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2017年クラシックコンサートで歌ってみた その2 ゲネプロ

 とりあえず、荷物を楽屋に置いてきて、妻と合流して会場に入りました。

 ゲネプロの時間は1人5分ずつ。開場前の貴重な時間なので、今年はスタッフの人が時間を計測しながら仕切っていました。昨年までのゲネプロは、前日に行っていた事もあって、スタッフの人は誰も参加せず、参加者任せのルーズな進行で、それ故のトラブルもちらほらとあったわけですが、今年はスタッフがきちんと仕切ってくれているのは良いなあと思いました。

 舞台袖は本来は無いのだけれど、会場の一隅を仕切って、簡易な待機場所を作り、そこが舞台袖代わりになっていました。もっとも、そういうものは、本来下手側に作るべきだろうに、何故か上手側に作られていました(やりづらい…)。

 会場に入って、しばらくは客席に座って他の人達のゲネプロの様子を見ていました。会場は(不思議な事に)響きがほとんどありません。ただし、狭いので声は聞こえます。おそらく話し声だって、放送機材なしでもなんとかなりそうです。まさに学校の古い施設っぽい感じです。かなり小さな声の人でも聞こえない…って事はなさそうです。そういう意味では、声量の少ない人には、市民会館の小ホールよりも、歌いやすいのかもしれません(あそこはよく響きますが、声そのものは減衰しちゃうんです)。実際、今回の出演者は、例年出演していた人たちの多くはパスした反面、今回からの新メンバーもちらほらいます。出ない人は、この会場だからパスしたわけだけれど、新しく出てきた人たちは、この会場だから出演する気になったのでしょう。

 ま、人それぞれだね。

 やがて我々の順番となりますので、舞台袖に移動しました。時間は5分…とは言っても、私と妻の二人分あるので、ゲネプロの時間は合計10分あるわけで、何をやろうかとピアニストさんと相談しました。なにしろ、全曲やると13分ぐらいかかってしまうので、それは無理ってわけで…二重唱(妻の歌唱がメインです)はやる事にして、後は声の消耗の少ない「Tristezza/悲しみ」をやる事にしました。これで、だいたい7分ほどです。10分のゲネプロの時間に対しては、お釣りが来るほどです。

 で、我々の番になりました。二重唱を歌います。歌った感じは…すごく歌いづらいです。声が全然響かない会場って、ダメだね。吸音しているわけでもないけれど、反響が無いんです。あれは一体なんなんだろ? 舞台であっても、客席であっても、話し声はよく聞こえるし、なんか話しやすい感じはするのだけれど、歌になるとダメです。全然ダメ。歌っているうちに、ドンドン声のポジションが下がっていくのが分かります。反響が無いので、それをどうにかしようと、無意識にノドに力が入っていきます。声が割れていきます。

 二重唱は、途中で妻だけが歌うパートが長々とあるので、その時に客席に降りて聞いてみました。舞台ではすごく歌いづらいのに、客席では歌声は(響きはないけれど)ちゃんと聞こえていました。いや、お釣りがくるほどにしっかり聞こえていました。

 どうやら、この会場では会場の響きは利用する事はできないけれど、響きがなくても、それなりに聞こえる会場のようであり、意識無意識は別として、頑張って歌わなくても何とかなりそうだなと思いました。で、自分の歌う番になったので、いそいで舞台に昇って続きを歌いましたが、この会場は見た目以上に音響的には狭い部屋なんだなって思いました。狭い部屋なのに、広い会場のような気分で歌ったら、そりゃあダメだよね。狭い部屋なら狭い部屋なりの歌い方をしないと…。

 二重唱が終わった頃は、なんかすごく疲れていました。この消耗した感じは、キング先生のところで歌っていた頃の、あの頃の感覚に似ています。

  後で聞いた話では、天井は採光のためにガラスだかアクリルだかの、その手の薄目の素材で、当日はそれを遮光したんだそうで、それでは野外で歌っているようなものだから、音が全部天井から抜けてしまうわけで、道理で響きが無かったわけです。

 今度は妻が会場に降りて、私の「Tristezza/悲しみ」を聞いて調整しましょうって事で、次の曲を歌おうとしたら、スタッフに止められました。時間切れだから、次の人たちに舞台を明け渡せというのです。

 とりあえず、舞台は明け渡したものの、なんか納得がいきません。もう10分経ったの? 時計をみると…まだ4分程度しか経ってません、我々の持ち時間の10分には遠く及びません。さっそくスタッフにクレームを入れました。どうやら、スタッフの人は何も考えていなくて、会場時間が迫っていることばかりに気が急いていて、可能な限りゲネプロ時間を短くして、さっさと開場したいだけだったのです。と言うのも、早い時間の人たちがゆっくりとゲネプロをやってしまい、後半の人たちのゲネプロにしわ寄せが来ていたのです。

 だからと言って、10分のゲネプロの時間を4分にされて、やるべき事の半分しかやらず、確認するべきことも確認しきれていないうちに舞台を降ろされたのには、納得いきません。

 ゲネプロはチューニングのようなものです。歌は会場に合わせて、会場なりに歌っていくものです。会場には様々な癖があります。その癖を把握した上で、ではどういうふうに発声をしていこうかと調節していくのがゲネプロでやるべきことです。別に声出しとか直前練習のためにゲネプロをするわけではありません。歌手にとって、ゲネプロというのは、必要不可欠なものなのです(特に私のような下手っぴなアマチュア歌手にとっては、なおさらです)。

 なので、今やっている人(ってか、ゲネプロ最後の人)の次に、もう一度ゲネプロをやらせてもらう事にしました。すでに開場時間は過ぎていて、お客さんはロビーにあふれていたけれど、それとこれは話が違うわけです。

 さて二度目のゲネプロです。会場の見た目にはだまされてはいけない事は、二重唱を歌ってみて分かりました。「Tristezza/悲しみ」は、ごく狭い部屋にいる感じで、軽めに歌ってみましたが、結果的には、それでもまだ声を張りすぎだったようです。もっともっと狭い場所で歌っている感じにならないとダメなようです。視覚で感じる広さと、音響的な広さとが、こんなにも違うと、本当にやりづらいです。妻からはやはり、声の張りすぎと言われましたし、実際、ノドの消耗は激しすぎて、ゲネプロを終えて、なんか絶望的な気分になりました。ゲネプロだけで、今日の声を全部使ってしまったような気にすらなりました。いやあ、いけません。

 とりあえず、開場時間は過ぎている事は承知しているので、歌い終えたら、さっさと舞台を引き渡しました。開場は、客席を整理してから、おもむろにお客さんたちが入ってくるのか思っていたら、私の歌が終わるやいなや(ってか、終わる前にすでに…って感じでした)、お客さんたちが会場になだれ込んできました。で、お客さんたちが席取りをしている中で、スタッフの人たちが、客席の椅子を本番用に並べ直しています。なんかあれこれグダグダ…。

 ひとまずロビーに出て、次の声出しまで、3時間ぐらいあるので、ピアニストさんとは解散です。ピアニストさんは一度家に戻るそうです。私も脚の怪我がなければ、一回家に帰っても良いのだけれど、そんな元気もないし、時間も時間なので、家には帰らずにそのまま残ることにし、ひとまず昼食を食べる事にして、会場から出ていきました。

 続きはまた明日。

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