マスコミ的には、老人たちをまとめて“年金生活者”または“年金世代”と呼ぶことが多いのですが、年金生活者と言っても、その内情には違いがあります…が、若い世代には、その違いが分からないので「老人なんてみんな同じ」と思ってしまいがちなんですよね。
だから「老人になって年金だけでは生活が出来ない」とかいう報道があると「そりゃあそうだ、国は何をやっているだ」とか思ってしまったり「年金じゃ暮らせないなら、年金なんて払うだけ無駄じゃん」と若い人たちが誤解してしまうわけです。
年金生活者と言っても、大雑把に1+3のグループがあるわけです。それは…
0)無年金の人
1)国民年金だけの人
2)厚生年金の人
3)企業年金の人
まず0)の「無年金の人」です。厳密には年金生活者とは言えない、年金をもらえない人たちです。こういう人も世の中には相当数いるわけで、それがこのグループの人です。
年金がもらえない理由は、単純に年金を納めていない人、あるいは納めていたけれど、その期間が短い人(原則10年未満の方)です。そうです、年金って納めていないともらえないんですよ。だから、無職の人とか、年金の納入を拒否している人はもらえないのです。
ちなみに専業主婦は無職ではないので、直接年金を納めていなくても国民年金はもらえます。外国人でも、年金を所定期間納めていればもらえます。ただ、自宅警備員や家事手伝いは無職なので、誰かがあなたの代わりに年金を納めていなければ、もらえません。
こういう無年金の人たちの老後は、死ぬまで働くか、不労所得(つまり貯金とか財産とか)で暮らすか、生活保護をもらって生きるかの三択になるわけです。
1)の「国民年金だけの人」は、国民年金だけをもらう人たちで、その多くは自営業とか個人事業主の人たちです。いわゆる音楽家の方々は、学校の先生(大学教授なんかそう)にでもならない限りは、たいていここです。
その年金額は多くの場合、月額5万円程度しかないので、当然年金だけでは暮らせません。ですから、稼げるときにたんまり稼いで、一生懸命に貯金に励まないといけません。で、老後はその貯金で暮らすわけです。そうでなければ、やはり、死ぬまで働くか、不労所得で暮らすか、不足分は生活保護で補ってもらって生きるかの三択になるわけです。
よくマスコミで「年金だけで暮らせない人」として取り上げているケースのほとんどが、実は、貯金の無いパターンの、この1)の人たちの生活です。また「老後貯金2000万円必要!」と言われているのも、この1)の人たちの話です。
2)の「厚生年金の人」は、年金として、国民年金と厚生年金の両方をもらう人です。その多くはサラリーマンです。国民年金は自分たちで支払いますが、厚生年金は自分と会社の両方で支払うため、現役時代の年金納入額も多いため、国民年金よりも多めにもらえます。
現役時代の収入や年金加入期間に応じて、もらえる年金額が変わりますが、多くの場合、国民年金と厚生年金の両方を合わせて、月額14万円程度もらえる人が多いようです。もちろん外国人であっても、ちゃんと年金を納めていればもらえます。
ただし、会社勤めであっても、個人商店や零細企業に勤めている場合は、会社自体が厚生年金に加入していないケースもあり、その場合は、その会社で働いていた人は、厚生年金がもらえず、1)の人と同じ状況になります。
この2)の人たちの場合は、慎ましやかな生活をしていれば、年金だけでも十分に暮らせます。と言うのも、月14万円程度の支給とは、働いている個人に対する金額なので、夫婦共稼ぎなら、世帯収入としては、倍額の月28万円になるわけだし、1馬力(つまり奥さんが専業主婦)であっても、ご主人と奥さん(国民年金がもらえます)の年金を合わせれば、月20万円程度にはなるので、年金だけでも、なんとか暮らせるわけです。
さらにサラリーマンならば、退職時に退職金がもらえます。退職金は会社の規模によって違いますが、1000万円以上もらえる人が大半ですから、それらが老後資金になるわけで、年金と退職金を合わせれば、2)の人たちは、老後でも、まあまあの生活ができるわけです。
さらに3)の人は、国民年金と厚生年金に加え、会社独自の企業年金がプラスされ、もらえる年金も月額で20万円以上という人もザラにいます。その多くは一流企業や大企業で勤務していた人だったりするので、退職金も2000万円以上もらえる人が大勢います。なので、老後はそれなりに豊かな生活を営めるわけです。
と、まあ、年金生活者と言っても、もらっている年金の種類で、こんなに収入が違い、生活の苦しさ(豊かさ)が違うわけです。
それに年金に関しては、税金も投入されているので、早死しない限り、自分が支払った金額以上のモノを年金としてもらえるケースが多いので、年金を支払わないというのは悪手でしかないし、せっかく会社勤めしているのなら、その会社が厚生年金に加盟しているかどうかを調べ、もしも加盟していないのなら、さっさと転職した方が良い…と私は考えます。
結論。無年金の人は老人になっても、死ぬまで働かなければいけません。自由業や個人事業主の人は、現役時代にがっぽり稼いで、しっかり貯金をして、老後は年金に頼らなくても生きていけるようにしないといけません。サラリーマンの人は、厚生年金または企業年金がもらえるので、そんなに焦らなくても、老後の生活は、なんとかなります。
年金生活者と言っても、実はこんなに違うのです。
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