新卒就職者…つまり『学校を卒業して、すぐに就職して、そのまま働き続けている人』の事を言いますが、この新卒就職者の割合が、今と昔では大違いなんだそうです。
昔…私が若者だった時代は、売り手市場と呼ばれ、基本的に人手不足だったので、就職そのものは、それほど難しいものではありませんでした。会社や業種にこだわれば難しいトコロもありましたが、就職そのものはなんとかなったものです。就職率100%というわけにはいかなかったでしょうが、まあ、なんとかなったものです。
今は、かなり厳しいそうです。現在は、高校入学を100とした場合、新卒就職者、それも3年以上継続して勤めている人は、47なんだそうです。つまり、高校入学した者の約半数は離職者となり、仕事に困っているんだそうです。
具体的に書きます。
ある高校に100人の生徒が入学したとします。そのうち、卒業できるのは94人で、中退者が6人です。この6人の大半は正規就労ができないため、離職者扱いとなります。
高校を卒業した94人のうち、高卒で就職するのが18人、専門学校に進学するのが21人、大学に進学するのが51人で、高卒後、無職あるいはフリーターとなってしまうのが4人います。この4人は離職者扱いとなります。
高卒で就職した18人のうち、3年以内に退職してしまうのが7人で、この7人は離職者となります。
専門学校に入学した21人のうち、卒業後就職できるのが17人で、無職あるいはフリーターとなるのが4人です。この4人は離職者扱いとなります。専門学校から就職した17人のうち、7人は3年以内に離職してしまいます。
大学に進学した51人のうち、卒業できるのは45人で、残りの6人は中退者であって、これらは離職者扱いになります。
大学を卒業した45人のうち、大学院に進学するのが6人、就職するのが28人、就職できずに無職あるいはフリーターとなるのが11人います。この11人は離職者扱いとなります。
大学を卒業して就職した28人のうち、8人が3年以内に離職してしまいます。
これらを計算していくと、高校で学んだ人のうち、離職者あるいは離職者扱いとなる人は53人で、高校・専門学校・大学を卒業後、3年以上勤め続けている人は47人しかいないのです。
ううむ、なんと世知辛い世の中だよ。ざっくり言えば、高卒の離職率が36%、大卒の離職率が29%って事になるわけです。
ちなみに、離職率の高い業種としては、宿泊業&飲食業、生活関連サービス&娯楽業、教育&学習支援業がトップ3なんだそうです。
宿泊業と飲食業はどんな仕事か分かると思います。生活関連サービス業とは何かと言うと、理容美容、クリーニング業、エステやネイル、旅行業、家政婦さん、冠婚葬祭関係などだそうです。娯楽業と言うのは、映画館、劇場、劇団、舞踊団、競馬・競輪、スポーツ(野球・ゴルフ・サッカー・テニス・フィットネスジム・ボーリングなど)、遊園地、パチンコ、麻雀、ゲームセンター、カラオケ、芸者さんなどだそうです。教育業は、学校の先生、幼稚園の先生などです。教育支援業は、塾講師、英会話学校の先生、カルチャースクールの先生、動物園や博物館の職員(売店の売り子さんもここに入るそうです)などだそうです。
確かに、昨今、学校の新任の先生って、3年続かないよなあ…。大学卒業して教員の資格をとっても、ほんと、続かないよなあ。それだけ学校ってブラックな仕事なんだと思うよん。
閑話休題。もちろん、せっかく就職したのに、わずか3年も勤め続けられない責任は、当事者である若者自身にありますが、これだけ多数の若者たちが離職している現状を見ると、一概に若者本人だけのせいにはできない、何かがあるのかもしれません。
理由はどこにあるにせよ、若者の半数が仕事にあぶれ、正規労働者として生業を営み、経済的に自立できないのは、大きな社会問題だと思います。これだけ多くの若者が経済的に追い込まれているから、彼らには恋愛している余裕もなく、結婚できる条件も揃わず、その結果、少子化につながっている…と私は思います。
少子化対策をしたいなら、まずは若者の就労環境を整え、若者たちの離職者を少なくしていかないと無理だと思います。経済的な不安があれば、結婚しないだろうし、出産だってしませんよ。いくら年寄りが「子ども産め、子ども産め」と言っても、将来に不安を抱えていたら、子どもなんて産めませんって。
私が思っていた以上に、今の若者を取り巻く環境って、シビアなんだなあ。ウチの息子くんは、きちんと就職して、結婚できるのかな? なんか、とても心配になってきました。
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コメント
今の若者は大変です。私のような中年の若かったころと今の若者とでは、就職の環境はまるで国が違うほどの落差があると思います。
近所の団塊の世代の爺さんと話してみると、これがもうまったく現状認識されていないので驚きます。
最近の若い者はバイトばかりで正社員になりたがらないとか、就職できないのは努力が足りないからとか。
「そりゃあんたらの若いころは、バカで才能がなくとも適当にコツコツやってりゃ人並みの生活が保障された古き良き時代ですから」と、本音は言いませんでしたけど。
私は高度成長期もバブル崩壊も体験しましたが、いい経験したと思っています。今、考えれば高度成長期とは奇跡的な夢の時代でしたね。今日よりも明日の方がすばらしいというのが常識でした。株や土地を購入して長期保有しておけば、必ず儲かるという凄まじいルールもありました。
私は仕事がら、若い奴から年寄りまで接触しますが、若い人たちは本当に気の毒です。昔の若者は、若いうちは無謀に突っ走ってOKみたいな風潮がありましたが、今の若者の夢は正社員になることでしょう。実に小粒です。よく言えば控えめで、年寄りよりも周囲に気配りしてると思います。今の時代に私が生まれていたら、やはり小粒にならざるを得ないでしょう。夢がどうのこうの言うよりも、まず生活のために金を稼がなければ、ということを学生さんたちは実感していますから。良くも悪くも夢のない小粒な大人です。
で、私の暴論ですが、国家は年寄りよりも、子供に金を使うべきです。福祉というのは若者に対する政策であるべきです。掛け声だけで子供を生みたくなるわけないでしょう。今の若者が生む子供の世代は、もっと悲惨になりそうですから。
逆に、今の年寄りは高度成長期でいい思いをしてきたのだから、年を取ってから若者に頼ろうなんてのは甘すぎます。今の日本の停滞感は、年寄りの人口増、これが根本原因ですね。
残念なことに、お年寄りをいたわりながら、同時に若者にも夢や仕事を与えるというのは、今の日本では不可能に近いです。その理想論は経済発展の約束されていた1960年代モデルです。
そりゃ私だって、皆が幸せになれば良いと希望しますが、今の日本の経済状況は、人数分乗れない救命ボートのようなもんです。ボートに二人しか乗れなくて、沈没船に三人いたとしたら、子供と若者が乗るべきでしょう。年長者は辞退すべきです。厳しいようですが、三人仲良く死ぬよりは、将来性のある人間が一人でも助かる方が良いというのが私の道徳です。
多くの年寄りを観察したところ、全部とは言いませんが、今の年寄りの多くは甘えすぎですね。いわゆる良い人なんだけど、心がガキのまま成熟しないで年だけとったという感じです。自立心と責任感のない年寄りが周囲に多いので、うんざりしています。
私が子供のころの年寄り、つまり明治・大正生まれの年寄りは、頑固ながらも自制心や羞恥心があったような気もしますが、今の年寄りは個人主義と権利意識が強いです。スーパーのレジなんかで、つまらないことで激怒しているクレーマーは、たいてい年上の人たちですね。
ある年寄りに私の持論を話すと、自分の生きている間だけ平和であれば十分なんて平気で言います。あなたのお孫さんのことは心配でないの?と聞くと、そのころはもう自分は死んでいるから、悩むこともないそうです。国家や社会の維持どころか、自分の孫もどうでも良いって、それで良いのか?
在日日本人さん
>そのころはもう自分は死んでいるから、悩むこともないそうです。
日本人はシャイな人が多いので、実は本音では孫の事が心配でならないのですが、恥ずかしいので偽悪を気取っている…のなら、良いのですが。団塊の世代あたりは、本音でそう思っていそうで信用なりません。
>今の年寄りの多くは甘えすぎですね。いわゆる良い人なんだけど、心がガキのまま成熟しないで年だけとったという感じです。
良くも悪しくも、団塊の世代の人たちなんですよ。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」をリアルに実行してきた人たちですからね。まだ、夢を見ていたいんですよ。きっと、夢を見続けたまま死んでいくんだと思います。そういう点では、彼らがいるうちは、日本はお花畑のまま行くしか無いんだと思います。
>国家は年寄りよりも、子供に金を使うべきです。福祉というのは若者に対する政策であるべきです。
問題は、年寄りには選挙権があるけれど、子どもたちには選挙権が無いって事です。国家…と言うよりも政治家は、自分に票を入れてくれる人のために働きます。選挙権の無い子どものための施策をするよりも、年寄り保護の施策をした方が票が稼げるので、仕方ないです。次の選挙から、選挙権が18歳に繰り下がりますが、これで世の中、どれくらい変わるのでしょうね。
>今の日本の停滞感は、年寄りの人口増、これが根本原因ですね。
あら、正解を言っちゃいましたね。みんな、知ってても黙っていたのに(笑)。と言うのも、日本の国力を回復するためには、
1)老人たちには死んでもらう
2)税制改革をして、女性は働くよりも家庭にいる方が経済的に得するようにする
3)働かない男性には刑罰を与える(刑務所での強制労働あり)
4)安価な労働力を増やすために、大学進学率を下げ、中卒・高卒で働くようにする
5 )核家族をやめ、大家族制に戻して、福祉的な事を家庭に引き受けてもらう
6)移民法を整備して、不良外人とスパイを強制送還(あるいは死刑)にする
こんなところかな? 自分で書いていて、かなりひどい事を書いているなあって思います。でも、今の日本の将来を真剣に考えている人は、言葉にしなくても、これくらいの事は、みんな考えているんじゃないかな? でも、こういう思い切った事はできるわけないので「じゃあ、どうする?」ってところで、みんな知恵を絞っているんだと思います。
こんばんは。
> まあ、なんとかなったものです。
こちらは大学4年で留年も考えずに卒業し(授業料は今からは信じられないくらい安かったけれど)、5年目も院試とか学士入学に悉く落ちて行先がなくなり(学部入学は何故か考えなかった)、その秋に学部の事務所を訪ねて新卒でもないのに2つ目(!?)で内定もらい、4月から就職しました。30年以上昔の話です。
最近の就活とか解禁日の話題は全く理解できないただのオヤジです。
http://blog.tatsuru.com/2007/01/04_1225.php
以前よく読んでいた内田樹のブログですが、城繁幸の「若者はなぜ3年で辞めるのか」の書評がありました。2007年の記事です。
要するに人間は金が欲しいんでしょ、という若い著者の「クール」な諦念(と申し上げてよろしいであろう)が全体に伏流している。
だが、私は「要するに人間は金が欲しいんでしょ」という「リアル」な人間観そのものが「3年で辞める若者」を再生産しているのではないかと思えてならない。
労働について考えるときには、「どうしたら能力や成果に応じた適正な賃金を保証するか?」ではなく、「どういう条件のときに個人はその能力の限界を超えるのか?」というふうに問題を立てなければならない。
人間が継続的に活気にあふれて働くのはどういう条件が整った場合か?
そういうふうに問題を立てなければ、「なぜ若者たちは3年で辞めてしまうのか?」という問いには答えることができないだろう。
答えはもう書いたとおりである。
人間は「フェアネス」の実現と、「信頼」に対する応答のために働くときにその能力の限界を超える。
—
こういう考え方は余裕のある人の意見、とはとても思えません。でもなかなか通用しないかもしれません。引用ばかりで失礼しました。
何度か転職していますが、転職の度に世の中が悪くなっているような。。
「年齢のせいかも?」とも思いましたが、逆にこちらはオープンになっている気がします。
なんだかドンドン世知辛い世の中になっていますね。女性の社会進出といっても、理想のキャリアを積めている人はごくわずか、実際はキャリアアップの名のもとに男女問わず働かせるだけ働かされているような気がします。
今や専業主婦はステイタスになるほどの夢の暮らし方ですが、若い人には苦痛に感じる人もいるかも・・?外に出るって楽しいし、一度華やかなOL生活をすると、閉じ込められたような気持ちになりますから。
日本男児が結婚できなくなっちゃいそう(^^;
tetsuさん
昔は就職が簡単だったと言うか“学校を卒業したら就職するもの”と、オトナも当事者である若者をそう考えていたし、実際、社会はそんなふうに回っていました。それがいつしか(正社員として)就職する事が難しい時代になってしまいました。
確かに“人はカネが欲しい”ものです。生活していくためには、カネが必要です。でも「人はパンのみにて生くるにあらず」ですよ。「神の口から出る一つ一つの言葉による」んです。金銭的な必要が満たされただけでは、人は生きていけないのです。精神的な必要も満たされないと生きられないのです。でも、就職難では、金銭的な必要と精神的な必要の両方を同時に満たすような職業に就くのが難しく、やむをえず、金銭的な必要を優先してしまっている…のが、現在の若者たちの状況の一つだと私は思います。
そんな若者たちの現状に対して「贅沢を言うな。職業に貴賎はない。石の上にも三年だ。我慢が足りない」と怒るオトナたちがいますが、そんな言葉は今の若者には通じません。今の若者たちは、学校でキャリア教育というのを受け、職業にはあれこれ違いもあれば、報われ方も違うという事を知っていますし、仕事は金銭のためにするものではないと叩きこまれています。そんな若者たちに、昔流の考えたは通用しないわけだし、生活のために当座の仕事をするのも、良しとはしないわけです。
ほんと、簡単に解決できる問題ではないと思います。
たまごっちさん
>女性の社会進出といっても、理想のキャリアを積めている人はごくわずか、実際はキャリアアップの名のもとに男女問わず働かせるだけ働かされているような気がします。
私は“女性が働かなければならない社会は貧しい社会である”と思ってます。これは“女性は働いてはいけない。女性はみな家庭に入るべきだ”とか思っているわけではありません。社会でバリバリやりたい人はやればいいし、家庭に入りたい人は入ればいいのです。女性が自分の生き方を考えて、好きな生き方を選択できるのが豊かな社会だと思います。
ただし、社会でバリバリ働く事を目指す女性が覚悟しなければいけないのが『社会は男性によって作られ、男性が中心になって回しているのだから、そこでバリバリ働きたいのなら、自らの女性性をひとまず横に置いて、男性化しなければ、バリバリとは働けないのだ』という事です。
男性は妊娠も出産もしませんから、当然、バリバリ働く女性にとって、妊娠や出産は当然、後回しになるわけです。その結果が、現在の少子化社会なんだろうと思います。
じゃあ、女が働かなければ、子どもが増えるのかと言えば、男性1人の給料では家庭が維持できない(と思われている)ので、女性は働くことを止められなくて、結果、出産が、結婚が、恋愛が、後回しになっているのです。
結局、若い青年たちの就職率が上がって、給料も上がれば、万事解決なんですが、今の日本の国力は右肩下がりが現状ですから、色々と難しいのです。
>日本男児が結婚できなくなっちゃいそう(^^;
しゃれや冗談ではなく、本当に、そんな時代がやって来そうで、私は恐れています。
1970年代の中ごろ、「アルバイト・ニュース」をみてシャープに面接を受けに行ったことがあります。面接担当者は工場の組み立て作業などだと2年以内に3分の1がやめてしまうので困っていると言っていました。今も昔も変わらないのではないでしょうか。確かにそういう仕事をしてみると一日中一言もしゃべることのない作業で私など一週間も続きませんでした。
こうじさん
私は学生時代にパナソニックの工場で組立作業のバイトをした事があります。私は一週間どころか、一日で音を上げて、現場の班長さんと直談判をして、休憩ごと仕事内容を変えてもらいました。それでも二週間が限界でした(笑)。いやあ、私は工場で何百人の人たちと一緒に、汗と油にまみれて働くのは無理だと思いました。
で、その後、カルピーのポテトチップスの生産工場で働きました。たった3人で毎日トラック数十台分のポテトチップスを作ってましたが、そこはとても楽しかったので、新学期が始まるまでの二ヶ月間、丸々働きました。
同じ工場でも、家電は無理で、食品がOKというのも面白いですが、人それぞれ向き不向きがあるんだなあと思いました。そして、それってやってみないと分からないものかもしれませんね。
本文や皆さんのコメントにすごく同意です。
そして、そのくせ「高齢出産のリスク」を煽って、若いうちの出産を! という声も多いですよね。言いたいことは分かるのですが、若い人が若いうちに子をもうけて食べて食べさせていけるなんて、今そんなに現実的ではないです。若い人からすれば不満がたまるでしょうね。「どうすればいいんだよ!」みたいな。
椎茸さん
そうか、今の若者たちが頑張って働いて、ようやく結婚が現実的になった時には、すでに高齢出産の年齢になっている…のかもしれませんね。誰だって、運命の人と知り合ったら、結婚して、家庭を作って、子どもを持ちたいと…まあ思うだろうけれど、それが経済的に簡単に出来ないから、まずは正社員になって、一生懸命に貯金をためて…ってなるのかもしれません。
ほんと、まずは景気回復というか、若者が安心して、自分の進路を考えて、定職について、きちんとした収入を得られるような社会を作ることが、少子高齢化社会から脱する方法なんだと思います。