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2024 金沢旅行に行ってきた その2 SP時代の音楽が好きです

 さて、観光を開始します。まずは金沢駅からバスに乗って、近江町市場に行きました。近江町市場は…アメ横や築地場外のような雰囲気の街です。とにかく、鮮魚店がたくさんあって、どこも立派で安いんです。買えるものなら買って帰りたいくらいです。お店を見て回るだけでも楽しい街です。初日でなければ、なま物でなければ、すぐにでも買ってしまいたいくらいです。特に、お惣菜が美味しそうなのよ…。

 無論、立ち食いと言うか、食べ歩き用の串焼きなども売っていて、私はそこで“ドジョウの蒲焼き”を食べました。ドジョウの蒲焼きですよ、あのドジョウの! 加賀の郷土料理らしいのですが、これがすっごく美味しいんだよ。味だけなら、うなぎの蒲焼きよりも美味しいです。ドジョウなんて、はっきり言っでしまえば美味しくない魚ですよ。泥臭いし、骨っぽいし、食べるところなんて少ないし…それを賽の目に切って串刺しして焼いて、タレをたっぷり付けると…なんとまあ、ほんと、絶品なのです。ああ、美味しかった。蒲焼きのタレは、不味い魚も美味しくしてしまう、魔法のタレなのでした。

 さて、近江町市場からバスに乗って、金沢蓄音器館に行きました。到着した時はちょうど、蓄音機の聴き比べをしていたので、さっそく参加しました。複数台の蓄音機の生音を聞かせてもらいました。いいね、蓄音機って。

 蓄音機は電気を使わずにSPレコードを再生する機械です。再生音は全くHi-Fiでは無いけれど、妙に生々しいんですよ。特に人の歌声やヴァイオリンのソロ演奏等は、なんとも色気があります。逆にバンド演奏は音の分離が悪いし、オーケストラ演奏なんて、モコモコしぢゃって、どうにもなりません。あくまでもノスタルジーな機械であって、今の若者の耳には厳しいでしょうが、私は若い時に蓄音機によるレコード鑑賞会に頻繁に参加していたこともあって、懐かしくて堪りませんでした。

 私は蓄音機による歌声が、やっぱり好きかもしれません。

 ここは蓄音機とSPレコードだけでなく、今となっては珍しいLPレコードも、ちょっといいオーディオ機器で聞けます。LPはSPと違い、ノイズはあるけれど、音質的にはCDに負けていませんね、もちろん“いいオーディオ機器”で聞けば…の話ですが。

 我々が行った時は、おそらく20代のカップルが楽しげにLPを聞いていました。「君たちが今聞いているレコード、オジサンは自宅に持っているよ」と自慢したくなりました(笑)。

 蓄音機館の次は、すぐ裏にある、泉鏡花記念館に行きました。こじんまりとした博物館ですが、彼の生家跡に作られた博物館なんだそうです。そう思うと、こじんまりとした雰囲気がむしろいい感じです。ただ、行き方はちょっと分かりづらいです。路面に“柳宗理記念デザイン研究所”があって、この建物を通り抜けたところにあるからです。ほんと、分かりづらいです。ちなみに、柳宗理さんとは、工業デザイナーで、金沢美術工芸大学で教授をしていた縁で金沢に記念館があるようです。

 そこから浅野川を渡って、徳田秋声記念館に行きました。徳田秋声は、泉鏡花、室生犀星と並ぶ「金沢三大文学者」なんだそうです。ううむ、泉鏡花と室生犀星が金沢の人と知っていたけれど、徳田秋声だけは知らなかったよ。ちなみに、泉鏡花と徳田秋声は同じく尾崎紅葉のお弟子さんだけれど、師匠に可愛がられた泉鏡花と「君には才能がない」と言われて、一度は破門を食らっている徳田秋声(後に、泉鏡花がクチをきいて再入門しているようです)は、やはり色々違うんだろうなあ…。

 実はこの記念館、徳田秋声本人への興味というよりも、徳田秋声記念館の企画展で「レコオドと私」が開催されていて、それに興味を持ったのでやってきました。徳田秋声は、いわゆる“モボ”って奴で、晩年は社交ダンスに興じてダンスホール通いをしていたわけです。それもあって、音楽趣味もあって、当時、彼が聞いたと資料に残っている曲を取り上げた企画展だったわけです。当然、昔々のSP時代の音楽たちです。

 ですから、この企画展で取り上げた楽曲をまとめたオリジナルCDがミュージアムショップで販売されていたのを見て、思わず購入してしまいました。ちなみに、収録曲はこんな感じです。

《収録曲(SPレコード音源)》
1.豊竹呂昇/義太夫 新口村
2.松井須磨子歌/ゴンドラの唄
3.ジンバリスト演奏(ヴァイオリン)/ツィゴイネルワイゼン
4.ジンバリスト演奏(ヴァイオリン)/アンダンテ・カンタービレ
5.大阪三越音楽隊演奏/スパニッシュ・セレナーデ
6.川口章吾演奏(ハーモニカ)/カルメン
7.諏訪根自子演奏(ヴァイオリン)/ユーモレスク
8.田谷力三歌/巴里の屋根の下
9.ガルドニ手風琴合奏団演奏(アコーディオン)/碧きドナウ
10.三浦 環歌(ソプラノ)/ある晴れた日に~歌劇《蝶々夫人》

 これ、アマゾンや楽天では買えません。リアルならば徳田秋聲記念館に行くか、ネットならば記念館サイトのグッズページで申し込まないと買えない、貴重なCDのようです。私は買えてよかった、よかった。今となっては簡単に聞くことのかなわない音源たちばかりです。資料的な価値は高いよぉ。

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