スポンサーリンク

社交ダンスと、ボールルームダンスと、競技ダンスと、スポーツダンスと…

 “社交ダンス”というダンスの名称について、学び始めたばかりの素人である私が、私なりに考えてみました。間違っているところがあったら、どうぞ、ご指摘ください。

 私が妻先生から習っているダンスは『社交ダンス』です。なぜかと言うと、妻先生がそう言っているからです(笑)。しかし、ネットでググると、同じダンスが『ボールルームダンス』とか『競技ダンス』とか『スポーツダンス』とか呼ばれています。同じものなのに、なぜ、こうも違う名称があるのかを、素人なりに調べたり、考えたりしてみました。

 まず、同じものに複数の名称がある場合、その理由の多くは“従来の名称では呼びたくない人がいて、それらの人々が同じものに別の名称を付けて”、旧来の名称を死語にしてしまう(あるいは、使用頻度の少ない言葉にしてしまう)という思惑の場合があります。例えば『浮浪者』と呼びたくないから『ホームレス』と呼んでみたり、『ハゲ』と言われたくないから『薄毛』と呼んでみたり、『売春』では露骨だから『援交』って言ってみたり、『貧乏人』では刺激が強いので『低所得者』と表現してみたり…まあ、いわゆる“言い換え”って奴ですね。

 つまり『社交ダンス』に別名が多く存在するのは、あのダンスの事を『社交ダンス』と呼びたくない人たちが多数いて、それらの人がそれぞれに新しい呼び方を提唱してきて、実際に使用してみた結果、それらの新しい言葉も、ある一定の普及はしたけれど、従前の『社交ダンス』という呼び方を駆逐できるほどは普及できなくて、現在の混乱状況を招いている…って事なんだろうと思います。

 ってか、やっぱり、世間的には、まだまだ『社交ダンス』が一般的な名称なんだと思います。

 じゃあ、なんで『社交ダンス』という言葉を嫌う人がいるのかと言うと…やっぱり『社交ダンス』という言葉には、いかがわしいイメージがあった(“過去形”ですよ、念のため)からでしょうね。

 私の世代だと、『社交ダンス』と聞くと、やはり“キャバレーでホステスさんが客のエロジジイと体をくっつけながらクネクネ踊っている”っていう、エロくて、いかがわしいイメージがありました。真面目なダンスと言うよりも“おさわり”のダンス? 「それって、社交ダンスじゃなくて、チークダンスじゃないの?」って言われますが、普通の人にチークダンスと社交ダンスの違いなんて分かるわけないじゃん。

 まあ、偏見かもしれないけれど、無知な一般大衆の持つ『社交ダンス』に関するイメージなんて、そんなもんでしょう。実際、1998年にダンス教室が風営法から除外されるまでは、社交ダンスを教えてくれるダンス教室は、風俗営業店だったわけで、キャバレーに通うのと、ダンス教室に通うのは、法的には似た様な扱いだったわけだし、キャバレーのホステスさんと、ダンス教室の先生も、法的には似た様な扱いだったわけだしね。

 酒とネオンとエロい女……これが(冗談ではなく、マジで)私が持っていた『社交ダンス』のイメージでした。

 このイメージを払拭したのは、映画「Shall we ダンス?」です。あの映画を見なかったら、もしかすると、私はまだそんな偏見にまみれたままかもしれません。そしてその後に始まった日テレの『ウリナリ芸能人社交ダンス部』。これで、私の持っていた社交ダンスのエロくて下品でふしだらなイメージは、完全に払拭され、汗と涙の健全な競技という認識に至りました。

 そう言った、社交ダンスに対するイメージを良いものに変えたという点では映画「Shall we ダンス?」や『ウリナリ芸能人社交ダンス部』の功績って多大だと思います。

 でも、日本人のすべてが、映画「Shall we ダンス?」や『ウリナリ芸能人社交ダンス部』を見ていたわけじゃないし、まだまだ『社交ダンス』という言葉にネガティブなイメージを持っていて、それを嫌う人がいるのは理解できます。

 それにだいたい“社交”の習慣のない日本で『社交ダンス』と呼ぶのも、確かに変と言えば変でしょ。だから、名称を変えようと思った人の気持ちも分からないではないです。
 
 
 『社交ダンス』は、本来は“Ballroom Dance(舞踏会場で踊るダンス)”と言うのだそうです。でも、明治の頃に、このダンスが日本に入ってきた時に、なぜかこのダンスの事を当時の人は“Social Dance” と思ってしまい、そこでそのダンスの日本語訳を『社交ダンス』としてしまい、それが今日まで定着しているのだそうです。ま、間違いから始まった名称だったわけです。考えてみれば、昔は作曲家のワーグナーの事を“ワグネル”って言ってた訳で、それと似たような誤解なのかもしれませんね(違うか?)。

 ま、でも、この言葉が作られた明治の頃は、上流階級の方々が社交場で社交のために踊っていたダンスですから、社交ダンスという訳語でも、当時はあながち間違いというわけでもなかったんだと思います。

