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オペラ『魔法の笛』は『魔笛』とは、ちょっと違うオペラ…かもしれません

 年末に見に行ったコンサートの話になります。

 もう、だいぶ時期が過ぎてしまったので、オクラにしてもいい話なのですが、おもしろかったコンサートだったので、やはり記録として残しておきたいと思って、アップしておきます。

 オペラを見に行きました。演目は、モーツァルト作曲の『魔笛』です。もっとも“子どものためのオペラ”という副題がついてまして、オリジナルそのものの『魔笛』ではなく一部を変更してるので、タイトルも『魔法の笛』と変更されていました。

 その変更されっぷりがおもしろかったので、ここに書いておきます。

 まず、オーケストラの規模がかなり小編成になっていました。今回のオペラのオーケストラは、ピアノ、クラリネット、フルート、チェロ、ヴァイオリン、グロッケンシュピールが各一人ずつです。ね、おもしろいでしょ。指揮者もいないんですよ(笑)。ちなみに、この日のコンサートは二部構成で、オペラは第一部だったのですが、第二部は普通にフルオーケストラが出演していましたから、この『魔法の笛』のオーケストラの楽器編成は、意図的にこのような編成になっていると考えるべきなんでしょうね。

 歌手もおもしろかったですよ。まず、男声歌手はパパゲーノ一人です。タミーノもザラストロもモノスタトスもいないんです。さらに言うと、パパゲーノはテノールです(!)。ね、おもしろいでしょ(笑)。女声歌手はパパゲーナとパミーナと魔法の国の女王(夜の女王のつもりのようです)と侍女(一人のみ)の合わせて4人。それにモノスタトスの手下(どうやら悪の親玉はモノスタトスという事になっているようです。でもモノスタトスは出てきません:笑)という役で、少年少女たちが参加しています。

 ストーリーもおもしろかったです。主役は、パパゲーノとパパゲーナです。そうです、パパゲーナが最初から最後まで出演しているんですよ。出演しているどころか、主役級の大活躍なんです。もう、驚きですね。

 ストーリーそのものをかい摘んで紹介すると…

 鳥を捕まえに森の中を散策していたパパゲーノが大蛇に襲われて気を失ってしまいます。そこにたまたま通り掛かった魔法の国の女王が大蛇をやっつけて、パパゲーノを救うのですが、救い出したままパパゲーノを放置。そこへパパゲーナがやってきて、倒れているパパゲーノと大蛇を発見し、パパゲーノを起こして「あなたがこの大蛇を倒したのね、素晴らしいわ~」と言います。恋人の手前、なんとなくカッコ付けて「そうさ、オレサマがこの大蛇をやっつけたのさ」なんて言ったものだから、脇から魔法の国の女王が現れて、この大蛇を倒したの私であって、お前は嘘つきだと言って、パパゲーノの口に鍵をかけてしまいます。

 鍵をかけられて困っているパパゲーノを見て、かわいそうに思ったパパゲーナは、なんとかこの鍵を外してもらえないだろうかと女王にお願いします。そこで女王は、悪人モノスタトスにさらわれた自分の娘の王女パミーナを助け出してくれるなら、その鍵を外しても良いだろうと言いました。モノスタトスは強敵で、つい先日も王子タミーノが救出に向かったのだけれど、彼はやられてしまったと言いました。そんな強敵だけれど、可哀相なパパゲーノの姿を見たパパゲーナはパパゲーノと二人で力を合わせて、パミーナ姫を救出することを女王に約束し、パパゲーノは口の鍵を外してもらい、対モノスタトス用の武器として、魔法の笛と魔法の鈴の二つを手渡されます。それどころか、パミーナ姫を助けたら、魔法の国に住んでも良いとまでおっしゃいます。

 この女王の言葉に喜んだ、パパゲーノとパパゲーナは、意気揚々とモノスタトスの城にやっていき、笛と鈴の力で、あっさりとパミーナ姫を救出しちゃいます。

 パミーナ姫を女王に引き渡したパパゲーノは、魔法の国での永住権を獲るための最終審査として“沈黙の行”を命ぜられます。その沈黙の行を試すために、パパゲーナは女王の魔法で老婆になって、パパゲーノにちょっかいを出します。パパゲーナをさがすパパゲーノ。老婆の姿になってパパゲーノにまとわりつくパパゲーナ。やがて女王の魔法も解け、パパゲーナは元の若い娘の姿に戻ります。めでたく再会した二人は、たくさんの小さなパパゲーノとパパゲーナに囲まれて幸せに暮らしました。

 …というストーリーでした。え、なんか、あらすじ紹介に矛盾がある? それは私のせいじゃなくて『魔法の笛』というオペラそのもののストーリーにあっちこっち矛盾があるわけです(笑)。特に後半のストーリーはグチャグチャなのよ(爆)。

 とにかく、乱暴なカットと言ってしまえば、乱暴なカットがされていますが、元々オリジナルの『魔笛』だって、滑稽でナンセンスなオペラだし、これはこれでアリかなって思いました。とにかく、色々な意味でおもしろい室内オペラでした。

 あ、もちろん、日本語で上演してましたよ。

 オペラと銘打ってますが、アリアはとらわれのパミーナ姫が歌った一曲だけで、夜の女王のアリアもなければ、パパゲーノの愉快な歌もありませんでした。音楽そのものは、二重唱三重唱が中心(タミーノのパートをパミーナが歌ってました)で、合間合間にパパゲーノの一人語りをはさんで、サクサクとストーリーが展開していきます。だって、これだけのストーリーなのに、小一時間で上演しちゃうんですよね。すごいでしょ。

 なかなか見れるオペラじゃないし、絶対にDVDとかCDとかで発売されているわけもないので、それこそ一期一会の貴重な体験でした。ちゃんちゃん。

 ちなみに音楽会の第二部は、モーツァルト作曲「戴冠ミサ曲」でした。フルオーケストラとソロ歌手と大合唱団による演奏(オケとソロはプロ、合唱は臨時編成のアマ)で、第一部のチープな感じとは打って変わって、こちらはゴージャスでございました。

 合唱団は大合唱団だったけれど、音量とか迫力とかは…正直物足りなかったです。もしも私がこの合唱団にいたら…浮くなあ、きっと。かと言って、ソロはできないし、なんか私は中途半端な歌手だなあ…って感じました。

 ああ、無情。

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