スポンサーリンク

早くバリノールから脱出したい

 バリノールと言うのは、バリトンとテノールの間の声種を指します。もちろん、俗語であって、正式な用語ではありません。同様な言葉にテノリトンと言うのもあります(笑)。

 バリノールにせよ、テノリトンにせよ、実際は中間の声種と言うよりも“テノールなのに、バリトンと同じ音域しかない”というイメージですね。もちろん、蔑称なので、見知らぬ人に「君ってバリノールだね」なんて使っちゃいけません。

 バリノールとは、高音がウリのテノールのはずなのに、その肝心な高音が出せないテノールの事を言うものだ…と解釈してくれれば、ほぼ正解ですね。でもそれって、鈍足の1番打者とか、打率の低い4番打者みたいなもので、テノールとしての存在価値って奴が、ほぼ無いわけです。

 存在価値がほぼ無いので、バリノールの方は、合唱団等では、本当はテノールなのに、バリトンでの歌唱が余儀なくされます。だって、テノールとしての存在価値がほぼ無いんですから、仕方ないです。

 私はテノールの声を持っていますが、誠に残念な事に高音が足りないので、バリノール…って奴でしょうね(涙)。少なくとも、テノールだと胸を張るためには、高いAが楽々と実声で歌えない…と個人的には思ってます。裏声とかファルセットではダメです。裏声やファルセットでAを歌っちゃう人は、私同様にバリノール…でしょうね。私だって、ファルセットを使えば、Hi-Cだってラクラクよ(笑)。

 「実声ではAは無理でも、Gまでなら出せれば、テノールとしては十分!」とか言い張る人、いるかもしれません。事実、合唱曲だとテノールパートであっても、G止まりの曲は多いですからね。

 でも、実声でGまで出せても、それだけではテノールではありません。ってか、それではまだまだバリトンだよねえ…って私は思うのですよ。だって、バリトンのアリアにはGがよく出るそうだし…。むしろ「Gぐらい出せないと、バリトンじゃないよ」って感じかな? まあ、合唱とソロでは求められるものが違うとは言え、私の基準では、Gまではバリトンの音域であって、テノールなら、それ以上が楽々出せないと胸が張れません。

 なので、私、胸が張れないんですよ(涙)。

 私の声は、本来的には高いテノールの声です。レッジェーロからリリコの声なので、本当は高音が大得意になっていないといけない声なのですが、現実はほぼバリノールです。

 キング先生のところで学んだ5年間では、高音で歌うのは無理でした。楽に出せる音は一つもなく、いつも必死な思いで気合を入れて歌って、やっとFisまでが実用音域でした。それもかなり厳しかったですよ。Gは出ないでもなかったですが、かなり博打で、実際には使い物になりませんでした。なので、5年間でFisまでしか使えるようにならなかったのです。

 ですから、キング先生から、バリトンへの転向を命じられたくらいです。たしかに音域だけを考えれば、そのとおりなんですが、私のような細くて甲高い声でバリトンですよ? 音楽的には考えられないですね。

 Y先生のところに移って、約1年です。とりあえず、楽に出せる音はAsまでです。1年で半音二つ広がりました。でも、音域的には半音二つですが、ここまでの発音は別に“必死”でもなければ“気合を入れる”必要もなく、楽にふぅ~と出せるようになったところが、質的には大きく違います。

 いや、むしろ、キング先生のところで学んでいた時のように、必死に気合を入れて発声すると、あっと言う間に、高音に制限がかかってGですら危なくなるので、私個人の本質的な部分はまったく変わっていないと思います。なので、私が上達したというよりも、Y先生が教えてくれる発声方法が、単純に上手いやり方なんだろうと思います。

 それでも、使えるのはAsまで。Aには届きません。ホンモノのテノールになるには、まだ半音足りない私です。

 今現在、なんとかAが出せるように練習している私です。八月の門下発表会で歌うプッチーニの「星は光りぬ」にはAが二回でてきます。この二回とも、きれいに発声できたら、Aに対する自信が生まれるんでしょうが、今のところ、練習でも歌えません。練習で歌えないものは、本番で歌えるわけないですから、やっぱり私はバリノールなんですね。

 ああ、早く人間になりたい…じゃなくて、早くテノールになりたい、です。とりあえずはAだね。もちろん、Aだけでは、テノールのアリアの半分も歌えませんから、そこら先の、BもHもCも出せるようになりたいけれど、ひとまずはAだね。ひとまずは「星は光りぬ」だね。この曲をなんとか、譜面どおりに歌ってみたいです。

 発表会まで、あと約一カ月。頑張りますよ。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 クラシックブログ 声楽へ
にほんブログ村

コメント

  1. おぷー より:

