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リズム感は複合的で統合的な感覚でありんす

 昨日は音感について考えました。結局、音感とは記憶力の事であると結論づけた私ですが、今回はリズム感について考えてみたいと思います。

 私は、そんなにリズム感は悪くないつもりです。まあ、普通? いつもいつも正確無比とは言い難いけれど、そんなにデタラメじゃないつもりです。少なくとも、音楽にノッてダンスを踊れるくらいのリズム感はあります。四拍子だけでなく、三拍子や六拍子だって平気です。これが九拍子とか七拍子とか五拍子とかになると、ちょっと苦労します。つまり、ポリリズムはちょっと苦手って感じかな? でもまあ、普通の人はそんなモンでしょう。でも、音楽をやる人としては…もう少しきっちりしていた方が良いかな…とは思います。

 まあ、私のリズム感については、それくらいにして、リズム感の実態について考えてみたいと思います。

 リズム感ってのは、音感とは違って、それほど単純ではないかな…って思います。と言うのも、音感って基本的にインプットの問題だと思うのです。今聞いた音は何の音なのか?…という感覚です。アウトプットの話は、歌唱力とか演奏力とかの別の話になります。

 しかし、リズム感って奴は、インプットとアウトプットの両方にまたがる問題でしょ? 聞いて分かる事と、うまく表現できる事。この2つが揃ってのリズム感覚なわけで、その分、話は簡単には進まないのです。

 まず、インプット方面で考えるならば、必要なのは時間感覚かなって思います。結局リズムって、時間の長短でしょ? この時間の長短がきちんと分かる能力がリズム感なのかなって思います。

 アウトプット的に必要なのは…運動神経? いわゆる『自分が意図したとおりの動きをし続けられる事』ですね。例えば、手を叩くでも、ちょっとの時間だけ手を叩くのは、、誰でも出来ますが、これをある程度の時間(一曲分だとしたら3分程度?)やり続けるのは大変です。また、動く速度にしても、タラタラしか動けないのではダメで、ある程度はシャープな動きができないと細かいリズムを表現できません。お手本に合わせて手を叩くだけにしたって、運動神経が必要です。

 そしてインプットとアウトプットの間にある、いわば情報処理の部分もリズム感と関係します。具体的に言えば、楽譜を見てリズムを自分で生成するって部分です。これが音感ならば、楽譜に書かれた音程を思い浮かべればいいので簡単ですが、リズムはそんなに簡単じゃあないのです。

 リズムの生成方法には、大きく分けて2つあると、私は考えます。一つはクラシック的なリズム。もう一つはポピュラー音楽的なリズムです。

 クラシック音楽的なリズムとは、足し算のリズムです。つまり、楽譜にかかれている音符(この場合、音符の時間的な長さにだけ注目ですね)を次々に表現していくリズムです。具体的に言えば「タンタンタタタン」というリズムを手拍子で表現するなら、まず一発手を叩いた後、四分音符(に相当する時間)をあけて、次の手を叩き、また四分音符あけたら、次を叩く。今度は八分音符あけて、叩いて、また八分音符あける。で最後の音を叩いて四分音符あいたら音を止める。これで「タンタンタタタン」というリズムができるわけです。

 クラシックの場合は、音楽の横の流れを大切にするので「タンタンタタタン」なら“四分音符-四分音符-八分音符-八分音符-四分音符”と順に、それぞれの音符の長さに応じて、手を叩けばいいのです。

 細かい話をすると、これらの音符、四分音符なら四分音符で、八分音符なら八分音符で、だいたい同じ長さだけれど、厳密に同じでなくて良いわけです。音楽の流れによっては、ちょっと長めにしたり、ちょっと短めでも良い…ってか、そういう緩急をつけて演奏するのがクラシック音楽の特徴なので、合奏などの場合は、微妙に異なる長さの音符をピシっと合わせるために、指揮者が必要になってくるわけです。

 もう1つのポピュラー音楽的なリズムは、割り算だと私は考えています。ポピュラー音楽には指揮者はいません。その代わり、ビート(強拍)という基準音が存在します。音楽がどんな流れであっても、ビートは全員で合わせます。逆に言えば、ビートからズレている音は割といい加減なのです。譜面上は等間隔に指定されているリズムも奏者の気分や個性で符点っぽく演奏されたり、連符のように演奏されたりと色々です。細かいところは自由に、ビートの部分はパシッと合わせるわけです。

 例えば「タンタンタタタン」というリズムを一般的な4ビートで手拍子するなら3つある「タン」と「タタ」の最初の「タ」はビートに合わせて、きっちりと手を叩かないといけませんが、「タタ」の後ろの「タ」は、少々ルーズでも可なのです。8ビートで手拍子するなら、すべての音符をきちっと叩かないといけませんが、2ビートで手拍子するなら、最初の「タン」と「タタ」の最初の「タ」だけ、ばっちり叩けば、後はノリでどうぞって感じになります。

 こういうバラついた感じがポピュラー音楽の特徴であり、これをビートに関係なく、リズムのバラつきを抑えて、すべてを正確に表現する(つまり、32ビートとか、64ビートとか、128ビートにすればいいわけです)と、いわゆるハウスとかテクノというジャンルになります(これはこれでポピュラー音楽なんですけれどね)。

 ああ、リズムについて考え始めると、アタマがワヤワヤになってしまいます。ほんと、リズム感って、複雑な感覚なんだなあって思います。

 「音程の音痴は訓練次第で治るけれど、リズムの音痴はなかなか治らない」と言いますが、それはリズム感ってのが、複合的で統合的な感覚だからなのだと思います。

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コメント

  1. オデ より:

    リズム感は自信ないです汗。人並み程度だと思いたいですが、カラオケでアップテンポかつドラムが裏拍で刻むタイプの曲(X-Japanとか)を歌うと、拍頭が分からなくなって伴奏とズレてしまう事があります。

  2. operazanokaijinnokaijin より:

    スポーツの苦手な私。
    中学校の運動会は地獄。
    全校生徒による予行練習も地獄。
    全校生徒によるフォークダンスの練習も地獄。

    嫌で嫌でしょうがないけど、やるしかない。
    やりました。

    ダンスが一通り終わって、
    全校生徒の前で、体育主任の先生曰く、
    「ダンスが一番うまいのは、○○(私の名字)!」
    恥ずかしいーーーーー!

