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私も原発反対派なのですが…

 私は原発反対派です。原子力発電所などという危険きわまりないモノは無い方が良いに決まっています。

 今回のフクシマの事故は(人災ですが)論外として、では、事故がなければ原発は安全かと言えば、決してそんなはずはなく、原発なんてモノは、設置型の原爆みたいなもので、敵国が飛行機を飛ばしてきて、原発の上から爆弾の数発でも落とせば、原発は爆破され、当然、核爆発が起こり、大変な事になるわけです。

 つまり、原発なんて、国家にとって国防上の“弱み”でしかないし“軍事的弱点”でしかありません。そんな弱点をさらしたままでいる事は、国家としてダメでしょう。そんな危険な弱点を持ったまま、この国を子孫たちに譲るわけにはいきません。だから私は、原発反対です。

 でもね、だからと言って、即座に原発廃止かと言われれば、そりゃあNOですって。私は原発反対ですが、原発廃止論者ではありません。

 原発は反対だし、原発の廃止も手順を踏んで行うのなら大賛成ですが、将来への見通しもなく、現実的な代替案無しでの原発廃止は、愚行だと思ってます。

 原発の存続も危険ですが、電力不足は危険どころの騒ぎでは無いからです。

 現代日本は、電力を基本エネルギーにしています。電力のない生活なんて…今や想像できないでしょ? 東京の方は知らないだろうけれど、東日本大震災の時の計画停電で、地方は大混乱をしました。たった、数回、数時間の停電だったけれど、その停電による我々の生活への影響力は計り知れなかったのです。

 道路の信号は機能しなくなり、電話は通じなくなりました。あっちこっちで交通事故が起こり、救急車のサイレンがうるさく鳴り響き、でも病院だって停電だから、そんなにたくさんの患者なんて引き受けられなくて大混乱だったと言う話を聞いています。

 多くの工場や商店では、停電のために休業せざるを得なくなりました。溶鉱炉の火は落ち、工場の生産ラインも止まり、地下街は真っ暗になりました。

 家庭の冷蔵庫も止まり、冷凍冷蔵品はかなりダメになってしまったそうです。オール電化のマンションなどは、電気が来ないので、火が使えないのは当然として、水も止まってしまったそうです。つまり、トイレも使用不可になってしまったのです。エレベータは止まり、高層マンションに住んでいるお年寄りは外出すらままならぬ状態に陥りました。

 たかが数時間の停電ですら、人々の生活に大きな支障が生じました。

 電力の無い生活なんて、今やありえないのです。個人の生活の質が大きく下がるのみならず、社会活動にも影響は出ます。私が心配するのは、工場の稼働率が下がる事で、日本の経済力が下がり、解雇が増えることです。だって、電力が無くて、工場が動かないのなら、雇っている人の首を切るしかないじゃないですか。

 経済力が弱まれば、社会が不安定になります。犯罪だって増えるだろうし、治安が悪くなれば、おちおちと暮らしていけません。

 なので、原発廃止の前提条件として、発電量の確保と、電気代の安値安定が最低条件になります。これらが担保されて、始めて原発廃止ですよ。

 で、現在、原発の大半が止まっています。

 現状はどうなっているのか言うと、国と電気会社が頑張っていますが、発電量そのものはだいぶ減っています。個人の生活ではあまり感じないかもしれませんが、各企業は節電を余儀なくされ続け、不足電力をやりくりして工場を回しているのが現状です。

 で、電力が不足している上に、電気代だって、実はかなり高くなってしまいました。電気は、不足している上に、高価になってしまったわけです。これは良くない事です。

 電気代が高くなると、個人のお財布も直撃してつらいのですが、各企業の金庫に直撃するわけで、あれこれ必要経費としての電気代がかさむし、工場などでは高くなった電気代の分を製品価格に織り込まなきゃいけないわけですが、このグローバル化された現代社会で、製品価格を上げるという事は、輸出の縮小にダイレクトにつながるわけで、それは日本の国力の縮小とイコールの話になるわけです。

