よく「選挙なんて、行っても行かなくても関係ないよなあ。別にオレが投票したからって、世の中変わんないし…」とか言っている人を見かけます。特に若い世代に多いかな? そう言われると、確かに自分の一票をどこに入れたとして、あるいは棄権をしたとして、たった一票で世の中変わんない…なら、投票行くのも面倒だし、天気もいいから遊びに行っちゃえ(今回はあいにく全国的に悪天候だけれど…ね)とか、いつもどおりバイトに行こうとか、家でゴロゴロしていようとか、思うんだろうなあ。
確かに、たった一票なら世の中は変わらないかもしれません。でも、たかが一票だし、されど一票なんです。
このページを見てください。総務省が発表している、国政選挙における年代別投票率の統計です。
これによれば、前回の平成26年度に行われた衆議院選挙では、20歳代の投票率は約33%で、30歳代が約42%、40歳代が約50%、50歳代が約60%、60歳代が約68%、70歳代以上が約59%となっています。全体では約53%の投票率となっています。
つまり、全体の53%の人しか投票に行っていないのです。裏を返せば、47%の人が投票をしていないのです。
前回の衆議院選挙の得票率は、与党と野党はほぼ拮抗していて、約50%ずつなんです。実は投票数だけでは、前回の選挙、与党も野党も、別に勝ったも負けたもなかったのです、興味深いですね。それでも得られた議席数は、与党が326席、野党が149議席となりました。そこが小選挙区制の不思議なところで、勝った候補者は僅差で勝ち、負けた候補者は大差で負けると、こういう結果になります。僅差で勝っても大差で勝っても、その選挙区から当選する議員は一人というのが小選挙区で、落選した候補者に入れた大量の票が選挙結果に反映しづらい、民意がきちんと選挙結果に反映しづらい、つまり死に票が大量に出ちゃうのが小選挙区なんです。そういう意味では、少数意見が通りづらい選挙制度なんですね。かつて採用していた中選挙区の方が死に票が少なくてよかったなあって思ってます。
この小選挙区制を導入した責任者は、当時の首相で日本新党の細川護煕と、自民党から下野した小沢一郎と、当時の自民党総裁河野洋平だったりするわけです。小選挙区制は、、当時、得票率の低い野党が自民党に選挙で勝つために採用された方策(当時“政権交代が可能な選挙制度”って宣伝されてましたね)であって、要は自民党潰しだったわけです。でも結局、自民党は潰れず、たくさんあった野党がグッチャグッチャになって旧民主党ができて、政権交代は果たしたものの、政権実行能力の無さ(つまり無能さを発揮したわけです)をさらけだしただけで、今に至るわけです。
その結果、民意が反映しづらい、歪な選挙制度だけが残ったわけです。歴史って皮肉なもんだね。
閑話休題。つまり全体の約半分の人たちしか投票に行って無くて、そのうちの半分の人たちが、それぞれに与党と野党に投票して、今の政治体制が作られているわけです。というわけで、現在の与党(あるいは野党)に投票した人って、全体の25%しかいないってわけです。
なのに、投票に行ってない人が47%もいるんだよ。
投票に行かなかった人たちが、もしも投票したとしたら、それだけで選挙結果は大きく変わります。そして(おそらく)日本は変わるんです。
分かるでしょ? だから、たかが一票だけれど、されど一票なんです。今まで投票をしていなかった人が投票するだけで、日本という国は、大きく変わるんです。びっくりでしょ?
さらに言うと、年齢別の投票率を見てみると、若い世代ほど投票に行かず、年配者や高齢者ほど投票に行っているのです。20歳代は1/3にも満たない人数しか投票に行っていないけれど、60歳代は7割近い人が投票に行っているのです。
皆さんがお店のオーナーだったら、店を繁盛させるために、顧客が喜ぶ事をしたいと思いますよね。お客の年齢とか性別とかに合わせたサービスをするのは、当たり前です。
現在、選挙には老人たちがたくさん投票しています。当然、政治家たちはそれを知っていますから、選挙になれば、老人たちが喜ぶ事を言い、当選すれば、老人たちのためになる政策をバンバン実行します。そうすると、次の選挙でも老人たちが自分に投票してくれるからです。
何が言いたいか、分かる?
