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東京音楽コンクールの第2次予選(声楽)と、スカイツリーと、かんざし

 東京音楽コンクールの公式サイトはこちらです。

 昨年は本選を見た“東京音楽コンクール”でしたが、今年は本選ではなく、予選(第2次予選。1次予選は非公開)を見てきました。コンクールの概要についてとか、去年のコンクールの事などは、こちらの記事に書きましたので、興味があれば、どうぞ。

 「なぜ去年は本選を見たのに、今年は予選なの? ああそうか、今年は予選と本選の両方を見るんだね」

 違います。今年は本選は見ません。

 コンクールは出場者にとっては、自分の将来をかけた真剣な戦いの場なのですが、彼らとは無縁な一般客(つまり私)にとっては、そんな事はどうでもいいわけで、要は「エンターテイメントとして成立しているかどうか」が肝心なんですが、本選は(当然ですが)エンタメ要素は、ほとんどありません。だってガチなんだもの。

 もちろん予選だってガチなんだけれど、予選は本選よりも、色々と楽しめるわけです(ってか、本選って楽しめないんだよね)。

 まず、出場者の数が全然ちがいます。今年に関して言えば、第2次予選出場者は12名でした。声種別に言えば、ソプラノ5名、メゾ2名、カウンターテナー1名、テノール1名、バリトン4名でした。まあバラエティに富んでいるでしょ。これが本選(すでに本選出場者は決定しています)になると、出場者はソプラノ1名、メゾ1名、カウンターテナー1名、バリトン2名になります。昨年なんて、ソプラノ1名、メゾ1名、バリトン2名だったんだよ。女声とバリトンだけ…ってか、半分はバリトン。

 で、本選はオーケストラ伴奏で歌うので、当然オペラアリアだけ。それもコンクール向けのアリアだから、面白みに欠けるけれど小難しい曲…というセレクトになるし、そんな曲はあんまりないので、出演者同士で曲目がカブったりもします。ガチな勝負だから仕方ないけれど、ちょっとこれは、客的には厳しいです。

 でもね、予選だとちょっと違います。

 まず色々な声種の方がいます。私の好きなテノールの人だって、昨年も今年も予選にはいます。それに、予選ではピアノ伴奏って事もあって、歌曲を必ず歌わないといけないので、どの声種の方であって、案外楽しめます。何と言っても、予選は出場者が多くて、演奏曲目も多くて、たくさんの色々な歌が聞けるのがいいんです。実に勉強になります。

 ちなみに、予選出場者と歌った曲目はこんな感じです。名前の頭に◎がついている方が、本選出場者です。

糸数知(ソプラノ)
V.ベッリーニ:追憶
G.シャルパンティエ:歌劇「ルイーズ」より “あの日から”

宮下あずみ(ソプラノ)
R.ザンドナーイ:アコーディオンの音が通りに響く
R.レオンカヴァッロ:もし!…
R.レオンカヴァッロ:歌劇「道化師」より “大空を晴れやかに(鳥の歌)”
J.マスネ:歌劇「エロディアード」より “彼は優しい人”

梶田真未(ソプラノ)
R.シュトラウス:ああ恋人よ、行かねばならない時が来た op.21-3
R.シュトラウス:君は我が心の冠 op.21-2
H.ヴォルフ:改宗した女
G.ヴェルディ:歌劇「運命の力」より “神よ、平安を与えたまえ”

◎迫田美帆(ソプラノ)
F.P.トスティ:「アマランタの4つの歌」より “私をひとりにしてくれ!息をつかせてくれ”
V.ベッリーニ:追憶
W.A.モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より “あの恩知らずが私を裏切った”

◎平山莉奈(メゾソプラノ)
G.F.ヘンデル:歌劇「アリオダンテ」より “暗く不幸な夜のあとには”
S.バーバー:歌劇「ヴァネッサ」より “冬はすぐそこまで”
R.シュトラウス:ツェツィーリエに op.27-2

郷家暁子(メゾソプラノ)
C.ドビュッシー:露台
W.A.モーツァルト:歌劇「皇帝ティートの慈悲」より “行こう、だが愛しい人よ”

◎村松稔之(カウンターテナー)
R.クィルター:若者と恋する娘が
R.クィルター:もうその唇は見せないで
R.クィルター:ヘイ、ホウ、風も吹き雨も降った
G.F.ヘンデル:歌劇「ロデリンダ」より “どこにいるのか、愛する人よ”
G.P.テレマン:歌劇「ランゴバルドの王 フラヴィウス・ベルタリドゥス」より “勇者のトランペットが鳴り響き”

澤原行正(テノール)
V.ベッリーニ:マリンコニーア、優しい妖精
G.ロッシーニ:饗宴
F.チレア:歌劇「アルルの女」より “フェデリーコの嘆き”
F.P.トスティ:理想の人
G.ヴェルディ:歌劇「十字軍のロンバルディア人」より “あの人を喜びで満たしたい”

