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何でもかんでも中止にしたり延期にすれば良いというものではない

 これ、実に難しい問題ですね。
 確かに集団感染を防ぐという観点から、イベントを中止にしたり延期にしたりするのは、意味のある事なんだろうなあ…と思います。でもね、イベントを中止したり延期したりすると、エンタメ系の人たちは大きな赤字を抱えてしまうんですよ。生活が厳しくなるばかりか、下手をすると倒産したり失業する恐れもあるんです。それこそ“命にかかわる事態”なんです。それを知っていると、何でもかんでも中止にしたり延期にすれば良いというものではない…と思ってしまうわけです。
 おそらく、一般の人は、コンサートを中止にしても、チケット収入がなくなるくらいだろうと思っているのかもしれませんが、実はそうではないんです。
 確かにチケット収入はなくなります。払い戻しをするなら、払い戻しの手続きにかかる費用も発生してしまいますので、チケット収入が無いだけでなく、赤字が発生してしまうのです。
 それ以外にも、会場もキャンセルするので、キャンセル料を支払わないといけません。コンサートって有料公演ですから、会場費(この場合はキャンセル料)も結構な額になるんですね。
 宣伝広告費は丸損ですね。チケット印刷代はもちろん、チラシの印刷代と配布に関係する費用、その他宣伝媒体等に広告を出していれば、当然丸損です。
 コンサートを開かないのですから、当日、会場で売るはずだったグッズ収入も見込まれません。それどころか、そのためにグッズを作成していたら、その分だけ赤字になってしまいます。グッズ収入って、馬鹿にできないのですよ。あまり人気のないアーチストさんは、確かに、さほどグッズは売れません。しかし、人気者ならグッズは売るんですよ、売れるんですよ。チケット収入なんかよりも、よっぽどグッズ収入の方が大きいコンサートなんて、ザラにあるんわけです。
 さらに人件費ですね。コンサートはアーチストだけでできるわけじゃないのです。そういう人たちへの支払いが発生します。スタッフは別に当日だけしか働かないわけじゃありませんよ。
 ああ、それに共演者への支払いだって発生します。コンサートって、当たり前だけれど、リハーサルを何度もしてから本番になるわけで、リハーサルに関わる費用は本番やらないと丸々赤字になるんです。
 他にもまだまだお金がかかっているのです。コンサートを中止するというのは、皆さんが思っている以上に、エンタメ系の人にとっては、大きな大きな負債になっていくのです。
 「中止が赤字になるのは分かった。なら延期なら問題ないでしょ?」 コンサートを延期にして、後日、それを実際に行う事ができたなら、中止と比べて、丸々赤字ってわけではなくなるので、多少はマシですが、それでもマシという程度です。それにコンサートの延期ってのは、延期した先で行うはずだったコンサートが開けなくなるわけで、その分の収入が無くなってしまうわけですから、全体の売上的にはうれしくはないし、延期と言っても、結果的に中止になってしまって、結局赤字になってしまうコンサートだって、出てくるでしょうし…ねえ。
 かと言って、今どきのご時世ですから、赤字を恐れてコンサートを決行しても、世間が黙っていません。エンタメって人気商売ですから、世間様に逆らって商売するわけにはいきません。
 コンサートであれ、興行であれ、大規模イベントであれ、何でもかんでも中止にしたり延期にすれば良いというものではないとは言うものの、強行開催したところで世間は付いてこず、ほんとどうにもならないというのが、苦しいところだと思います。
 一日も早く、元の世界に戻ることを切に祈るのでした。
 ところでオリンピックはどうなるんでしょうね。日本国内で収まっても、世界各地、とりわけヨーロッパで終焉しないと、選手を送ってもらえません。3月中旬の今、こんな感じだと、実際問題として、どんなもんなのでしょうね。

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コメント

  1. tetsu より:

    こんばんは。
    TVで聞きかじりの感染症の専門家の立場では、市中感染率とか既に抗体持っている方の割合もわからなくて、どのように感染者が増えるか収束するか予想できないらしいです。疫学的な調査をすれば推測できますが、結論が怖くて(目前のオリンピック?)調査できないかもしれません。
    根拠もなく公立小中高の閉鎖から始まった自粛は、何時どのように再開するかみるしかありません。
    今週シフのピアノリサイタルに行く予定で楽しみです。
    KAJIMOTOは次の動画をliveでも公開していて、シフと奥様だけの世界を垣間見たような感じでメチャ面白かったです。
    https://www.youtube.com/watch?v=28ClBXDR-P0&feature=youtu.be
    失礼しました。