 外来文化で最初は上流階級の人々だけが楽しんでいた…という点では、クラシック音楽なども同じだったはずですが、かたや学校教育に取り入れられ、今でも“高尚な”趣味という位置づけのクラシック音楽に対して“社交 -> 繁華街 -> 風俗営業”という道をたどってしまった『社交ダンス』は、どこで道を間違えてしまったのでしょうね。やっぱり“男女がペアになって手を取り合って踊る”というスタイルが、昔の日本人には“ふしだら”に見えたのかもしれませんね。

 ま、そんなこんなで名称をリセットしたかったのでしょう。

 『ボールルームダンス』は、英語を直訳した名称ですから、悪くないと思いますが、如何せん、長い。9文字だよね。日本語的には長いです。これだけ長いと、一般社会に普及させるのは無理でしょう。せめて、どんなに長くても7音節で収めないと無理ですよ。

 あと、日本には“ボールルーム(舞踏室)”ってほとんど無いでしょ。『ボールルームダンス』と呼んでも、実際のところは、広間(ホール)とか体育館(ジムナジウム)で踊っているのが大半でしょ。そうなると、名称と実態が乖離するわけで、それもなんかうれしいないですよね。だったら『ホール・ダンス』とか『ジム・ダンス』じゃダメ? やっぱダメだろうなあ…。

 『競技ダンス』と言うのは、よく聞きますね。おそらく Competition Style Dance の訳語なんでしょうね。言葉の長さ的にOKだし、言いやすいです。でも、競技ダンスという名称だと、あくまで試合や競争をする競技のためのダンス、というイメージに固まってしまい、パーティーなどで踊るダンスというイメージから、だいぶ遠ざかってしまいます。そういう意味では、社交ダンスという言葉に取って代わるという事は難しいでしょうね。あくまで、社交ダンスの中の一部のダンスの名称になってしまうと思います。

 『スポーツダンス』は『競技ダンス』とほぼ同じ意味合いなのでしょうが、私的にはすごく違和感があります。英語には無い言葉ですから、おそらく和声英語なんでしょうね。ウリナリのイメージがあるせいか“競技”と“ダンス”という言葉の親和性に違和感を感じませんが、“スポーツ”と“ダンス”がくっつくと、かなり違和感を感じます。でも、これこそ、私の偏見でしかないのかもしれません。

 まあ、私的には、呼び方なんて、どうでもいいと言えばいいのですが、複数の名称があると、ネットで検索する時に情報が分散してしまうので、色々と探すのに面倒で、うれしくないです。必要な情報を「社交ダンス」とググってもヒットせず、「ボールルームダンス」だとヒットする…では、これからのネット社会では、あまり良いことはないし、障壁の一つでもあります。ネットの利便性を考えると、名称は早めに統一し、可及的速やかに普及させる必要があります。

 …って、門外漢が何を書いてる?…って話ですね。失礼しました。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 演劇ブログ 社交ダンスへ
にほんブログ村

コメント

  1. Tata より:

    そしてパーティダンスとも・・・まあ、パーティの方は社交ダンスが包括しますよね・・・。w

    社交という言い方は、ダンスをされない、影のイメージを持っておられない方でも奇異に聞こえるようで、社交の場のない?日本において、社交とはいかに??と言われることがあります。

    ダンスされる方で、かつて社交ダンスが大ブームだった時代ガンガンに踊られた方は、今の競技的なダンスなんか習う気がしない、社交ダンスじゃない、と仰られたりしますし、競技をされている方になると、あんな、ちんたら踊っているのと一緒にされたら困る!と・・・。

    私は「机」は「机」と呼ぶ・・・的に何も考えずに受け入れていたので、内外ともに名前を巡る攻防があるのにびっくりでした。後のことを考えると、なまじっかに訳すものじゃないですね!![E:dog]

  2. すとん より:

    Tataさん

     そうですね、パーティダンスも大事な名前ですよね。同じダンスなのに、こうもたくさん名称があると、やっぱり不便です。パーティダンスとググらないとヒットしない検索結果があったら、今回の私は『パーティダンス』という言葉を思い付かなかったので、その情報をゲットできなかったわけで…。やはり、名称の統一は…とりわけ門外漢相手には…必要なんだなあと思います。

    >ダンスされる方で、かつて社交ダンスが大ブームだった時代ガンガンに踊られた方は~

     ダンス界にも、世代間の断絶ってのがあるんですね。おそらく、学連と呼ばれる大学のサークル上がりの方がダンス界の中心メンバーになる以前と以後に分かれるのかな?

     日本人は争いごとや検定試験が大好きな人間で、本来は順位などをつけなくても良いものにも、すぐに競争原理を加味して、順位争いをして楽しみたがるたがるわけで、社交ダンスも、社交の道具だった時代はほとんど普及しなかったものが、競技ダンスが輸入され、順位や勝敗といった要素がダンスに加わるようになって、日本人的な楽しみ方ができるようになり、マスコミなどで取り上げられるようになったのかもしれません。

     たぶん、社交ダンスの本質って、セレブな方々が庶民の立ち入らないような場所でナンパ目的で繰り広げているパーティーダンスの方なんでしょうね。でも、私は庶民だし、社交ダンスがオリンピック種目になって、日本チームを応援できたらいいなあと心待ちしている人なので、競技ダンス的なものに、心ひかれます。

タイトルとURLをコピーしました