 電力を安価に大量に供給するためには、部分的にでも原発の再稼働をするというのは、苦肉の策であり、いますぐにやらなければいけない事なのです。

 なぜ電気代が高くなってしまったのかと言えば、当然の話ですが、一時は日本の発電の1/3を担っていた原発が止まってしまったために、その分を補うために、火力発電所の設備投資が必要になったからであり、そのためにオカネがかかる事と、火力発電者を増やすと言っても、従来の火力発電所は石油燃料で動いていたけれど、それではCO2がバンバンと出てしまうため、石油燃料よりもCO2の発生量の少ない天然ガスに火力の燃料を変更せざるをえないわけで、そのための設備投資が必要だったわけです。

 おまけに天然ガスによる発電って、石油ほどコストはかからないとは言え、原子力発電よりもコストがかかります。各電力会社は、天然ガスの発電にオカネがかかりすぎるので、石炭発電を復活させ始めたのだそうです。と言うのも、石炭は(これまた原子力発電ほどではないのだけれど、天然ガスよりは相当)発電コストが安いんだそうです。

 というわけで、現在の日本では、電力の約半分を天然ガスで、3割を石炭でまかなっているそうです。残りの2割が石油と水力ね。一部の方々が大好きな太陽光発電とか地熱発電は、統計誤差程度の発電量しかないので、ほぼゼロと考えて、無視して良いようです。
 ほんと、あっという間に世の中が変わっちゃいましたね。私が副業で社会科のセンセをやっていた頃は、日本の発電量の1/2は石油による火力発電が、1/3は原子力発電が、残りが各種水力発電がまかなってます…って教えたものですがねえ。ほんと、今じゃそれが全然違うわけです。知識というのも、日々、アップグレードしていかないといけないわけです。

 天然ガスは環境に優しいけれど、高価。石炭は安価だけれど、環境に厳しい。石油はコスト的にも環境的にも論外だし、輸入に頼らないといけないので世界情勢に左右されて、実に不安定(この点は天然ガスも同様です)。コストの面だけ考えると、原子力って、極端に安価だし、一度導入すれば、燃料も補給しなくていいので世界情勢にも左右されにくいんです。もちろんCO2は絶対に出さないわけで、事故や戦争がなければ、理想のエネルギーと言えるのかもしれません。でも、安定で安価で、普段はクリーンエネルギーだから言って、フクシマを経験してしまった以上、もはや原子力に頼るわけにはいきません。だいたい、世界はそんなに平和じゃないのてすから。

 我々は早急に、天然ガスであれ石炭であれ何であれ、安定して安価に電力を供給出来る手段を考えないといけません。もちろん、環境面への配慮だって忘れちゃいけないよ。でしょ?

 それと原発を廃止するのなら、原発に代わる、原子力技術の運用についても考えないと…。

 日本は現在、原子力関係の技術においては世界トップレベルなのだそうですが、原発が止まったままだと、日本の技術もさびてしまいます。日本の後釜を、虎視眈々と韓国・中国・ロシアの新興原子力プラントメーカーが狙っているわけですから、日本はうかうかしていられません。原発が廃止されても、日本の原子力技術が磨ける場を作らないといけないのです。原子力技術だって、日本の大切な国力ですからね。それに、韓国・中国・ロシアが原子力の世界トップ3になるなんて、日本人にとっては悪夢でしかないじゃない?

 そこまで見通して、対策をたててから、原発廃止です。それまでは原発再稼働もやむなしだと思ってます。

 だって、今のまま、ずっとずっと、電気代が高いままでは、子孫たちの未来は暗いですよ。そんな事をしちゃダメだと…私は思うのです。なので、私は原発反対派ですが、原発廃止論者ではないのです。

 単純な話、私は現実論者なのです。夢の中に生きているわけでもなければ、頭の中がお花畑でもないのです。だから、元気よく「原発反対!」と、何の屈託もなくシュプレヒコールをあげている人を見ると、かわいそうに思うのです。この人には、ほんのちょっと先も見えないのだなあ…と思うし、こういう人たちが、子どもたちに生きづらい世界を押し付けていくのだと思うのです。困ったオトナたちです。

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