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2026秋 佐渡ヶ島へ行ったよ その2 ウミネコとトキ

 寄ってくるウミネコたちを見て、私は言いました。

 「うんうん、分かっているよ」

 私は手荷物の中から、かっぱえびせんを取り出して、彼らにえびせんを投げつけてやりました。ニャーと言いながら、たくさんのウミネコたちが群がってきます。えびせんを投げる私、それをキャッチするウミネコたち。中には、えびせんと取り合って、空中でぶつかっているモノもいます。夢中でえびせんを投げていると、私のすぐ横の手すりに1羽のウミネコが止まって、じっと私を見つめています。「よしよし、分かったよ」と言って、その子に直接えびせんをくれてやりました。私の手から直接えびせんを食べる子は…ううむ、かわいいです。一つやっても、また物欲しそうな顔をしていますから、またあげてしまいます。それでもまだねだってくるので、やっぱりえびせんをあけてしまいます。

 いいように、えびせんを貢がされてしまいました。でも、かわいいんだから、仕方ないです。

 かっぱえびせん1袋(大袋)で、30分ほどの至福の時間を過ごしました。いやあ、楽しいし、可愛い。

 それにしても、日本各地の港に行っては、ウミネコにえびせんをやっている私でした。いやあ、ウミネコって、可愛いんだよ。

 やがて、えびせんも無くなり、私は、デッキの手すり付近から、すぐ後ろのベンチシートに戻りました。ボーっと、海を眺めています。日本海はベタベタに凪いでいます。ほぼ波は見えません。風もありません。しかし、船は結構激しく揺れていました。やはり小さな船は揺れますね。こんなベタ凪の海でも、ぐわんぐわんに揺れるわけです。

 私のように、揺れに強くて、元気に歩きまわっている人もいますが、青い顔をして、床に寝っ転がっている人たちも大勢います。船に弱い人にとっては、こんな短時間な船旅でも、苦しいようです。

 この新潟~佐渡ヶ島の航路は、海上だけれど、国道なんだそうです。350号線なんですって。実はこの国道、田中角栄の政治力でできた道なんだそうです。なんか、すごいね。持つべきものは“地元に有力な政治家”ってところでしょうか。

 それにしても、おけさ丸、清掃は行き届いているけれど、船体はかなり古そうです。あっちこっちサビが浮いている部分もあるし、老朽化が激しそう…と思って調べてみたら、1993年就航なんですね。現役30年超…、そりゃあサビも浮くわな。そろそろ船としては寿命ですね。近いうちに、後継船にバトンタッチでしょうね。何しろ、空港はあっても、飛行機は飛ばない佐渡ヶ島ですから、フェリーが無くなるってのは、ありえないのです。当然、後継のフェリーは検討されているのでしょう。

 たぶん、利権の問題とかの大人の事情が色々あって、飛行機は活用されないのだと思いますが、旅行者の立場で考えるなら、フェリーよりも飛行機だよね。貨物輸送のためにフェリーは必要だろうけれど、人だけを運ぶなら、絶対に飛行機だね。羽田~佐渡ヶ島なら、飛行機で1時間くらいでしょ? 我々は東京から半日かけて新幹線とフェリーで佐渡ヶ島に到着したわけだから、利便性とタイパを考えるなら、絶対に飛行機だよ…って強く思ったわけです。

 あと、船酔いをしやすい人(って結構な数いると思うんだよね)にとっても、飛行機は福音だよね。

 でも飛行機が飛んだら…佐渡ヶ島は直接東京とつながるわけで、新潟との関係が弱くなる…わけで、それは新潟市や新潟県的には避けたいところ…なんだろうなあ。これもまた、大人の事情だな。

 さて、フェリーは佐渡ヶ島の両津港に着きました。ようやく目的地の佐渡ヶ島に到着したわけです。佐渡ヶ島…遠いです。ああ、移動だけで疲れました。この島は飛行機が飛んでいないので、行くまでにたっぷり時間がかかるのです。とても体力を消費します。観光には不向きな場所にあります。ほんと、関東地方からは、とても不便な場所なんです。

 港からは、観光バスです。20分ほど走って、トキの森公園に行きました。

 トキの森公園では、文字通り、トキを見学しました。この施設には、トキ資料展示館と、トキふれあいプラザがあります。また見学不可ですが、佐渡トキ保護センターもあります。この施設では、たくさんのトキを飼育していますし、トキを増やして、日本の各地で放鳥もして、野生のトキを増やす働きをしているそうです。

 そういう立派な施設なのですが、でもちょっとだけ心にひっかかる事も知りました。実は、ここのセンターにたくさんいるトキって、そのルーツは日本のトキではなく、中国のトキなんです。中国から輸入したトキを増やして、日本で放しているんです。

 本来の日本のトキは、実は1995年に絶滅していたのです。もう、日本のトキはいないのです。今、佐渡にいるトキと、そしてそこから放鳥され、日本の各地で野生化したトキは、日本原産のトキではなく、中国から輸入されたトキの子孫たちなのです。

 「日本原産のトキであろうと、中国から輸入されたトキであろうと、トキはトキ。同じトキじゃないか?」と言われる方も、当然、いらっしゃるでしょう。でも、たぶん、厳密には、少なくとも遺伝子レベルでは、同じトキと言いつつ、違う系統のトキでしょ? 人間だって、日本人と中国人は、同じアジア人だよ、同じ黄色人種だよと言っても、やっぱりあれこれ違うじゃないですか? そんな感じで、今、佐渡で育てられているトキを見ていると、なんか違う気がしてしまう、私なのです。

 仮に日本列島から日本人が絶滅して、そこに大陸から中国人が入植して「我々が日本人だ」と宣言しても、彼らは日本文化なんてちっとも知らないし受け継がないだろうし、そもそも日本語だって喋らないだろうから、そんな新しい日本人を、それまでいた旧日本人と同じだ…と言うのは、とても乱暴だと思うわけです。そんなふうに考えてしまいました。

 そんな割り切れない思いのまま、トキの森公園を後にした私です。

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