ミヤザワフルートは、以前の私にとっては、アウト・オブ・ガンチューなフルートメーカーでした。試奏をしても、ピンと来ず、イメージも“吹奏楽のフルート”でした。
なにしろ、ここのメーカーのウリは“ブローガー・システム”と“リップが9K金製のモデルも普通にあります”…ですからね。私程度の腕前だと、ブローガー・システムの良さなんて分からないし、リッププレートが9K金製であるために、強い息に対する耐性が強まっても関係のない事でしたからね。
ただ、タフなメカニズムと強い息に対する耐性を持っているために、ミヤザワフルートは、吹奏楽関係者には愛されていました。でもそれだけでは、私の興味関心をひけなかったのです。
ミヤザワフルートに対する印象が一変したのは、アゲハ(アルタス1307)をオーバーホールに出した時です。我が愛器がオーバーホールでお里帰りをしている間、代車ならぬ代笛として楽器店からレンタルされたのが、ミヤザワのギブーでした。
ミヤザワのギブーは、すでに廃番となったモデルですが、当時は名器としての評判の高かったフルートだそうです。おそらく、ギブーはブローガーシステムを搭載する前のミヤザワのフルートなんだろうと思います。このギブーが私の手元にやってきて、私のミヤザワに対する印象をガラリと変えてくれました。
ミヤザワのギブーは、本当に良いフルートだと思います。
まず、音程がとても取りやすいフルートでした。それまで使っていた自分のフルートでは、ドンピシャな音程で吹くことに、実は困難を感じていました(アルタスフルートは色々な意味で気難しいフルートだと思います)。そのために、常に音曲げの必要を感じていたわけですが、それがギブーでは、そういう苦労をせずとも、ドンピシャな音程でフルートが吹けたのです。そして、ギブーでいつもいつもドンピシャな音程で吹いていたら、アゲハが戻ってきた時も、アケトでもドンピシャな音程で吹けるようになっていました。
楽器は奏者にとって、道具であると同時にコーチでもあります。私はギブーから「フルートの音程の取り方ってのは、こうやるのよ」と教えられたわけです。
さらに教わったのは音程の取り方だけではありません。息の適切な入れ方も教わりました。アゲハがややピーキーでツンデレな性格だとしたら、ギブーは温和で親切な感じでした。私はギブーを吹くことで、アゲハからは学べなかった、色々な事を教えてもらった気分です。なので、アゲハが帰って来た時、ギブーをお店に返すのを、ちょっとためらってしまったくらいです。それくらい、ギブーを気に入った私でした。
ギブーを通して、ミヤザワフルートが、なぜ吹奏楽で愛されているのかが分かる気がしました。ミヤザワフルートの魅力は、ブローガー・システムと9K金製のリッププレートだけじゃないです。それ以前に、初心者に優しい、良いコーチとなるフルートなんだと思います。
ミヤザワフルートを女性にたとえるなら…どうしても私のところにやってきたギブーのイメージが強くなってしまうのですが…小学校の先生のようなイメージになります。優しく面倒見が良くて親切で忍耐強い、そんな女性のイメージになります。
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コメント
AかMかSか・・・どれで来るかと思っていましたらMでした!
7回シリーズってことですが、1つ足りないなあ。
F?M?
最後の1枠にどれを入れるのか興味津々です。
(まとめて入れるって手もあるし)
どのフルートでもも最終的には音色に関係ないという専門家もおれば、頭部管ごとに音色の違いを感ずる人もいます。
我々アマチュアは楽器ごとの特性を出すのもひとつの練習かもしれませんね。
総銀のオペラは強く吹いても大丈夫ですが、最近手に入れた洋銀にマンケの組み合わせはそっと吹いて響かせないと鳴りません。
洋銀をうまく鳴らせられる時に総銀を吹くとさらに良い音がします。
河童さん
今後の連載予定を教えても良いのですが…それではきっと楽しみが半減してしまうと思いますので、今は黙っています。さあ、次はどこが来るでしょうか?(笑)
>どのフルートでもも最終的には音色に関係ないという専門家もおれば、頭部管ごとに音色の違いを感ずる人もいます。
…ですね。私が思うに、奏者にとっては、メーカーやモデルごとに大いに音色の違いを感じるものと思いますが、聴衆にとっては、どのフルートでも奏者の音であって、メーカーやモデルごとの違いなど関係ない…んじゃないかなって所かな。なので、我々アマチュアは、あくまでも奏者側の人間ですから、メーカーとかモデルとかに、大いにこだわってもいいし、こだわるべきだと思ってます。
楽しく拝見させて頂いています。ただ、このミヤザワへのご意見の中で、「リップが金メッキモデルも普通にあります」」とあります。私の知る限りでは、ミヤザワフルートには「リップが9k(メッキでなく一応ゴールドの範疇かな)のモデルも普通にあります」だと思うのですが、私の勘違いかな。
dinghy45さん、いらっしゃいませ。
記述の誤りのご指摘、ありがとうございます。感謝します。
すっかり金メッキだと思い込んでいました。たぶん、どこかで別の情報とゴッチャになっていたようです。慌てて、ミヤザワのホムペに飛んで確認した次第です。いやあ、思い込みって怖いです。ほんと、誤りのご指摘感謝感謝です。
さっそく、本文は訂正させていただきました。
それにしても、金メッキと金製じゃ、全然違うよ、雲泥の差だね。いくら個人ブログでも、もうちょっと情報の確認はしないといけませんね、反省です。
突然お邪魔します。各メーカーごとの特徴、楽しく拝読させていただきました。
フルート歴10年くらい、一番最初の頃からミヤザワのアトリエ1を使っています。
ミヤザワ評、すごく納得です。明るくて平均的というか、小学校の先生ってかんじなんですよね。
実は自分はフルート購入時にミヤザワアトリエともう二本比べて、(先生と)母に明るい音色のこの子を薦められました。けど、じつはちょっと後悔してるんですよ。私はもうすこし鈍い色のした暗い感じの音の子が良いな~と思っていて・・・(正直今でも未練たらたらですね)
でもなんとなく流されてアトリエにしちゃったんですね。
私も扱うなら少しひねくれたものが良いな~と考えるタイプなのでブログの内容にすごくうなずいてしまいました。
同時に、あらためて自覚はありませんでしたが安定したパフォーマンスの自分のフルートに色々教えられて助けられていたんだろうな~と色々思い直しました。
吹奏楽部で散々雑な扱いをしたこと反省します笑
平均を知っていると言うことは、それぞれの楽器の特徴がよく分かるはずと思い直し、これからじっくりかけて自分の好みのフルート(できればちょっとくせの強い子がいいかな~なんて)を見つけていきたいと思っています。
長文失礼しました。
はなさん、いらっしゃいませ。
ミヤザワフルート、いいですね。私は今でも、あのギブーが懐かしいです。ほんと、あのフルートからは多くのことを学びました。よい先生でした。
こう言っては失礼かもしれませんが、ミヤザワのフルートは面白みに欠ける楽器かもしれません。でも、楽器自身は個性が薄くて面白みに欠けるくらいの方が、奏者の個性をより際立たせてくれるのではないかって、最近はそう思う私です。
確かにピーキーな楽器は吹いていて楽しいですが、地味で特徴がなく、それ故に抜群の安定性を誇るミヤザワは、道具としては、ある意味、理想なのかもしれない…と思うようになりました。
いやあ、実は相変わらず、アルタスのじゃじゃ馬っぷりには振り回されている私です。時々、道具として安定している、ミヤザワとかムラマツとかヤマハとかに浮気したくなるんです(本当ですよ)。ツンデレは…愛おしいけれど、たまに疲れるんです(涙)。