    力を抜いて下さいね。
    出そうとして張った所で出ませんから。
    お腹・喉・頭を音がうまく通りぬけた時に、
    高音がキレイに出るもんなんです。
    20年前の私、Fさえキレイに出ないで、
    ベソかいてたんですよ。
    今は、Bを引っ張る事が出来るまでになりました。
    3点Cがもう少しで歌で使えそうなんで、
    頑張ってますよ。
    一歩ずつ進みましょう。

  2. だりあ より:

    おはようございます。
    すとんさん、歌・・・アリア、がんばっておられますね。
    以前、幾度かここで音源を聴かせていただいていますが、すとんさんのお声、とくに声質というのでしょうか発声に続いて聞こえてくる響き方が気持ちよい響きのお声だなあと思って聞かせていただいてました。
    前の先生のころのノド発声の音源であれだけ素晴らしい響きなのですから、今のY先生のところで発声が「ラク」に変わって、一年修行された歌声を、ぜひお聴きしたいナと思っています。

    ノドの緊張に頼らずにラクに発声できるようになると、高音の音程も安定しますよね。
    ちなみに、キッチン仕事やその他いろいろな家事でも、「ラクであること」ってのは重要なキーワードなんでございますよ。どんな作業でも一々苦労してては続きません。「ラクな方法」は時間もオサイフも助けてくれますので一石二鳥なんです。声楽の場合は、声帯と音程を助けてくれるからやっぱり一石二鳥なのでしょうかね。^^v。

  3. すとん より:

    おぷーさん

    >出そうとして張った所で出ませんから。

     そうなんですよ…そんな事も、先生が変わってから気づきました。なにしろ、以前は根性論の世界でしたから「出なければ、出せ」でしたから。一回で出なくても、百回やれば出るし、百回やっても出なければ、もっともっとやれば出るって、言われてました。とにかく、私は屁理屈が多く、すぐに楽なやり方をしようとするからいけないって言われ続けてましたね。歌って楽に歌えるはずがない…と常々おっしゃっていましたから、私も、つらい方向、つらい方向に頑張ってました。

     そういうやり方もあるのかもしれませんが、私には、どうも、合わなかったみたいです。私は、楽な方が結果が良いみたいなんです。

    >お腹・喉・頭を音がうまく通りぬけた時に、高音がキレイに出るもんなんです。

     その言葉が身にしみます。そして、それが上手くできない事に歯がゆさを感じている私です。

    >一歩ずつ進みましょう。

     ですね、一歩ずつ一歩ずつ、カラダが自然と高音に慣れる様に、少しずつ少しずつ頑張っていきます。

     ありがとう。

  4. すとん より:

    だりあさん

     声の響きは、ここ1~2カ月で、コロッと変わったなあって自分でも思います。Y先生に習い始めて、約1年ですが、1年たって、ようやく少しずつ変化が見える様になってきたと思います。最近では、妻も「先生が変わって、本当によかったね」と言ってくれます。

     でも、まだまだですよ、自分でもそう思います。良い方向に変わり始めただけで、まだまだ十分ではありません。でも、自分の歩こうとする道の先に光が見え始めたのは、本当です。こっちの方向に頑張っていけばいいんだなって、今は安心して前に踏み出せます。
    >ノドの緊張に頼らずにラクに発声できるようになると、高音の音程も安定しますよね。

     高音に限らず、中音も低音も安定します。ほんと、私には楽に歌う方が合っていたんだなって思います。問題は、いざとなると、ついつい頑張る悪い癖がまだまだ抜けないって事です。

  5. すずめおばさん より:

    高い音が出せる出せないよりも、普通の音も正しく発声できるかが大事なのであーる・・・と
    私は自分に言い聞かせてます。

    本当は高音でギャンギャン歌いたいけど、先生がアルトだし・・・(T_T)

  6. すとん より:

    すずめおばさん

    >高い音が出せる出せないよりも、普通の音も正しく発声できるかが大事なのであーる

     そうそう、それが大切だと思います。実際、私個人は、結構、高い音にこだわりがありますが(だってテノールだもん)、先生は高い音よりも中音域をいかに美しく歌えるかにこだわりを持って、私を指導してくださってます。中音域の充実のついでに、高音も出るといいよねって発想のようです。…ってか、中音域がしっかりと歌えるようになれば、高音域は自然と歌えるようになる…とお考えのようです。

    >本当は高音でギャンギャン歌いたいけど、先生がアルトだし・・・(T_T)

     私の先生はバリトンだよ(笑)。自分とは声の違う先生に習うってのは、実は久し振りなんだけれど、先生と声が違うって…なかなかいいかもって思ってます。と言うのは、声が違うので、先生のモノマネができないでしょ? だから、自分の声の中から正解をひっぱりださないといけないので、より自分の声について考えて発声するようになりました。

     でも、低音歌手の方って、ほんと、高音にこだわりがなくて、ちょっと寂しいですよ。

タイトルとURLをコピーしました