    スポーツの苦手な私なのに、
    ダンスがうまいの!?
    先生曰く「リズム感が良い!」と。

    そんな、くだらない自慢話を書いてしまった私を、
    すとん様、どうか、破門しないでくださいませ。

    おしまい

  3. アデーレ より:

    リズム苦手です。リズム打ちできません。音はわかります、しかし、リズムと細かい音符幾つ伸ばすか、とか、テンポが全くわかりません。
    でもアリアとか十年くらい歌ってます(笑)困るけど、まあなんとかやってました(笑)もう若くないから、多分克服は無理でしょう(笑)でもいいです。アリア歌い続けますよ!いいよね?すとんさん。

  4. すとん より:

    オデさん

     私、裏拍は得意ですよ。ジャズとかは、基本、裏拍ですからね(笑)。裏拍の音楽を聞くと、アタマを鳥のように振りたくなります。

     カラオケなどは、ビート音をカラダで合わせておけば、後はどうにかなりますよ。

  5. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     ダンスは、まず最初に問われるのがリズム感ですからね。次に大切なのが、カラダの中から動いている事。

     古来より、音楽とダンスは深い関係にあるのです。ダンスの1つや2つ踊れないと舞曲の演奏もままならない? いやいや、楽器の演奏だって、ダンスのようなものかもしれませんよ。

     フォークダンスとは言え、ダンスはダンス。きっと光るものがあったんだと思いますよ。

     そう言えば、私、長らくダンスのレッスンが中断したまんまだー! ああ、ダンスも再開したいです。そのためには、余暇が…余暇が、もっと欲しいぞぉー。

  6. すとん より:

    アデーレさん

     我々はプロではありませんし、自分の楽しみのために歌っているのですから、誰に遠慮する必要があるのでしょうか? まあ、有料コンサートを開くとなると、話は別ですが、別に無料の発表会とか、ボランティアのコンサート程度だったら、ご愛嬌で済ませてもらいましょう。

     もちろん、プロ並に上手なら、そっちの方が良いに決まっていますが…。

    >アリア歌い続けますよ!いいよね?すとんさん。

     全然。私も歌い続けますよ。

    >もう若くないから、多分克服は無理でしょう

     歌の人はメトロノームを使わないから、リズムはなかなか克服できないようです。楽器の人は、メトロノームとお友達なので、練習しているうちに、なんとかリズムを克服できるようです。(つまらないけれど)メトロノームをコキコキ鳴らしながら歌っていくと、リズムが分かるようになります。

     昔ピアノをやっていたのなら、ピアノを弾き直してみるのも、良い勉強になると思いますよ。

  7. びび より:

    すとんさん

    ちょうど、わたし、今、練習している曲が、

    三連符ー8分音符2つー三連符ー8分音符2つ
    さらには、三連符ー8分音符・16分音符・16分休符ー三連符

    が続き、ふぇ~、こんなん無理無理!ってなってたところでした。
    先生にも、8分音符の長さが三連符2つ分になってるとか、いろいろ指摘され。

    そんなんできたら、あたしドラマーになってやる~、と思いました。

    中学校の時、ドラムできたら、ちょっとかっこいいな、と思い、知人に基礎の基礎を教えたもらったとき、
    「足で1拍打つ間に、右手は3つ、左手は2つ」、みたいなことを言われて。。。。、
    つまり、右手は、1拍を三分割、左手は一拍を2分割。
    知人はなんなくできるのに、
    わたし、どんなにがんばってもできませんでした。

    「あ、やっぱ、凡人にはムリ」
    ってあっさり撤退しましたよ。

    で、今になって、そんな、そんな、フルートでもそんなこと必要なの!!!
    絶対、無理無理って。

    けど、結局、ドラムと違って、同時にやらなくてよいので、

    なんとなく、
    「タタタ タンタン、タタタ タンタン」って口ずさむだけで、あっさりできるようになりました。
    なんだ、こんなこと?って思って、
    ウン十年ぶりに、左右の手で、できるかためしたら、やっぱり駄目でした。

    ということを経験した、次の日の記事だったので、反応させていただきました。

  8. すとん より:

    びびさん

     うわっ、確かにそういうリズムはイヤだなあ(笑)。八分音符と三連符の混在って面倒ですよね。私がよく歌うトスティの作品には、ピアノ伴奏は三連符主体で、それに八分音符メインで作られたメロディーが載っかるというのが、たくさんあります。あれ、歌えない人は歌えないんですよ。ついついピアノの三連符に歌が載ってしまって、グチャグチャになるんでそうです。

     トスティはクラシックなんだけれど、そういう曲の時は、ポピュラー的なリズムの取り方をすると楽に歌えるので、私はそんなに苦労しないのですが、純粋クラシック畑で育った方々は苦労するみたいです。

    >「タタタ タンタン、タタタ タンタン」って口ずさむだけで、あっさりできるようになりました。

     うん、確かに手拍子しながら口三味線で行ければ、大抵何とかなりますよね。私もリズムが面倒くさい時は、そうしてリズムの確認をしています。

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