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小さな声に生まれたかった

 先日、合唱と言うか、大人数で歌を歌うという機会があって、それに参加しました。参加者は老若男女合わせて100名以上、そりゃあ大所帯でした。ピアノ伴奏で斉唱で、ともかくみんなで歌を歌い飛ばしていくのです。
 で、楽しく歌っていた時の事でした。指導者から私に「声を1/10にしてくれないかな? いや、1/5でもいいよ。今のままでは、君のソロのように聞こえるから」
 ああ、またか…と思いました。これでも一応、声はセーブしていたつもりだったんだけどなあ…。
 しかし、1/5の声量で歌うって…無理ゲーでしょ? 今の5倍の声量で歌えって言われたら無理でしょ? それと同じことです。
 仕方ないし、嫌がられたり迷惑がられたりするのもイヤなのだし、マスク歌唱だった事もあったので、その次は試しに歌わずに、周囲の歌を聞いてみました。音程もリズムも歌詞もボヤッとした感じに聞こえました。まあ素人の斉唱なんて、こんなもんだよね。正直、何を歌っているのか、よく分からないくらいにモヤモヤした歌唱でした。
 そうしたら指導者がニコニコしながらやってきて「そうそう、その調子。次もその調子でお願いします」ってきたもんだ。
 私、声出してないんだけれど…。
 つまり「お前いらない」って言われちゃったわけです。寂しいなあ~。
 まあ、いつもの事なので、ちょっぴりしか傷つかないのだけれど、それでもちょっぴり傷つきます。
 歌好きなんだけどなあ。歌いたいんだけどなあ。みんなと一緒に歌いたいんだけどなあ。でも、いつもどこでも誰とでも、一緒に歌うと「声大き過ぎ」「もっと小さな声で歌ってよ」って言われます。言われる前から、かなり声を絞って小さめにして歌っているんだけれどね。
 試しにフルボイスで歌ってみたろか!
 まあ、悪いのは全部自分だという事は理解しています。声が大き過ぎるんだよね。いや、私も一応人間なので、他の人と比べて、特別に大きな音量で歌えるわけじゃないです。プロのオペラ歌手じゃないんだし(笑)。おそらく問題は、声量と言うよりも、声質の問題なんだと思ってます。私の声がよく通る声って事なんだと思います。小さな声で歌っていても、よく聞こえちゃうだけなんだと思うよ。
 確かに、私の歌声って、よく飛ぶし、ギラギラしていて、硬くて刺さる感じなんだよなあ。確かに合唱には向いていない…なあ。
 ああ、もっと小さな声に生まれていたら、もっと他人によく聞こえない声、いわゆる“側鳴り”の声に生まれたら、楽しい歌人生を送れたのかもしれないなあ。他人に聞こえないような小さな声なら、合唱もできるし、周囲の人からうるさがられる事もないだろうし。
 なんか、悲しい。

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コメント

  1. おぷー より:

    私、ソロも歌うし、合唱団でも歌ってますよ。
    要は、コントロールができるかどうかですね。
    口をあまり開けずに、お腹でしっかり支えてSotto voceで歌えば、
    合唱団でも別に邪魔にならないし、それで音程をきちっと取っていたら、
    他の団員が側で歌いたがります。「側で歌うと安心して歌える。」って
    言ってもらえるので嬉しいですよ。

  2. すとん より:

    おぷーさん
    >口をあまり開けずに、お腹でしっかり支えてSotto voceで歌えば、
     そうなんですよ、Sotto voceで歌えれば…。
     記事にも書きましたが、一応、遠慮しながら、自分なりの小声で歌ってはいたんです、決して普段どおりの声量で歌っていたわけじゃないのです。
     ただ、私、Sotto voceはもちろん、PPで歌うのが、とても苦手なのです。技術が無い…と言ってしまえば、それまでなのですが、自分なりの小声では、全然小さくないのだろうなあとは思わないでもないです。
     よくレッスンでも、Y先生から「大声はいらないから」と(大声を出しているつもりはないのですが)念を刺される事が多いですから、発声方法に根本的な問題があるんだろうなあ…と思わないでもないのですが。
     (溜息)。

  3. おぷー より:

    私も今の合唱団に入った最初の頃は、「声を混ぜて。」とか
    「声が大きすぎる。」とか色々言われてました。
    合唱曲で小ソロが必要な時には、よく頼まれてますが、
    合唱には大きな声は必要ないです。
    自分の声の調整は、やはり腹筋で行うべきで、喉でやっては
    いけないのですよ。
    今の合唱団に15年いますが、うまく合わせられる様になるまで
    結構時間が掛かりました。
    何事も時間を掛けないとダメって事なんですね。

  4. すとん より:

    おぷーさん
    >何事も時間を掛けないとダメって事なんですね。
     そうなのでしょうね。で、何事も、諦めたら、そこで終わり…なわけで、諦めずに求めていける人だけが、手に入れられる…って事で“小声で歌える”って事が、私にとっては“諦めずに求めていかないと手に入れられないもの”なんだと思います。
     ああ、やっぱり「小さな声に生まれたかった」とグチっちゃいます。グチっても、合唱用の声は手に入らないのだけれど…なあ。

  5. 如月青 より:

    中学生のとき、合唱祭で気持ちよく声を張り上げていたら、前の列の人に振り向かれ、「声抑えて」とささやかれて凹んだことを思い出してしまいました。
    高校以降、合唱は宗教曲メインだったので、ひとし並みに声は細くなりましたが、コンクールの講評では「声量不足」と言われたりして...
    その時の先生は国立の声楽科のご出身でしたが、学生時代の合唱の授業では、いつも「声が大きすぎる」と叱られていたそうです。そこで学生同士で相談して、Pが出てきたら半分ずつ交代で休むことにしたら、「これでちょうどよい」と褒められた、とか。
    >大きな声は必要ない
    私もよく今の先生に言われます。昔通っていた教室では、「初心者は遠慮せずに常にフルで声を出さないと本番で聞こえない」という方針だったので、ついその癖が出てしまうのですが、腹筋で調整できないうちの大声はノドで押しているせいなので、今は声量にこだわるな、というのは年齢的に正解かな、と。
    若い時、力任せで出していた量を今のトシで出してしまうと、翌日ノドが悲惨なことになります。
    >合唱用の声
    合唱団では本番前によく並び順をあれこれ入れ替えますが、声量かつ個性のある人の間に「接着剤」的な人を入れて、パワーはそのままでも個々の声が目立たないようにするというのもよくある話です。すとん様もパートの中でそういう方を見つけたら隣に立ってみるとよいかも、と思います。

  6. すとん より:

    如月青さん
    >そこで学生同士で相談して、Pが出てきたら半分ずつ交代で休むことにしたら、「これでちょうどよい」と褒められた、とか。
     愉快愉快。とても現実的な解決方法ですね。
    >腹筋で調整できないうちの大声はノドで押しているせいなので
     そうそう、これは私も感じています。無意識にかっこよく歌おうなんて色気があるもので、そうなると、案外、ノド押しの声で歌っていたりします。で、結果、無駄な大声で歌っていたりするわけで、如月さんの文章を読みながら、とてもとても反省しております。
     で、大声だと注意されて、声を抑えると、今度は腹筋が緩みすぎと叱られます。腹筋を使いつつ、でも音量をセーブするという歌い方は、まだまだ私には難しくて、色々と試行錯誤している最中です。そんな段階なので、まだまだ合唱には混じれない私なのでした。

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