◎清水勇磨(バリトン)
G.ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」より “私は街の何でも屋”
G.ヴェルディ:「6つのロマンス」より “ああ悲しみの聖母様”
U.ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェニエ」より “祖国の敵か”

◎杉浦隆大(バリトン)
G.ヴェルディ:「6つのロマンス」より “墓に近寄らないでほしい”
W.A.モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より “彼に目を向けてください”
G.ドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのルチア」より “残酷で不吉な苛立ちが”

池内響(バリトン)
W.A.モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より “彼に目を向けてください”
P.チマーラ:海のストルネッロ
G.ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」より “私は街の何でも屋”

原田勇雅(バリトン)
A.マリアーニ:君の手と心
A.トスカニーニ:憂鬱
G.ヴェルディ:歌劇「海賊」より “沢山の愛らしい乙女が”

 ね、声種も曲目もバラエティに富んでいて、見るなら、やっぱり予選でしょ。

 勝負というのは、必ず勝ち負けが決まるわけだし、勝ち進んだ方は、本選で頑張っていただきたいと祈ってます。まだ本選が終わっていない(本選は8月28日金曜日実施)ので、個々の歌手の方々や歌唱内容については、このブログでは書きませんが、勝ち進んだ方はすごいけれど、残念だった人だって、すごかったんだよ。勝負には運も左右しているわけだし、日にちや場所が違えば、もしかしたら結果が違っていたかもしれないと思います。まあ、それくらいギリギリな感じがしています。

 とにかく、今回はたくさん歌曲が聞けて、大満足な私でした。

 で、コンクールは午前中から始まって、昼下がりに終わったので「まだ時間がある」というわけで、このまま真っ直ぐ帰宅するのも、もったいない…という事で、急遽、スカイツリー見物に行くことにしました。いやあ、スカイツリーって遠くから見たことはあるけれど、近くに行ったことがなくてねえ…。

 上野からスカイツリーまで行くのは簡単なんです。東京文化会館のすぐ前にあるバス停から、スカイツリー行きの路線バスに乗れば、あっという間(笑)。なにしろスカイツリーって、業平橋ってか押上にあるわけでしょ。上野や浅草のすぐ側なんですよ。

 で、スカイツリーに行きました。うん、デカイデカイ。デカイろうそくのような感じでした。あんなに細っこくて、風が吹いても倒れないのかな?

 主なエンタメ施設は、展望台とプラネタリウムと水族館。

 展望台の入場料は、低い方の展望台が約2千円で、高い方の展望台に行くには、さらに千円プラス。待ち時間は、私が行った時に1時間でした。別に高いところが好きというわけでもないし、東京は地元でもないので、見下ろしたところで楽しいわけでもないし、何より待ち時間がもったいないのでパスしました。

 プラネタリウムの入場料は約1100円。こちらは2時間近い待ち時間があったので、当然パス。水族館は…うっかりして行きませんでした。入場料は約2千円だし、たぶん待ち時間は無かっただろうから、行けば入っていたと思うけれど、行きませんでした。

 と言うのも、途中で経由したスカイツリーのソラマチと言われる商店街が、とてもおもしろくって、ソラマチを散歩しているだけで時間が経ってしまったからです。それで水族館まで辿り着かなかった…というわけです。

 いやあ、ソラマチ、楽しすぎ(笑)。お店を冷やかしているだけで、十分、エンタメっす。妻はとても気に入って、またソラマチに行きたいって言っているくらいだし…。

 ソラマチにかんざし屋さんがあったので、妻にかんざしを買ってあげました。「せっかく来たんだから、かんざしぐらい買ってあげるよ」と言ったら、真剣に選んでいました。実は、このかんざし屋さん、浅草にもあって、先日、浅草に仕事で出かけた時に店を見つけて、妻に土産にかってやろうと思っていたのですが、どれを選んだらいいのか分からなかったので、その時は買ってやれなかったのが、心残りだったわけです。期せず、妻同伴の今回、系列店をソラマチで見つけたので、先日の件もあったので、妻本人に好きなかんざしを選ばせたわけです。なんか、かんざし、とても気に入ったようなので、私もうれしいです。ちなみに、かんざし屋さんの公式サイトはここです。

 かんざしの挿し方にも色々あるようですが、妻がお店で習った方法はこんな感じでした。

 妻曰く「かんざしって、お手軽」なんだそうです。ネットをみると、かなり安価で可愛いかんざしもたくさんあるので、妻は何本か買い揃える気になったようです。

 かんざし…日本の女性って感じで、いいよね。

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コメント

  1. アデーレ より:

    コンクール鑑賞、いいですねー!!東京音楽コンクールとは、どんね感じで?かなり、レベルたかいのでしょうね!皆様、芸大院出とかでしょうか?コンクールいきたいですが、なかなか行けません!私は唯一、テレビで放送される日本音楽コンクールの声楽は必ず録画し、何度も何度も繰り返し観てますー!!凄い気に入った声の方はずっと気になり、YouTubeなどで探して、それ以来、ファンになったりしてます!!また、素人が出れるコンクールで良さげなのがありましたら、教えてください!《いつか、出るつもりかな》笑

