「食い尽くし系」とは？

　皆さんは「食い尽くし系」と呼ばれる人がいる事をご存知でしょうか？　これはもちろん、昨今のSNSで使われている、いわゆる“若者言葉”なので、当然、年寄りである私は知りませんでした。

　知らないので調べてみたら、とにかく「出された食事をすべて食べ尽くしてしまう」人の事を言うそうで「だから何？」と、最初、私は思いました。

　いやだって、そう言ったら、私だって、ついこの前までは食欲旺盛だったから“食べ尽くし”系だったのかも？　って思ったのです。だって、食べ物を残したら、もったいないじゃん。

　普段から家での食事は残さず最後まで食べるし、宴会とか行って大皿に少量の料理が残されたりしていると「誰も食べないの？」と確認して、皿を掃除するつもりで残り物を食べる…なんて事をしていました。「そんなに食べたら太るじゃん」と心配されていたと思いますが、それ以上に、食べ物が残されるのがもったいないと感じていたんです。

　「食べ物を粗末にするな。最後まできちんと食べろ。残すなんてお百姓さんへの感謝が足りない」って言われて育ちませんでしたか？　食べ残しはダメなのよ、ダメ、絶対ダメ、ダメダメなのよ。

　なので「食べ残し系？　何を今更？？」と思っていたのです。だって、最後まで残さずに食べるって“美徳”でしょ？　でも、よくよく調べてみると、現代の「食べ尽くし系」って、私が考えているのは、全く違っていました。

　若者言葉である「食い尽くし系」とは、私のように、その場にある食べ残しを「もったいない」からと言って食べてしまう人…という意味ではなく、なんと「自分の分はもちろん、他人の食事まで食べてしまう人」の事を言うそうです。

　具体的に言えば、大皿とか鍋とかで出された食事を大勢で囲んでいたとしても、自分ひとりの食事であるかのように考えて、好きなものから好きな分だけドンドン食べてしまい、結果的に、他人の食事のことなど眼中になく、それこそ「自分一人で全部を“食べ尽くしてしまう”」という、私の考えの斜め上の人の事を言うのだそうです。

　…ってか、それって他人の事を全く考えられない人の事であって、「食い尽くし系」というよりも「サイコパス」なんじゃないの？　と思ったわけです。

　私だって、大皿とか大鍋とかで食事が出されたら、まずは無意識のうちに、皿の上の食材の数と、その場の人数とを確認して、自分が食べて良い数ってのを計算するさ。その程度の算数はできるよ。でも「食い尽くし系」と呼ばれる人は、その計算ができない上に、する気もなくて、その人に料理を食べられて悲しい思いをしている人の気持ちも分からなくて、何度でも同じように食べ尽くしてしまうわけで、そういう人って「自分の欲望に素直で、他人の事まで考えられず、さらに他人の悲しみに共感できない」人なわけだから、食べ尽くし系うんぬんではなく、単純にサイコパスだよね。

　ネットでは「大皿料理で提供する方が悪い」とか「料理は基本的に個別に盛り分けるのが当たり前でしょ」とか言ってる人もいるし「食べ尽くし系の人は、家庭に問題を抱えていたり、躾が足りていない人」と、言っている人もいるけれど、私は、どれもこれも違うような気がします。

　大皿料理のどこが悪いねん！　鍋料理を否定するな！　と声を大にして言いたいし、家庭の問題とか躾の問題とかは、相手が子どもならともかく、成人ならば関係ないでしょ？　それくらい誰に教わらなくても自然に察しろって思うわけだし、自分の分の食事を食べられてしまう人の立場や気持ちを想像してみろって思うわけです。それが出来ないし、やろうとも思わないわけだから、それはその人の人格に問題があるとしか考えられないわけです。

　そんな人を「食べ尽くし系」とか言って、優しくかばう、今どきの若い人たちの感覚も分かりません。問題は“食事を食べ尽くしてしまう事”ではなく、他者を思いやる心の無い事が問題だし、自分さえ良ければそれで良しとする強い利己主義も問題でしょう。

　悪い意味で「天上天下唯我独尊」な人であって、そんな人に振り回される人が哀れで仕方ないし、私の身の回りにいたら、速攻、人間関係を切り離したいタイプの人ですね。

　クワバラクワバラ…。

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