若い世代が、政治に対して不信感を持ったり、期待していないって話はよく聞きます。政治なんて、自分たちの生活とは関係ないもん…って思っているからですが…ある意味、それは正しい認識です。だって、政治家たちは、若い世代の事なんて、見てないもの。若い世代が喜ぶような政策なんて実行しないもの。だって、そんな事をしたって、若い世代は投票してくれないし、下手に若い世代のための政策を実行して、老人たちの反発を受けたら、次の選挙が危ういじゃない? 自分の顧客である老人たちを第一にし、自分の顧客ではない若い世代なんて、適当にあしらっておけばいい…ってのが(選挙第一主義の)政治家たちの本音です。
若い世代のための政策を実行させるためには、若い人たちが投票するのが一番なんです。若い人たちが投票してくれる、それで自分が当選したと分かれば、政治家たちはバンバン若い世代向けの政策を実行してくれるし、次の選挙に向けて若い世代の事を考えた公約を掲げてくれます。
若い世代に向けた政策ってのは、未来につながっていく政策です。日本の未来を考えたなら、現役を退いた老人たちの生活ばかりではなく、これからの日本を支えていく若者世代が安心して暮らせるような政策を実行してもらわないといけないわけで、そのためには、若い世代の人たちが(どこの政党であれ、どんな候補者であり)たくさん投票する必要があるのです。
政治だってビジネスだから。顧客第一主義なのは当たり前なんです。そして、これは若い世代に限った話じゃないんです。どの世代であれ、どんな主義主張の人であれ、選挙で一票を入れる事で、投票した人の益になる政策が行われる可能性が増えるのです。
だから、損をしたくなければ、選挙に行かなきゃダメなんです。
まあ、自分の票が死に票になるとしたら、それは我慢ならないのですが、そのためには現在の小選挙区制をやめる必要がありますが、それはまた別の話です。とにかく、死に票になるかもしれなくても、とにかく選挙に行く。まずは話はそこからしか始まらないのです。
でも、どこに入れたら良いのか分かんないから行かない…なんて言わないでください。投票をする人として、理想的な姿は、自分の選挙区の立候補者たちの選挙公報を読み比べて、それらを吟味して選んで投票するのが一番です。選挙公報に関しては、ネットでも検索できるので、興味のある方はどうぞ。
そんなに面倒くさい事はイヤだ…と言うなら、自分の人生とか生活とかで考えてみればいいでしょう。次の衆議院選挙はおそらく4年後でしょから、4年後の未来を考えてみるのです。4年後の社会が、今の社会の延長のような、今とは大きく変わらない世界を望んでいるなら、与党の候補者に投票してみましょう。想像もつかないほどガラッと変わった社会を望んでいるなら、野党の候補者に投票してみましょう。
与党と言うのは、現在政権を担当している政党の事を言い、具体的には自民党と公明党を指します。野党と言うのは、それ以外の政党を言います。
日本は長く、自民党が与党になって政治をしてきましたが、たまに野党が選挙で勝って、政権を担うことがあります。最近では、2009~2012年に、現在の立憲民主党につながっていく民主党という政党が政権を握っていました。ちょうど東日本大震災や福島原発事故が起こった頃です。あの頃の記憶がある人は思い出してください。若くて当時を知らない人は周囲の大人たちに聞いてください。あのような社会を望んでいるなら、野党に入れるべきだし、現在の安倍さんの政治を支持する人は与党に入れてください。
それでも決められない人は、投票場で鉛筆転がしてもいいから、誰か名前を書いてください。投票しないよりは、ずっとマシです。その時は誰だか分からなくて政党も興味なくても、それがきっかけで、その人やその政党に興味を持てれば、次の選挙では迷わずに済むからです。
だからみんな、選挙に行こうよ。
P.S. ちなみに私はすでに期日前投票をしちゃったよ(選挙当日はお仕事だからね)。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント