあるんですよ。
     だから無茶を承知でコンサートをしないといけないのです。コンサートをしてしまえば、チケットは払い戻さなくて済むし、補助金ももらえるし、関係各位に支払いだってできるし、次のコンサートの準備金だってプールできます。でも、それもこれも会場が借りられなければ、何もできません。
     音楽事務所や演奏団体なんて、動かしているお金は大きくても、所詮どこもかしこも体力のない零細企業ばかりです。で、不要不急だからと言われて、真っ先に活動を自粛せざるを得ないし、こんな事ばかり続いたら、マジで露頭に迷う音楽関係者が増えてしまいます。ほんと、やばいですって。

  5. とも より:

    私の所属する合唱団の公演も延期になりました。
    緊急事態宣言の直前の公演を中止にしたり、直前だけど公演したものもあります。
    公演した演奏会は、企画団体が後ろにあったこともあり、中止をしなかったようです。
    代わりの演奏会を企画しているようですが、年内に行うようです(オケ企画と合唱団企画の両方)。
    事務局の対応の詳細までは聞いていませんが、チケットの払い戻しや再発行の手続き、ホール使用料以外の手間も大きいと思っています。
    ホールの事務局が閉まっていることもあるのでしょうが、演奏会だけでなく練習会場としておさえることもできなくなっているようです。
    日本では演奏だけで生活している演奏家は少ないと言いますし、個人レッスン、合唱団などの謝礼もなくなってしまうわけで、そっちでも演奏家の危機が迫っていると痛切に感じます。
    芸術だけでなく、一般相手のサークルも運営大丈夫なのかと思っているんです。
    高齢の指導者もいますから、ヨガサークルはなくなっちゃうかも…

  6. すとん より:

    ともさん
    >演奏会だけでなく練習会場としておさえることもできなくなっているようです。
     これも大きいですね。プロ団体でも専用の練習場を抱えているところなんてわずかしかなく、オケや合唱などの大人数の団体の大半は、既存の施設を練習場として借りているところが多いと思います。ホールが閉まっていると、練習もままならない…という話は私も耳にしています。
    >日本では演奏だけで生活している演奏家は少ないと言います
     実際そうです。大半は教えることで定収入を得、それに演奏の稼ぎをプラスしているようです。ちなみに、副業で最強なのは、大学の先生で、次が、中学や高校の非常勤先生なんだそうです。これらは演奏活動に支障がない程度の労働で、そこそこの安定した収入が得られるから、音楽家にとっては美味しい仕事なんだそうです。実際、このコロナ禍であっても、学校の先生たちは仕事減っても収入減らないからね。ま、先生に限らず、公務員は、こういう時に絶対的な安定感のある仕事だけれどね(その代わり、普段の給料は大した事はないんです)。
     ある意味、音楽家を始めとするフリーランスと公務員って、真逆の存在だよね。
    >ヨガサークルはなくなっちゃうかも
     ヨガはなかなか厳しいですね。あと、私が危惧しているのは、社交ダンス教室。あれはどうしても他人との接触が伴うからね。スポーツクラブ以上に危険だと思うよ。

  7. ドロシー より:

    フィットネス系はオンラインで何とかなると思います。
    細かい体の使い方まではチェックしてもらえないし、このまま長く続けても発表会のようは本番は期待できないかもしれないけど、色々なダンスやヨガやピラティスなどを「体験」するには、良いチャンスです。
    今は色々変わったダンスやエクササイズが考案されています。面白そうと思っても決まった時間に決まった所に通うのが難しい私にとって定期的に通うのが難しい状態でしたが、これを機に色々楽しんでいます。
    男女がペアになることが多いサルサとタンゴは、一人でステップを学える講座になっています。
    制限ある中で楽しむことはできると思います。

  8. すとん より:

    ドロシーさん
     うーん、確かにヨガとピラティスとか、実際、YouTubeを見ながらできないわけでもなく、でもそれで満足してしまう人は、もう教室には戻らないわけで、教室とか先生の立場になると、やっぱりヤバいのではないかと思うわけです。
     マシン系のフィットネスクラブは…一人終わるごとにマシンの消毒なんてやってられませんから、厳しいですよね。ウチの妻が行っているクラブなんて、マシンでサーキットトレーニングをするのが売りですから、ヤバイヤバイ。実際、再開されても、しばらくは通えないって言ってますよ。
     ダンスは…ソロであっても、発表会とかをやっているところは、それ目当ての人がいるだろうから、再開すれば戻ってくるだろうけれど、それ以外の目的の人は、これを機会に離れてしまうのではないかと思います。社交ダンスは…個人のステップを覚えるのは大切な事だけれど、カップルの人たちは、ペアの息を合わせるとかの練習の積み重ねが大切なので、早急に練習を復活させたいでしょうね。再開すれば、すぐに戻ってくるかもしれません。ペアがいなくて、先生と踊っているような人は…先生と踊ることが目的でしょうから、踊らない期間が長くなると、つまらなくなってやめてしまうかもしれません。

  9. ドロシー より:

    すとんさん
    youtubeだけでなく、有料のオンライン講座も色々ありますよ。それでもガチでやりたい人には物足りないだろうと思いますが。
    ただフリーで普段から貸スタジオなどを使っている先生は、自宅だけで講座を開くことができ、しかも「全国に生徒が出来て楽しい」と仰っていました。
    儲かるかどうかはわかりませんが・・・
    ご自分でスタジオを運営しているような方は家賃がかかるので大変だと思います。

  10. すとん より:

    ドロシーさん
     要するに、今回のコロナ禍を商機と捉えて、商売拡大の方向に行っちゃう人と、不運なトラブルと考えて、生徒が減って縮小してしまう人の二種類がいるって事のようですね。私は商売のセンスがないので、ついつい縮小のことばかりが思いついてしまうようだけれど、本当の商売人は、どんな時でも成長拡大を目指していく…わけだ。
     何はともあれ、今回のコロナ禍で路頭に迷う人が一人でも少なくて済むようになって欲しいと願っています。でも、大不況はやってくる…と思ってます。

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