  2. すとん より:

    アデーレさん

     コンクールのレベルですか? どうなんでしょうね。学歴はみなさん素晴らしい方々ばかりなんですが、学歴と演奏力は関係ないからね。

     コンクールって、デビューするためのスタートラインに立つための資格審査みたいなもので、本当に素晴らしい方々はコンクールなど受けずにデビューして活躍しちゃうわけです。実際、プロの演奏家の皆さんも、コンクールとは無縁な方々もたくさんいらっしゃるわけです。

     ちなみに、プロデビューするために必要な要件は、ずばり“音楽事務所との契約”。コンテスト出場者の皆さんは、コンクール受賞歴ってヤツで、音楽事務所にアピールするわけです。で、そのアピールが成功して、契約してもらえたら、デビューできるってわけね。もちろん、デビューしても、その後、鳴かず飛ばずだったら、事務所を解雇されて、プロ廃業の憂き目を見るわけです。なので、音楽コンクールというのは、一般社会でいうところの、合同入社試験みたいなモンです。

     コンクールのレベルって話だと「○○国際コンクール」と言うのは、一般的にレベルがそれなりに高いようですが、そうでない「○○国際コンクール」もあるにはあります。つまり、コンクールのレベルってのは、要するに、受賞者の方々のその後で判断するべきかなって個人的に思ってます。

     東京国際コンクールは、声楽部門に関しては、過去の入賞者の皆さんは、それぞれ廃業せずに頑張っているようですから、そんなに悪くないのではないかしらと思ってます。ま、どんなコンクールであれ、入賞するのはスゴイことだと思いますよ。

  3. tetsu より:

    こんばんは。

    > 本選は(当然ですが)エンタメ要素は、ほとんどありません。だってガチなんだもの。

    こちらはフルートだけですが、かなり以前管打楽器のフルート部門とか神戸国際を聴いていた時期がありました。
    本選はモーツァルトかイベールの協奏曲をひたすら聴かされるので、神戸でのパユは別世界でしたが他はほとんど記憶に残っていません。

    > 予選は本選よりも、色々と楽しめるわけです。

    声楽は課題曲が制限時間内でプログラムを構成することみたいになっているので、自由度が大きくて聴くほうも十分楽しめそうです。
    フルートの課題曲は自分で吹いたわけでもないのに聴き飽きてしまっているところもあります。

    次回、日程さえあえば神戸みたいに遠くないので、聴きに行きたいです。

  4. すとん より:

    tetsuさん

     フルートに限らず、器楽のコンクールは課題曲が決まっている事も多く、確かに聞き飽きてしまう事でしょうね。おっしゃる通り、声楽の場合は、性別とか声種の違いがありますから、全員が同じ曲を歌うわけにはいきませんので、自然とバラエティは出てきますが…それも、メゾとかバリトンなどでは、コンクール向きの曲にも限りがありますから、カブリは避けられません。そこへいくと、ソプラノやテノールだと、曲がカブることはまずないのですが…。

    >次回、日程さえあえば神戸みたいに遠くないので、聴きに行きたいです。

     神戸の国際フルートコンクールは、一度は私も行ってみたいです。

  5. tetsu より:

    こんばんは。

    2013年の神戸国際は次のようなコンクールだったようです。
    http://www.kobe-bunka.jp/flute/rules.html
    http://www.kobe-bunka.jp/flute/pieces.html

    神戸国際はいつからか8月から3~4月に変わって、2次予選から3次予選まで増えて日程も長くなり、こちらは休みがとりにくいです。
    昔の2次が2013年の3次で、現代曲の課題曲も新作がなくなってしまい、古典的な現代曲になった、というところでしょうか。
    パユをたまたま聴いてしまったせいかもしれませんが(何十年前?)、パユの次の世代は未だにわかりません(こちらの心配するところではありませんが)。

    失礼しました。

  6. すとん より:

    tetsuさん

     神戸国際フルートコンクールの情報を感謝です。

     予選の回数が増え、期間が長くなったのは、参加者が増えたか、より慎重に審査をしようとしているのか、あるいはそのどちらも、なのかもしれません。どちらにせよ、神戸のコンクールとしての格が上がっているためだと思います。

     コンクールの時機が、真夏から春に変わったのは…なぜでしょ? でも、日本の夏は、ヨーロッパやアメリカと較べて、暑すぎます。ほぼ熱帯のような気候じゃないですか! そんな時機に国際コンクールを開くには適さないような気がしますので、個人的には春になってよかったんじゃないかな?って思ったりします。

     まあ、日本の客的には夏の方が休みが取りやすいのだけれど、コンクールって、別に客に見せるためにやっているわけじゃないから、これはこれでいいんじゃないのかな?

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