  2. すとん より:

    tetsuさん、お返事が遅くなっていました。ごめんなさい。
     シフのリサイタル、どうでしたか? 数々のリサイタルが中止延期になる中、シフのリサイタルは実施された…ようですね。このご時世ですから、中止や延期もやむなしですが、だからと言って、何でも自粛自粛というのもどうかと思います。音楽は録音された演奏も良いですが、やはり生を聞けるなら、それに越したことはありませんからね。

  3. tetsu より:

    こんばんは。
    お忙しいときにお邪魔します。
    お元気そうで何よりです。
    > シフのリサイタル
    最初にペーター・シュライアー(2019/12/25没)とピーター・ゼルキン(2020/2/1没)に捧げる、とアナウンスがありました。
    曲の間は拍手なしで、とこちらもアナウンスがあり、休憩を除いて立ち上がらず演奏されました。
    こちらの行ったシフのプログラムは次です。
    シューマン: 精霊の主題による変奏曲 WoO24 (Es dur)
    ブラームス: 3つの間奏曲 op.117 (Es dur,B moll,Cis moll)
    モーツァルト: ロンド イ短調 K.511
    ブラームス: 6つのピアノ小品 op.118 (118-1:A moll,118-6:Es moll)
    ***
    J.S.バッハ: 平均律クラヴィーア曲集第1巻から
           プレリュードとフーガ第24番 ロ短調 BWV869
    ブラームス: 4つのピアノ小品 op.119(119-1:H moll 119-4:Es dur)
    ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 op.81a「告別」
    調性を追記しましたが調性の関連がスゴスギです。こちらはブラームスの間奏曲あるから行こうかという程度でした。
    シューマンは初めて聴いた曲です。彼がライン川に飛び込む前後に書いた曲というのも初めて知りましたが、メチャいい曲です。これをEs durでブラームスのop.117-1につなげたのもビックリです。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%BB%E9%A1%8C%E3%81%A8%E5%A4%89%E5%A5%8F_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3)
    楽譜出版が1939年らしいですが以前から演奏されていたようです。シフのスタイルとは全然違いますが、こんなのがありました。
    Schumann – Tatiana Nikolayeva (1983) Die Geistervariationen WoO 24 (1854)
    https://www.youtube.com/watch?v=v8Mrl07JVMU
    モーツァルトのロンドも今まで何となく(?)聴いていた曲ですが、ブラームスのop.118-1に同じ音型があることに初めて気付きました。
    シフのCDはJ.S.バッハのパルティータくらいしか持っていませんでしたが、やっぱりバッハが一番良かったです。
    どの曲でも音が濁らなくて、ピアノの打楽器的な印象が無くてきれいでした。
    Es durのシューマンで始まって告別のEs durで終わるという凄いリサイタルでした。
    失礼しました。

  4. すとん より:

    tetsuさん
     シフに反応する前に、シュライアーが亡くなっていた事にびっくりしています。いやあ、知りませんでした。大好きなテノールだったのになあ…。ご冥福をお祈りします。
     さて、シフのコンサートはなかなか充実していたみたいで、見に行けなかった私としては、ちょっぴりうらやましい感じです。
     シューマンって、色々なジャンルの曲を書いていますよね。残念ながら、ピカイチの名曲と呼べる曲は数少ないのですが、どれも一癖も二癖もある、癖の強い曲が多いと思います。クチの汚い人は「キチガイの音楽」と言いますが、それも理解できるほど、癖が強い曲を書く作曲家だと思います。
     なので、シューマンって好き嫌いが激しいし、嫌いな人は全然受け付けないそうですが…私は、案外好きなんです。ピアノ曲は好きなジャンルの曲ではない(ごめんね)ですが、シューマンの曲は割と聞けちゃうんですよ。不思議です。もちろん、シューマンの歌曲は大好物です(笑)。

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